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第12章 開発再び
第445話 地方出身は雑踏が地味に怖い(別視点あり)
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ザガートン建国祭で鳥海達が張り切って外に出ていく中、私は水木に頼んで予約してもらった宿屋の最上階のフロアから見下ろしていた。…人ごみに酔いそうなほど人であふれ、祭りというよりかは雑踏を見ている感じとなっている。そして、そのうねりは町に新設されたという闘技場に向いている。現在の姿は、念の為”ミラージェ”になっている。カードもすべて偽装済み念の為の装備もある。が…。
「人込みは苦手なんだ。」
俗にいう、地方都市に住む私にとって、人であふれかえるこの雑踏に入るのは怖い。しかも。雑然としている。が…。
「オークションに行くか…。」
行く場所が無ければオークションに向かう。それがいいだろうが…。
「行こ。」
頭の上で、私の代わりに子犬になっているミラージェが指差す。
「そこしかないが…。目立つ…一応幻覚をかけておくか。迷惑にならんようにな」
薄めに後光を展開するとそこに幻覚を連携させ、体を覆う。自分の体を空気と認識させるように背景と一緒の色をした幻覚を張り付けた。
「でも大きいな。そして…。」
建物はどちらかというと、白作りで、中東を思い出す建物が多く、乾いた土を固めた建築様式となっている。飲み物は中東の濃いめの甘いものではなく小麦を中心とした植物がメインとなっている。建物をジャンプで音をたてないように…一応浮遊もできるが、跳ねるを使い建物の屋根を飛び跳ねつつ、祭りに様子を見ていく。結構ジャガイモを買っていく人が多い。という事はモチーフはアステカ、マヤか?あの辺建築様式にはさすがに詳しくないからな。というよりあの辺は建築様式というよりは”考古学”だ。まあ、それでも活気は凄いな。ここで商売できるなら…。
「ん?誰かの視線を感じた気がした。なんだ?」
その雑踏にもまれる中。街巡りをしていた長谷川喜利は空を見つめた。外見は目立たない…わけでもない暑苦しいマントとフードだがその奥は眼鏡をかけており、服としては麻布の周りに合わせた服を着ていた。
「ダンマスかしら…そういえば真面目に人にもまれて進むのも…さすがにあいた。」
ゆっくりと雑踏の中を歩いて進む。
「でも考えてみれば、露店巡りしたいから…。」
雑踏にもまれつつも、時折足に力を入れ、濁流に近い人の流れの中目的地に着く。
「らっしゃいらっしゃい!あの勇者たちも認めた伝説の”串焼き肉”だよ!うまい、うまい、うますぎる!一本銀貨一枚だよ!」
この人込みと砂ぼこりの雑踏の中でさえ甘い水飴と練り込まれた”エルフ醤油”と煮込み野菜のコクによって作られた狂暴な”匂い兵器”であるテリヤキ串焼き肉の匂いは娯楽と刺戟に植えたザガートン民のスタンピードっぷりを加速させていた。店主というより、あれは勇者のチーレムのメンバーか?少女2名の女性一名が…生真面目そうな少女が串焼き肉を焼き。女性が手渡しで頼まれた本数分の串焼き肉を手渡していく。そして、呼び込む少女の声に吸い寄せられるように露天には人が詰めかけていた。
「ふむ、珍しいわね。」
楽園でも実は”テリヤキソース”の開発には至ってなかった。醤油と砂糖ベースだが…正確にはあの子たちは作る気はないのだろう。現状のスーパー業で満足していた。それに…。
「パンに合うテリヤキは…硬いパンと相性が悪いからね。」
しばらく待つと自分の雨が開いたので、そのまま屋台の前に滑り込む。
「いらっしゃい。」
「…串焼き。一本。」
「隣が30本とか言っちゃってね、焼き上がるまで待ってもらっていい?」
「いい。」
