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第11章 出向社員的ダンジョンマスター

第426話 砂海渡り 呉越同舟どころか他国までついてくる三つ巴 

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「ち…魔王国が付いてきちゃったじゃない。」
「え?このままいくんですよね?」
 奥原が、後ろを見ると、ゆっくりとではあるが魔王国側10名が付いて来ていた。実際奥原も鉱脈なんて見つかるわけがないと思っていた。が、彼女も休憩したい。そこで一人になる瞬間、ダンジョンと影回廊をつなげみんなで風切り亭で休んで、できれば露天の為にかき氷の試食がしたい。その為に距離が欲しくて、穴掘りしているのに連中は付いてくる。
「…ちぃ…。」
「後で何企んでいるのか聞かせてほしいな。」
 状況は、お姉さん二人が、穴を掘る飯垣おじさんを囲み、その後ろをイライラした少女と、その後をついてくる少女。意外とハーレムである。
「・・・単純。連中に隠れてかき氷食べたいだけよ、そうでないと、こんな朝1総出穴掘りなんてやる物ですか。」
「そう言えばそうだな…。」
 地下100mとはいえこんなところを水平に穴を掘って、鉱石なんか普通は期待できない。
「どうする?」
「あのペースならこっちが速めればいいけど…。今日はあきらめたわ。とりあえず、軽く掘って、で休憩しましょ。」
「ああ。」
「でもすごい化かしあいよね、実際。」
 葉隠も実際には呆れていた、口は挟まないものの、大人の感じが交渉にはにじみ出ていた。
「全員意地が汚いだけよ。それに…向こうは勇者が絡めば、ごまかせる範囲大きいしね。」
「………大人…。」
「ですが…。」
「ちょっと待て、様子がおかしい。」
「どうしたの?」
「…手ごたえがない。なんかの横穴にぶつかったみたいだぞ。」
「え?本当になんか見つかっちゃったの?}
「…そうみたいだな。少し掘ってみるか。」
「念のため、注意ね。」
 少し掘ってみると、こっちの穴が、基本高さ2m、幅2mの人間が快適に通れる穴を掘っていたにもかかわず、ぶつかった穴は高さ7m、幅も同等だった。
「・・・なんだ?」
「…どうも熱い空気は流れているよね。」
 道は見た感じ左右に伸びており、それがギュッと固められて動いた形跡がある。そしてそれは見えなくなるまで…。地中を横に流れていた。
「まさか本当に…。」
「………あれ…。」
 陽華の指差しに全員が見たのは穴の…壁だった。が、どう見てもこれ…いくつものひっかき跡があり、これが自然ではなく、何者かに掘られたものであることを示唆していた。それに、全員がハッと来る。そう…。
「巣穴だこれ…。」
「どうするよ。」
 奥原が、地面の土の一部をつかむと、パラパラと落とし始める。
「…ちょっと流れてる、右に。」
「どうしてそれを?」
「いやあね、昔テレビで見たことあるのよ、洞穴って空気が流れてるから、風の方向に行けば出れるって。」
「あ。」
 影魔法で掘っているときは残土が残る、光魔法で吹き飛ばすと、その境界線付近が固くなる。土魔法も掘った土が出てくるので、結局わきにどける。そのどれもが土が残る。その為残土処理で、通った後の道は塞いでいた。空気は”風の祝福”で発生させていたので大丈夫だが、今はタミさんが地上に上がる際に使った穴が開いてるのである。
その土が右に流れる、という事はそちら側の方が出口に近い可能性がある。が、穴を掘ったやつがいる可能性がある。穴が掘れるという事は、こっちが引き上げても追いかけてくる公算がある。
「どうしましたの?」
 魔王国側が追い付いてきたようだ。
「ん、ちょっと厄介事がね、ほら。」
 こっちが掘った通路から、爪痕を指さす。中途半端な明りに照らされた爪の大きさはかなり巨大だ。
「これ…。」
「かなり不味いよね、これ。」
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