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第10章 VSクラウドドラゴン戦(裏)

第361話 交渉の意外性の裏には策略があるかも

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 その夜、思いっきり酒を飲み、二日酔いにはならないものの、朝遅くに目が覚め、寝ぼけ眼のまま。
「来たわよ、どうせ、こっちで話す方が速いから。ね。」
「まあな。でもよ、鳥野郎。ありがとな。」
 ドルカス…。ドワーフグループ”山岳同盟”のトップにしてダンマス3賢者の一人である。この世界で初の鋼鉄や製鉄を導入、冶金の技術を広めた第一人者であり…情報操作も行う手ごわいネゴシエーターだ。
「依頼だからな。」
「そうだわさ。」
 髭もじゃの顔でどう見てもドワーフという彼はこういう鍛冶師をやってみたくてドワーフになった筋金入りの”異世界スキー”だ。
「まあいい。俺も簡単な睡眠をとりに来たんだよ。すぐに実戦だからな。」
 こっちであと六日。開始まで数時間もないって感じか、向こうは。
「さて、ここからがメインね。報酬よ、スキルとかはこっちで聞いて、出口で渡すわ。それでいい?」
「それについていくつか修正したい、私の分についてはお願いを聞いて欲しい。」
「アチシもだわさ。」
「…いいわよ。但し、無茶なのはやめてね。」
「一つは、今度のクラウドドラゴン戦の本線も全員参加させてほしい、できれば音無たちに実戦を積ませたい。」
 今回は敵が強すぎて、音無たちを外に出すことはできなかった。が、今回それでは実戦経験もへったくりもない。できれば勇者たちを一緒に戦線を共にし…経験値をあげたい。
「ほう?」
「せっかく支援しているのだ、活躍しているところは見てみたい。という物だ。」
「謙虚だな。」
 ドルカスは…睨むのは止めないな。警戒感が強いな。まだ。
「私たちについては変装し、飛竜としてこいつも連れて行く。自前で用意するからな。」
 ちらっと見たのはドランだ。
「自信ないのじゃ。揺れて酔っても知らんぞ?」
「その辺は適当でいい、それに今回はパーティは3部隊持ち込む。」
「どういう意味よ?}
「クラウドドラゴンは空中戦でまずは喰いとめを図る。だから空中戦の防御が欲しい。だから、音無たちだけの場合、空中迎撃で死亡の可能性がある。」
「「あ…。」」
「だからこっちも一緒に乗り、私たちは特殊な防御を張らないといけない。」
 どうも連中、空中で迎撃されるとは考えてなかったようだ。
「勇者の分は手配しておくわ。」
「頼むわ。確かに空中迎撃はまずい。」
 光魔法を使う聖女だからこそ、光魔法は持っているのだろう。バリアとかか、さすがに到達前に死ぬのだけはまずい。
「そう言う経験者の知恵も欲しいかもしれないわ。確実を取りたい。」
「分かった、認める。」
「後は…この水木を交換留学生として。亜人同盟に参加させてほしい。」
「「「「はぁ!?」」」」
 全員の顔が、唖然としていた。
「この水木は地元の王国で水の巫女として仕事している、が、平和でな。」
「よ、よろしくお願いします。」
 慌てて、礼をする水木。
「あ…はい。」
「音無の活躍の場は私たちの国ではなくそっちの亜人同盟のダンジョンでないとまずいと思っている。そうでないならダンジョンをこっちで用意してもいいが、知名度は既存のダンジョンを攻略させた方が上がるとみている。そうなるなら拠点が欲しいはずだ。」
 聞いた話によると、各地に亜人同盟に入ったことによる様々なダンジョンがひしめき合い、各地でダンジョンによる一攫千金が評判となっている。こっちは食肉場や最悪木の実が限界で、それ以上のお宝は用意しにくい。それにこっちのダンジョンを攻略しても亜人同盟側では何も起きないだろう。向こうのダンジョンを攻略してこその
知名度であり、経験だろう。
「確かに…。」
「だが、ほっぽり出したのではこちらの手前も悪い。そこでこの水木を派遣することで、お互いのメンツを保つというわけだ。」
「そこまでして、音無ちゃんたちの事を?」
「できればこの水木に光魔法や、魔法関連の学校に通わせて…後聖女教だっけ、その訓練も受けさせ、神職としての経験を積ませたい。」
「確かに…そう言うのはありがたいわ。」
 流石にうますぎたか?悩む感じになってしまった。
「確かに、でも…。」
「いいじゃねえか、何を考えていようが。それにこうして味方してくれる奴が増えれば、後の奴もあんたと戦わなくて済む。」
「そ、そうよね。」
 まあ、第一作戦成功だな。
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