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第6章 勇者と旅芸人

第237話 教授の章 作戦概要

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「…他の村はどうする?」
 ブラックが納屋の上に立ち、周囲を見ながら答えている。向こうの方では土が盛り上がり、オウルによる砦の建設が始まっていた。
「・・・手が出ない。俺達がいるところは自衛でいい。が、他の巻き込むのは言い訳できん。連中は今国盗りして、体力がない。国民安定で俺達が食料を撒いてるぐらいだ。で、かといってDPも喉から手が出るほど今連中は欲しいんだ。だからこそ…あれを欲しい、しかも自分の国の領地内だ。が、制御はできない。であんたも付き合え。」
「分かっている。が、行動予測はどう見てる?」
「…一応うちらのコアとマスターの予測だと、6万のままにはならん。大方…共食いする。」
 ジャンが手招きすると、二人は納屋内部に入っていた。
「これがこの周辺マップだ。で見てわかるとおり、連中は木々を荒らし、こっち方面に来たがあんたが頭を潰したから大方分散した。」
 内部には光で形成された地図が置いてあり、その前に3人が座る。
「で、連中が動き始めたのは食料がないからだ。そう見てる。」
「だろうね。」
「となると最初のうちはいい。がしばらくすると連中は木々にも噛みつき、食い始め、そしてそれもないなら、手短の肉。即ち自分の同胞殺しって事になる。」
 周囲には街道を分け巨大な森林が書かれている。商業都市が多いとはいえ、未開発地域も多い、そんな山林傍の村である名もなき村が現在いる場所だった。
「確かに、私でもそう思うな。」
「でだ、井原が言うには、一定条件を満たすと”モンスター”は自動進化する。ただ、ゴブリン自身はホブゴブリンかオーガになる。健全な団体なら当然ホブゴブリンだ。」
「ちがうと?」
「当然死にたくないだろ?連中は、内紛も起こす。それでオーガ化すると見てる。当然進化したモンスターのほうがダンジョンで作るより強くなる。周囲の死体を生贄にオーガ化する。」
「という事は…。」
「ああ、ゴブリン集落ができるだろうが、その食い合いを待つ、今回はそうなる。だからこそここを砦化して、連中がここを超えるかまたはその飢餓した部隊が通り過ぎるまで。それを2週間と見てる。」
「結構遅いな。」
「ここは最前線だぞ?最悪死ぬかもしれん。で、ここの商会の支部を作る。そこからの…。砦化して武器を与えるつもりだ、弓とあと…」
「スリングか?」
「まあな。それの指導もするつもりだが…。」
 取り出したのは正方形に織られた布だ。
「今回はこれを大量販売する。」
「風呂敷法。…あんた…。」
 風呂敷法というのは風呂敷を使って重い物を包みスリングの代わりとする、キッチンウェポンの一つだ。普通に手でもつより重いものを投げる事が出来、また遠心力でスピードも出る。
「やるしかないだろ?」
「分かっている、感心しただけだ。でもなんで1週間だ?」
「連中が動いてこっちに確認が来るまでに1週間以内と見てる。細かいのは無視していいが、部隊が来て事を構えるとつらい、一週間はここに滞在できる限界の時間だ。そこまでにオウル、ディンが砦化してゴブリン対策を進める、武術と学習も配布する。で、一週間後、俺達は強行突破する。」
「見捨てるのか?」
「魔人連合…この辺の国家全てを敵に回すか?そして何もしないわけじゃない。許可も取ってきた。」
 そう言って指差した先にあるのは一つの魔法陣だった。
「商会の支部をここに設置する。ここから食利と武器の支給を行う。村長の許可がもらえ次第ここに防衛部隊を置く。支部の護衛名義でだ。」
「…あんた…。」
「やれることはやる。だろ?」
 ジャンもまた、ここに苦慮する人間だったのだ。
「…魔人連合は悪人?」
 ブラックは地図を見て、そのまま目を離さなかった。
「・・・数か月前か、政変があってな。連中が奴隷解放で、この辺の一体と戦争した直後なんだよ。俺達の本国はもっと遠いが。で資金がない状態だ。戦費は払わなくちゃならない。そしてこの辺の商業連合側はその戦争で負けた側だ。どさくさ狙いで隣の共和国を狙って返り討ちにあった。その為連中は今手段を選んでねえ。国民が飢えるからな。」
「…敵対であっても救援を求めた…と?」
「そう言うこった。だから、表上は俺達はあいつらの敵だ。メンツが大事だからな。だから連中の収益を叩き切るまねをすれば当然…飢えた獣は死ぬ気で反撃する。」
「…村がどうなっても?」
「今回は今はあいつの部下の時山田の管理ミスだ。予想してなかったんだろう。が、20万のゴブリンはそれそのものが凶悪軍隊だ。当然元の持ち主としてッテ事だ。が暴走してる。」
「という事はあの時の20万のゴブリンは潰しておく…いや無理か、」
「間引くことが欲しいんだろうが、今回あんたのおかげか散った。だから、防衛の手立てだけ用意する。それでいいはずだ。」
「私の権限が効くならここにギルド支部を置いて、勇者に飯でも食わせてやりたいよ。」
「…どういう意味だ?」
「こいつだよ。」
 教授が見せたのは金色のカードだった。
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