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第五十話 オーストマンシャ領
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あれから俺たちは、二週間の準備期間に入った。
まあ、準備と言ってもほとんど金集めだな。とにかく商店を動かし続けて、領地経営に必要な資金をかき集めたのだ。これ以上、コンマーレさんの金を勝手に使うわけにはいかないから。
ただ、金策と言っても、肉の特売のようなことは中々出来なかった。
あれ以降肉が仕入れづらくなったのだ。カッツァトーレからも、森の獣が減りつつあるから、狩りに出る回数を調整するように言われている。通常価格で売る分には問題ないが。
二週間経とうとも、タイタンロブスターの勢力にこれと言った動きはなかった。
タイタンロブスターは元来長命な種族で、時間の感覚が人間よりもルーズなのだろう。すぐに仕掛けてくることはないのだ。
沿岸部では、常にコストーデとウチェリトさんが警戒してくれている。
戦力としては申し分ない。斥候程度ならばあの二人で壊滅させられるはずだと、プロテリアが言っていた。俺が心配するようなことはないだろう。
今日はこれから、現領主と会合の予定だ。既に手札も用意してある。実はもう内部に根回しをしてあるし、俺が治めようとしているのはマーケットから沿岸部を含む領地の一部で、全てを頂こうという話ではない。向こうも、この話には必ず乗ってくるだろう。
何より、民衆の勢いがこちらに来ている。現領主が治める地域は意外にも広大で、普段マーケット付近にはあまり顔を出さないのだ。そのため、商人を中心とした自治集団が存在する。
何を隠そう。俺が最初に取引をした、八百屋の婆さんがこの集団で副会長をしているのだ。そのつながりから、俺は自治集団でもある程度顔が利くようになった。
それに、現状の商人で、俺の発言を無視できる者はいない。少なくともこのマーケットには。
「エコノレさ~ん! お迎えの方が到着したみたいですよ! 準備ができたら玄関まで来てくださ~い!」
表からアラレスタの呼び声が聞こえる。彼女は精霊の代表ということもあって、現領主とも面識があるのだ。内部への説明はほとんど彼女にお願いした。
俺は外へ返事をし、部屋を出る。正装なんてものは持っていないから、実家から持ってきた学者服を着こんでいた。長い髪も印象が悪いだろう。使い古した輪で結び、前髪は癖を直して目元が見えるようにする。
正直、相手は格下だ。向こうには快諾の署名をしてもらうだけで、この周辺地域は実質俺の支配下にある。しかし、それでも礼節を怠るわけにはいかない。俺はまだ若輩の身で、向こうは領主になるべくして育てられた人間なのだ。土俵が違う。
思えば、俺は幼少期から領主になるための教育は受けてこなかった。
語学や算術、歴史に魔法学と、あらゆる知識は全て書庫で身に着けたのだ。父や家庭教師からものを教わったことはない。
そう考えると、はて、領主になるべくして育てられた人間と、俺は正しく接することができるのだろうか。いわば独学とも言える俺の会話術で、彼と今後の良い関係を築くことができるのだろうか。
そんなことを考えつつ表へ出ると、普段の快活な笑顔でアラレスタが迎えてくれた。
いつもおろしているウグイス色の髪も、今日は俺と同じく後ろに結んでいた。前髪が少し湿っているのは、今朝の寝癖が凄かったからだろう。
「あなたが、超新星と謳われる大商店の長ですね。お初にお目にかかります。私、このオーストマンシャ領を治める領主アヴィチェリダ様の執事をしております。マジョルと申します。本日は我が主との面会、ありがとうございます」
馬車の隣に立つのは、白髪を短く整えた老齢の執事だった。この国にしては珍しく、俺の学者服とも似たようなデザインの衣装を身にまとっている。普段見かけるような、通気性の良さそうな服ではない。
「初めまして、俺の名前はエコノレ。こちらはアラレスタです。こちらこそ、わざわざ馬車まで用意していただきありがとうございます」