そう言うと、宣伝していた少女も屋台の裏側から回り込むと、ん?魔法?凄い事やってるな。火魔法の”加熱“を使い、台に置いた串焼き肉に均一に熱を加えていく。
「オウル。肉の予備は?」
「ホッホッホ。それがあと二箱じゃ。それが終わったら撤退していい事になっておる。」
「すまない、ミヨちゃん。急いでくれ。私の腕にも限界がある。」
寡黙そうな少女はバット並べられた30本の串焼きをものすごい速さでチェックし、ひっくり返してく。どう見てもこれ…。人間業ではない。かといって彼女たちが熟練した串焼き職人には見えない。だからこそ…。この状況が訳が分からなかった。
『地味にステータスごり押しかもしれない。』
自分も普通は人力で出来ないこともステータスを利用してごり押しで物を作る場合がある。がこうしてごり押ししているさまは…。以外だった。俗にいう”高レベルの無駄遣い”と思われた。
「はい。お姉さん。」
考えに耽っていると、さっと焼けた串焼き肉が出される。
「…ありがと。」
この格好の時はやはり話すのが苦手だ。この子達も衣装さえあれば加賀谷釘がしないでもない。だた勇者の馬鹿どもの中にはこう言う”奴隷衣装”を好んでつけさせる奴もいた。気に入らないが、かといって咎めるほどではないので、単純に嫌い。ということにしている。但し…。
「ん、これ結構うまいわ。肉は…。」
鑑定してみると地味にいい肉である”バーストブルの肉”だ。確かに銀貨一枚だわ。これ。そして甘辛いこの照り焼きダレがまた、肉にしみてうまい。しかも…これ脂身が多い方を選んでいるし、赤身も相当柔らかい。油と照り焼きダレが混ざってうまい。
「当りよね。ただ…。」
あの子たちの鑑定が失敗していた。レベルが相当高いと普通は鑑定に成功する。慧眼もある。なのに失敗した。何か怪しい。ダンマスでも大抵のダンマス相手ならこれでも鑑定可能だ。偽装を持っていてもだ。が、それでも弾いた。正確には一般人だと彼女たちが出ている。が、そのステータスに火魔法はなかった。となると偽装しているのだろうか…。それにあそこまでの熟練した魔法の使い手は、そんなに見ていない。ん?メールか。
『リューネさん。そろそろ闘技場に。審判を交代したいと…連絡がありました。』
「…しかたない。すぐに行くわ。」
…まだまだ油断できない相手が世の中にいそうね。
「人込みは苦手なんだ。」
俗にいう、地方都市に住む私にとって、人であふれかえるこの雑踏に入るのは怖い。しかも。雑然としている。が…。
「オークションに行くか…。」
行く場所が無ければオークションに向かう。それがいいだろうが…。
「行こ。」
頭の上で、私の代わりに子犬になっているミラージェが指差す。
「そこしかないが…。目立つ…一応幻覚をかけておくか。迷惑にならんようにな」
薄めに後光を展開するとそこに幻覚を連携させ、体を覆う。自分の体を空気と認識させるように背景と一緒の色をした幻覚を張り付けた。
「でも大きいな。そして…。」
建物はどちらかというと、白作りで、中東を思い出す建物が多く、乾いた土を固めた建築様式となっている。飲み物は中東の濃いめの甘いものではなく小麦を中心とした植物がメインとなっている。建物をジャンプで音をたてないように…一応浮遊もできるが、跳ねるを使い建物の屋根を飛び跳ねつつ、祭りに様子を見ていく。結構ジャガイモを買っていく人が多い。という事はモチーフはアステカ、マヤか?あの辺建築様式にはさすがに詳しくないからな。というよりあの辺は建築様式というよりは”考古学”だ。まあ、それでも活気は凄いな。ここで商売できるなら…。
「ん?誰かの視線を感じた気がした。なんだ?」
その雑踏にもまれる中。街巡りをしていた長谷川喜利は空を見つめた。外見は目立たない…わけでもない暑苦しいマントとフードだがその奥は眼鏡をかけており、服としては麻布の周りに合わせた服を着ていた。
「ダンマスかしら…そういえば真面目に人にもまれて進むのも…さすがにあいた。」
