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第11章 出向社員的ダンジョンマスター

第379話 。ライバル社同士は意外と同じことをしていても全然違う事の方が多いです。

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 その頃、魔王国とタミさん、勇者チームは2週間の休みを経て旅を再開していた。魔王国側も当然、業務を貯め込んでいたため、勇者たちの召集に合わせ、勇者たちが退場し、その間近くの村に魔王国メンバー及び月下の傭兵団が一緒にいる事になった。こう見えて武闘派大組織ダンマス団体のトップである黒川は月下たちに共闘を誘われることは無かったが、信用されておらず、また…。
「できれば手合わせを願いたいが?}
「断る。」
 お互いにらみ合いつつ、村の食堂で張り合う、黒川と、三日月月光がいた。というのも、実際千鳥万花がいないなら、実は魔王国と月下は幾たび顔は合わせない者の戦った事がある仇敵同士だった。勝てばよかろう、卑怯だまし討ち、欄外工作歓迎の魔王国と、正々堂々少数精鋭突破の武力正面衝突主義の月下はお互い、嫌い合っていた。一方は卑怯と言い、一方はこれもルールに許された”正統”であるという。その為、2週間の休養は、村の東側に陣取る魔王国メンバーと西側に監視体制を引く月下となっていた。が、村の食堂は一つ。村長も、行商人と依頼した傭兵たちの手前、彼らを追い払う事が出来なかった。が、こうして昼と夜の時に彼らは顔を合わせる事になっている。
「んだば?飯くれぇ黙って食うっぺ?」
 タミさんが呆れつつスープにパンを浸し、ふやけるのを待っているが、実際彼らが招かれざる客状態でもいられるのは、タミさんたちの食料品の提供で文句が言える状態ではない。というのもある、魔王国側としても、さっさと去りたい…ではなく送った諜報員たちの探索の時間稼ぎができるので、あえてとどまっていたし、月下からすれば千鳥万花は迎えたいが魔王国が邪魔で彼らが信用できないために、監視したい。そう言う思惑が重なっていた。
「…私はこう見えても大人だ。人をなんとなくでは差別しない。」
「信用できるか。私たちも付いていく。」
 ただ、井原からの指令は”月下”を足止めせよに代わっていた。というのも、音無たちから出た爆弾である月下が元勇者であり魔王討伐成功者であるという事は、あのレーザー勇者であるという可能性がある。当然そんな情報はお互い持っていなかった。そうなると、彼らは出方次第で魔物を嫌うかもしれない。というのも、月下の募集文句が”だれでも大歓迎”と”魔族を討伐し、一緒に人間に戻る道を模索しないか”という、ダンマスにしては珍しい”人間至上主義”だったからだ。今では人数を集めるためにこの看板はなくなったが彼らが元は”人族主義者”という事が分かる。これが、大手ダンマスが月下と手を結ばなかった理由である。自分たちの仲間にしても、いつか裏切る可能性がある。そしてこの元勇者という情報はさらに…爆弾をもたらしつつあった。
「というか、監視してねえけ?」
「基本、わが領土は交通自由だ、その方がDPが稼げるし、人間を断ると、効率が悪い。」
 月光も浸したパンを取り出し、柔らかくして食べていた。
「ザルが。」
「何だと!」
 もう一つの、井原が思った懸念。それは”月光”の知名度と、対勇者人気だ。井原が急いで月光の”勇者時代”について検索したところ。非常に人気のある勇者でキラリ達”ギルド優先派”に対抗した”勇者至上主義”のトップともいえる…勇者の労組運動の支持者だった。ついでにいくつものダンジョンを潰してきた生粋の”ダンジョンキラー”でもある。という事は、敵対したダンジョンを潰すことに忌避のないという事になりかねない。
「静かに食べるべ。」
「そう言えば、もうすぐか?」
「んだ。もうすぐ帰ってくるだ。今日明日だべ」
 本当は音無たちは向こうに戻って二日で用件が終わっている、しかもタミさんのダンジョン経由でいつでも帰ってこれる。が、それはタミさんの”体内ダンジョン”という切り札を晒す羽目になる。これは平和主義の千鳥万花が巨大な武力を持っていることを示唆する結果になりかねない爆弾である。なのでばれないように行き帰りを徒歩だったことにして、それでも直線距離の2週間をめどに待ってもらう事にした。”影回廊”という”レベル9闇魔法の能力の公開は怖かった。ついでにクラウドドラゴン戦の時でさえこれは”最終手段”扱いだった。
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