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第5章 決戦!時山田!

第186話 ドラゴンバスター第24話 

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「今回のドラゴンバスターは今話題の”井原建築事務所”が相手じゃ、ただ千鳥万花という事で、こちら、代表の鳥海が仕切るだそうじゃ、ふざけとる。」
「帰るだわさ?」
 余裕そうに空を飛び待機専用ルーム”会議室”前にはドランとは人の部下がいる、鳥海はやはり一人でそこにいた。
「で、今回はその”魔王国”が敗北したという三つのルームの話を聞いての?一つ挑ませてほしいのじゃ、そこのトサカ頭。」
「ゴブリン村アタックで2F越えした猛者だわさ。いいだわさ。」
 ある意味ダンジョンマスターの強さ指標になっているのがゴブリン村に挑んで、どこまで行ったかである。防衛は時間単位、攻撃はフロア数で、数値が出る、その中で2F越えは凶悪ゴブリンノーマルPTフロアを突破した猛者であることを意味し、これはほぼ現在ドランのみの特権である、少数精鋭で多数工作を突破した者だけに与えられ、3Fオーガチャイルドスペースまで来ると人間に近い”鬼人”が相手となる、魔法も嵐のごとく飛び交うのでここを超えるのは難しいとされる。
「フン、褒めても何も出ないのじゃ、…いや手加減して欲しいのじゃ?」
「とりあえずどれか選ぶだわさ。」
 疎言って出したのは三つの札だった。赤、青、黄色の三つの札だ。
「この三つは対応した部屋が書いてあるだわさ。それを超えれば勝利だわさ。一部屋ごとに今回は井原がその突破したルームを包んで渡すだわさ。但しどれもが極悪だわさ。」
「では、そこの赤いのがいいのじゃ、どうせドラゴンはブレスじゃ、赤いブレスがかっこいいからのぉ。」
「ではこちらだわさ!」
 回転させて出してきたのは”くるくるメイズ”のパネルだった。
「これはメイズというあの名作かの?」
「その改良版だわさ。一般販売しないのは、あまりに殺意が高すぎてこれが流行ればダンジョンバトルという機能そのものに危険だからだわさ。ついでに現行突破者0。」
「挑むものがいなかろう?」
「当たり前だわさ。うちは平和と文化を愛する平和的同盟だわさ。だから、吹き飛ばせる物なら吹き飛ばして欲しいだわさ。」
 挑発するが、一応事前打ち合わせ済みだ。
「では行くのじゃ、条件は!」
「時間は2時間、死亡は敗北か投了宣言だわさ。但し蘇生費用はお互い折半。本来はくるくるメイズは最終フロア専用ルームだわさ。」

