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第9章 よそのダンマス求めて300里
第344話 結局金が物を言う
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「確かに考えは分かった。だが断る。」
黒川はきっぱり答えた。
「なぜ!」
「そんな軽薄な計画性で倒せるほど…あの数百倍の収益差を埋めれるとは考えられない。あいつらからしたら我々は道端のゴミムシ以下だ。」
ダンマス世界における収益差はそのまま相手の強さとも直結する。前の体制なら魔王軍一グループに全ダンマスが反逆すればあるいは勝ち目があったかもしれない。がそれは今の亜人同盟の様子からして今後もないであろう。初心者ダンマスを抱えても育つまで何年かかり、また何人育つか…全くの無計画だった。その中における数百倍の
収益差はそのまま絶対的な差となる。現状、ランキングとかで神様が誤魔化してはいるが…。その利益を基にしても覆せない差が存在した。
「そこに対する計画を一切言わないお前らは単に吠えるだけの負け犬だ。そんな沈む泥船にわが家族を乗せる事はできない。」
「ぐぬぬ…分かった。今はまだその時ではないという事か…。」
「では、改めてあれはどうする?壊すでいいだろうが。そのまま放置か?」
「管理できるなら…。」
「あえてひとこと言わせてもらえれば、例えばあれを領域で囲んだ場合。そのままあのダンジョンは餓死します。管理費を吸収しきれないからです。」
「あのダンジョンを管理するにも餌代がかかるのか…。」
「しかもどう育つのか、まったくの不明です。なので不確定要素が大きい上に育つまでには相当かかるでしょうね。」
実際モンスターを狩り、その死骸をインスタンスダンジョンに積み上げ、吸収させればお互いに有効な狩場にもなるかもしれない。がこの月光の領域のど真ん中でやる必要はない。
「なら、千鳥万花が買うわ。それでいい?」
陽華の顔をちらっと見た後、奥原が断言した。
「…万花までいたのか‗」
「こちらの事情だ。が…いいのか‗」
「この土地をDPで買う。いくら?」
流石に、その交渉には…月光も顔をしかめた。
「…第一いいのか?}
言っている意味は分かる。買う事で支援するという意味だ。と月光は捉えた。
「まあね。それにこんな場所放置できないでしょ。」
「…私も一枚…噛もう。それで信用のはずだ。確かに今は時期ではない。が…五日の可能性はある。って事だ。DPがいらないなら別だが?」
黒川さんも言っているが、実際に金はない。が、大方新しくダンマスになっているであろう月光からしたらDPは組織員の為にも絶対に欲しいはずだ。
「…分かった。武士の情けを受けよう。後、約束して欲しい。君たちが。」
「そうだ。榛葉と大神田というダンジョンマスターが救済を求めてきた。…できれば君たちには攻めないで欲しい。それがこちらが引く条件だ。」
「…近隣ですか?」
「囲まれていると聞いている。そこでこちらで引き取った上でそちらと折り合いがつけば…。」
「嫌がる人間を味方につけても、大した働きは期待できない。納得した。できればこれで手打ち願いたい。」
月光が指一本を立てる。
「いいの?それで?」
奥原は納得したようだ。
「それでいい、今回はたまたまだ。犬にかまれたと思っておくよ。後は頼んだ。私たちは盗賊討伐を報告してくる。後、向こうの村で私達は歓迎する用意がある。来てくれ。」
「分かった。向かおう。」
黒川が鷹揚に頷くが、資金は千鳥万花払いだ。そう言うと、慌てて月光たちは立ち上げると一礼し、そのまま去った。
「ではどうします?」
「私と…。」
「こういう交渉は秘書に任せてある。
「護衛として私たちも行きます。」
音無たちが立ち上がると…ハーリス、タミさん、奥原、陽華、飯場崎の5名だった。
「どうします?」
「…大丈夫、対策は建ててある。お願い。」
「…分かった………。」
陽華が、外に行くと適当に壁を見つけ懐からダンジョンコアを取り出す。
『ダンジョン再展開開始。設置・・・リージョン規定クリア、申請…許可…シーケンス1-6番まで展開可能。展開します。』
いくつかぶつぶつ言うと…。壁面に扉が出来上がる。
「…これは?」
「陽華に頼んで、ダンジョン運んでもらったのよ。それで内地で展開。購入するって寸法よ。」
今回の計画の骨子は相手ダンマスの地域を確保し黒川たちに会談用コアを持ってもらい交渉してもらう。その上で加入してもらい、元あった土地を”千鳥万花”が買い取る。千鳥万花は移動用の土地を買い、余った資金を貴重な他大陸との交通に当てられる。黒川はそのダンマスの土地を売って資金にして国の財政を元に戻す。だが、場所によってはコアを展開し、軍隊を展開する必要も考えられた。国を相手取る戦争も考えられたからだ。そこで、千鳥万花で唯一領域が不安定な陽華にダンジョンを閉めてもらい運んでもらう事で土地の回収を依頼した。サブマスターでもできるが仕事のない事を陽華が嫌っていて、この仕事を頼んだ。ついでに前の領地は奥原が買ったことになっていてそうでない場合、ダンジョンを閉めた際に、その領域は買った値段と同額で売却され、消滅する。なので、先んじて奥原が領域を同盟間で購入。領域を保存しつつ閉める事に成功した。
「買うって事ですか、それで周囲を固める?」
「そういう事よ。」
この裏にはちょうどいい狩場が欲しい千鳥万花の思惑もあった。ダンマスの卵を保存するとともに、音無たちの訓練場としても使いたい。実際関係者になった音無たちに自分たちのダンジョンを挑ませるのは…目に見えて不満が膨らむようで、モンスターの襲撃事件が増えた。なので対策が欲しかったのだ。
