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第11章 出向社員的ダンジョンマスター
第416話 アラブの男性の目標に大砂漠に豪邸を建てるというロマンがあります。
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大砂海は進むにつれ、自然の猛威として、襲い掛かる。まず砂が沼地みたく足を埋め、足をからめとる、その上、その砂が突風で形を変え、覆いかぶさる。夜の寒い中に一泊したら、前の日と全く地形が変わっていた日もあった。何百メートルの砂の山を上がり、先の見えない砂嵐を横断する。また、足元も見えず、砂の他に底に落ちた者も現れる。最初は意気揚々と月下と魔王国のメンバーが口論していたが、数日もたたないうちにお互いは無口になった。あまりに厳しい環境に体力の摩耗を抑えるべく自然と無口になった。
「これであってるだろうな?」
「いやなら、偵察部隊飛ばすべか?」
あまりに厳しさに黒川も文句を言うが…この環境で偵察部隊を出せば、そいつが死んでしまう。しかも魔石の回収ができないため復活の見込みもない。
「さすがにもう、…ダンジョン領域…。」
「もう少し待ちたいな。」
「そんな余裕あるんだ。」
本来は一日一回、すぐそばの領域を取得し、休息所を作り、渡る計画だった。がそれを止めたのが、月下だった。ここはもう亜人の領域みたいなもので、砂漠を監視するサンディーン女王の部隊が見れば領域は一発でばれる。潜入した月下からしたら、限界まで待ったうえで領域は取得したい、できれば紺瀬儀が残らないように。
「兄上、さすがに士気が…。」
「こんな厳しいとは思わないが・・。」
「んだども、これでもおらば支えてっからまだ楽だべ。」
タミさんが流石に音無たちの体力を鑑みて、”後光+風の結界”で全員に風の結界を付与し、熱気を遮断しつつ進んだため、まだ体力の摩耗も少なく、水や、井原特製豚骨スープの栄養食が体力を支えていた。
「まあな…。」
肌を切るような砂漠の夜は冷たく、また風は冷たい。一応砂を固めた覆いを土魔法で作り、壁を作って宿泊所を作って結界をさらに張っている関係上、そこまでの不快は無かった。
「みて見ろ、ナギサ。月はきれいだぞ。」
「月はどこでも…。」
全員が見上げた月は、確かに幻想的だった。地面は砂嵐が吹き荒れる中、窓から見た…。
「風が…やんだ?」
風が止み、まるで海を見るような輝く砂漠は…月明かりに照らされ砂山の影を鮮やかに照らしていく、
「綺麗だな。」
「はい。兄上。」
「美玖、寝ておけ。明日は早い。」
「音が無いですね、。静かで…洗われるようです。」
「そうか?いや、そうだな。こうした時間はとれんかった。忙しかったからな。」
そこから、黒川が、一人語りのように、黒川のやってきたことを放した。革命の日の事。奴隷反対運動で内乱を起こし、当時の腐った王国の人間を殺したこと。そして被害者を助けるべく、その多くを魔人にせざる負えなかった事。その後も、腐った連中がいたために改革を断行せざる負えなくなり、それが内乱となり、周囲の国と仲が悪くなり、結果的に食料を千鳥万花に頼らざる負えなかったことをだ。
「パパ。」
「…俺は、だめな人間だ。こうしてみんなに迷惑をかけている。今もな。」
「そんな事に…。」
思ったよりもハードな黒若の歴史に月光たちは逆に落ち込んでしまった。
「兄上、兄上もまた、志があります。それを成せばいいのです。」
「ナギサ。」
「人間…老い先後悔して生きるくらいなら、…死んででも事を成した方がいい。俺を拾ったある叔父貴の話だ。」
「どうしてだ。」
「後悔して生きる人生はどうしても腐る。自分が見ても嫌なくらいな。そんな自分を見るくらいなら死んだほうがいい。が、人間死ねるってときは少ない。なら…そんなタイミングに後悔しないことをすればいい…だと。」
「…。」
音無がすすった、お湯の音が、土壁の中響く。
「どんなに迷惑かけようが、俺は俺の道を後悔しない。が迷惑にはちゃんと道筋通す、あの鳥野郎にもな。」
