魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第5章 決戦!時山田!

第193話 建築は常に複数の企業で集まって作っています。

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「ひゃひゃひゃ。うっひひひひひ。どうよ?これ。」
「一応販売はしてやる。」
 現在私のショップ機能は井原本体は公式ショップ。そしてそれ以外は趣味の商品を売るショップだ。実はショップ名しか出ないので、偽装可能なのだが、どこで首が漏れるか不明なので、ショップ機能は趣味の商品とメール機能代わりに使っている。なのでショップ枠は5つだ。が、商品は現在作品ルームが30.鳥海が鳥系モンスターショップ、なので、こっちは作品ルーム展示を一週間ごとにランダム展示している。昭和建築や、江戸町人屋敷、カラクリ忍者屋敷、聖女から来た依頼を元に作った”レギュラーモデルルーム”、”浜辺”、”アスファルト”、”田舎の雑貨屋”など現代を思わせる建築を販売。そしてダンジョンバトル用の…フェルミィ作品の”カタカタトラップ”
が今回の出展作品だ。トラップに費用がかかると聞いた彼女は自力で物理のみのトラップルームを作成、部屋以外ラーニングコスト0を完成させた。が、トラップ単体のトラップが販売可能なので、こっちでは委託に応じて販売する形式をとっている。”ダンジョン建築相談承る”というトレードである。で、その時によく会う、半分同業者が

