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第11章 出向社員的ダンジョンマスター
第374話 損が無いならやっておくのが、リーダー的思考。
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「という訳になります。」
「ふむ、確かに同盟国マルワールの意見もわかる。が、王子だぞ?第一王子だ。」
水の巫女、水木が説明していたのは所属している国の王様だ。水の巫女は現在この国で教会のトップとして在籍する”陪臣”の一人だ。これには魔王国と商業連合と対峙するためには強国の力が欲しく、いずれは侵略されかねない危険があった。前は旧共和国(現魔王国)と不戦条約を結び、属国になる事で戦争は回避させられていた。が、魔王国となり、どうも人間以外がトップに立ちかなりの恐怖政治を布いているという噂を聞くと、新たな後ろ盾を探していた。そこで出てきたのが、魔王国に対抗しうる強国”マルワール帝国”だ。そこに知人がいたという治療師”水木”を交渉役にすることでお互い不戦条約より上の提携条約という属国みたいな”義務を持たない”援護条約だ。その代わり彼女を国の陪臣に迎え、彼女の隙にしばらくさせる事を条件とされた。それを飲んだことでお互いの通商条約にまで発展。貨幣制度も向こうに合わせ、導入した。
「私はチャンスかと思います。マルワールでさえ一目置く海を越えた大国”リンシュメルト”への留学。この国に必要な物を学んでまいります。」
アラン王子は乗る気だ。がこの国家を担う後継ぎが学問のために国を離れる?
「私も護衛として付いてまいります。」
実際の所、巫女がメインなので、アランはこっちにいてもいいが、お互い…好きだった。だからこそ離れたくなかった。そこで考えたのがこのリンシュメルトの学校入学だ。
「そんなすごいのか?」
「一度彼らの威容を見ました、天を突く王宮や巨大な都市、広い穀倉地帯。そのどれも我が国を…いや魔王国さえ凌駕しかねません。」
「でも学ぶなら、こちらから取り寄せればいいではないか。第一マルワールもそこに人を向けるのか?」
「その通りです。これはマルワールに使者が現れ、お互いに協約を結んでの、今後を見据えた動きとなります。」
王の渋い顔は変わらない。
「魔王国の力は日々増大しておる。例え、こちらに援護が来るとはいえ、それまでに耐えれねば滅びるのは変わらん。」
「だからこそ、強国の礎として…。」
水木さんにしてみれば、本当は行きたくない、このゆったりとした小国で治療師としてちやほやされる生活がしたい。それはこの王様の考えの現状維持と変わらない。が今後の”勇者”の動向や”反亜人同盟”の動きを考えれば、ここで亜人同盟に重複参加とはいえ参加するのは、弱小ダンマスである自分からすればスパイと言われようが他のダンマスより有利だ。魔王国はこっちが”千鳥万花”であるかぎり、向こうは攻めれない。最近ようやく国王令で、この国の全てを自分の領域にでき、日に冒険者120人が攻めてきたのと同等のDPが得られるのだ。だからこそ、団員の強化を図る千鳥万花に従わなくてはならない。が、アランと別れるのはという言葉を向こうは”アランも一緒に行って貴族学校で学べばいい”という論法で封じてきた。どうも首都には学校が二つあり、一つは”勇者学級”一つは”冒険者学校”だいずれも詰め込み式の勇者学級は1年。冒険者学校は3か月みっちり基礎を学ぶ、が、この話をし、アランに冒険者学校に行ってもらい、訓練程度をしてもらい、遊んでもらうつもりだった。が、ことのほか勇者学級という”貴族が通う”という言葉に引かれ、そちらに行きたいという話になった。スパイ活動である以上いつ離れるかわからないのだが…。
「金は?滞在にも金がかかろう。」
「今回はマルワールの側からの提案ですので、向こうが出すそうです。」
「ふむ…損はないか…。」
