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第一章 流れ者の村

第12話 初めてのダンジョンバトルは誰のため?

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 そこで聞いたのは、逃げた理由も微妙なら…神様を恨みたくなる村の現状だった。村は元々もっと南の森林の入り口にある”開拓村”だったが、そこに木々が取れるようになると、王国は重税を課し、周辺の村々をそれこそ食えなくなるまで税金を課した。そしてその話を聞いた開拓村の人間は王国に殺されるくらいならと大森林という秘境に村を作る決意をする。それがあの”流れ者の村”だった。とりあえず川があり近くに水を飲みに来る獣を狩っていたがそれも激減。その為、狩人だった者が周辺を探索するものの、この辺の動物は数がもともと少なかった。なので、困窮の極みにあったという。南に戻るにしても、今は春先・・・私が転生したのが春だったのか…。なので、その逃げてきた一人の人間は村の起死回生の一発だった。
「だから逃げろと。」
「どうして逃げろと?」
「王国とやってる事が変わらん。そんなのはおかしい。が、生きてる。だから村の不満がお前に行くと思った。」
「お姉ちゃんは止めたんだけど、みんなが行くって。」
 結構優しい子だな。不器用だが。
「君たちは協力者になってくれないか?」
「…何のだ?」
「この私のだ。」
「生きて行けるのか?」
「…そうだな…覚悟した。コア!」
『は!』
「ダンジョンで作ったモンスターを与える事は可能か?」
『いいえ。ダンジョンはモンスターの生命に関する重大な違反命令をこなすたびに全員の忠誠度が下がります。なので、できません。』
「何を言っているんだ?それにこの声は?」
「お姉ちゃん。怖いよ。」
「…なら…。二人とも…離れろ、そして、覚悟してもらう。構えろ。」
「急に何を!」
「私がその”利”をくれてやる。その代わりお前たちは私に協力しろ。パークボアを購入!この二人の侵入者に襲わせろ!」
『了解しました。』
 声とともに部屋の奥から…コアルームから…。一体のイノシシが現れる。これがパークボア。額に角みたいなコブを持ち…後はちょっと小さなイノシシだな。
「これは!」
「イノシシだ。やれ!」
 イノシシは興奮状態で二人を睨みつける。
「…。ポアン、横を取れ。私が支える。」
「分かった。お姉ちゃん!」
 言葉にモアレが武器を捨て、パークボアの体を正面から抑え込む。そして、ポアンがそれで動けなくなった隙に首にナイフをえぐり込む…それも何回もだ…初めてだ。生きていて。それは本当の狩りだった。ゲームではよく狩りもする。がTRPGで狩りが無いのはもしかして都会人だから、こういうのが苦手なのかもしれないって、今そう思った。それ位これはインパクトがあった。
「回収は…」
『魔石のみします。』
「魔石?」
『モンスターの魂みたいなもので。物体化しています。この魔石の有無がダンジョンモンスターとそうでないかを分ける存在です。』
「そうなのか…。」
 そうこうしている間にパークボアは息絶え…動かなくなった。私も狼だから本当はこういうのが主食なんだよな…。
「…これはお前が…放ったのか?」
「お姉ちゃん、これがあれば…。」
「肉は持って行け。骨と…。」
「皮もくれると嬉しい。村で使う。」
「後石も置いて行け。」
「…ここで解体していいか?」
「外でしてくれ。終わったらこっちにこい。」
「…わかった。」
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