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第8章 勇者プロデューサーへの道

第310話 負け戦を見せても最強に見える軍隊がある。

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 我々が、見学の地から撤退したのは魔界の”王都”だ。追いかけて来るなら…この地を破壊するとすると…ヨミたちが来る可能性がある。だから盾に使わせてもらう…。
「影回廊か…便利なのじゃ。鍛えればよかったのじゃ。」
「言うな…今からでもいいんだぞ。」
「一応…ギルドカードからメールは送っておくだわさ。それまでは撤収するだわさ。」
 この魔界での出入口は”離脱した箇所”でのスタートが可能だ。単純に我々は王都で終了したため、そこに私たちのダンジョンの出入り口がある。ついでに奢ってもらって今回の撮影用に”魔界一日チケット”が用いられている。
「なら、いくつか…観光してくるのじゃ。出る時はあれでいいのじゃ。」
 ドランは周囲を見渡す。
「あれとは?」
「強制退出。儂は、今度のドラゴンバスターに向けて魔界の料理店グルメ特集をしたいのじゃ。そこで、下調べに行くのじゃ。」
 そう言うと、さっと銀色の少女は去ってしまった。一応彼女は取引先のダンジョンマスターであり、一応ワイバーンと飛竜を供出してもらったため、強くは言えない。彼女からすれば、中級に”ドラゴン”がいたため、ワイバーンは作ってみたものの、意義を感じないので、ちょうどいいらしい。そう思っていると、どんどん離れていった。
「どうするよ?」
 奥原さんたちもいろいろ複雑な顔をしている。
「自由行動にしましょう。思いつかない。」
「分かっただわさ。みんな自由にしてほしいだわさ。あれを見た後だと、頭がまとまらないだわさ。どっちもすごすぎるだわさ。」
 これが現実だろう。あれが…あれがトップランカーっていう戦場だ。

 それから、依頼通りに画像データを提出、検疫後に、こちらの名義で映像をSNSに展開した。今回黙秘するかと思ったら…そうでなく”神様命令”でレイドボス告知用にそのまま敗北映像は出すことになった。これも意外だった。そしてこれは当然我々の衝撃とともに…。各ダンマスに衝撃を与える。これを見た後の普通のダンジョンバトルは児戯に等しい。あの魔王ネルはあれだけ低姿勢で、あそこまで強いのだ。あれを押し込んで、退任させるとか…内部で何があったんだ?というよりも実は映像に”純美”の段階の映像はほとんどいれなかったが…ネルと南は書いてある関係だと、追放した側側と追放された側のはずだ。が、よく考えてみてみると、南が恭しくネルを迎え、それをネルが鷹揚に返す。その様子に…違和感がない。という事は関係性があって、今でも継続しているのだ。そして、その周りには…あのレーザーを撃った勇者もいる。あれも勇者…。
「大丈夫?」
 王都のホテルを一部屋借り、ずっと映像を見返していた。
「大丈夫だ。ミラージェ。」
 あの衝撃は忘れられない。勇者は育てばあそこまで強くなる。それを知って保護令を出したんだ。そしてそれに合わせて強くなった…勇者大陸に手を出すべきではない。今の戦力では大方、あしらわれて死ぬ。大方今回の映像で、各ダンマスは…魔王軍の実力を知る。そしてそれを負かす”UR”…UR?南もURだ。…やってくれた!
「大丈夫?」
「南の作戦だ、これは。そう言えば南も”UR”だ。あいつの手を見せることなくあいつは自分たちが強いと言い切ったんだ。」
「あ…。」
 南のURモンスターだ。なら、同程度に強いはずだ。最悪もっと上もある。という事は、負け映像に見せかけた”実力誇示”だ。そして、これを抱え込む亜人同盟はそれまで新興勢力を取り込んで弱体化したと思わせて…ネルを含む旧魔王軍との仲も証明した。正統な後継者としての地位もだ。
「じゃあ…。」
「大方、亜人同盟は相当大きくなる。大方…他の大陸に手を伸ばすつもりだ。」
 当然、ドルカスと南という他のダンマスに理解を持ったトップを”付け込みやすい”と加入申請が増えるだろう。実力は図らずとも…特に初心者の抱え込みも行うだろう。不味いな…ダンマスをもう少し抱え込んでおきたかったが。
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