軽い挨拶を済ませ、俺たちはマジョルさんの勧めるままに馬車へ乗り込んだ。
夏場は日差しが熱く多湿なこの国の気候に合わせ、窓は斜めの木がいくつも並べられた作りになっている。外は見えずらいが、馬車が走り出すととても涼しく心地いい。故郷の馬車よりも、こちらの方が俺は好きだ。
執事のマジョルさんは馬の扱いもできるそうで、今は御者を買って出てくれている。
本当は会合について少し打ち合わせをしたかったが、まあこれも良いだろう。アラレスタと事前準備は済ませている。何も心配することはない。
コンマーレさんの家を覆う森を抜けると、遠くにマーケットの巨大な壁が見える。
どうやら、商業区からはかなり距離があるようだ。住宅区も素通りし、田んぼが広がる農業区の真ん中を走っている。
実家では麦のにおいが漂ってきていたが、ここではまだ若い稲とそれを肥やす馬糞のにおいがする。あまり良いにおいではないが、これが数か月後には米となり、我が商店に並ぶのだと思うと、このにおいも悪くはない。
それと、景色を見ていて気付いたこともあった。俺の故郷とは季節が反対なのだ。
エコテラの知識で知ったが、仮に俺の故郷を北半球とした場合、このアストライア大陸は南半球に位置するのだろう。これから寒くなる季節と思ったが、草木や動物たちは勢いを増すばかりだ。肉の仕入れも、そう遠くないうちに改善するかもしれない。
今日は雲も少なく、日中から農作に励む農家さんが多い。窓から外を見ると、俺の商店に商品を卸している農家さんもチラホラ確認できた。
こうして農家さんと繋がりができたのも、本当に良かったと思う。
……そうこうしているうちに、どうやら目的地に辿り着いたみたいだ。
景色はかなり変わっている。森を一つ抜け、マーケットの付近よりもさらに漁業が盛んな土地。領主アヴィチェリダのいる町だ。
馬車は町の門をくぐりそのまま大通りを通っていく。
ここは住宅地がとても多く、人通りも激しい地域だ。いったいどうやって、漁業中心のこの町を反映させているのか。領地経営に関しては少し興味がある。
「到着いたしました、ここが領主アヴィチェリダ様の屋敷でございます。お二方、馬車酔いなどは起こしていませんか? ……大丈夫そうですね。では参りましょう。ここからは徒歩になります」
見上げるほども大きな屋敷だ。この国の建築技術でここまで出来るものなのか。
恐らく、籠城を目的とした構造だろう。素人目にも、外部からの侵攻に対して迎撃する設備が揃っているように思えた。
「……ここは錬兵場も兼ねているのですか? ただの屋敷と言うには、少々物々しいような雰囲気があります。少なくとも、済むためだけの建物ではありませんよね。それにしては人の気配が多すぎるし、武装の類も整っているようです」
アラレスタの疑問はもっともだ。彼女が聞かなければ、俺がマジョルさんに聞いていた。
あまりにも道が入り組んでいる。馬車の入れないような通路があったかと思えば、今度は横並びに三台馬車が通れるほどの通路が出てくる。およそ普通の構造ではない。
「アラレスタ様は、こちらにお越しになるのが初めてでございましたね。ええ、錬兵場も兼ねておりますよ。この町は他の領地にも兵を出すほど、精強な兵隊を揃えておりますから。もちろん、他国や魔獣から攻められることも考慮した設計になっております」
なるほど、兵を他の領地に貸し与えているのか。通りで。
あまりにも民衆の就職先が少なそうだと思ったのだ。この近くは森におおわれていて、畑もマーケットに比べれば小規模なものである。だが、兵士を排出することで財源を確保していたのなら、納得できる。
「ということは、これからお会いするアヴィチェリダ殿もお強いのだろうか。何分、俺はただの商人ですので。荒事は避けたいのです」
「ハハハ、心配いりませんよ。領主様は寛大なお心をお持ちです。それに、如何に精強な兵を持っていようとも、精霊に手を出そうという人間はおりません。返り討ちに合うのは、この国の歴史が幾度も証明していますから。……と、そんな話をしていたら、着きましたよ。面談室になります」
