魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
76 / 1,309
第2章 村と街とダンジョンと

第76話 原始的だが、確実なエネルギーは水力だと思う。

しおりを挟む
 それから一週間がたち、なぜかモアレたちがお披露目されたのがこの”水車小屋”だった。
「木は切ってもらったものをコアに加工を依頼、そしてこれで…。」
「あれは何だ、動いているものは?」
「そこに棒をはめるとそこの木の棒が上下して、勝手にそこの平たい石に落ちる。その勢いを利用して、君たちが自由に小麦を引いたりして粉にできるようにしておいた。」
「ふむ、確かに力作業だが…。これで例の貝を?」
「ああ、そのつもりだ、これである物を作る気でね…。」
「何をだ?」
「ああ、コンクリート建築だ。あとできれば鉄筋建築を使う。但し私しかできん、今の所は。が、建材が増える事で、ダンジョンの製作にも弾みがつく、まずはこれを見てくれ。」
 そう言うと水車小屋に棒を差し込み、装置を起動させた。
「この中に何かを入れて、待てば物が砕かれる。そうする事で重労働から解放される。。動力として使うことができるが、その辺の知識は私に無くてね、この辺が限界だ。、小麦粉はこれで簡単に作れることができる。砕いた後に、そこにある金網で殻を取り除けば製粉完了だ。後、改良版大型石臼が同時に回転しているはずだ。そこで細かい製粉ができる。」
「へぇ…。」
「形状さえ見ておけば後は似た物を作れば、これは誰でも使える、魔法が無くても物を砕くことができる。これで小麦粉を作って欲しい。ついでに人手と教育が終われば、拡張の道は開ける。」
 結局100人にも満たないこの村は建物を減少させ、材料に還元した。そしてその分を村長の家の近い所だけにして、あとを簡単に農地にしていた。こうして所得が増えればいずれ、この村にいるだけで 飯が食え、細工で生計を建てれるものが増えるだろう。まあ、いずれ、それも独立してしまうほどに人数が増えたらいいな。が小麦粉は重要でこの乾燥食品により、来年一年ぐれなくていい、上にさらにこれは万能食材である。まあ、前の南半球という話があり、ハミングバード隊にはある草の捜索を依頼している。それが”芋類”の捜索だ。芋が見つかればでんぷんがある。これは農業的にはノリの作成、建築材としても優秀だが、これで”水あめ”の作成が可能だ。甘いものができるようになる。これが大きい。砂糖の木”サトウキビ”や甘薯の発見は食生活に大きい影響を示す、実はSNSにおいてこれが懸賞金が出ているのだ。特にダンマスの間で、甘味に対する欲求が高まっている。思い出召喚があるが、新作が出ない環境だと実はこういう新味に思いをはせてしまうのだ。その為砂糖の捜索は命題となっていた。それに名乗りを上げる事にしたのだ。そこで思いついたのが”水あめ”という手法だ。これは素材が少ない。
「これで小麦粉を水で寝れば、記事になるし、窯で焼けばパンとなる。ゆでれば麺独特の触感になる。そしてそれを使った”スープパスタ”を作るぞ、あとで。」
「何だそれは?」
「美味しいの?」
「帝国から入った野菜を使った旨いものだ。タミさんに頼んで作ってもらっている。行って来てくれ。」
 モアレたちが、うれしさいっぱいに…あ、足がスキップに自然になっているな…。
「イーハ、早く来いよ。」
 実際彼は気が付いていないが、実は芋が手に入る可能性があるのはこの大森林の井原のいる領域周辺だけだったのだ。というのも、この世界には大陸が三つある。一つは勇者のいる”勇者大陸”ここは実は”かなり北の寒い地域”であり、季節が薄く、ほぼ一年変わらず荒涼としていた。が、もう一つの大陸では赤道周辺がすべて”砂漠”となっており、熱帯域に植物が一切ない。そしてこの大森林のある大陸だけは赤道周辺が山脈の影響で多分に水分を含む土地となっており”熱帯森林”となっていた。その為、芋は”特産品”扱いだった。そしてこの村周辺は熱帯から亜熱帯であり
ほどほどに暑い地域で、麦の生育にはもう少し南のメッチャング周辺のほうが優良だったが、その辺の知識は彼に無い。
「ふむ…。」
「動力は得られた。ダンジョンで使うにはまだ早いけど…。」
 ミラージェもまた感心して完成した小屋を見つめていた。これを村の強要にして、あと村の家には風呂も設置してある。
『えっと…ダンジョンを使った発電は基本”変換”目的以外には必ず赤字になる設計がなされています。また、他動力等も全部一緒です。必ずどこかに欠点があります。越えられないほどの。」
「それは本当?」
『水車小屋の精度を・・・カスタマーセンターのハーリス様がご覧になりました。』
「ハーリス?」
『ダンジョンコアのトップ。そして我らがダンジョンの助けをする支援者です。主に我々の足りない知識の検証を行い、物理現象を伴いサポートする方です。』
 コアにも上下関係があるのも不思議だが、よく考えてみたら、何回も”カスタマーセンター”にコアは問合せしていたな。
「そんなお偉いさんがいるのか…。でそいつが?」
『はい、動力を作ったなら伝えておくようにと。かなり良い出来でしたので、感心してらっしゃいました。』
「それはそうよ、建築家が測量して、寸分たがわない作りだもの。」
 これがしたくて、計算を付けてもらったのだ、コアに。
『但し、使う事で文明を壊すようなら躊躇なく…。』
 やはり依頼者は文明の進み過ぎは警戒するらしい。
「この水流を生かせないかと思っただけだ。」
 そう、上下水道を完備させるために水流を斜面で調整したため、村の直前の革の水流は今までは緩い流れだったのを、かなり急に流れるように土地自体を調整したのだ。その為この村では水が少しボタンをずらすだけで出てくる。そして、汚物はトイレに入れておけば下流にたまり、そこでダンジョンに吸収される。ダンジョンはそれをDPに変え、水にして上流に流す。
『説明しておきました。なので、要点のみを伝えました。』
「分かった。監視も決行されているのだな?」
「そうね。流石神というべきか・・・。いや…。」
『やめておきましょう。我々がいかに荘厳華美な言葉で飾ろうと、*******に対しては表示が足りず、侮辱扱いとなり天罰が来るでしょう。』
「分かったわ。」
、よっぽどあの何かは偉大だったらしい。聞こえなかった。まあ、代理者もまたそれに近いだろうが…まあ、親方日の丸だと思えばいいか…。が、目に留まるって事はまあいいって事だ。
「であとは…。」
『ミヨちゃんが進化可能となりました。』
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...