ゆっくりと雑踏の中を歩いて進む。
「でも考えてみれば、露店巡りしたいから…。」
雑踏にもまれつつも、時折足に力を入れ、濁流に近い人の流れの中目的地に着く。
「らっしゃいらっしゃい!あの勇者たちも認めた伝説の”串焼き肉”だよ!うまい、うまい、うますぎる!一本銀貨一枚だよ!」
この人込みと砂ぼこりの雑踏の中でさえ甘い水飴と練り込まれた”エルフ醤油”と煮込み野菜のコクによって作られた狂暴な”匂い兵器”であるテリヤキ串焼き肉の匂いは娯楽と刺戟に植えたザガートン民のスタンピードっぷりを加速させていた。店主というより、あれは勇者のチーレムのメンバーか?少女2名の女性一名が…生真面目そうな少女が串焼き肉を焼き。女性が手渡しで頼まれた本数分の串焼き肉を手渡していく。そして、呼び込む少女の声に吸い寄せられるように露天には人が詰めかけていた。
「ふむ、珍しいわね。」
楽園でも実は”テリヤキソース”の開発には至ってなかった。醤油と砂糖ベースだが…正確にはあの子たちは作る気はないのだろう。現状のスーパー業で満足していた。それに…。
「パンに合うテリヤキは…硬いパンと相性が悪いからね。」
しばらく待つと自分の雨が開いたので、そのまま屋台の前に滑り込む。
「いらっしゃい。」
「…串焼き。一本。」
「隣が30本とか言っちゃってね、焼き上がるまで待ってもらっていい?」
「いい。」
そう言うと、宣伝していた少女も屋台の裏側から回り込むと、ん?魔法?凄い事やってるな。火魔法の”加熱“を使い、台に置いた串焼き肉に均一に熱を加えていく。
「オウル。肉の予備は?」
「ホッホッホ。それがあと二箱じゃ。それが終わったら撤退していい事になっておる。」
「すまない、ミヨちゃん。急いでくれ。私の腕にも限界がある。」
寡黙そうな少女はバット並べられた30本の串焼きをものすごい速さでチェックし、ひっくり返してく。どう見てもこれ…。人間業ではない。かといって彼女たちが熟練した串焼き職人には見えない。だからこそ…。この状況が訳が分からなかった。
『地味にステータスごり押しかもしれない。』
自分も普通は人力で出来ないこともステータスを利用してごり押しで物を作る場合がある。がこうしてごり押ししているさまは…。以外だった。俗にいう”高レベルの無駄遣い”と思われた。
「はい。お姉さん。」
考えに耽っていると、さっと焼けた串焼き肉が出される。
「…ありがと。」
この格好の時はやはり話すのが苦手だ。この子達も衣装さえあれば加賀谷釘がしないでもない。だた勇者の馬鹿どもの中にはこう言う”奴隷衣装”を好んでつけさせる奴もいた。気に入らないが、かといって咎めるほどではないので、単純に嫌い。ということにしている。但し…。
「ん、これ結構うまいわ。肉は…。」
鑑定してみると地味にいい肉である”バーストブルの肉”だ。確かに銀貨一枚だわ。これ。そして甘辛いこの照り焼きダレがまた、肉にしみてうまい。しかも…これ脂身が多い方を選んでいるし、赤身も相当柔らかい。油と照り焼きダレが混ざってうまい。
「当りよね。ただ…。」
あの子たちの鑑定が失敗していた。レベルが相当高いと普通は鑑定に成功する。慧眼もある。なのに失敗した。何か怪しい。ダンマスでも大抵のダンマス相手ならこれでも鑑定可能だ。偽装を持っていてもだ。が、それでも弾いた。正確には一般人だと彼女たちが出ている。が、そのステータスに火魔法はなかった。となると偽装しているのだろうか…。それにあそこまでの熟練した魔法の使い手は、そんなに見ていない。ん?メールか。
『リューネさん。そろそろ闘技場に。審判を交代したいと…連絡がありました。』
「…しかたない。すぐに行くわ。」
…まだまだ油断できない相手が世の中にいそうね。
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