執事マジョルは、ひとつの部屋の前で立ち止まり扉を勧める。
俺は一度深呼吸し、その大きな扉に四回ノックした。
まあ、準備と言ってもほとんど金集めだな。とにかく商店を動かし続けて、領地経営に必要な資金をかき集めたのだ。これ以上、コンマーレさんの金を勝手に使うわけにはいかないから。
ただ、金策と言っても、肉の特売のようなことは中々出来なかった。
あれ以降肉が仕入れづらくなったのだ。カッツァトーレからも、森の獣が減りつつあるから、狩りに出る回数を調整するように言われている。通常価格で売る分には問題ないが。
二週間経とうとも、タイタンロブスターの勢力にこれと言った動きはなかった。
タイタンロブスターは元来長命な種族で、時間の感覚が人間よりもルーズなのだろう。すぐに仕掛けてくることはないのだ。
沿岸部では、常にコストーデとウチェリトさんが警戒してくれている。
戦力としては申し分ない。斥候程度ならばあの二人で壊滅させられるはずだと、プロテリアが言っていた。俺が心配するようなことはないだろう。
今日はこれから、現領主と会合の予定だ。既に手札も用意してある。実はもう内部に根回しをしてあるし、俺が治めようとしているのはマーケットから沿岸部を含む領地の一部で、全てを頂こうという話ではない。向こうも、この話には必ず乗ってくるだろう。
何より、民衆の勢いがこちらに来ている。現領主が治める地域は意外にも広大で、普段マーケット付近にはあまり顔を出さないのだ。そのため、商人を中心とした自治集団が存在する。
何を隠そう。俺が最初に取引をした、八百屋の婆さんがこの集団で副会長をしているのだ。そのつながりから、俺は自治集団でもある程度顔が利くようになった。
それに、現状の商人で、俺の発言を無視できる者はいない。少なくともこのマーケットには。
「エコノレさ~ん! お迎えの方が到着したみたいですよ! 準備ができたら玄関まで来てくださ~い!」
表からアラレスタの呼び声が聞こえる。彼女は精霊の代表ということもあって、現領主とも面識があるのだ。内部への説明はほとんど彼女にお願いした。
俺は外へ返事をし、部屋を出る。正装なんてものは持っていないから、実家から持ってきた学者服を着こんでいた。長い髪も印象が悪いだろう。使い古した輪で結び、前髪は癖を直して目元が見えるようにする。
正直、相手は格下だ。向こうには快諾の署名をしてもらうだけで、この周辺地域は実質俺の支配下にある。しかし、それでも礼節を怠るわけにはいかない。俺はまだ若輩の身で、向こうは領主になるべくして育てられた人間なのだ。土俵が違う。
思えば、俺は幼少期から領主になるための教育は受けてこなかった。
語学や算術、歴史に魔法学と、あらゆる知識は全て書庫で身に着けたのだ。父や家庭教師からものを教わったことはない。
そう考えると、はて、領主になるべくして育てられた人間と、俺は正しく接することができるのだろうか。いわば独学とも言える俺の会話術で、彼と今後の良い関係を築くことができるのだろうか。
そんなことを考えつつ表へ出ると、普段の快活な笑顔でアラレスタが迎えてくれた。
いつもおろしているウグイス色の髪も、今日は俺と同じく後ろに結んでいた。前髪が少し湿っているのは、今朝の寝癖が凄かったからだろう。
「あなたが、超新星と謳われる大商店の長ですね。お初にお目にかかります。私、このオーストマンシャ領を治める領主アヴィチェリダ様の執事をしております。マジョルと申します。本日は我が主との面会、ありがとうございます」
馬車の隣に立つのは、白髪を短く整えた老齢の執事だった。この国にしては珍しく、俺の学者服とも似たようなデザインの衣装を身にまとっている。普段見かけるような、通気性の良さそうな服ではない。
「初めまして、俺の名前はエコノレ。こちらはアラレスタです。こちらこそ、わざわざ馬車まで用意していただきありがとうございます」
軽い挨拶を済ませ、俺たちはマジョルさんの勧めるままに馬車へ乗り込んだ。
