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第6章 勇者と旅芸人

第232話 教授の章 激闘の跡

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 それはジャンが商業連合に入りしばらくした日の事だった。本来オウルには10羽のセージオウル部下がいるが現在それは賢者として各地の教育機関や又はラクシャーサの変更手続きに向かっており、オウルだけがそこにいた。もう進化準備はできているのだが。やはり各地を回る時間のほうが惜しいらしい、
「ホッホッホ。行き倒れですかな?」
「だろうな・・・。」
 少し先の路上にナイフを持った少年が一人倒れていた。衣装は布製で立派であるがその傷は深く…今にでも死にそうだった。側によって確認するがそれは死体にも見えたがそっとオウルが体の傍に耳を寄せる。
「生きておる。天運は見放しておらんな。」
 そう言うと人間型を取るとオウルは手の平から水を溢れさせ、体を浸す。ヒールウォーターというもので、体の治癒効果がある水を出す魔法だ。但し術者が側にいないと効果が発揮されないが帝国ではベーシックな回復魔法だ。
「一応飯も用意しておくが…。こういう行き倒れ多いんだよな、何人向こうのダンジョン送りにしたか。」
「あまりいいことではありませんな、」
 この戦乱の世なり、物資の値段が上がって以来、商業連合から人は逃げ出し、多くの捨てられた廃村や略奪の跡が目立っていた。物価の高騰により金貨での食料買い付けができず、貧困するタミが多いので、帝国定価での交換をすることで、食料人の安定のため、各地を回っていた。
「が、珍しい御仁ですな。ホッホッホ。」
「どういうことだ?」
「いやね、名前が”教授”なんですよ。鑑定したところ。村人らしいのですが…。」
「まあ、まずはこの辺で休憩しよう、馬車に揺らしてもいいが、こいつを襲った奴を知りたい、場合によっては。応援を依頼する。」

「…知らない天井だ…。」
「お、起きたか。」
 少年の体を水で洗い、クリーンをかけた。しかも汚れがあまりにつき過ぎて、クリーンで取れなかったので。水洗いののちにクリーンをかけた。それ位汚れ、ほつれていた。
「…ここはどこだね?」
「ああ、ここは、商業連合国の中北部、ガルダーン豪国の北のシャントリ…大体。」
「ホッホッホ大体…二日ですな。」
「ふむ、全然わからん。私はザガートン国を目指して、来ていたのだよ。」
 少年はゆっくりと起き上がると皮の毛布をずらす…。
「知らん。」
「にべもなく言うな、会頭として情けないぞ。」
 水桶を持って女性がやってきた。一応洗浄してもかゆみもある、一応水で洗浄してらう方がいい、ここはダンジョン領域ではないのだから。一応接収するのは救済谷つような村に限定して欲しいという話の嫌味を魔王国から貰い、適度に減少させていた。
「会頭?」
「…ああ、俺は行商人でな、ジャンという、あんたは?」
「ああ、あまり興味ないだろうが皆からは”教授”と呼ばれる。・・・旅人と名乗らせてもらおう。」
「ホッホッホ。確かに聞きませんな。」
 少しオウルは焦っていた。というのも起きて直後からもう鑑定が機能しなくなったのだ。それまでは名前やステータスは見えていたのだが、それさえ見えなくなったのだ。
「であんたは何があって倒れてたんだ?」
「ああ、私か、それはまあ、ああ、私も不明なのだが、私はある大陸の者でね、新大陸が発見されたと聞いて、船に乗って北上したのだがね。嵐に遭って遭難してからずっとギリギリ食いつないでいたのだよ。」
「大変だったな。」
「で、たまたま、ゴブリン20万だと思う巨大なコロニーと出会ってしまって、で、事情を聞こうと思ったら襲われてね。たまたま戦って、ぎりぎりだな。」
「逃げて来たのか?」
「ホッホッホ、ゴブリン20万?そんなものがいれば国家がつぶれていますな?」
 呆れた顔で、向こうで奥原に作ってもらった焼きハムサンドとミルクのセットを持ってくる。
「だと思う。だから、クックック、できる限り頑張って・・・。途中から覚えて無くてね。でどうなってた?」
「ナイフもって道端でボロボロで倒れてた。」
 じっと教授と呼ばれた少年は考えていた。
「そうか、無我夢中だったのだな。私も覚えていない。」
「どっぢだ?一応、精査後に応援を呼ぶぞ。それだと、どこの部隊かわからんが、移動してないだろうな?」
「ああ、それなら頼みたいことがある。」
「クックック。後でギルドを見たら連れて行ってもらえないか?せめてダークボックス内部のアイテムを売りたい、重すぎて、維持がギリギリなんだ。」
「ギルド、何言ってるんだ?」
「ホッホッホ、そう言えばマスターが持ってきたこのコインはギルドコインですが、こっちではこの方ですな。」
 オウルが二つのコインを取り出す、一つは王様の顔が書かれた偽ギルド金貨。もう一つは”女性の顔と葉っぱが書かれた”ギルド金貨だ。
「・・・ほう?という事はここは新大陸か、やはり、言葉は通じていたから、魔界に流れ着いたが不安だったのでね。」
「訳が分からん事言うな。とりあえずオウル、偵察行って来てくれ。姐さんに連絡頼んだ。そんな場所があるなら、危険地帯だと思う、盗賊も多いからな。」
「分かりましたぞ、ホッホッホ。」
 そう言うと、オウルは歩いて幌馬車を出て行った。
「…ふと思ったのだがね?私を疑わないのか?」
「お前みたいに飢えて死にかけたり、暴行されて死にかけた子供、いくらで見たぞ。ゴブリンなんて、この辺だとダンジョン産でしかないから。大方時山田残党だろう。
「時山田?」
「ああ、そう言う奴だ。だからちょっと探ってもらってる。こっちに来るなら一応、援軍を向こうが頼むだろ。メイがこの辺の村での狩りを終わらせてくるからな。」
「3人かね?」
「ああ、3人だ。あと一人はディルというメイドだ。」
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