魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
5 / 1,309
第一章 流れ者の村

第5話 家を建てる基礎はまず素材の確保

しおりを挟む
「決めた。いでよ!ピーコック!」
「ぴぴー!」
 出てきたのは自分の手に乗るかどうかぐらいの小さな鳥だった。それがコアの目の前から現れた、一応このタブレットの前とかも可能だ。但し、ダンジョン関係者以外に見られているところでは召喚不可能だ。
「どうしてこれを?」
「偵察部隊をまとめるボスであってほしいし、私と一緒のウルフじゃまずい。フェンリル×2とかそう言うのを好まない、いずれ作るだろうが…。そこで賭けに出てみるし、後悔もしない。」
「ピピピ―!」
 小鳥もうれしそうだ。跳ねて喜んでいる。
「早速、結構高いが、ピーコックを30体召喚。」
「先にユニークとなる第一の僕に名前を。」
「ピピ?」
「そうだな、…いい名前が思いつかないが…。」
 ふとこの声の高さにある名前が思いつく、アニメのあまり気配の薄いヒロインの事を思い出した。
「そうだな…。ミヨ。ミヨちゃんでいい。」
「ピピピ―!」
 かなり嬉しいらしく跳ねて喜んでいる。
「名前は後で変える事が可能か?」
「一応、可能ですが基本種族変更時になさった方がいいかと。で、どうしますか?」
「ああ、この子達はまず、周辺を探ってきて欲しい。で特に西側を探ってきて、正確な村の方向を探って欲しい。」
「ピピピ―!」
 嬉しそうに小鳥たちが30羽、ダンジョンから飛び立っていく、まずは村を探し出し、そこをダンジョン領域にすることで村に私が入れるようにしないといけないが…。
「あと、やることは…道具がチャ…。」。
 実は思いっきり計算外だ。これは…。思い出召喚があり、機械はともかく工具は思い出で召喚可能、あと食事も可能だった。が。高いとは思わなかった。
「そうだ、聞いておきたい、レベルアップはどうやる?」
「この世界での経験値は”経験”を数値化したものです。なので、仕事すれば自動的にレベルアップします。但し仕事を与えて行かないと、大抵…10ぐらいのレベルで終わります。その位経験値は日常だけだと育ちません。主に戦闘を行い勝利する事でも溜まります。なので、そちらをお勧めします。」
「それは神に聞いた、ダンジョンの方は?」
「ダンジョンのレベルアップはダンジョンを使い、設計し、そして費用を使っていただくとレベルアップします。…えっとちょっと確認中です。えー。すいませんがレベルアップ可能です。」
「え?」
「残DP4300DPですが、うち2000を使えばレベルアップ可能です。どうも最初の”事前知識”のDP消費がダンマスになってからのDP消費扱いとなっており、レベルアップが可能です。」
「保留する。」
「残4300DPです。」
 流石有能秘書だが…。さてあと1200…大方数キロではないと思うので、まずは村に行く。そしてログハウスを建てるのが目標だな。
「まずは外に出る。様子を見よう。」
 外に出るとそこはうっそうとした森で、…密林の真ん中といった風情だ。が、これを10mの幅で、直線に1km買ったので、直線にしか進めない、今後も進めない。重要なのが人手とモンスターって事になるが、実は事前情報である程度目星をつけたうえで、この立地にしている。というのも、ある程度の村があり、そして”その村がほぼ孤立している”という極めて特異な地形だ。さらに森林の奥地という事で、少しくらい伐採しても何の文句も来ないが、もっと手前の問題だ。
「木を切ることができない。」
 本当の予定は工具を召喚して。早速ログハウスを作り、ここに彷徨ってきたことにして村人と交流し、建築家として生きる。そしてその人々をダンジョンを紹介して、来てもらい、経験値を稼ぐという者だ。が、ノコギリでさえ40万DP、鋼鉄の斧が220万DPと高額で建築工具を出すことさえできない。となると、…あれ?
「これは?」
「鉈ですね、古い。」
 そう言えば思い出召喚は記憶にある物を…ってこれはあれか…。一度林間学校行った時の山の中での奴か…。確か、その時の体験学習のおっさんが見せてくれたのが、道なき道を歩く時用の鉈で、結構おんぼろだったのを思い出した。

