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第2章 村と街とダンジョンと

第74話 異世界俺ツエーの基本は散歩

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「ここだ。」
 漁師たちが暇そうに日向ぼっこしている、昼下がり…。海岸は極めて平和だったが…。
「思ったより前時代だな。」
「そっか?」
 井原が不満に思うのも不思議はない。
「まず、貝塚がある。貝のごみ箱だな。」
「ああ、捨てる場所な。」
「でしかも、干物がない。」
 実は確認中だが魚は生きている息がいい状態だと”生物”であるため、ダンジョンに吸収できない。これはメッチャングの周りを回収した時にそこにストーンゴーレムを配置させ、魚を回収
刺せた時に起きた事だ。その為、刺身は”現地で裁かないと作成不可”という結論が出た。しかも料理規定の”千個登録”しないと、料理がDP登録されず、これがダンマスの内政チートに
歯止めをかけていた。その為、この干物は凄い期待していたのだが、存在していなかった。
「干物とは?」
「魚をさばいて海水につけて乾燥させると、日持ちするんだ、ハムと似た手法だ。」
「そんなこと可能か?」
「やってみればいい、最高で半年はもつはずだが?」
「分かった、伝えておく。」
「できたら、私たちとしても魚は食べてみたい。」
「知っていたのか?」
「マルワールの連中に聞いた。」
 事にした。
「だから楽しみにしていたのだ。後…、」
「なんだ?」
「そこの貝殻全部買うぞ。」
「は?」
「いらんなら全部貰っていくが?」
「いや、何に使うんだ?」
「ああいう者は珍しくてな、魔導士様と言われていただろ?研究してみたいんだ。」
「ま、どれくらいか知らんが分かった。科医は各家庭にある、どれくらい持って行くか知らんが、ごみが無くなるのはいい事だ。やってくれ。」
「分かった。急いで町長に伝えておく、少し待ってくれ。」
 急いでグリーは去っていった。
「どうするつもりだ?貝なんて?」
「貝殻は生コンに使う原材料だ。貴重な建材だ。カルシュウムで固めるから必須なんだ。そして、これは土地に撒くと肥料にもなる、かなり青物の生育が良くなる。だから欲しい。試験は
欲しいがな…。そして、チョークになる、これが大きい、今は木簡が多いそこで格安の”色付き筆記用具”は革新をもたらす。余る素材ならそれを生かすのが知識人じゃないか?」
「砕くのは?」
「石臼を魔法で作ればいい。今の精度なら機械式石臼も作れるぞ。ついでに小麦から小麦粉も作れるぞ、秋になればな。」
「あんた…。」
「旨い飯、そして建築。そのすべてが気持ちいい。」
 実際は一度田舎の建物建築に向かった際にスローライフのために呼ばれて工事した時に聞いた事だ。
「そこまでやるのか?」
「甘いものがあれば、いいのだが、まだ何かありそうなんだよな…。その為、ミヨちゃん達には鑑定を持たせ、コアに記録させつつ、”領域内の植物分布図”の作成を行っている。後動物もだ。
森はそれこそ千金を生む。自然は素材の宝庫だ。だからこそ、海と森は確保した。そこで往復するだけで金が入る。」
「ふむ…。」
「おーい。」
 遠くから声に振り替えると、グリーの声がする。
「なんだ?」
「あの荷車どれくらい詰むんだ?それでキメるとよ。後、魚の件はわかった。やらせてみる。後塩もどれくらい…。」
「塩はある程度備蓄がある、次の時には荷車2台で来よう。その時までに売りたい量を見せてくれ。殻はもてるだけ持って行く。今回はこっちでいい。なので、ある分並べてくれ、ゴーレムは
力持ちだからな。」
「分かったゴミが売れるなら、街の物も潤う。が一週間待ってくれ、集めるに時間がかかる。」
「ではそっちに戻るぞ。後ジャン、頼みたい。」
「なんだ?」
「和食の必需品。後はわかるな?」
「…ガラスはどっちに入る?」
「…重くていいなら水中メガネは作るが?」
「大方生まれてから水にそんなに潜ってないから。潜るの苦手だぞ、あと温度次第だな。」
「どういうことだ?」
「赤道の位置が分からないが、大方存在している。で昆布は北半球が多い。が、俺がこの格好でも生きていけるって事はここは南半球か、または温暖地域だ。」
 ジャンの服装は半袖の毛皮服であり、この辺一帯では基本的な衣装だ。オウル達のような繊維服もないし、また、”革”も一般的でない。これもまた商機だった。
「いや、海底の様子を頼む、場合によっては魚確保用に海洋ゴーレムの開発も視野に入れている。」
「どういうことだ?」
「空気を詰めた”中抜きゴーレム”を使い、海中探索を行う予定だが。探索の手間がかかり過ぎる、なので、開発の手掛かりとして、知識人の力が欲しい。まずはあんたの探査が欲しいんだ。」
「が、海には潜っても目を開けれんぞ。だから、できれば水中メガネの開発を頼んだ。」
「分かった。やってみよう、が温暖か・・・。」
 井原は海を見つめ…じっとその様子を見つめていた。
「潜水の練習は?」
「してもいいが、精密にはならんぞ。水中眼鏡に勝てんぞ、きっと。」
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