「またあんたか、よろしく。」
 土方ヘルメット姿の男性であり、巨大な蟻2体を連れた”掘り屋”イツキである。
「よろしくお願いします。」
「よろしくにゃ。」
「よろしくぅ、」
 ミヨちゃん含め結構手慣れたものだ。というのもダンジョンの一般的なタイプは”現実型”である。現実に本当に区画が存在する代わりに維持費が安いタイプである。これはこれで出来る事が多いが、その為に欲しい面積で”地盤沈下”が起きかねないのでその為にフィールド型は”現実型”はおすすめしていない。で、この現実型はもう一個特徴を持つ、それが”ダンジョン階から接続可能で、面積がダンジョンを超えても増築可能”だ。そこで出てくるのが、穴を掘る才能である。だが実は結構地下建設はリスクが大きい、主に落盤防止だ。その為専用の部隊がほしく、その費用も人数も莫大になる。私はゴーレム、およびワークゴーレムが使えるが、普通のダンマスはゴーレムの設置費用だけでモンスターが3体ほど買える。そこで出てくるのが掘り屋だ。ダンジョンの穴を掘る専門の業者で手広い商売が売りだ。鉱物調査から水源探索、様々な穴掘りを行う穴掘りのスペシャリストだ。そして、私が設計図を描いたものをダンジョン外で組む場合、専用の建築業者であるイツキたちが呼ばれる。
「今回の図面はこれがだ…。土変化がないならこっちで、この辺は固めておくぞ、」
「私たちがいれば十分だから!」
「みゃあみゃあ、いいじゃにゃい?蟻酸で固めるのも限界があるにゃ、」
「今回は銭湯だからな、耐熱性に心配があった。風呂に入っている最中に崩れるのも困る、後モザイクパネルだ。あれは陶器だからそっちで作るでないならこっちが担当する。」
「お願いしていいか、うちら堀が専門でよ?その辺の細かいやつが駄目なんだ。でこの図面通りに掘ればいいんだな?」
 今回はダンジョンバトル特別ルール。”特定領域外移動可能。””特定条件達成時勝敗決定”のスタイルである。勝利時にお互いに提示された報酬DPが自動で貰えるので、報酬は目に見える形で、ごまかし不可能だ。その為ちゃんと交渉がまとまればこうして工事となる。今回のクライアントはダンジョンに銭湯が欲しいが地下で作りたい
との事で、こうして穴を掘り、内装をこっちが担当する。領域内の操作もできるが向こうは掘った後に路面生計を土変化で行い、アリの蟻酸を使い、溶かして地面を固める。我々はその上に土作成で適度に土を巻いて素材作成後に床面を制作し、落盤を防ぎ、柱を立てていく。
「ああ、頼んだ。今回は広い間取りと、工事領域がダンジョン外となる。ミヨちゃんがその間に鉱物調査も行う、」
「分かった、行きなさい!みんな!」
 このマザーアントのミリーたちはお互い”眷属召喚”と”単身卵生(卵生群生)”という能力を持つ、アリを魔法で召喚したり、又は卵で増産ができる、これらはダンジョンモンスターでないが召喚したモンスターたちは彼女たちが責任もって回収する。このアリたちに細かい所を掘らせ、自分たちが大きな箇所の土を”食う”それがこの工事スタイルだ。蟻も基本土を食うのだ。それにより掘るため、外に土がほぼ出ない。そうでない場合はちゃんとありが…スコップ持って来て掘ってダンジョン内に丁寧に置いていくのだ。これを見た時は目を疑った。が、完成した箇所に土変化や岩変化を使い、きれいな模様を築いていくのがこっちの仕事だ。欠点はこの形式だと。建築物が完成するまで、出れない。なので、なんとなくお互い戦友みたいな感覚である。向こうはこっちが終わるまで、待機してみていないといけない。
「今回は部屋でいいから楽だが…。」
「今回はうちの同盟の依頼だから、ほどほどに手を抜いていいと思うぞ、」
「やめておく、こっちの同盟の信頼が落ちる、それに私は完璧でない作品が残る方が嫌だ。」
「そうだぞ、マスターは偉大過ぎて、完璧主義だから、メテオストライクだぞ!」
「それ何よ!」
「メテオが落ちるにゃ?というかメテオって何にゃ?」
 作業しながらの会話も慣れたもので、全員作業しつつの会話だ。
「…メテオ?…メテオ…。確か、肉の切れ端を球体に固めて焼いて焦げ目付けた奴。」
「それはあれだ、うちの食堂で出す予定の”メテオ焼き”だ。」
 いつも行われるツッコミ無しのボケ会話に流石に私がツッコミを入れていく、
「あ?ハンバーグか?」なんでメテオ焼きなんだよ?」
 イツキも実はじっとしていればいいのだが。一緒につるはしを使ったり魔法で地ならしを行っている、一緒の時はミヨちゃんも手伝う。
「ハンバーグはあれは地名だ。ハンバーグ市っていう町の料理でハンバーグなんだ。あと玉ねぎが入っていない。だから止めろって言ったんだ。で、最初は”ボアつくね”とするかと思ったら蛇の肉?ってツッコミが入ってな、で、名称を会議したんだ。で、決定したのがメテオ焼き。がよく考えればメテオってなんだと言われれば辛いな。」
「メテオって名ででいいじゃねえか?」
「それやると勇者がメテオストライクしたら、”肉投げた”って事になるぞ。だから”メテオ焼き”まで名称にしておくかって話にしたんだよ。」
 流石に全員が吹いて、一瞬手が止まった。
「確かにそうだ。肉投げって必殺技で行っちゃう勇者とか、思い出しただけで笑えそうだ、今度それ”こんな勇者嫌だ”に出したらどうだ?」
 これはSNSの暇つぶしネタ板で、勇者があまりに来ないので出た、ジョーク企画だだが、これに実は怪しいうわさがある、書き込みに本物の勇者らしき書き込みが混ざるのだ。その為ダンマス7不思議の一角とされる、それがこの”こんな勇者嫌だ”に勇者がいる。だがほかに、、”万年最下位ダンジョン、地下室””カスタマーセンター””ギルド金貨”、”魔王軍の魔王”、”動くダンジョン領域”、”奴隷の首輪の有無”というものである。内三つは大陸を渡り、調べたが、動くダンジョン領域と奴隷の首輪の有無は確認したことが無い、奴隷の首輪は、それをはめられるとダンマスを裏切ることができるという首輪の事で、これで刺されたダンマスがいるという。
怖い話である、ダンジョンはドアに開閉ギミックが設定可能で”関係者専用”となっていれば普通は関係者以外空かない。が、奴隷の首輪をかけられてもダンジョンは関係者であるので、当してしまう、その開閉に他人が紛れ込めば、関係者エリアに敵が入ることが可能だ。だが、奴隷の首輪って何って話で都市伝説化したのだ。
「一応、食肉で有名な町が、トマト投げ祭りに倣って肉投げ祭りやろうとして、匂いで止められたんだ。やめてくれ。噂が本当ならやられかねん。」
「確かに、はっはっは。」
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