古いおじいさんの鉈 4200DP

 高いが現実的だ。これで木を切ろう。が、100DP一応、一日一マス10DP稼げるものの、一日100DP…。死ななければいいな…。
「この鉈を購入。」
 ポロっと出てきたのは古いが重い鉈だった。これがあれば山の中を工事無しで進める。近くの…太い木はだめだろうが、細いのなら…。近くの細木を、鉈を振るい、傷をつける。…数か所切れ込みを入れれば行けるな…力作業系のモンスターがいないのがここにきて響くとか…。仕方ない。エルフチャイルドで労働させるか?悩ましいぞ。とりあえず一本切ってみる。

コンコンコン!

 斜めに切れ込みを商法に入れていく、小野田と一発でいいのだが、肉厚なだけのこの鉈だとこうやって二か所に切れ込みを入れ…これくらいでいいな。後は後ろに回り…。

ズシン、ズシン、ズシン。

 後ろから全体重で蹴り飛ばす。そしてしばらくすると…木が折れ、ダンジョンのある方に倒れる。これで、あとは枝を鉈で打ち払って…。
『ダンジョンにその枝と木をスキャニングしますか?』
 突然、地面に置いたタブレットがうなりを上げる。
「出来るのか?」
『はい、売却もできます。売却により、枝で1DP,その大きさの木で15DP手に入ります。木は生命扱いですのでおられると死骸としてカウントされます。』
「草もか?」
『はい。これらをダンジョンデータから抹消するとさらに15DP貰えます。』
「何だ?その機能は?」
『これらの木々を他のダンジョンコアに売却することで、他のダンジョンと融通できるアイテム化することになり、他のダンジョンでの建築価格がその分下がります。その曽材としてそれを売却します。』
 じっと今倒れた木を見ている。確かにこの木は細く、ログハウスには向かない。
「なら頼んだ。それと、あのタランテラも販売できるか?」
『可能ですが、あれはスキルオーブの欠片にもなります。なので売却はおすすめしません。』
「そのスキルオーブの欠片とは?」
 この情報は聞いたことなかったな。
『ダンジョンにあるアイテム等を”詳細鑑定”することで欠片からスキルオーブを作成できます。但しこの作成後に”スキャニング”で登録消失しますと、スキルオーブア生産可能になります。こうしてスキルを味方に入れる事で、モンスターを強化できます。また、こうしてスキルオーブを手にした時はチュートリアル2段階目の条件を満たします。』
「なら、そのタランテラを”詳細鑑定”してくれ。どのくらいかかる?」
『私のコアの力ですと一〇日ほどかかります。レベルアップすれば高速化可能です。他の作業と併用できます。』
「では、始めてくれ、予定はあるか?手に入るスキルの?」
『はい、LV成長と毒牙です。』
「…解説頼む。」
『LV成長はレベルが上がりますと、成長が加速しステータスが上がりやすくなります。モンスターの場合更に身長や体重も上がります。スキルレベルによりさらに加速ずるようになります。また独牙は、牙スキルの亜種で。牙に必ずVITの値を減らしてウィルスに感染させます。大抵はひどい痛みを伴います。また持続的にダメージを与える”持続ダメージ”効果を相手に
与えます。』
「ガチャモンスターにはそう言う目的もあるか…。」
『この機能はこだわりモンスター作成用のツールです、モンスターは持っているスキルや能力に応じてモンスター名や進化先が変更されます。なのでスキルはできるだけモンスターに与えてまた、慣れさせていきましょう。』
「私もモンスターだよな?」
『はい、その通りです。但し毒はマスターにおすすめしません。』
「何でだ?」
『ユニークと触れ合う際にその毒の匂いだけでも悪影響を与えかねないからです。生き物に効く毒という事は、自分のユニークモンスターにも効果があります。また自分を引っ掻いてもその効果は発動するので、事故が起きる可能性があります。』
 かゆくて引っ掻いたら、毒にかかるとか、牙だと・・キスして触れたモンスターが毒にかかりかねないって事か。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...