上 下
403 / 1,270
第11章 出向社員的ダンジョンマスター

第401話 前提が違うならとれる手段も変更されます。

しおりを挟む
 井原が村につき、ダンジョン製作に頭を悩ませるころ、魔王国の一行はどうにか2番目のダンジョンマスターの元に三日でたどり着いた。場所は月下に聞き出し、そしてもう偽装をする必要もない旅商人一行は。ダークマターを加工した、固定ベルト戸板を作り、全員をタミさんが背負子のように背負って高速で移動して運ぶ展開となった。その方が速いからだ。正確には幻のコインの”別荘”か体内ダンジョンに入れればいいのだが。月下にはもう監視員が設置され、魔王国にも知られたくない以上その手は使えない、そして、一日移動後には、馬車をダークボックスから出して、その馬車で宿泊。を繰り返し、三日で、近くの町まで来て。そのまま休憩。黒川たちは再度交渉に向かった。ついでに月下は、”配置変更”とかを使えば、領域内どこにでも行けるので、同行はしないものの、コアによる監視は続行された。
「できれば、弟子にしてください!」
「昨日も行っただろ。我々は…。」
 飯垣はちらっとタミさんを見るが、渋い顔をしていた。美玖が飯垣たちに土下座をしていた。一応こう見えて召喚勇者の異世界人である飯垣は賢者である。賢者はその発想や助言を生かす、職業であり、この世界での立ち位置的に、生産職と戦闘職が半々の微妙な立ち位置の”アドバイザー”的な職業だった。が、彼は食品プロデューサーという食品関連や農作業に強い知識がある、そこで出てきたのが、
「できれば、魔王国に来て、農作業の指導をお願いできないか?」
「わたくしを弟子にしてください。」
 と、親子共々土下座したのが機能の事だった。確かに魔王国では現在食糧危機だ。人口も下降気味で食料を量産出来れば、一気に大国が立て直せる可能性が大きくなる。が、今は千鳥万花の客分であり、亜人同盟から預かっている身だ。うかつに所属は動かせない。なので、昨日は断っていたが…。
「弟子…ですか?}
「確かに今度は宿屋に籠って暇ですからね。」
 前回村に旅商人として泊まったら騒動だった反動から、今度はソコソコ大きい町で待機、一週間かけ黒川たちは移動し交渉を行う手はずにした。もう、騒動はこりごりだからだ。今回は少し大きめの宿屋を取り、この町に一週間留まる予定だ。
「んだば、もうこれで旅は終わりだべ。」
 そう、契約はこの2番目のダンジョンマスターの護衛が終わり次第、周流である。それにタミさんにしても、制限している能力が多すぎて不便な月下の領域はもう出たい。だから音無たちは連れて行っても、もう黒川や美玖たちは連れて行くことはできない。
「まだ一週間あります。できればその間だけでも。」
「ほら。」
「まあ、いいだべ、一週間の間、みんなで教えてあげるべ、その間オラはこの町を回ってみるだ。」
 そうはいってもタミさんは勇者たちの動きを阻害する気にはならなかった。後で亜人同盟のもう一つの役割”堕ちた勇者”という話の検索に成功したからだ。勇者は勇者でなくてはならない。スーパーパワーの代償として勇者は”正しく正義”な行いをしないといけない。頼み事はできるだけ事らわず、敵が出たら率先して戦い、弱い市民は率先して助ける。事情があったりすれば別だが、そうでないなら、これらをしないなら勇者剥奪になりうる。犯罪はもってのほか。という規制がある。その代わり強い能力と強い部下の作成能力が得られる。また成長率も高い。そんな勇者たちが、あんな感じでお願いされたら、断れば”勇者剥奪”になりかねない。そして、ギルドは常にそう言う
”堕ちた勇者”には、全力で潰すのが意義である。とあるように…。それに対してだけは容赦をしていないそうだ。という事はあの音無たちが勇者剥奪となれば亜人と千鳥万花の全面戦争になりかねない。だからこそ、ここは勇者たちを優先した。今の現状亜人同盟には全く歯が立たないのだから。
「さて、ちょっと出てくるだ。」
 さっと路地裏によると、眷属召喚を行い、一体のメイディオを召喚する。彼女が考える限りの隠密仕様にしてある。
「何でしょうか。」
「荒くでいいべ。この周辺の地域に関してと、うわさ。集めておいて欲しいだよ。夜の真夜中までだべ。」
「分かりました。」
 そう言うと、メイディオお姿を消した。
「さて、おらも現場行くっぺよ。」
 こう見えてタミさんは脳碌は裏方が多いが、実際は自分で仕事する方が好きなので、自身も軽い足取りで雑踏の中に消えていった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

王都を逃げ出した没落貴族、【農地再生】スキルで領地を黄金に変える

昼から山猫
ファンタジー
没落寸前の貴族家に生まれ、親族の遺産争いに嫌気が差して王都から逃げ出した主人公ゼフィル。辿り着いたのは荒地ばかりの辺境領だった。地位も金も名誉も無い状態でなぜか発現した彼のスキルは「農地再生」。痩せた大地を肥沃に蘇らせ、作物を驚くほど成長させる力があった。周囲から集まる貧困民や廃村を引き受けて復興に乗り出し、気づけば辺境が豊作溢れる“黄金郷”へ。王都で彼を見下していた連中も注目せざるを得なくなる。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...