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第6章 勇者と旅芸人
第240話 教授の章 シャドウ
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「でもまあ…あっさりだったな。」
朝焼けの中土柱の上でジャンが座り、周囲を見渡す。見渡す限りの死体もディルとオウルがダークボックスに収納し、難民たちも城壁内部に入り、ドリンクを飲んだことで活性化一気にゴールした。それに伴いジャン達が囮となり、タバコを片手にロックアローや土変化ナックルで応戦。ゴブリンの絶叫がゴブリンを呼び、その雄たけびがゴブリンを呼ぶという、極めて鬼畜な連携は一晩中の戦闘となった。タバコを吸い、切りかかれない土台も作ったが、それでも疲労し、
「ホッホッホ。大体24000だったぞ…数えたらな。重いから、村に行って卸してくる。」
オウルもけなげに声を出し、フクロウの姿のまま飛び去って行くが24000のゴブリンの死体というのはかなり量が多い。その為、消費MPが多く…限界に近い重さだった。
「というか疲れた。」
ディルがそのジャン達が乗っている土柱に寄り掛かる。ゴブリンの攻撃は効かないが。殺すには能力が足りず、定点防御がメインの彼女はこの護衛任務が一番の苦手だった。
「ブラック、あれをくれてやれ、好物だ。」
「…やだ。」
ブラックと呼ばれた少女は顔を群れたようだった。
「分けてやれ。後で買ってやる。」
「…約束。」
そう言うとディルに一つのパイを差し出す、ちゃんと切り分けられたものだ。
「なにこれ?」
「ああ、トレンドライクアップルパイだ。港に出る前に敗の旨いおばあさんにトレントアップルを渡して作ってもらったものだ。砂糖も入った濃厚な甘さとクリームがうまい。」
ディルは一口だけ、アップルパイをブラックに押し込まれると、その先は貪り食っていた。そこまで…甘く酸っぱくうまかった。
「あんたら、凄いな…」
「私はDPによるコピーはできないのでね。あれも一点物であと三つほどしかない。」
「なら一個くれ、今回はほぼ手数料なしで後でオウルに作らせる。」
「構わないが?」
そう言うと少し大きなアップルパイをもらうと、ジャンは影に押し込んだ。
「ありがとよ。で方向は決めたか?」
「北だ。北に向かう。南は戻ってしまうからな。西に言って魔王国に行くのもいいが、あの話を聞いて碌な思いもない。なら新天地を目指す。いいな?」
「…うん。じゃ道を作る。スニーキングはいる?」
「いらんな。頼んだ。」
そう言うとブラックは手を突き出し、影を走らせる。その陰に飲まれ…木々が消えて、道ができていく。そして吸い込まれ焚き木は整列させられて。その場に置かれた。
「さて、行くか…。」
「待て、何だそれ?」
井原でも驚き慣れしていたが、さすがにあいつでも生物である”木”を動かしての街道製作はできなかった。
「ん?道を作った。こうすることで一時的に道を作る。後で木を戻せばいいから、影を維持するコストより安い。」
教授は柱の上から飛び降りると…。
「少し待て、ゴーレム作る。で、オウル待ちだ。すぐに来るから。でそれで向かう。荷車はこっちにあるんだ。」
そう言うとジャンの影からいつもの荷車が出てくる。一応こう見えて闇魔法もつ彼は馬車を影に収めていた。いつでも出れるようにだ。商品は全てオウルが影に収めているのでそこから出せばいい。
「分かった、さて行くか…。北へ!」
これが勇者と異世界人太田による。不思議な旅の始まりだった。
朝焼けの中土柱の上でジャンが座り、周囲を見渡す。見渡す限りの死体もディルとオウルがダークボックスに収納し、難民たちも城壁内部に入り、ドリンクを飲んだことで活性化一気にゴールした。それに伴いジャン達が囮となり、タバコを片手にロックアローや土変化ナックルで応戦。ゴブリンの絶叫がゴブリンを呼び、その雄たけびがゴブリンを呼ぶという、極めて鬼畜な連携は一晩中の戦闘となった。タバコを吸い、切りかかれない土台も作ったが、それでも疲労し、
「ホッホッホ。大体24000だったぞ…数えたらな。重いから、村に行って卸してくる。」
オウルもけなげに声を出し、フクロウの姿のまま飛び去って行くが24000のゴブリンの死体というのはかなり量が多い。その為、消費MPが多く…限界に近い重さだった。
「というか疲れた。」
ディルがそのジャン達が乗っている土柱に寄り掛かる。ゴブリンの攻撃は効かないが。殺すには能力が足りず、定点防御がメインの彼女はこの護衛任務が一番の苦手だった。
「ブラック、あれをくれてやれ、好物だ。」
「…やだ。」
ブラックと呼ばれた少女は顔を群れたようだった。
「分けてやれ。後で買ってやる。」
「…約束。」
そう言うとディルに一つのパイを差し出す、ちゃんと切り分けられたものだ。
「なにこれ?」
「ああ、トレンドライクアップルパイだ。港に出る前に敗の旨いおばあさんにトレントアップルを渡して作ってもらったものだ。砂糖も入った濃厚な甘さとクリームがうまい。」
ディルは一口だけ、アップルパイをブラックに押し込まれると、その先は貪り食っていた。そこまで…甘く酸っぱくうまかった。
「あんたら、凄いな…」
「私はDPによるコピーはできないのでね。あれも一点物であと三つほどしかない。」
「なら一個くれ、今回はほぼ手数料なしで後でオウルに作らせる。」
「構わないが?」
そう言うと少し大きなアップルパイをもらうと、ジャンは影に押し込んだ。
「ありがとよ。で方向は決めたか?」
「北だ。北に向かう。南は戻ってしまうからな。西に言って魔王国に行くのもいいが、あの話を聞いて碌な思いもない。なら新天地を目指す。いいな?」
「…うん。じゃ道を作る。スニーキングはいる?」
「いらんな。頼んだ。」
そう言うとブラックは手を突き出し、影を走らせる。その陰に飲まれ…木々が消えて、道ができていく。そして吸い込まれ焚き木は整列させられて。その場に置かれた。
「さて、行くか…。」
「待て、何だそれ?」
井原でも驚き慣れしていたが、さすがにあいつでも生物である”木”を動かしての街道製作はできなかった。
「ん?道を作った。こうすることで一時的に道を作る。後で木を戻せばいいから、影を維持するコストより安い。」
教授は柱の上から飛び降りると…。
「少し待て、ゴーレム作る。で、オウル待ちだ。すぐに来るから。でそれで向かう。荷車はこっちにあるんだ。」
そう言うとジャンの影からいつもの荷車が出てくる。一応こう見えて闇魔法もつ彼は馬車を影に収めていた。いつでも出れるようにだ。商品は全てオウルが影に収めているのでそこから出せばいい。
「分かった、さて行くか…。北へ!」
これが勇者と異世界人太田による。不思議な旅の始まりだった。
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