黒川はきっぱり答えた。
「なぜ!」
「そんな軽薄な計画性で倒せるほど…あの数百倍の収益差を埋めれるとは考えられない。あいつらからしたら我々は道端のゴミムシ以下だ。」
ダンマス世界における収益差はそのまま相手の強さとも直結する。前の体制なら魔王軍一グループに全ダンマスが反逆すればあるいは勝ち目があったかもしれない。がそれは今の亜人同盟の様子からして今後もないであろう。初心者ダンマスを抱えても育つまで何年かかり、また何人育つか…全くの無計画だった。その中における数百倍の
収益差はそのまま絶対的な差となる。現状、ランキングとかで神様が誤魔化してはいるが…。その利益を基にしても覆せない差が存在した。
「そこに対する計画を一切言わないお前らは単に吠えるだけの負け犬だ。そんな沈む泥船にわが家族を乗せる事はできない。」
「ぐぬぬ…分かった。今はまだその時ではないという事か…。」
「では、改めてあれはどうする?壊すでいいだろうが。そのまま放置か?」
「管理できるなら…。」
「あえてひとこと言わせてもらえれば、例えばあれを領域で囲んだ場合。そのままあのダンジョンは餓死します。管理費を吸収しきれないからです。」
「あのダンジョンを管理するにも餌代がかかるのか…。」
「しかもどう育つのか、まったくの不明です。なので不確定要素が大きい上に育つまでには相当かかるでしょうね。」
実際モンスターを狩り、その死骸をインスタンスダンジョンに積み上げ、吸収させればお互いに有効な狩場にもなるかもしれない。がこの月光の領域のど真ん中でやる必要はない。
「なら、千鳥万花が買うわ。それでいい?」
陽華の顔をちらっと見た後、奥原が断言した。
「…万花までいたのか‗」
「こちらの事情だ。が…いいのか‗」
「この土地をDPで買う。いくら?」
流石に、その交渉には…月光も顔をしかめた。
「…第一いいのか?}
言っている意味は分かる。買う事で支援するという意味だ。と月光は捉えた。
「まあね。それにこんな場所放置できないでしょ。」
「…私も一枚…噛もう。それで信用のはずだ。確かに今は時期ではない。が…五日の可能性はある。って事だ。DPがいらないなら別だが?」
黒川さんも言っているが、実際に金はない。が、大方新しくダンマスになっているであろう月光からしたらDPは組織員の為にも絶対に欲しいはずだ。
「…分かった。武士の情けを受けよう。後、約束して欲しい。君たちが。」
「そうだ。榛葉と大神田というダンジョンマスターが救済を求めてきた。…できれば君たちには攻めないで欲しい。それがこちらが引く条件だ。」
「…近隣ですか?」
「囲まれていると聞いている。そこでこちらで引き取った上でそちらと折り合いがつけば…。」
「嫌がる人間を味方につけても、大した働きは期待できない。納得した。できればこれで手打ち願いたい。」
月光が指一本を立てる。
「いいの?それで?」
奥原は納得したようだ。
「それでいい、今回はたまたまだ。犬にかまれたと思っておくよ。後は頼んだ。私たちは盗賊討伐を報告してくる。後、向こうの村で私達は歓迎する用意がある。来てくれ。」
「分かった。向かおう。」
黒川が鷹揚に頷くが、資金は千鳥万花払いだ。そう言うと、慌てて月光たちは立ち上げると一礼し、そのまま去った。
「ではどうします?」
「私と…。」
「こういう交渉は秘書に任せてある。
「護衛として私たちも行きます。」
音無たちが立ち上がると…ハーリス、タミさん、奥原、陽華、飯場崎の5名だった。
「どうします?」
「…大丈夫、対策は建ててある。お願い。」
「…分かった………。」
陽華が、外に行くと適当に壁を見つけ懐からダンジョンコアを取り出す。
『ダンジョン再展開開始。設置・・・リージョン規定クリア、申請…許可…シーケンス1-6番まで展開可能。展開します。』
いくつかぶつぶつ言うと…。壁面に扉が出来上がる。
「…これは?」
「陽華に頼んで、ダンジョン運んでもらったのよ。それで内地で展開。購入するって寸法よ。」
今回の計画の骨子は相手ダンマスの地域を確保し黒川たちに会談用コアを持ってもらい交渉してもらう。その上で加入してもらい、元あった土地を”千鳥万花”が買い取る。千鳥万花は移動用の土地を買い、余った資金を貴重な他大陸との交通に当てられる。黒川はそのダンマスの土地を売って資金にして国の財政を元に戻す。だが、場所によってはコアを展開し、軍隊を展開する必要も考えられた。国を相手取る戦争も考えられたからだ。そこで、千鳥万花で唯一領域が不安定な陽華にダンジョンを閉めてもらい運んでもらう事で土地の回収を依頼した。サブマスターでもできるが仕事のない事を陽華が嫌っていて、この仕事を頼んだ。ついでに前の領地は奥原が買ったことになっていてそうでない場合、ダンジョンを閉めた際に、その領域は買った値段と同額で売却され、消滅する。なので、先んじて奥原が領域を同盟間で購入。領域を保存しつつ閉める事に成功した。
「買うって事ですか、それで周囲を固める?」
「そういう事よ。」
この裏にはちょうどいい狩場が欲しい千鳥万花の思惑もあった。ダンマスの卵を保存するとともに、音無たちの訓練場としても使いたい。実際関係者になった音無たちに自分たちのダンジョンを挑ませるのは…目に見えて不満が膨らむようで、モンスターの襲撃事件が増えた。なので対策が欲しかったのだ。
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