魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第７章 魔界慰安旅行一泊二日

第２５３話 ハイパー地味子のハイパー部分

「・・・ん？」
　その異変は…誰も気が付ない…普通に朝に目覚め、布団を持ち上げ、普通に立ち上がる。部屋は、この宿はビジネスホテルがベースのようですべて個室だった。そう言えば浮遊島は基本ベット二値の二人部屋だったな。そんなに荷物が入らないタイプ、ただし風呂があったな。
「…さて。」
　軽く伸びをするが…。普通だよな、普通に目が覚める。
「やばい。」
　そう。本来なら一日が終わり帰れるはずだった。記述通りなら。
「おはようだわさ…。」
　出てきた鳥海さんは…ちょっと待て…。
「どうしたたわさ？」
　普通に、美人の女性と言っていいだろう、すらっとした顔立ちの艶のある黒髪、そしてシャープな目線が美しい…。そしてロングヘア―は手入れが行き届いているような…。俗にいう”美人お姉さん”的な美人だった。タミさんもグランセラーヌになったときにははっと息をのむ美人だったが。それとは趣が違う”才女”の顔だ。
「よく寝ただわさ。」
「おはよう、」
　普通に挨拶するのが限界だった。目立たないのか？
「あ、そう言えば朝の寝起きに出会うのは初めてだわさ。これではだれだかわからないだわさ、ちょっと待つだわさ。」
　そう言うと鳥海さんが焦って自分の部屋に戻っていく。が、違和感ありすぎだろ！俗に言う”女部長がいつもは残念だがよく見たら美人だった”というあれである。
「危ないだわさ、あのままだと、あんた誰とか言われて、ショックで寝込むところだっただわさ。」
　出てきた鳥海さんは、ちゃんと赤に染めたトサカに髪を加工した。主に整髪料で。これ、別の意味だろ？あんた誰（美少女）だと思うぞ。基本思考が残念さん…。
「いや、問題はどうして、私たちは帰ってないんだ？普通に起きてここにいる？」
　あまりに会長の素顔インパクトで忘れそうになったが、帰れない方が問題だぞ。
「え？」
「魔界だぞ、一日チケットだったんだろ？」
「それは昼で終わりじゃないの？だわさ。」
「…確かにそうかもしれん。」
「おはよう…やっぱり布団はいいわ。」
「………寝れた？……」
「おはようございます。」
　こっちの女子組はおきたな。
「うるせ…いや、わりぃ、まだガンガン来る。この体になって初めてがっつり世酒したからよ、ガンガンだ。」
　シロウは頭をふらふらさせ、起き上がってきた。おっさんだな。でもこっちのほうが愛着わく。
「でもどうするんだ？」
「何かしたいことあるか？」
「色々見てみたいの。」
　ミヨちゃんはそうだよな。
「なら…。」
「とりあえず、周囲の地図作成頼む。で、歩きか考える。」
「少し後でいい？ちょっと暑くて…。」
「分かった、構わない。」
　全員で下に降りると、店番はおばちゃんに変わっていた。
「ちょっと待ってな。すぐ出すから。こっちは銀貨1ね、食べる？」
「ああ、頼んだ。」
　おばちゃんが持ってきたのは…いや、凄すぎるだろ、日本式朝定食だ。ごはん、みそ汁、そして魚の焼き物、海苔。卵が無いのが残念だ。
「凄いだわさ。これもカードだわさ？」
「あいよ、」
　おばちゃんが、白のカードを出す。それにギルドカードをだし。
「朝定食ね？復唱で買えるよ。」
「じゃ、朝定食貰うだわさ。」
　そう言うと、全員それぞれ、朝定食の合図をする。そして運ばれてくる朝定食。ちゃんと焼き魚に大根のすり身までついた。醤油もある、ちょっと泣きそうだった。
「これは、逆にすごい。」　
　周りの風景は、中世ヨーロッパ風ファンタジーだ。その中での日本朝定食の破壊力は偉大だった。
「ありがとだわさ。そう言えば、ここって、今どうなってるだわさ？」
「そうだねえ…前に勇者が大軍で来てね、みんなで貸し切ったのさ。」
　は？勇者の豪遊？
「で、あまりに人数が多くて、で、街丸ごと改装して、宿泊所にしたのさ。」
「勇者って、何人いただわさ？そんなたくさん来るものだわさ？」
「あの時は勇者が…確か聞いた限り100だっけか？50だっけか？それっくらいきてたよ。」
　勇者ってそんな…あ、そう言えば言っていた、ヤマシロは”俺は弱い方の勇者だが”って、そう言う意味か！
「でもそれだと町は埋まらないだわさ。」
「その時は確か…国の首席だっけ？騎士団も総出で来ていたからねえ…。」
　という事は、ここに国家の王様か…後お供で勇者か？」
「後冒険者ギルドトップと、エルフ部族長のおじいさんも来てたしねえ…。で、この際”観光都市”で旗揚げしちまえって事になったのよ。」
「それは凄いだわさ。でも魔界に騎士団とか勇者があるだわさ？
「だと思うよ。」
　魔界ではそんなに勇者がいるのか？ダンマスにとって魔界なのか？
「じゃあ、その勇者達はどこにいるだわさ？見に行ってみたいだわさ。」
「帰ったみたいだよ。また来てくれると儲かるんだけどね。ただシーズンは夏が掻き入れだからさ…。」
　これが政治家スキル…。
「そっか、残念だわさ。会ってサインでも貰えばよかっただわさ。」
「でもあなたたちも勇者でしょ？」
　そう言えば機能も言っていたな。金カードは勇者並みだと、扱いも勇者か。意外と悪くないな・・。
「ま、準ずる…だわさ。」
「いやあ、お得意さんにしておくれよ。」
　談笑している間にみんな飯を食ったか…先払いだから、喰いっぱぐれがない。これは実は商売にとって大きい。
「とりあえず、ギルド行ってみるか、武器防具は…あまりいいのが無かったからな。」
　普通の鉄、普通の鋼の剣はあった。ファンタジー並みの武器だ。ただ持った感じ”卑鉄”くらいの鉄と、鋼鉄だった。服は…。普通の服だ。
「そうだわさ？」
「なんか王都って所が、凄い人で有名みたい。ここから一か月くらいの場所にあるんだって。」
「じゃあどうやってここまで遊びに来るんだ？」
「わかんない、」
「ま、遊ぶだわさ、その水着店見たいだわさ。」