魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
74 / 1,309
第2章 村と街とダンジョンと

第74話 異世界俺ツエーの基本は散歩

しおりを挟む
「ここだ。」
 漁師たちが暇そうに日向ぼっこしている、昼下がり…。海岸は極めて平和だったが…。
「思ったより前時代だな。」
「そっか?」
 井原が不満に思うのも不思議はない。
「まず、貝塚がある。貝のごみ箱だな。」
「ああ、捨てる場所な。」
「でしかも、干物がない。」
 実は確認中だが魚は生きている息がいい状態だと”生物”であるため、ダンジョンに吸収できない。これはメッチャングの周りを回収した時にそこにストーンゴーレムを配置させ、魚を回収
刺せた時に起きた事だ。その為、刺身は”現地で裁かないと作成不可”という結論が出た。しかも料理規定の”千個登録”しないと、料理がDP登録されず、これがダンマスの内政チートに
歯止めをかけていた。その為、この干物は凄い期待していたのだが、存在していなかった。
「干物とは?」
「魚をさばいて海水につけて乾燥させると、日持ちするんだ、ハムと似た手法だ。」
「そんなこと可能か?」
「やってみればいい、最高で半年はもつはずだが?」
「分かった、伝えておく。」
「できたら、私たちとしても魚は食べてみたい。」
「知っていたのか?」
「マルワールの連中に聞いた。」
 事にした。
「だから楽しみにしていたのだ。後…、」
「なんだ?」
「そこの貝殻全部買うぞ。」
「は?」
「いらんなら全部貰っていくが?」
「いや、何に使うんだ?」
「ああいう者は珍しくてな、魔導士様と言われていただろ?研究してみたいんだ。」
「ま、どれくらいか知らんが分かった。科医は各家庭にある、どれくらい持って行くか知らんが、ごみが無くなるのはいい事だ。やってくれ。」
「分かった。急いで町長に伝えておく、少し待ってくれ。」
 急いでグリーは去っていった。
「どうするつもりだ?貝なんて?」
「貝殻は生コンに使う原材料だ。貴重な建材だ。カルシュウムで固めるから必須なんだ。そして、これは土地に撒くと肥料にもなる、かなり青物の生育が良くなる。だから欲しい。試験は
欲しいがな…。そして、チョークになる、これが大きい、今は木簡が多いそこで格安の”色付き筆記用具”は革新をもたらす。余る素材ならそれを生かすのが知識人じゃないか?」
「砕くのは?」
「石臼を魔法で作ればいい。今の精度なら機械式石臼も作れるぞ。ついでに小麦から小麦粉も作れるぞ、秋になればな。」
「あんた…。」
「旨い飯、そして建築。そのすべてが気持ちいい。」
 実際は一度田舎の建物建築に向かった際にスローライフのために呼ばれて工事した時に聞いた事だ。
「そこまでやるのか?」
「甘いものがあれば、いいのだが、まだ何かありそうなんだよな…。その為、ミヨちゃん達には鑑定を持たせ、コアに記録させつつ、”領域内の植物分布図”の作成を行っている。後動物もだ。
森はそれこそ千金を生む。自然は素材の宝庫だ。だからこそ、海と森は確保した。そこで往復するだけで金が入る。」
「ふむ…。」
「おーい。」
 遠くから声に振り替えると、グリーの声がする。
「なんだ?」
「あの荷車どれくらい詰むんだ?それでキメるとよ。後、魚の件はわかった。やらせてみる。後塩もどれくらい…。」
「塩はある程度備蓄がある、次の時には荷車2台で来よう。その時までに売りたい量を見せてくれ。殻はもてるだけ持って行く。今回はこっちでいい。なので、ある分並べてくれ、ゴーレムは
力持ちだからな。」
「分かったゴミが売れるなら、街の物も潤う。が一週間待ってくれ、集めるに時間がかかる。」
「ではそっちに戻るぞ。後ジャン、頼みたい。」
「なんだ?」
「和食の必需品。後はわかるな?」
「…ガラスはどっちに入る?」
「…重くていいなら水中メガネは作るが?」
「大方生まれてから水にそんなに潜ってないから。潜るの苦手だぞ、あと温度次第だな。」
「どういうことだ?」
「赤道の位置が分からないが、大方存在している。で昆布は北半球が多い。が、俺がこの格好でも生きていけるって事はここは南半球か、または温暖地域だ。」
 ジャンの服装は半袖の毛皮服であり、この辺一帯では基本的な衣装だ。オウル達のような繊維服もないし、また、”革”も一般的でない。これもまた商機だった。
「いや、海底の様子を頼む、場合によっては魚確保用に海洋ゴーレムの開発も視野に入れている。」
「どういうことだ?」
「空気を詰めた”中抜きゴーレム”を使い、海中探索を行う予定だが。探索の手間がかかり過ぎる、なので、開発の手掛かりとして、知識人の力が欲しい。まずはあんたの探査が欲しいんだ。」
「が、海には潜っても目を開けれんぞ。だから、できれば水中メガネの開発を頼んだ。」
「分かった。やってみよう、が温暖か・・・。」
 井原は海を見つめ…じっとその様子を見つめていた。
「潜水の練習は?」
「してもいいが、精密にはならんぞ。水中眼鏡に勝てんぞ、きっと。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...