魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第３章 マルワール帝国のダンジョンマスター

第１１５話 ゲーム終盤で来る。初心者向けダンジョンの香り

「聞いたぞ、センチュリアがいきなり見失ったってな。」
「まあな…。すまないな。」
　四郎はあきれ顔で、白い雀たちが見る先・・・。小さい山向こうにある開けた土地を見ていた。疲れはないが…一日で着く距離ではない。ついでに移動は影移動で
先行したオウルにつなげ、そこまで影内部を走って移動した。大きさが元に戻せるので、かなり楽だ。
「あれか？」
「ああ、大方挙動を聞くとインスタンスっぽい。」
「何だ、インスタンスって？」
「簡易って意味だ。遠いなら潰さずに神の為に保存して、対策の壁でも作っておけばいずれここにダンマスが来る。」
「ん？」
「俺はこう見えて、ダンマスになる前にやった神との質問を覚えていてね、このインスタンスが”ダンマス”の卵だ。ここから魂がこの位置を選べばそこにダンマスが生まれる。ただしダンマスの領域内にはインスタンスは生まれない。矛盾が起こるからな。だから、この位置のダンジョンを見て、どう思うかだ。潰せばダンマスの卵が消え、俺達が加害者になるが、この位置の隣人を切る必要があるなら潰した方がいい、招かざる争いは、お互いの為ではない。」
「確かに…。」
「意外と遠かっただわさ。であれだわさ？」
「インスタンスだ。ラノベ風に言えば”魔力溜まり”って奴だろ思う。ダンマスの卵って奴だ。で俺はこの位置なら放置も視野でいい。と思ってる、遠すぎる卵は人里から遠すぎて、育たないうちに飢え死ぬ、取り込むに価値もない。この辺にインスタンスがあるって事は必要地だけ取って領域を外壁にして”ダンマスファーム”にする計画もある。」
「何なのだわさ？」
「ダンマスに適した地域として、インスタンスが生えるこの大森林の領域を北の山脈以外確保せず、放置させ、ダンマスを生ませる。で、その新人ダンマスを同盟に引き込めばこっちはファクター割引をどんどん手にし、新人はＤＰを得る事により、より安いＤＰで物が量産できる。建築には物資が必須だ。今後の世界の為にもだ。ダンマスを取り込むために、新人のできる地域を増やす。という考えもある。」
　周囲は見渡す限りの森林で、少し開けたところにゴブリンが往復する小さな穴があるだけだが、この世界に”ゴブリン”は天然で発生しない事は3人とも知っていた。
「面白いだわさ、確かにファクターが増えれば有利だわさ。値引きはルームも特性に寄るだわさ。あんたのファクターの調査で恐ろしい事が分かっただわさ。あれ…。」
「まだだろ、」
　急に鳥海に顔を寄せ、指を添える。
「まだだよ。」
「…あんた、実際天然ジゴロと言われたことないだわさ？」
　女性陣が全員顔を赤くする中…鳥海はこれが限界だった。
「無いな、男だけの社会だからな。家が建てれれば十分だ。」
「…愉快な連中だ。もっとダンマスは緊張感持て、魔王だぞ、」
「魔王か、好きか？そんな人生。」
　四郎の緊張した顔に比べ、井原はそこまでの緊張はなかった。
「確かに、それっぽいが…それが好きかと言われると違うな、ちょっとした木工の成功とかでも嬉しいからな、そう言うゆっくりした生も悪くないぞ。」
「死にたくなったら戦争でもすればいい、そこまでゆっくりでもいいと思うがな…。」
「で、どうするだわさ？依頼者。」
　一応ゴブリンの巣穴らしき箇所はそこまで大きくないし、出入り人員はそこまで多くない。
「確かに…こんな遠くにあるだけならあれは迷いか…少数規模の偵察隊だと見たほうがいいな。ダンマスがいるなら困るが…。」
「そうだな…入るか？インスタンスの生態を私は知らない。相手がいるなら入って、停戦条約を結べばいい。」
「確かに、インスタンスの生態は知らん、どこで線引きするか知っていれば、訓練場としても使える。」
「では行くか、ダンジョンに、魔王3人が並ぶダンジョン攻略だぞ。」
「部下もいるだわさ、少数でいいと思うだわさ。調査だわさ。」
「ああ、でもあんたは武器は？」
「アチシは風魔法だわさ。基本遠距離だわさ。」
「前歩け、私がいたら阻害する。」
「あんたは？」
「これだ、ナイフって奴だ。」
　出したナイフは黒く輝いていた。
「それは…。」
「黒曜石だわさ。」
「黒曜石のナイフだ。俺のお気に入りだ。後の分は後ろの工具ベルトに簡易工事用にいろいろある。釘もあるぞ。」
「そう言えばあんたは建築家なんだな・・・。本当に。」
「まあな。工具があるからな。武器にもある程度困らん。」
　そう言って取り出すのは片手の金づちだ。
「衣装も物が引っ掛からないように工夫したものを使っている。が、基本近接だ。」
「確かにあんたらに任せておけばよさそうだな…俺も行くが、背後打ち警戒だけでいいか？」
「ああ、頼む。」
　それは戦闘というには虐殺すぎた。鳥海が歩き簡単に手を突き出すと、目の前にゴブリンやオークたちが飛び散っていく。そう言ってもいいくらいの戦力差だった。あっと
いう間にダンジョンも3Ｆまで来ていた。
「それなりに小さいが…。」
「ふむ、そろそろダンマスなら接触があってもいいだわさ。」
「やはりインスタンスか？」
「そうでないなら、和平したいな。俺は初心者いびりは好きではない。」
　周囲を見るが…何も反応がない。
「とりあえず、入り口入口に戻って、このまま扉でも作って休憩する。」
　簡単にいうと、30分も歩くと石でダンジョンから少し話したところに壁を作り、簡単に埋め立てる。
「それは？」
「わざとダンジョン入り口から遠くに入り口を作った。インスタンスは当然外せないが知識があれば外せる。そう言う作りだ。」
「ふむ…。それで判別するのか？」
「最悪埋め立ててもいいが、目視外になればダンジョンが吸収して終わりだろう。だが、ダンジョンに振れない場合インスタンスだとあれは取り除けない。」
「なら時々監視では？」
「確かに、封をして終わる手もあるが…。どうする？」
「もし後で、ダンマスができたら恨まれそうだわさ。いきなり出入り口が…。」
「その時は領域を広ろげ、外から蹴れば解除はこの段階なら簡単だ。」
　ミギールたちが一応台を蹴ってみるとそれなりに脆い
「位置が分かればいいし大体のポイントを今コアに地図を作成させ、記憶させている。それでここは監視対象でいい、一週間あるならこっちでモンスターを狩ればいい。
ダンマスが来たら考える。」
「そうだな…。では帰るか…。」