『ダンジョンバトルを開始します。制限時間は2時間です。』
 そう言って接続された入り口は普通の…見慣れた時間稼ぎフロア”メイズ”だった。メイズの人気が上がって以来、メイズ型のダンジョンはダンジョンの最初に置かれ定番時間稼ぎルームである。4Fあり、小型モンスターのみ通す。但し設置可能トラップ数が少なく、モンスターも大型が出せないので、最初のフロアとしては定番なのだ。
改良版の各ダンマス販売のメイズも多く、メイズの出来がそのままダンマスの腕と言われることが多い中、本家改良版のメイズである。また、このために偵察部隊は基本どのダンマスでも早期突破用に必須の部隊となっていた。
「見た感じ普通のメイズじゃの?」
「ですよね。司令。」
「だーよねー。」
「俺さ、なんか腹減った。」
「お前らしっかりしろ、バラン様が怒るぞ。」
「…普通。」
 ドラン配下の5体のネームドドラゴンである”5色”ドラゴンのメンバーだ。常に小隊単位で動くドラゴンたちで、蘇生可能の為、ドラゴンバスターでは普通の戦闘ではよく出るレギュラーメンバーだ。しばらく直線を進むが、反応がない。
「気を張るのじゃ、第一・・・。」
 角を曲がると出てきたのはロックゴーレムだった。
「ゴーレムか、舐められたものよ。しかも砂岩か。行け!」
 赤い服が特徴のレッドプライムが飛び出すと、そのまま蹴り一撃でゴーレムを吹き飛ばす。
「…あれ?」
「こんなものか?いや、ドラゴンじゃから計算越えて儂らが強いのもありうるの。でもあの鳥海のセリフじゃ、怖いからの。」
「…?リーダー?」
 イエロープライムが周囲を見る。
「何だ?」
「そこ、曲がり角あった?」
 見た先には後ろに一本通路が増えていた。
「いや、まっすぐ最初から進んだだろ?」
「気配がするが…前からゴーレムの群れか?魔力に乱れがある。土魔法か?」
 ブループライムが前の方にある曲がり角を見る、
「ゴーレムを作るものがおるのかの?そうなると。スポナーも怖いの。数押し対応で、レッド、ブレスも構えておくのじゃ、」
「そう言えば、おかしくない?だって、通路あったんでしょ?」
「ああ、さっき…あれ?」
 グリーンプライムが後ろを見ると、通路は一直線になっていた。
「あ?」
 お色気担当のホワイトプライムが、慌てて周囲を見る。
「おかしい、だって私たち、出入り口から直線に来たんだ。」
「まあな?」
「で、その出入り口どこ?」
 全員が言われて探すが、付き当たりである通路には、出入り口らしいものがもうなかった。そこに見えるのは直線の”行き止まり”だった。
「何!」
「やってくれるのぉ。一方通行か?」
「えー、めんどい。」
「前からゴーレム部隊が迫って来るぞ!」
 レッドが飛び出して、曲がり角にいる、ゴーレムの今度は部隊と戦闘していた。がまたも一撃でやられる。ゴーレム達だ。
「結構簡単に終わったな…。」
「様子がおかしいのじゃ。」
「どうした、司令。」
「今投了を検討しておる。」
 ドランが壁を背に座り込む。それに合わせ、5人は周囲を囲み、警戒に入る。
「何でだリーダー!勝ってるだけだろ?」
「さっきから、超触覚の気配感知を使っておるのじゃ、どうも壁が動いておる。ルールだと、ダンジョンに侵入者がいる時はルームの変更はできないはずじゃ、」
「当然だろ?」
 フロアに侵入者がいる場合、そのフロアは変更不可能になるので、その為改装は不可能だった。
「それが動いているっぽいのじゃ、風に乱れがあったわ。大方ゴーレムは差し替え擬装用に意識を向ける囮じゃ。」
「じゃ…。」
「じゃが、スポナーの魔力反応が無いのじゃ、が敵の姿が無いのじゃ、ゴーストも疑っておったがの。それも反応が無いのじゃ。しかも今床を見ておるのじゃが、動かすギミック
らしきものが見えないのじゃ。天井もじゃ。」
「何それ?」
「という事は、この謎を突破しない限り、進んでも出口が無いのじゃ。出口がふさがって文字通り儂らがくるくる回って死ぬのじゃ。飢え死にじゃな。手掛かりでもあれば突破できるが、じゃあギミックだけで、どこからモンスターは呼んだのじゃ?あのゴーレム。」
 流石に理解できたように全員が周囲を見つめる。
「ルール無視がここまで来るダンジョンも珍しいのぉ。確かに最終フロアじゃ。このギミックが解けない限り、突破が不可能、普通に見える分、殺意満点なのじゃ、逃がす気も無い。しかも基本ダンジョンウォールは破壊不可能じゃ。一度その行き止まりに戻るのじゃ、ギミックを確認する。」
「おう!」
 今度は曲がり角を曲がってすぐの場所に突き当りがあった。
「隙間もない…かと言って。通路に変な場所もない。しかも…。」
『投了は絶賛受付中です。』
「コア、煽るな!…だが…。」
 どんどんドランの顔が険しくなる。もう、閉じ込められているのだ。
「投了するのじゃ。これは立ちいかん。この謎が解けねば大方死ぬのはこっちじゃ。」
『投了確認しました。ダンジョンバトルは。井原建築事務所の勝利となります。』
「司令…。」
「撮影停止じゃコア。契約じゃからの。」
『はい、マスター。』
『撮影停止を確認、皆様を開放します、お疲れさまでした。』
 そう言うとドランの寄り掛かった壁が動き出し、勝手に開いた。
「説明はしてくれるよな?井原。」
『まずはお戻りください。』
『ああ、コア、一体だけ案内でゴーレムをその場で出してくれ、説明に欲しい。』
『了解しました。』
 そう言うと小さいゴーレムが動いた壁から落ちてきた。そして、かわいらしく歩いて、先導していった。
「あれ…。」
「壁が魔法使った?」
 この様子に流石に全員が唖然と…先導するゴーレムを見ていた。
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