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第4章 始動!千鳥万花

第167話 よく見ないとわからない隠れた何か 

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 その夜は思いっきり俊三さんと酒を飲み明かした。俺はこういう経験はない。だからこそ…。一生に一度の相手と酒を飲むこの感覚が初めてだった。そう感じた。いつか会えるかもそう思うからこそ得られる緩い感じと違う、濃厚な一時だった。
「でも爺さん…。」
「あれでいいと思うぞ、連絡はできるように…顔は覚えてもらった。これでいい。あの爺さん全面拒否だったから。これであとで飲みに行ければいい。」
「でもまあ…。」
「うん、ちょッと飛ぶの控えてる。時々、なんかドラゴンが飛んでると思う。気配感知にちょいちょい引っかかる。大方私より相当早い。」
 ミヨちゃんの声も暗い。ランク3位がうろつく大陸なんて怖い。相手の感知が…相手を刺激してないといいが…。
「で、感知がかなり遠いんだけど、かなり魔法が飛び交ってる。戦闘がここが高山だから感知できるけど、多いみたい。こっちは相当魔法が発展してる。」
「魔法大陸か、さっさとそのダンマスを探そう、何か怖い。」
「流石勇者大陸だな。強さが桁違いか…。」
 そう言うと方に留まった小鳥が他のみよちゃんが少しだけ飛んで見せる、一応コアは”ダークボックスに入らないが身長に比例するの”ので足で持って行けばコアの探索に使える。
「あっちだと思う。ただ、小さすぎて判別できない。」
「いくぞ、その話聞いて遺恨戦なんかできるか。数百万のステータス?」
 四郎の顔も青い。うちらで上層部がどうにか4ケタ。一般市民は100にも度解かない。ついでに取引に来るダンマスでさえ時折200行けば強い方だ。4ケタはそれくらい基本強いが、数百万(7ケタ)とか言う奴はどうにもならん。攻撃、防御。そのすべてが桁違いだ。触れば死ぬだろうし、魔王軍なら…。ばれたら総攻撃がありうる。触るべきじゃない。
「爺さんのステータスはどうだった?」
「レベル40の中位モンスターで、中位職業だった。地味にあの爺さん鍛えてた。が、勇者の駆け込み寺だったんだろ?大方俺達に迷惑かけたくなかったんだ。勇者に良い思いしてないからな、みんな。SNSでも反応がな。」
「ああ…。」
 しばらく歩くと…極小のというか…よっぽど目がよくないと見逃してしまいそうな小さな木の洞がある。
「あれか?領域さえないぞ。」
「コアによるとここ。」
 でもこれを発見できるコアはいないはず。正確には…。これに当たるほど運がいいマスターだ。
「おーい!」
「シロウ!」
 井原が止めるが…シロウは気にしていない。
「隠れる系なら声をかけ、反応を待つ方がいい。どいて欲しいなら、交渉してくれ。」
 声をわざと…。だが確かにこれでないと話が進まない、遠慮もお互いほどが過ぎると、何もできない。
『内部においで下さい。』
 …機械的音声。洞の中は垂直で…飛び降りるとそこは…やっぱり土壁の…そして中には少女と小鳥が壁の隅で震えていた。
『このままではダンジョンが死んでしまいます。なので、救援を求めました。…かなり強力ですね。DPが凄い勢いで貯まります。』
「コア!裏切るの!?」
 声は小鳥から聞こえる。
『いえ、博打です。何もなさらないまま…もう一年ですよ、これなら、死んだ方が…いや今より悪くなることはないでしょう。今破壊されてさえ…。』
「説明してもらえるかな、コアさん?」
『は、我がマスターは一年前に生を受けたダンジョンマスターですが…。奥手で、対人恐怖症でして。』
 ・・・。
「私が守るのになんであんたが!」
『マスターの維持のDPがそろそろ尽きます。もうすぐ私たちは共倒れします。』
「だからと言って!」
「やめて!」
 少女から声はするが…声は弱弱しい。争う声に…頭を抱え震えている。
『「マスター。」』
 お互いは確かにこの少女に忠誠を…てちょっと待て、維持費?マスターは食事が…ているじゃないか、唯一魔素でのみ生きる種族。
「あんた、ゴーストか?」
 その声に小さく頷く。
「ゴーストのダンジョンマスター。」
「霊のダンジョンマスター。」
 蚊が泣くように、いやかすかに聞き取れる範囲の声で、目は髪の毛で隠れたぼさぼさだ。それ以外の外見は幼女と言っていいほど幼く、子供用ワンピースの外見は幼さをさらに加速させていた。
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