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第一章 流れ者の村

第39話 タワーヘッドだわさ

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 聞いてると少し怖いな、ミヨちゃん。実際魔法とDPのおかげで現在ダンジョン内で一番の強さを誇るのがこのハミングバードのみよちゃんだ。但し持久力がない。そこはやっぱりウルフェとかオウルのほうが高いが。下の改装に来るとこの作りに思い出がある。プレハブ小屋の会議室で、現場監督やっているときによく大型建築だとこういう会議室が作られる。そんな簡単な板張りと机とパイプ椅子だ。そして、その入り口に現れたのは…。
「だわさ。これはどういうことだわさ?」
 女性と形容していいが、私の異世界物語にはまともな女性がいないらしい。彼女はトサカ頭というか…。凄いヘッドだ。で全部の毛が逆立っている、タワーみたいである。そのインパクトが強すぎて。体つきはビジネススーツのせいかよくわかるが、凄いしまるところはしまる美人なんだ。但しトサカというかタワーヘッドのせいで、そのすべてを台無しにしている。
「始めまして、私がこのダンジョンのマスター。井原だ。」
「冴えない男だわさ。でもあんたが、魔王候補として強いなら、私は喜んで…交渉するだわさ。改めてよろしく。私は鳥海だわさ、鳥の楽園のマスターだわさ。」
 なんか、高速で私の異世界ハーレム終わった気がするが…。
「何の用だ?」
「わたくしはこう見えて、帝国の子爵だわさ。そしてそのついでに領土を支配してるだわさ。が初めて見たダンマスが君だっただわさ、で君にあの領土を譲るか…またはうちと不戦条約を結んで欲しいだわさ。」
「虫がいいな。侵略してきたのだろ?」
「気が付いているだわさ?領土は無限大ではないだわさ。そしてこの領域が莫大な金を生み出すだわさ。そしてこれを魔王国に取られたくないだわさ。だからこそ、君に協力をお願いするだわさ。」
「魔王国?」
『現在ランキング18位。上位ですね。上位ダンジョン”魔王国”です。』
「魔王軍とは違うのか?」
『魔王軍のダンジョンは”ネルの園”と言いまして、別です。2位のゴブリン村。3位のリューネハウス。4位から13位が楽園です。そのすべてが魔王軍に属しています。が、魔王国は属していません。』
 …魔王軍が魔王じゃないのか?が、確かにタブレットで見る魔王軍はそう書いていある。が、短絡的な人間ならこれは上位ランカーの魔王軍と勘違いする、又は裏取引を考える名前だろうそれを計算した名前だ。という事は魔王軍にある意味属しているのか?
「で、その魔王国の領土を発見しただわさ。でそれに対抗しているだわさ。その為に私は軍部大臣を子爵で勤めてるだわさ。魔王国の領土拡大を止めるべく。で、あんたと不戦条約を結ぶことで、大森林を獣の楽園にするだわさ。その為に協力して欲しいだわさ。」
「あんた…前は何だった?私は建築家だった。」
「政治家の秘書だっただわさ。その前はNGOの団体で自然保護をしていただわさ。この世界を鳥の楽園に…いや動物が安心して暮らせる世界にしたいだわさ。その為に一念発起して立ち上がっただわさ。」
「開拓民を止めるのか?」
「それは今の現状ないだわさ、アチシもわからないだけこの大森林は大きいだわさ。こう見えてあの北の山脈は抑えてあるだわさ。そこで見た感じ北側も同じくらい広いだわさ。見渡す限り森だわさ。その中において、出口はこの町と、4つの町々だけだわさ。その街を抑え、帝国領を名乗ることで私が自然の楽園を守るだわさ。だから協力して欲しいだわさ。」
 これは交渉として、時々ある理想を語って満足するパターンだ。
「あんたは私が東への領域拡張をあきらめる代わりに何を出す?」
「この身と言ってあげたいだわさ。けどダンマスの命なんてそんな高くないだわさ。だから、帝国での市民証だわさ。そして、うちらはこの帝国の国境ラインを維持して…できれば井原にその一端を担って欲しいだわさ。」
「どこを?」
「メルトヴァだわさ。ここは南から数えて2番目の町だわさ。この南にもう一個大きな町”メッチャング”と呼ばれる街があるだわさ。北の二つの町と奥の8の村落を合わせて国を作っているだわさ。そこに参画することで線ができるだわさ。後は領域で線引きすれば隣接しないと取得できないダンマス領域だから安全に西側を確保できるだわさ。」
「ふむ…私は建築をしたいだけだ。国を取る国盗りに興味はない、生産系ダンマスだからな。」
「その割に領域がいっぱいだわさ。」
「ああ、建築用地が欲しいから回収していただけだ。それにメッチャングという町は誰か支配しているのか?
