魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第7章 魔界慰安旅行一泊二日

第275話 教授の章 魔王国

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「世は道連れ、旅は情け。」
「クックック。そう言えば、こういうのんびりした旅は久しいのでね。」
 ジャン達一行は順調に魔王国を北上していた。その間当然食料を格安で販売、そして金貨をDPに溶かしていた。
「そうか?こういう旅は…景色を見て回る方が好きなんだが、そう変わらんぞ?」
「そうか?まあ、確かに風光明媚とはいかないがな…。」
 教授がふと見上げた屋根の上にはメイドのディルが寝ていてて、その膝の上にフクロウが一羽見張りとして立っていた。お互いモンスターであり、上位モンスターである。特にディルは相当の実力ではあるが…教授を見て依頼は仕事らしい仕事をしていない。どうも聞いた話ではあの教授を見ているだけで正気を失い、逃げたくなるそうで。それはオウルも一緒だ。で、ジャンが土魔法を使いゴーレム車を動かしている、二人とも見張りのふりをして教授と同席するのを嫌っていた。まあ、あの底知れぬ強さ。そして大胆さというのは、恐ろしい、そして、馬車で話を聞く限り、知識量も頭がおかしい、そのレベルで多い。オウルもそこでじっと聞き、学んでいることが分かっている。
「でも、そろそろ、北限の方につくからな。」
「そうか、寂しいな。」
 そう、旅は教授を北に送り届ける…その佳境に至ろうとしていた。

「こちら、宿泊は銀貨20となります。」
「ああ、よろしく頼むよ。l」
 銀貨を宿の女将さんに渡す、が、どう見てもその顔が黒く、魔族だった。
「魔族はこの辺でも?」
「ああ、魔王国の法律が変わって、魔物化した人間にも人権が与えられて、こうして商売できるようになりまして。」
「ほう?」
「家長制度というらしいんですが、家の一番実力が強いものが弱いものを守る。そう言う法律でして、夫が一番なんですけど…。」
「魔物化したって言うのは?」
 ジャンの横でじっと聞いていた。
「ああ、ここの王様がね、魔人様に頼んださ。無碍に死んだ民をよみがえらせてほしいってね。そしたら、生き返ったって聞いてる、そうして蘇った人間は全てこうした黒い肌をしているのさ。」
「魔族か。」
「そうらしいねえ。でそれで今まで悪さした、差別した人間は全て隣の国に行っちまって、こっちはこうした小さい商いしかできないのさ。」
 宿を見ても確かに人はそこまで多くない。
「それに戦乱が収まったのもここ数か月って話だよ。それに法律が思いっきり変わったせいで、凄いみんな苦労してるのさ。特に税金は変わっちまってね。」
「そう言う物か。」
「この町も?」
「ああ、ただ、輸入が途絶えてるから、食料は今年ここは危ないらしいからねえ…旦那が各地を回って食料を買ってくるって出かけて半月になるよ。」
「食料ねえ…。」
「ダンジョンでもいいんだけど、野菜は手に入らないからねえ。」
「ん?」
「そうか、まあ、うちらでも野菜はな…。」
 ジャンの刈る口に教授はいぶかしげに二人を見つめる。
「はいよ、鍵、ごゆっくり。」
 そう言うと、魔族の女将さんはカウンターの奥に引っ込んでいった。

「さっきのはどういう事だ?」
「ダンジョンか?」
「ああ。」
 座ったままダークボックスから冒険者弁当を取り出し、ジャンに手渡ししていく、この辺では多い”木賃宿”の類で素泊まり専用の宿だ。
「そういやあ、あんた腕が経つな…まあこの辺のダンジョンは”食肉工場”の部類が多いからな。」
「どういうことだ?」
 流石に教授も・・・食事のパックを開ける、B定食のため”おにぎり”が入っている。それを食べていた。
「ああ、ここも近いはずだぜ、でもそう言えば、魔王国のダンジョンに内査入れた事無いぞ。」
「いや食肉工場とは何だ?」
「この辺一帯は動物の数が異様に少ないんだ。で魔王国でも人数の割に動物の数が少なくて森にも動物がほぼいないらしい。」
「は?」
「で、この辺一帯での食肉は非常に高い高級品なんだ。で、ダンジョンは当然動物を出すことができる。そこで、食料政策の一環でダンジョンに”フィールド”を設置してで、そこに動物を話して、それを取って来るって仕事があるんだよ。」
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