魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第一章 流れ者の村

第16話 命を懸けたプレゼン

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 そして、夜は2Fの改装を行い、昼は木を切って材木を作り、六日の日々を過ごした。但し木材の要求は15本で22万DPとなり、部屋もどうにか9部屋接合で1kmの敷地になり村ができる大きさとなった。階段から奥は土魔法で迷宮を作り、そこをモンスターを生産して追い払うことにした。プライベートエリアまで来て欲しくない。が、そこにはコアを置くだけで基本はこの1Fにある村で暮らすつもりだ。と言っても家は大体アフリカの土づくりの家を参考に作った家でそこまで大きくない。が、それが20件ほど通りにある。十分だろう。カマドもあり、台所もある。私の家には大理石を使うつもりだが。この石作成と石硬化、便利だな。
「来たぞ!・・・なんだぁ!」
「お姉ちゃん!これ。」
 モアレ達二人が入ると、そこは広々とした、…そして家が土でありながら建築された。廃墟みたいな形となっていた。
「よく来たな。待っていたぞ。」
「前来た時は、こうなって無かったぞ。」
「ああ、いろいろあってね、資材が手に入ったからね。作ったんだ。で…君たちだけだね?」
 当然前後は確認した。来ていない。
「ああ、あの斧が来てから村人は無我夢中で木を切ってるよ、生活圏が広がるからね。後、燃料も。」
 確かに乾燥木材から、薪も作れる。そう考えれば、切れる斧は十分な宝か…。
「でだ、どうだった?あの獣は?」
「ああ、村のみんなはそれは手を叩いて喜んだ。流石に…お前の放ったとは言えない。それが欠点だ。」
「言わなくて正解だ。そして…。」
「ああ、数体見かけた。この辺に住んでいる獣だったのか…。」
 そう考えるのが普通だ。
「君たちには協力して欲しい事がある。」
「なんだ?」
「この建物に村のみんなを引っ越しさせてほしい。ここは獣の狩場が近く、建物もある。そしてそこには水場もある。」
 指さしたところには川が流れ、ゆるい傾斜で水を流している。水魔法を買ったことにより緩やかながら、川が作れるようになり、各建物に上水道を通してある。屋根から水を流して、地下に水を流し、水路で流し込み、そこをダンジョンに回収させる。その生活排水をいずれ水分を取って肥料にしてそれを売れないかと思うが、その知識がないんだよな…。建築は得意でも農業は苦手だ。確かに施主にはそう言う”農業付き一戸建て”の希望が多くてその勉強もしたが、その辺は全部専門家にぶん投げてた。
「確かに…でもなんで村にそこまでする?」
「…それがこれから話す内容だ、こっちに来い。」
 指差した先はアフリカ式私の家だ。

「これは…。」
 DPが余るようになると、床に大理石プレートを作り、張ることができる、水を使えば”水圧研磨”できるので建築学を共有しているダンジョンコアは水を使い研磨を行い、大理石の輝くような冷たい床が成立した。これは布や皮で拭けばすぐにきれいになるので、価値が高い。また重いので盗難の危険性も少ない。そして何より私が一度は作ってみたかった。総大理石床の建物だ。但し、イスはない。机もない。絨毯もない。すっごい冷たい。なので、狼の姿でも夏でないと腰を冷やして寝にくいのである。二日目でちょっと後悔した。よくペットが大理石でうずくまって寝てるというが、あれ、寒いからか…。
「私の家だ。そしてこれが私の能力だ。」
「凄いよ、凄いよ、お姉ちゃん。やっぱりイーハは!」
「黙ってろ。イーハ、話とは?」
「ああ、私はあんたらにここに住んでもらい、その代わり色々建築の手伝いをしてほしい資材を集め、こういう家を作るのが趣味だ。ただしこの能力が元で私は追われた。」
「この能力…。」
「ダンジョンマスターという能力だ。で、これは一度場所を決めると、ずらすことができない。で、君たちにここに村人を誘導して欲しい。」
「この斧は?」
 手に持った小さい斧だ。
「これはダンジョンマスターの能力で作った斧だ。まあ、土魔法でもできるんだろうが…。その形にはならない。」
 レベルが上がればいずれはできるだろうが…。
「…すごいんだな…ただし動けないのか…。」
「ああ、展開中は動けない。」
「凄いね、お姉ちゃん、家も水も?」
「ああ、魔法を使い取り寄せてる。」
 水は治水には水魔法が欲しく…というのも、水を流すのには水魔法が欲しいのであって。元の水を生産して流してはいない、村にある川からもらった水を流しているのだ。なのでこれには原資の水が欲しい。
「凄いな…でもこれは…。神の御業か?」
「そう言っても過言ではないな…ただ…。」
「ああ、これは…まずい。」
「お姉ちゃん?」
「これを知ったら大方、村が暴走する。」
「何となくあの様子で理解できる。」
 極限状態であり飢餓状態の人間がこれを見たら、しばらくむさぼりつき…。そして、独占を考えるだろう。きっと村長は…。
「村長は強い、ああ見えて村一番の腕っぷしだ。」
 だろうな、…男たちの中でひときわ腕が太かった。だから村長であり、いくら私が黒曜石のナイフを持っていても…吹き飛ばされれば一瞬だろう。
「…でも…。」
「分かってる!、分かってる!…わかってる。…わかってる。」
 徐々にモアレの声に勢いがなくなっていく、この建物があれば飢えもないだろう、獣の傍ならきっと餌場もある、生活が楽だ。けど村長のあの様子では発展どころか奪って終わりだ。
「気に入らないのか?村長が。」
「気に入らないが、年老いた父も母も一緒だ。それにここは斜面だ。ここまでくる体力がもう、村人にあるか…。」
 確かに飢餓に近い状態の上、獣しか食べ物がないこれはもう極限状態に近い。パークボアは放ったが、補充は考えていない。強いて言えば下のダンジョンにスポナーを置いてそっちで管理したい
が、大方ダンジョンは狩猟に合わない。こっちも向こうも足りない者が多すぎるのだ。
「ここまでけもの道だから、人を連れてなんて、狩人以外無理。」
「ポアンも?」
「うん、村で狩人してる、」
「これでも私より弓の腕はいいんだ。」
「へぇ…。」
「だから一緒に来ている。私が囮でポアンがとどめだ。」
「でもどうする?」
「村はどうなってる?そして。君たちはどうしたい?」
「…。私達か?」
「私は村で平和に暮らしたい。お姉ちゃんは?」
「森の中は危険だ。そして交流も断たれている。だから、村がいくら大きくなろうが、発展性はない。この奥は…。人の国家があると思うか?」
「断言できる。無い。」
 これは用地選択の際に神様に聞いた内容だ。大陸は未開拓の土地が9割存在しているように作られている。この森より東はすべて・・・強いて言えば北側に半年行けば城があるかもしれん。が、そこまでだ。そこまで未開地が多く、この大森林は大陸を覆っている。7割は覆っている。あと2割の未開地が北部の山脈だ。だからこそ、いや、ダンマスならいるかもしれん。一応この奥でも数か所はダンジョン発生可能という選択可能地形があった。但しそこのどこからでも遠くに…ある土地に私はダンジョンを建てた。現在は一応測定しているが南も2か月かかる箇所に平原がある。なので、そこでようやく日の目を見るのだ。が、それは…そして討伐帯が来る事態は避けたい。それが第一だ。
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