「まだ侵攻中だわさ。こっちは早く戦闘を終わらせて、魔王国対策をしたいだわさ。」
「…不戦条約でいいな?書面は?」
「木簡があるならお願いするだわさ。」
 ダンジョンにおいて約束はコアが記憶するのだが、それをお互い証明するものがない。
「割符を作る。掘って、お互いが持つ、それでいいな。」
「割符?」
「ああ、古代ではよく割符を使い、特殊な形状に切った木を契約締結の証として用いた。この細工が起源でカギとかで来たという説がある。だから覚えていた。こういう時はこれを。」
 さっと差し出したのは木の板だ。
「これを割る。それに文章を書いておくことで、これを持つお互いがこの契約を締結した証とするって事だ。ダンマスだからコア同士で記憶してもいいな、いいか?」
「分かっただわさ、コアが知らぬ存ぜぬしてもいいように割符も…やり手だわさ。」
 不戦条約自体はありがたい。流石に頭がいいようだ、さすが政治家秘書。一発で目的を理解しやがった。そして騙す気もあった。
「では書いておく。」
 そう言うと腰の工具ボックスから油性ペンを取り出す。工事の祭に測った場所に目印を撃つのに使うため、工具ベルトに入っている。それで、日本語でサラサラ文章をを書いていく。 鳥の楽園と、井原建築事務所間で不戦条約を締結するって奴だ。
「…金持ちの上に油性ペンがあるだわさ…。油性ペンなんて思い出召喚に無かっただわさ。」
「私は建築家で、バミるのによくペンを使っていた。仕事の相棒だ。」
「流石だわさ、それだけでも。すごいだわさ。できれば清い隣人でありたいだわさ。お互い不戦条約だわさ。」
 隣り合うダンマス通しが戦う必要もない。
「後、できればマルワールの民がうちらを襲わないようにしてほしいだわさ。できれば、そうでないと侵攻しないといけないだわさ。」
「…あの盗賊団、私が退治しないといけないのか?」
「謎の白い剣を持っていて、それが強いと聞いただわさ。その為現在材料も探してるだわさ。皇帝から問い合わせが凄いだわさ。」
「ああ、あれはあいつらの前の領主がうちらから買った武器だ。私のところで開発した”井原化工の剣”だ。」
「さらっと独自製法きただわさ。」
「ああ、中身は普通の鉄の剣程度だ、少し柔らかいが、軽いのが売りだ。気にするな、鉄器がないのか?」
「当然だわさ。木の棍棒がうちらのメイン兵器だわさ。鉄の剣なんて…魔王国であるかも不思議だわさ。」
 あ、これやらかしたわ。木の棍棒がメインで、銅の剣並みの切れ味の”大理石コーティングの剣”はそれこそ、時代の先取りしすぎた。しかも木刀並みに軽いんだ。
「じゃあ、これはまずいか…。」
 腰から抜いて出したのは自分が愛用している、”黒曜石のナイフ”だ。
「この黒いのは?」
「鋼鉄並みの硬度を持つ、黒曜石のナイフだ。」
 なんか、顔が唖然としてやがる・・。
「そんな危険兵器持ち出されたら、アチシの軍隊大負けするだわさ。人間同士ではレベルだけじゃなく武器もちゃんとした勝敗ラインだわさ。その観点では全く勝てないだわさ。挑まなくて良かっただわさ。」
 勘もいい感じなんだな…外見除いて。
「そう言うものか?」
「それ、勢いつければ木の棍棒がぶった切られるだわさ。」
 本当に怖いのは、現代においてさえこの黒曜石の精密加工はできていないって事、魔法とダンジョン限定だ。
「なら…。」
「ついでにもし管理していないんなら、あそこを管理して欲しいだわさ。討伐の為に戻るは面倒だわさ。ついでに南は…。」
「仕方ない…私が行く。行きたくないがな。そして私はその二つの町だけで、奥はまだいるかもしれないダンマスの為に取っておく。それでいいな?」
「分かっただわさ、隙間は…とって置くだわさ。任せただわさ。というよりも井原。」
「なんだ?」
「うちより強いダンマスなんだから、もっと威張るべきだわさ。」
「たまたまだ。本当にな。私の建築技術が時代にはまっただけだ。」
「その時代の流れに乗りたい人間は政治家で死ぬほどいるけど、乗れた奴はいないだわさ。その辺を覚えておくといいだわさ。あんたは強い。」
 真剣な目で見つめる鳥海は…。
「また、呼ぶと言い、武器防具を作って売るぞ、特産品に皮鎧もあるからな。」
「それはいい事聞いただわさ。とりあえず、運送の話だけどうにかしてまた来るだわさ。とりあえず、今度は帝国のお土産もって来るだわさ。」 
 そう言うと係員の一人が出入り口に立つ。それに伴い、オウルが、出入り口に立つ。終わりの合図だ。
「また会おう、清き隣人よ。」
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