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第11章 出向社員的ダンジョンマスター

第406話 手を抜きコスト重視にするなら、その限界まで職人はこだわります。

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「本当に来るとはな、水木は井原にいくら支払ったんだ?」
「改めて…あんたは?}
「シゲルだ。ここは俺の直轄の店だ。」
 山岳同盟の3ドワーフの一角だな。こうしてみると、ドルカスと全然区別付かん。
「すまんな、ひげもじゃだと区別がつかん、せめて髭に個性持たせてくれ。」
「…そうか?だから…。」
「髭の手入れはジェントルマンの基礎だ。区別付かんくなるからな。」
 庄家はこうして、奥にいくつも応接間を用意しそこに上がってもらう事で、上客に個別に交渉を行う。外はファンタジーだが、奥は簡単に木々が生やしてあり、それで目隠しにしつつ畳はないが木の板が張ってある。
「ああ、これで座ってくれ。」
「…こっちで出そう。私も狩りはするのでな。」
 最近のゴーレム車の振動対策に販売予定の革製品”バイラードクッション”である。流石に木の床は座ると胡座をかかないとすぐに立ち上がれなくなるので、警戒も込めて腰の上がるクッションを用意した。一応亜人と千鳥万花は中立関係だ。
「ほう?」
「一応座布団の一種だがな。」
「こういうのも得意なのか?}
「一応、リンシュメルトには家具のオーダーメイドもある。但し受注生産だ。その一環だな。これは。」
「ほう?」
 ミヨちゃんと、ウルフェはこちらの両脇に同じクッションを取り出し、座る。シゲルも一応毛皮を重ねた物だろう、それに座る。
「でだ、何の用だ、この街に。」
「ダンジョンの視察と、産業の視察だ。」
「一応連絡は来てるがな。」
 シゲルはこちらを舐め回すように見つめる。
「でもよ?何で初心者ダンジョン作るだけなのにこっちに来るんだ?」
「興味がないと言ったらうそになるが、興味もある。がそれよりも被り防止だ。」
「それならレポートだけでもいいじゃねえか。」
「出す宝物は?」
「は?」
「ここと被った物を置けば初心者ダンジョンから大量に出てしまえばそっちの商売を妨害する。この地域全体のダンジョンを見てみるつもりだが、それと被らないダンジョンを組み立てお宝も極力被らないようにする。」
「それなら資料でいいじゃねえか?」
 疑われているようだが、ここで変に妥協は不利になる。
「例えば、ここは鉄の”一般器具”が多い。それに対し、武器を向こうで出すのか?初心者ダンジョンを作ってもリピーターが来ないなら、赤字になるから、目的の”ダンジョン目的”の人間軽減にはならん。リピーターを確保しつつ共存できるもののドロップ、またはダンジョンの構築だ。」
「無理じゃね?」
「できないなら、どこまでの妥協でいいのか…それを含めて、視察に来た。後、銅はあるか?」
「銅?ねえよ。」
「…分かった。」
 異世界転生物とかで言う工業チートの基本はすべて”鉄”だ。が建築家、素材屋からすればそれはかなりの”無知”だ。青銅がないならまずは青銅。鋼鉄は1000度を超える高熱炉が欲しい関係で、建築箇所が限られる、また生成できた場合”襲撃されやすい”なので、銅、硫黄、石灰石の三つは必ず優先確保する。この三つによる利便性向上のほうがずっと効率もよく、且つ単純化できる。ついでに見事にこの三つはマルワール帝国近郊にはない。後の地域でも現在調査中だが、露天鉱の探索となるので、奇跡を探すレベルになる。ついでにガラスもあればよかったが、これも発見できていない。最悪思い出召喚のガラスを割る方法も検討されるレベルだ。が、銅、硫黄。石灰石の発見報告はない。大方軽視されいるのだろう。
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