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第6章 勇者と旅芸人

第223話 まずは音楽が無いとアイドルにはなれません

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「で、何やってるだわさ。」
 それはミヨちゃんがウッドベルを持ち、それに合わせて踊るウルフェと、コンちゃん、モアレ、ポアンの姿だった。
「踊りと歌の練習さ。」
「なんで?」
 今回は練習の効果を確認すべく、新建築された≪信愛住宅≫バラン城の舞踏会用大広間を借り、練習にいそしんでいた、井原建築事務所のメンバーである。
「楽器が思いつかなくて、取りあえず作ったんだが・・・後でわかったんだが…。歌と踊りと楽器が違うスキルだった。流石に声だけだと、踊れないからね。」
「いや、何してるだわさ。確かに大使館からすぐこれるけど…。」
 時々語尾を忘れてる程度に呆れた鳥海と奇行を見つめる、王宮一同を無視してミヨちゃんのウッドベルを聞きながら、ちょっとバラバラに踊どるメンバーだった。
「いやあな、今度の検証に歌と踊りのレベルが欲しいからな、みんなで踊ってみてる、ついでだから作曲できる人を知らんか?」
「…便利屋じゃないだわさ。けど音楽だわさ?」
「ああ、せっかくなら、歌と踊りで、人心安定と行きたくてね。」
 井原は椅子に座り、様子をじっと見つめていた。
「本音は?」
「実はなにも命令無しに”魅了の歌”を歌うと、ただ落ち着くだけになる。ただ、歌詞次第ではちょっと何かあるかもしれんが、これを使って魔王国を周れば難民とかの数が減るかと思ってる。今でもあれだろ?」
「確かにだわさ。皇帝は難民の受け入れを希望だわさ。ただ履行すれば国の人口の4倍がなだれ込むだわさ、まだ練度が足りない時に受けいれれば帝国が先に沈むだわさ。」
 ジャン達が食べ物を格安販売のついでに”ギルド通貨”に通貨を切り替えているが、それでも難民の移動が止まっていない。こちらが安定していると知ると、それを目指した大移動が起きていて、今でも城門を閉じ、わざと魔獣とガード用”サンクチュアリソング”が飛び交う危険地帯を見せつけ、守り切れない場所を押さえつけ、難民を
寄せ付けないようにしている。通せば食料の枯渇か大量DPの流出が確定しているからだ、また魔王国の衰退はさ行く”千鳥万花”との戦争が現実味を帯びてしまう。その為ぶつかり合いたくない双方は食料の安定供給を千鳥万花にさせ、魔王国は体制の安定を優先していた。その中において、食料配給部隊の像かも考えたが報告では数日旅に盗賊に襲われ、そのたびに食料を分け与え、困窮する村々を周っているため、その活動も遅々として進んでいない。又商業連合側は魔王国よりひどい困窮を迎えている地域が多く、その救済にジャンが向かう事になっていた。普通の商隊ではまず輸送の要”ゴーレム車”が出せない。なのでイーハ商会しかないが。自衛能力がありそれなりの力を有した人物の育成にはまだめどが立っていない。その為、ダンジョンから人員を割くしかない、
「で、追加で食料部隊を出すことにしたんだが、どうせなら大道芸人をして、祭りをしつつ、と思ってな、音楽は人を安定させる、郷愁の歌でも歌い、食料を与えれば帰るかもしれん。だからこそ、まあついでだがな。」
「でもウッドベルを立ってぽくぽくしながら旅芸人とか、何が悲しいだわさ?」
 井原も思い当たる、節があったようだ。確かにウッドベルを直立不動でもって叩いて歌っているアイドルとか、どこの素人学芸会よ!って言いそうになるな。うんたんさえもない…。
「となると楽器か…最初の課題は。」
「そうだわさ。実はちょっと思ったことがあるだわさ。太鼓の図面を引くだわさ?」
「太鼓?」
「あれは牛革を木の筒に張って音を出すだわさ、一応大太鼓とか、よく地方のお祭りの陳情で予算出して欲しいとか言われるだわさ。ついでに大太鼓は凄いいい音するだわさ。」
「ほう?」
「楽器でウッドベル叩かせたりするより、よっぽどアイドルだわさ、でもよくウッドベルであそこまで歌えるだわさ?でも、音が足りないだわさ。」
 簡単に頭に図面を浮かべ枝の祝福を発動させる、
「後はピアノだわさ、ただ移動には向かないだわさ、まあ知識がないだわさ。音階は大きさとかで調整可能だわさ、…でもそうなるとできそうな子がいるだわさ?」
 確かに建築に一生懸命だった井原でも、政治家とかで経験豊富な鳥海でも全くの門外漢である楽器には知識がない、
「とりあえず張ったバーストブルの皮に釘打ち込んでみるか、頼めるか?」
「こっちでいい?」
「こっちだねぇ。」
「こういう時に便利だわさ、双頭。」
 フェルミィとミラージェに抑えてもらい、叩いて、音の調整、感想とか使い微調整を重ね、どうにか釘を打ち付け完成にする。が
「ミヨちゃん、これを…ばちも作るか。これで叩いてくれ。」
「はーい。」 

 トントントン。

 軽い音でなる感じの音で、かなりいい感じに音が出てるが軽い、やっぱりギターが欲しいんだが、あれは調弦がな。
「ちょっと…知人当たってみるだわさ、これは太鼓はあっても、どうにもならないだわさ。」
 アイドルは太鼓で歌うと…確かに演歌歌手だわ。後ろで歌っても限界がある。
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