夏場は日差しが熱く多湿なこの国の気候に合わせ、窓は斜めの木がいくつも並べられた作りになっている。外は見えずらいが、馬車が走り出すととても涼しく心地いい。故郷の馬車よりも、こちらの方が俺は好きだ。
執事のマジョルさんは馬の扱いもできるそうで、今は御者を買って出てくれている。
本当は会合について少し打ち合わせをしたかったが、まあこれも良いだろう。アラレスタと事前準備は済ませている。何も心配することはない。
コンマーレさんの家を覆う森を抜けると、遠くにマーケットの巨大な壁が見える。
どうやら、商業区からはかなり距離があるようだ。住宅区も素通りし、田んぼが広がる農業区の真ん中を走っている。
実家では麦のにおいが漂ってきていたが、ここではまだ若い稲とそれを肥やす馬糞のにおいがする。あまり良いにおいではないが、これが数か月後には米となり、我が商店に並ぶのだと思うと、このにおいも悪くはない。
それと、景色を見ていて気付いたこともあった。俺の故郷とは季節が反対なのだ。
エコテラの知識で知ったが、仮に俺の故郷を北半球とした場合、このアストライア大陸は南半球に位置するのだろう。これから寒くなる季節と思ったが、草木や動物たちは勢いを増すばかりだ。肉の仕入れも、そう遠くないうちに改善するかもしれない。
今日は雲も少なく、日中から農作に励む農家さんが多い。窓から外を見ると、俺の商店に商品を卸している農家さんもチラホラ確認できた。
こうして農家さんと繋がりができたのも、本当に良かったと思う。
……そうこうしているうちに、どうやら目的地に辿り着いたみたいだ。
景色はかなり変わっている。森を一つ抜け、マーケットの付近よりもさらに漁業が盛んな土地。領主アヴィチェリダのいる町だ。
馬車は町の門をくぐりそのまま大通りを通っていく。
ここは住宅地がとても多く、人通りも激しい地域だ。いったいどうやって、漁業中心のこの町を反映させているのか。領地経営に関しては少し興味がある。
「到着いたしました、ここが領主アヴィチェリダ様の屋敷でございます。お二方、馬車酔いなどは起こしていませんか? ……大丈夫そうですね。では参りましょう。ここからは徒歩になります」
見上げるほども大きな屋敷だ。この国の建築技術でここまで出来るものなのか。
恐らく、籠城を目的とした構造だろう。素人目にも、外部からの侵攻に対して迎撃する設備が揃っているように思えた。
「……ここは錬兵場も兼ねているのですか? ただの屋敷と言うには、少々物々しいような雰囲気があります。少なくとも、済むためだけの建物ではありませんよね。それにしては人の気配が多すぎるし、武装の類も整っているようです」
アラレスタの疑問はもっともだ。彼女が聞かなければ、俺がマジョルさんに聞いていた。
あまりにも道が入り組んでいる。馬車の入れないような通路があったかと思えば、今度は横並びに三台馬車が通れるほどの通路が出てくる。およそ普通の構造ではない。
「アラレスタ様は、こちらにお越しになるのが初めてでございましたね。ええ、錬兵場も兼ねておりますよ。この町は他の領地にも兵を出すほど、精強な兵隊を揃えておりますから。もちろん、他国や魔獣から攻められることも考慮した設計になっております」
なるほど、兵を他の領地に貸し与えているのか。通りで。
あまりにも民衆の就職先が少なそうだと思ったのだ。この近くは森におおわれていて、畑もマーケットに比べれば小規模なものである。だが、兵士を排出することで財源を確保していたのなら、納得できる。
「ということは、これからお会いするアヴィチェリダ殿もお強いのだろうか。何分、俺はただの商人ですので。荒事は避けたいのです」
「ハハハ、心配いりませんよ。領主様は寛大なお心をお持ちです。それに、如何に精強な兵を持っていようとも、精霊に手を出そうという人間はおりません。返り討ちに合うのは、この国の歴史が幾度も証明していますから。……と、そんな話をしていたら、着きましたよ。面談室になります」
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