427 / 1,319
第11章 出向社員的ダンジョンマスター
第424話 砂海渡り 結局頼れるものは頼るしかない。
しおりを挟む
次の日になると、会議は紛糾した。
「そっちの事情で急げるか!」
開口一番黒川が怒鳴り返す、流石に二日は無理と判断しての8家であったが、それでもこの砂漠、結構大きいので普通の徒歩で1月、キャラバン隊で3週間だった。
「待て、魔人。確かに我々も急ぐべきだと思う。その予選会に間に合わなければ参加もできないんだぞ?」
「いや…確かに…。」
「その通りです、兄上。ただ、我々はもう亜人から敵対で目をつけられている身。その辺も考えませんと。」
「分かっている、ナギサ。だからこそ、作戦の時間も欲しい。となると急いでここを渡り、潜り込む必要がある。なら急ぐべきだ。」
月下は乗り気だが、黒川は乗る気ではない。その理由が、貸しの数だ。このままタミさんの背中に載せてもらう話を、しかも今回は無理を言って来てもらっている。なので本来義理はない。そうなると後日の返済が怖い。こういう時の只ほど怖いものはない。
「確かに、ちょっと待つ駄、連絡してみるっぺ。」
一応タミさんのダークボックスは所属のダンジョンとも連携可能で、そこに声を伝える事でサンテと連絡が可能だ。
「でも急げるなら。」
「月下の、払えるか?こいつを顎で使う金を。」
「あ…。」
全員が失念していた。タミさんは千鳥万花の配下であり、利害関係的には何の関係もない女性である。最悪このグループを離れ逃げ去ってもいい。ただ、温情でのみここにとどまっているのだ。
「その件も含めての話だべ。…ちょうど来たっぺ。」
「それで?」
「ファクターコイン、一種類につき一人。それで受けるそうだべ。又今までの分も一回の依頼料に月1種類のコイン。だべ。月下が1枚。魔人が4枚目だべ。あとはここから運ぶにはそれだけ欲しいっぺ。ただし、おらに影を張り付けた移動はノーカンだべ。」
その言葉に、魔人同盟が活気づく。魔人側はほとんどが闇魔法を買い付け、今回のメンバー全員が闇魔法のレベル4を持っていた。ダークボックスの為だ。それが功を奏した形となったが、月下側の顔色は悪い。聞く側もわかっている、足元を見た商売だと。
「んだばどうするっぺ。」
「私たちは影に貼り付け、そっちの移動に任せる。4枚は到着時の成功報酬で払う。いいな。」
黒川側は、今回の件でこの程度の損害で済むのならと頷いた。本来は一人2000万DP前後の非常に高価な取引なのだが、このファクターコインの怖さは価値を理解できないという事にある。召喚コストを一回だけ10分の1にする。これだけなのだが、普通の召喚では数万が上限で数千万にたどり着くことが無い。また、大量のファクターコインをあつめ相性のいいコインを持たないと、”進化”にたどり着かない。その為、普通の運営法をしていて、ゴブリンやオーガ、魔人などを主体としている限り、こういうレアモンスターにたどり付きにくい設計になっていた。そして魔人同盟はその穴にどっぷりはまっており、コインの価値を数万から数十万だと過小評価してしまったのだ。
「毎度ありがとうございますだべ。」
この承諾に…。月下もあせる。このまま放置されては困る。が闇魔法は手持ちに無い。それが痛手なのだ。
「すまない、さすがに…。」
「分かった、月光。俺たち4人は引き下がる。それに傭兵で稼がないといけないだろ。後…。」
「すまないな。」
「どういう事だべ?」
「ああ、私と妹のナギサ、2名だけ連れて行ってくれ。」
この話の速さに…さすがに奥原も…タミさんも驚いた。あまりに早い戦略的決断だった。
「私のもつ”武”のファクターと、もう一つは”暗”でいいな。」
損切の速さはそのまま相手の頭の良さを示す。
「確かに、二言はないだべ。んば、ちょっと通路の準備してから行くっぺ。あと、奥原たちは…。」
「私と、陽華。が何とかするわ。それに飯垣も。」
「最近取得したからな。闇魔法、それを張り付けさせてもらう。」
「んだで、お二人連れて行ってくるだよ、ただし数日かかるだ。それは分かって欲しいだ。」
「了解した。」
「そっちの事情で急げるか!」