王子の目のらんらんと輝く様に王は顔をしかめた。
「分かった行ってまいれ。」
「「はっ!」」
あえて片膝をつき、礼をする。
「ふむ、確かに同盟国マルワールの意見もわかる。が、王子だぞ?第一王子だ。」
水の巫女、水木が説明していたのは所属している国の王様だ。水の巫女は現在この国で教会のトップとして在籍する”陪臣”の一人だ。これには魔王国と商業連合と対峙するためには強国の力が欲しく、いずれは侵略されかねない危険があった。前は旧共和国(現魔王国)と不戦条約を結び、属国になる事で戦争は回避させられていた。が、魔王国となり、どうも人間以外がトップに立ちかなりの恐怖政治を布いているという噂を聞くと、新たな後ろ盾を探していた。そこで出てきたのが、魔王国に対抗しうる強国”マルワール帝国”だ。そこに知人がいたという治療師”水木”を交渉役にすることでお互い不戦条約より上の提携条約という属国みたいな”義務を持たない”援護条約だ。その代わり彼女を国の陪臣に迎え、彼女の隙にしばらくさせる事を条件とされた。それを飲んだことでお互いの通商条約にまで発展。貨幣制度も向こうに合わせ、導入した。
「私はチャンスかと思います。マルワールでさえ一目置く海を越えた大国”リンシュメルト”への留学。この国に必要な物を学んでまいります。」
アラン王子は乗る気だ。がこの国家を担う後継ぎが学問のために国を離れる?
「私も護衛として付いてまいります。」
実際の所、巫女がメインなので、アランはこっちにいてもいいが、お互い…好きだった。だからこそ離れたくなかった。そこで考えたのがこのリンシュメルトの学校入学だ。
「そんなすごいのか?」
「一度彼らの威容を見ました、天を突く王宮や巨大な都市、広い穀倉地帯。そのどれも我が国を…いや魔王国さえ凌駕しかねません。」
「でも学ぶなら、こちらから取り寄せればいいではないか。第一マルワールもそこに人を向けるのか?」
「その通りです。これはマルワールに使者が現れ、お互いに協約を結んでの、今後を見据えた動きとなります。」
王の渋い顔は変わらない。
「魔王国の力は日々増大しておる。例え、こちらに援護が来るとはいえ、それまでに耐えれねば滅びるのは変わらん。」
「だからこそ、強国の礎として…。」
水木さんにしてみれば、本当は行きたくない、このゆったりとした小国で治療師としてちやほやされる生活がしたい。それはこの王様の考えの現状維持と変わらない。が今後の”勇者”の動向や”反亜人同盟”の動きを考えれば、ここで亜人同盟に重複参加とはいえ参加するのは、弱小ダンマスである自分からすればスパイと言われようが他のダンマスより有利だ。魔王国はこっちが”千鳥万花”であるかぎり、向こうは攻めれない。最近ようやく国王令で、この国の全てを自分の領域にでき、日に冒険者120人が攻めてきたのと同等のDPが得られるのだ。だからこそ、団員の強化を図る千鳥万花に従わなくてはならない。が、アランと別れるのはという言葉を向こうは”アランも一緒に行って貴族学校で学べばいい”という論法で封じてきた。どうも首都には学校が二つあり、一つは”勇者学級”一つは”冒険者学校”だいずれも詰め込み式の勇者学級は1年。冒険者学校は3か月みっちり基礎を学ぶ、が、この話をし、アランに冒険者学校に行ってもらい、訓練程度をしてもらい、遊んでもらうつもりだった。が、ことのほか勇者学級という”貴族が通う”という言葉に引かれ、そちらに行きたいという話になった。スパイ活動である以上いつ離れるかわからないのだが…。
「金は?滞在にも金がかかろう。」
「今回はマルワールの側からの提案ですので、向こうが出すそうです。」
「ふむ…損はないか…。」
王子の目のらんらんと輝く様に王は顔をしかめた。
「分かった行ってまいれ。」
「「はっ!」」
あえて片膝をつき、礼をする。
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