魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第４章 始動！千鳥万花

第１６４話 事業の安定化は、新規事業の香り

　こうしてメッチャングの町を手にした井原は、使節である二人を街に置き、連絡のために村に戻っていった。もともと彼らはメッチャングの町に滞在し、できれば彼らお抱えの商人たちが近くの街道宿屋に待機しており、それが訪れて、パルファンの町に塩を送るべく待機していたのだ。そこで出てくるのが、井原が置いていった31台の荷車だ。30はこの町の商人が使うが一台はドルキス伯の商人が金貨で塩を買い付け、その塩を急いでパルファンに持ち込む予定だった。パルファンではダンジョン一般開放の余波で大量の肉が出回るようになったがすぐに腐る欠点があった。いくら血抜きしても常温に保存すればすぐにまずくなる。そこで欲しいのが保存技術であるハムである。
その為肉が満たされたパルファンの市民が求めたのが”塩”だった。その為商人たちがメッチャングの町との交渉終了を待ちわびたのだ。ハムは当然輸出品となる。共和国へも友好な商品となる。肉は原始かた訴えかけるぜいたく品だからだ。流石にその金額は、伯爵と町長が交渉の末妥結金額となり、帝国商人たちとメッチャング商人が今後しのぎを削ることになる。がその中において階の粉を買うのは井原たちだけだった。ついでに魚の骨も購入。水車小屋で砕いて畑の肥料とした。そしてメッチャングとの鉱床を損を取ってでも急いだ背景が…。
「これで大っぴらにここを開拓できるぞ！麦だ！飴だ！酒がうまいぞ！」
「おおー！」
　そう、流れ者の村南部に麦畑の建設を行う溜めである。メッチャングの町の所有権が安定しないと、共和国と組んで穀倉地帯の襲撃が考えられた。その為領域が安定するまで開発を待っていたのだ。大体一宿屋（行程二日）の位置周辺をＤＰで農地開拓し、そこに麦スポナーを使い一気に麦を設置、した箇所と、別に開拓団の仕事のために置いた
農地予定地に沼地近くなら米、乾いた草原なら麦の苗を置き、育成を開始、近くに流れ者の村の標準の家を設置し、川から用水を引いた。領地の境でないならガンガンいけるのでそれを引いて必要水分を供給し、もう一つの要、”麦”を広める計画だった。特に需要が大きいのが村にあるジャガイモ殿合わせ技”水あめ”の需要と”エール”の需要だ。但し、ホップとかの香草との組み合わせはホップが発見されないため、できないが…。それでも冷えればそれなりにうまい。その材料である麦は人口増加に欲しい物だった。この人員には各地の食い詰め次男坊たちが食いついた。農地開拓ならそんな知能もなくできる上に危険でない。これが大きかった。ジャンが広告を打った”流れ者の村南部開拓事業”はこうして順調に進んでいた。

「うん、大方ここだと思う、あんたの言っていた、”旧獣領域”がここ。で、大方この中央の山の所にスライムのダンジョンマスターがいる。」
　ミヨちゃんが帰って来てシロウと一緒に完成した世界地図を見ていた。どうもこの世界はよっぽど広く、過酷だ。
「で？」
「ネルの園の領域は発見した。小さいけどね。それによるとほぼすべて森林。で、街がかなり密度が高い、で、中央だけ何故かぽっかりと開発がない。で、スライムのダンジョンマスターにばれないように少し遠目にダンジョンを設置して、領域を購入したよ。これで3大陸をつなぎ終わったよ。大方、ここに住んでいると思う。但し」
「なんだ？」
「小さい村が一個。それだけ。南には二日の距離で5万人規模の都市がちらほらだと思う。こっちより相当密度ある。勇者らしきは確認できなかったけど、領域みると思ったよりも魔王軍の領域が小さい。街に集中してる。」
「だろうな、人がいるなら、そこを収めればより少ない投資で大きなリターンがある。だから中央の村が一個とか入れなかったのか…という事は大方これで数千億ＤＰ以上は疑わしい、何かあるな。これは。」
「が、こっちは？」
「ああ。私の本体ダンジョンをそっちに置く、そっちからゲート申請頼む。早速行く、爺さんに…色々な。」
　その顔は旧友に会いに行く感じだった。