「あんたは腐った男だと…ずっと思っていたよ。」
月光が手を出すが、それを黒川は弾く。
「いらん。この戦い方も俺達の流儀だ。綺麗も汚いもない。それを文句つけるお前らは…好きになれん。」
「こういうところが可愛げないのよ。」
「いえ、奥原さん。これがパパらしい所ですわ。」
美玖の言葉に、苦笑いせざる負えない月光だった
「これであってるだろうな?」
「いやなら、偵察部隊飛ばすべか?」
あまりに厳しさに黒川も文句を言うが…この環境で偵察部隊を出せば、そいつが死んでしまう。しかも魔石の回収ができないため復活の見込みもない。
「さすがにもう、…ダンジョン領域…。」
「もう少し待ちたいな。」
「そんな余裕あるんだ。」
本来は一日一回、すぐそばの領域を取得し、休息所を作り、渡る計画だった。がそれを止めたのが、月下だった。ここはもう亜人の領域みたいなもので、砂漠を監視するサンディーン女王の部隊が見れば領域は一発でばれる。潜入した月下からしたら、限界まで待ったうえで領域は取得したい、できれば紺瀬儀が残らないように。
「兄上、さすがに士気が…。」
「こんな厳しいとは思わないが・・。」
「んだども、これでもおらば支えてっからまだ楽だべ。」
タミさんが流石に音無たちの体力を鑑みて、”後光+風の結界”で全員に風の結界を付与し、熱気を遮断しつつ進んだため、まだ体力の摩耗も少なく、水や、井原特製豚骨スープの栄養食が体力を支えていた。
「まあな…。」
肌を切るような砂漠の夜は冷たく、また風は冷たい。一応砂を固めた覆いを土魔法で作り、壁を作って宿泊所を作って結界をさらに張っている関係上、そこまでの不快は無かった。
「みて見ろ、ナギサ。月はきれいだぞ。」
「月はどこでも…。」
全員が見上げた月は、確かに幻想的だった。地面は砂嵐が吹き荒れる中、窓から見た…。
「風が…やんだ?」
風が止み、まるで海を見るような輝く砂漠は…月明かりに照らされ砂山の影を鮮やかに照らしていく、
「綺麗だな。」
「はい。兄上。」
「美玖、寝ておけ。明日は早い。」
「音が無いですね、。静かで…洗われるようです。」
「そうか?いや、そうだな。こうした時間はとれんかった。忙しかったからな。」
そこから、黒川が、一人語りのように、黒川のやってきたことを放した。革命の日の事。奴隷反対運動で内乱を起こし、当時の腐った王国の人間を殺したこと。そして被害者を助けるべく、その多くを魔人にせざる負えなかった事。その後も、腐った連中がいたために改革を断行せざる負えなくなり、それが内乱となり、周囲の国と仲が悪くなり、結果的に食料を千鳥万花に頼らざる負えなかったことをだ。
「パパ。」
「…俺は、だめな人間だ。こうしてみんなに迷惑をかけている。今もな。」
「そんな事に…。」
思ったよりもハードな黒若の歴史に月光たちは逆に落ち込んでしまった。
「兄上、兄上もまた、志があります。それを成せばいいのです。」
「ナギサ。」
「人間…老い先後悔して生きるくらいなら、…死んででも事を成した方がいい。俺を拾ったある叔父貴の話だ。」
「どうしてだ。」
「後悔して生きる人生はどうしても腐る。自分が見ても嫌なくらいな。そんな自分を見るくらいなら死んだほうがいい。が、人間死ねるってときは少ない。なら…そんなタイミングに後悔しないことをすればいい…だと。」
「…。」
音無がすすった、お湯の音が、土壁の中響く。
「どんなに迷惑かけようが、俺は俺の道を後悔しない。が迷惑にはちゃんと道筋通す、あの鳥野郎にもな。」
「あんたは腐った男だと…ずっと思っていたよ。」
月光が手を出すが、それを黒川は弾く。
「いらん。この戦い方も俺達の流儀だ。綺麗も汚いもない。それを文句つけるお前らは…好きになれん。」
「こういうところが可愛げないのよ。」
「いえ、奥原さん。これがパパらしい所ですわ。」
美玖の言葉に、苦笑いせざる負えない月光だった
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