開口一番黒川が怒鳴り返す、流石に二日は無理と判断しての8家であったが、それでもこの砂漠、結構大きいので普通の徒歩で1月、キャラバン隊で3週間だった。
「待て、魔人。確かに我々も急ぐべきだと思う。その予選会に間に合わなければ参加もできないんだぞ?」
「いや…確かに…。」
「その通りです、兄上。ただ、我々はもう亜人から敵対で目をつけられている身。その辺も考えませんと。」
「分かっている、ナギサ。だからこそ、作戦の時間も欲しい。となると急いでここを渡り、潜り込む必要がある。なら急ぐべきだ。」
月下は乗り気だが、黒川は乗る気ではない。その理由が、貸しの数だ。このままタミさんの背中に載せてもらう話を、しかも今回は無理を言って来てもらっている。なので本来義理はない。そうなると後日の返済が怖い。こういう時の只ほど怖いものはない。
「確かに、ちょっと待つ駄、連絡してみるっぺ。」
一応タミさんのダークボックスは所属のダンジョンとも連携可能で、そこに声を伝える事でサンテと連絡が可能だ。
「でも急げるなら。」
「月下の、払えるか?こいつを顎で使う金を。」
「あ…。」
全員が失念していた。タミさんは千鳥万花の配下であり、利害関係的には何の関係もない女性である。最悪このグループを離れ逃げ去ってもいい。ただ、温情でのみここにとどまっているのだ。
「その件も含めての話だべ。…ちょうど来たっぺ。」
「それで?」
「ファクターコイン、一種類につき一人。それで受けるそうだべ。又今までの分も一回の依頼料に月1種類のコイン。だべ。月下が1枚。魔人が4枚目だべ。あとはここから運ぶにはそれだけ欲しいっぺ。ただし、おらに影を張り付けた移動はノーカンだべ。」
その言葉に、魔人同盟が活気づく。魔人側はほとんどが闇魔法を買い付け、今回のメンバー全員が闇魔法のレベル4を持っていた。ダークボックスの為だ。それが功を奏した形となったが、月下側の顔色は悪い。聞く側もわかっている、足元を見た商売だと。
「んだばどうするっぺ。」
「私たちは影に貼り付け、そっちの移動に任せる。4枚は到着時の成功報酬で払う。いいな。」
黒川側は、今回の件でこの程度の損害で済むのならと頷いた。本来は一人2000万DP前後の非常に高価な取引なのだが、このファクターコインの怖さは価値を理解できないという事にある。召喚コストを一回だけ10分の1にする。これだけなのだが、普通の召喚では数万が上限で数千万にたどり着くことが無い。また、大量のファクターコインをあつめ相性のいいコインを持たないと、”進化”にたどり着かない。その為、普通の運営法をしていて、ゴブリンやオーガ、魔人などを主体としている限り、こういうレアモンスターにたどり付きにくい設計になっていた。そして魔人同盟はその穴にどっぷりはまっており、コインの価値を数万から数十万だと過小評価してしまったのだ。
「毎度ありがとうございますだべ。」
この承諾に…。月下もあせる。このまま放置されては困る。が闇魔法は手持ちに無い。それが痛手なのだ。
「すまない、さすがに…。」
「分かった、月光。俺たち4人は引き下がる。それに傭兵で稼がないといけないだろ。後…。」
「すまないな。」
「どういう事だべ?」
「ああ、私と妹のナギサ、2名だけ連れて行ってくれ。」
この話の速さに…さすがに奥原も…タミさんも驚いた。あまりに早い戦略的決断だった。
「私のもつ”武”のファクターと、もう一つは”暗”でいいな。」
損切の速さはそのまま相手の頭の良さを示す。
「確かに、二言はないだべ。んば、ちょっと通路の準備してから行くっぺ。あと、奥原たちは…。」
「私と、陽華。が何とかするわ。それに飯垣も。」
「最近取得したからな。闇魔法、それを張り付けさせてもらう。」
「んだで、お二人連れて行ってくるだよ、ただし数日かかるだ。それは分かって欲しいだ。」
「了解した。」
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。


婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる