魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第9章 よそのダンマス求めて300里

第315話 相手からの依頼にはこっちに全く旨味のない依頼もあります。

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「取引だ。」
 出会って椅子に座って即、黒川はこう切り出した。
「なんだわさ?」
「お前たちが、亜人同盟の本部である。”ザガートン大陸”に入れる事は分かっている。」
 一瞬だけ、一応交渉に立っている、私と、鳥海は目が点になった。いろいろおかしい。
「それはどういう意味だわさ?」
 ついでに亜人同盟の本部は”勇者大陸”のリンシュメルトであるが、実は場所は公表していない。ついでに”登録受付”はザガートン大陸と呼ばれる、もう一つの大陸だ。これは音無ちゃんに聞いた。ついでにそこまでは南の力により出入り口が繋げられ、勇者大陸の勇者たちはアルバイトというより、出稼ぎ感覚で往復いている。但し”勇者関連”
のみだ。他は、国家認証の”証明書”後はギルド許可がほしく、これで通れるのは一回だけだ。ついでに金貨1000万という大金が要求される。勇者は、国家による支援枠なのでただで通れる。という弧度で、ダンジョンのゲートや同盟規定の同盟ゲートは一般開通しており、誰でも行ける。が、ダンマスにとっての魔境”勇者大陸”何て侵攻は夢のまた夢。勇者大陸の実情は…勇者たちにしか知りえないのだ。
「ソースは言えないが、確信がある。」
 さも自慢げにいうが…確かに小国ひとつ…図らずとも手に入れてしまったので、ザガートン大陸に拠点はある。嘘ではない。が、情報の色々なところが違ってる。どうしよう。本当に扱いに困る。
「で、それで何を要求するだわさ?」
「…ザガートン大陸に…私が向かう。できれば手配して欲しい。」

 そこからの話をかいつまんで言うと、魔王国はこう見えてそれなりに大きいダンマス同盟だ。当然加入者はザガートン大陸にもいる。が、ダンマスはお互い地図を持たない。これは本当だ。柳田のいる”パンダ同好会”、ドルカスのいる”山岳同盟”の拠点はミヨちゃんが上空高く、さらに”視覚”をひたすら強化して、しかもサブコアによるコア認証でようやく分かる。それが、地上数メートルを飛ばした程度の偵察隊でわかるはずがない。なので、地図を掲載しても”そこどこ?”という問い合わせが多かった。ついでにわからないなら必要ないとまで千鳥万花では言い切った。当然今の同盟以上の関係を構築することは難しいが、募集するならそれなりに有能か…利益のある相手にしたい。が、魔王国ではもともとそこまで考えなく、救済の意味も込め、加入をOKにした。が当然相手も位置が分からない。こちらを伝えても、その情報次第ではこちらに侵攻されかねない。ので、よっぽどでない限り”同盟”は成立しない。が、実際近隣なら成立している、コアを持って歩ける範囲があるからだ。
「…要するに救出に行きたいと。」
「そうだ。」
 そして今はダンマス群雄割拠の相。できれば”遠く”の相手と手を結び、援軍を引き出したい。魔王国としては、同盟で”ファクター”の拡充を行いたい。じゃあどうするのか。相手は弱小で”一心同体”や専従契約”を外せない、外しても、遠距離だと逃げられる可能性がある。なら自分が行けばいいが、当然隣の大陸、生き方も場所も不明だ。地図もない。相手の位置は不明。けどいかないといけない。がここで出てきたのが…。#ザガートン南部というタイトルのタグによる報告で白い巨鳥の目撃情報があるそうだ。心当たりはある。ミヨちゃんだ。が、どうもこれを黒川は”鳥海配下”の誰かが来たと判断したらしい。あながちハズレじゃないのが惜しい。が当然部下がいるなら、行き方があるはずだ。となったらしい。
「うちのメリットはあるだわさ?その話だと家に全くメリットはないだわさ。」
「しき…。「大陸渡るだけでの報酬の資金の当てがないのは分かっているだわさ。」」
 さえぎるように言う鳥海さんの意見も最もだ。未だ食料の安定しない”魔王国”では食料安定の見込みもない。そんな何も資金のない現状で他の大陸に渡る…無謀にもほどがある。
「分かっているが…頼む。」
 男らしく頭を下げる黒川だが…。実際の考え方は嫌いではない。むしろ任侠とかヒーロー思考だ。外見を除いて。それにこの提案悪くない。が鳥海さんは扱いに困った顔をしている。というのも、貸しの一つや二つという次元を通り越してるのだ。三つ4つだと。国歌寄こせとか言いかねない。ただ、国防上は魔王国は盾であり、実は国の配置位置がちょうど、パンダ同好会のある北側をふさぐ形に魔王国は存在する。しかも4倍は大きい。なので、この半分言いなりの”属国”が隣にある状況は実は国防上有利だ。なので、潰したくはないので、受けても構わないが。かといってファクター持ちが増えるのは場合によっては時山田みたいな暴走を生みかねない。
「で、相手と同盟を結んでどうするつもりだ?相手は?」
「できればこっちに来てもらう予定だ。」
「あんたが矢面に立つのか?」
「正確にはある程度・・。幹部になってもらって、で、派遣の形で軍隊を派遣するつもりだ。」
 鳥海さんの顔が一段階険しくなる。
「まあ・・。」
 鳥海は顎を振り…こちらに何か言えという顔だ。
「あんたの義侠心には納得した、私の方から送ろう。」
「それは助かる。いずれ…恩義は返す。助かった。」
 こうしてみる黒川は…きわめて男らしいのだがな…。
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