魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第8章 勇者プロデューサーへの道

第306話 修学旅行の中身は基本交渉と営業努力です。

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「私は…普通に高校生でした。修学旅行で言ったんですけど…。今でもここにいるのが信じられないんです。」
 音無ちゃんはそう言う感じだった。
「私も…というより、先生の記憶ないんだけど…。」
 葉隠も同じ高校生だったのか…というより…。
「よく飛行機乗るんだな?」
「ああ、費用に積み増すんだよ。そこは。修学旅行で飛行機に乗せて、貴重な体験させるからって言って、修学旅行費を積み増して親から請求するんだよ。」
 急に金に汚くなったな。
「貴重な体験って奴は…特に飛行機は珍しいがそこまで費用が掛からない。ガソリンチャージ代が結構かかって、人件費がかかって拘束が多いバスの貸し切りよりは安くなる場合もあるんだ。で、少し足すだけでいいので、時間の節約になる。後、こういうのは親御さんの理解も得られやすいんだ。で、こういうのを組む”業者”とかに頼むんだが特に山またぐルートにされるくらいなら、こっちのほうが、金の払いもよくなるし、学校の評判が良くなればこっちの言う事とか聞いてもらいやすい。WINWINって奴だ。」
「営業努力って奴か。」
 飯垣が答えるが…。
「あんたは?」
「俺?そう言えば、音無とかに言ったことないな…俺はこう見えて”食品プロディーサー”だ。」
 聞いたことない職業だな。
「どういうのなんです?」
「ああ、地方とかの”特産品”とかの開発を請け負う会社だ。店のメニューとかの開発や、自治体に行って、料理レシピ開発するって奴。」
「何かとってつけた食品プロだわさ。」
 鳥海さんも呆れた顔だ。
「そうなのか?」
「一応そう言う会社があるのは知っているだわさ。でも飛行機に乗ってる保証がない職業だわさ。よく政治とかに絡む奴だわさ。」
「そうだな…大抵の依頼はそう言うところだ。ただ無茶苦茶田舎だがな。そう言う意味では田舎はホームグラウンドだ。」
 腕を組んでうんうんと頷く青年を見て…確かに飛行機に乗って”すいません、食品プロデューサーの方いらっしゃいますか”とか言って募集する方が頭が悪く見える。
「じゃあ、料理ができるのか?」
 シロウも乗る気のようだ。
「人並だ。プロの料理人だと、うますぎて参考にならんって時が多いからそれなりだ、飛行機に乗っていたのも仕事である地方の特産品の企画書書いている最中でな。」
 というより…。
「飯垣さん、あんただけでもいい。家に来てくれ。」
 がしッと、賢者の手を握ってしまう。こういう時の人材は確かに得難い。
「どういう事だ?」
「うちの国だと食料品系の開発が止まっている。俺も、シロウも、そこのトサカも…。食品はプロじゃないんだ。」
 実際豚骨スープも作ってはいるが、一緒にいれる臭み消しの野菜がうまくいかずに、人気がそこまで出ていない。ほかの料理も、食材も集めてはいるが、思いつく料理法には限界がある。
「ダンジョンだから…。いいんじゃないのか?」
「…それだと、現地にある食品とか国が発展しない、その上ダンマスが出す食事は”自炊”しないと基本高いんだよ。で、食品開発は専門家でないから止まってる。」
「モンスターに料理人はいないのか?」
「いても…。」
「確かにそうだわさ、リンゴがあっても、アップルパイが限界だわさ。後は切って並べるだけだっただわさ。」
「いや、天然酵母は?あと、当然豚骨に入れたよな?」
「え?豚骨に入れるのは野菜だけでいいんじゃ?」
「野菜って…待て…あれはネギとか後ニンニク。後果物でリンゴとか欲しいんだぞ。」
「「え?」」
 全員知らなかったらしい。私も知らなかった。リンゴってそんな重要だったのか?
「結構あれの味で料理の旨味変わるから、重要資源のはずだぞ?皮も当然使ってるよな?…よな?」
 全員が硬直した。そう言っていいだろう。米で喜んでる場合じゃない。
「水あめは作ったが…。」
「塩は?後塩漬け、一夜漬けは?」
「え?え?」
「基本だろ?」
「燻製は知識があったからハムは作ったが・・。」
「塩はそこに?」
「揉んだだけだ。」
「改善する箇所が多すぎる。それ、すぐに腐るぞ。後、漬けてから解除した後は普通程度に腐るからな。」
 ダンジョンから取り寄せたからその辺の知識はないぞ。
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