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第6章 勇者と旅芸人

第236話 新方式が人道的であるとは限らない

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「ムムム…きついだわさ。」
 鳥海が交渉から魔王国との戻ると渋い顔だった。とりあえず接触してもらい次第、緊急で会議を行ったらしい。
「どうだった?」
「それが問題だわさ、時山田及び魔人連合側は、放置決定だわさ。だがDP利益の観点から討伐も引き込みも禁止だわさ。」
「あいつは?」
「隠しだだわさ。けど、調査部隊送られたら問題だわさ。それにうちには本来痛くもかゆくもないはずだわさ、心以外。領域拡充も、この理由だと反対だと…。」
「では死ねと?ジャン達に?」
「それが儲けが無くて、あれが欲しいのと”ファーム化”を狙ってるだわさ。」
「どういう意味だ?」
「ゴブリンは本来、女性とか、異性がいる場合そいつが死ぬまで、やりまくるだわさ。絶倫もあれば、優性繁殖もあるだわさ。そしてゴブリンは生まれる周期が極めて少ないとこのゴブリン定番育成レポートにあるだわさ。」
 全員がSNSを見ると確かにその記事がある。
「ただ、DPで確保するには遠すぎてしかも敵ないダンマスが実は3人いるだわさ。そこをせっつくわけにいかないので。そこで悩むらしいのだわさ、今魔人連合は革命の補填でそれこそ困窮だわさ、しかも実力主義にするそうで、反対勢力と戦ってる最中だわさ。そのロスの中でゴブリンファームは魅力的だわさ。だから放置だわさ。」
 花木の横に一人、その奥に一人、あと北部に一人魔人連合側と敵対のダンマスがいる。が、連合を組む気がない 
「村があるのよね。」
「だからそこは放置だわさ、向こうの考えは。増えきって溢れたのだけ潰せばいいと考えているだわさ。」
 質が悪いな。DP理論から言うと正しいが。
「となるとジャンは…。」
「砦だけ作らせて…接触はどうするだわさ。」
「鑑定ラーニングが怖い、だからこのままのメンバーのみで勇者は追い払う、で、潰すか?」
「難しいだわさ、魔石の量産にはあいつら欲しいだわさ。付与があっただわさ。あの為にほしいだわさ。」
 現在ダンジョンでは付与の製法が分かると、圧縮、魔力交換を使いひたすらに魔石を圧縮拡大を繰り返した。どうも、魔石―圧縮魔石―高密度魔石の3種迄確認できた。モンスターによっては圧縮度が違い、より貴重になる。その為魔石は一度ミラージェに頼んで圧縮してもらう事になった。

「では…」
「今オウルに頼んで、そこにサブダンジョンを作った。で、あんたの奴は買い取らさせてもらう、で、できればあんたに一週間ここにいて欲しい、…動向次第では…。」
 流石にこの時ばかりは教授も自分の能力を恨まざる負えなかった。井原は決定としてジャンとオウル、ディルの3名のみで増援0のまま、ゴブリン動向をチェック。そのまま村を守ってほしいという宣言だ。把握してある限りの事情の説明もした。
「分かった、まずはブラック、入ってゴブリンを出してくれ。売却するぞ。」
「俺の権利範囲内でいいなら何とかする。で、今村長にディルが許可を取りに行ってる。土変化とブースト枝の祝福で砦の扉を作りに行ってる、この村は城砦化させる。」
「…分かった。中で放出する。が…。どうする?」
 ブラックも状況は理解したようだ。動きが素早い。
「魔人連合の困窮か…。ファーム化…。そんな手法があるとはね…中立だと利益がないぞ。」
 教授も苦い顔だ。おおよそ勇者大陸では聞かない稼ぎ方だったからだ。ただ実例はある。スキュラカンパニーは海中でそれを行っていた。
「仕方ないだろ、領域買う金もない。かといってあいつら!あれの利権主張したんだ!あんた?魔人連合と戦闘するか?それこそ村の連中犠牲にしてでも?」
 ダンマス組織の巨大さ、そしてその辛さに関しては教授も理解していた。そして、自分が勇者でダンマスに恐れられる存在であること。が、協力してよいというだけまだ好転的なのだ。
「分かった…。がどうするつもりだ。」
「あんたにまず金を渡す、俺の裁量権の範囲なら援助していい事になっている、但しモンスターは出せない。で貰った奴のDPを計算して渡す。」
「…。いいのか?」
「お前、見捨てれるか?村を?」
 ジャンの目は、村長が村人を集め始めていた。ジャンからすれば…自分が見捨てられた記憶があり、それをする自分が許せなかった。
「いや、できないね。やったら最後…どうなるか、自分が一番知っている。」
 勇者には力の制約に近い内容がある。”勇者は勇者であらねばならない”それを破り、悪徳に身をやつすなら、勇者の称号をを剥奪される。剥奪された”堕ちた”勇者はギルドの手によって抹殺される。そして自分も数人はその手に染めてきた。堕ちた勇者が市民を襲わないために。だからこそ、偽善と分かっていても…せざる負えない事がある。
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