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第三章 転生王妃
第七十八話 400年前
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「ち、父が禁忌を犯したとは、いったいどういうことですか、師匠!? 彼はそのような人物ではありません。部族の規律を守り、守らない者には制裁を加える。正義の龍クーイクを体現したような人物のはずです!」
父は、決して人の不利益になることはしない。もししたのなら、それを何十倍にも上回る利益でもって、その人への罪滅ぼしをする。そういう精神を持った人物だ。
それが、部族の禁忌を破るなど、あり得るはずがなかった。
確かに、俺が力を求めて旅をしていたのは、彼が変な気を起こしたときの抑止力になるためだ。しかし、それはあくまでも仮の話。部族の皆を安心させようということだ。何も、今後確実にそうなるだろうと信じていたわけではない。
「……ふむ、ニーズベステニーは400年前のことを知らなかったか。アグには、息子に話しておけと再三釘を刺していたが、とうとう話さなかったようだな。良いだろう、話しておく。ここには、400年前の事件を知らない者もいるしな」
400年前……。その当時、俺は生まれてもいなかった。ウチョニーはもう生まれていただろうが、知能を獲得したのは俺とほぼ同時期だから、彼女も知らないだろう。
アーキダハラも、断片的に知っているが、詳しいことは分からない様子だった。
「400年前、リーンビレニーという、美しいタイタンロブスターの女性がいた。彼女は、当時にしてみても全タイタンロブスター中最強と謳われた、大英雄アグロムニーの妻だった。私も、知能を獲得したのはギリギリだったよ……」
ムドラストの口から紡がれるのは、このアストライア族が誕生して以来の大惨事。400年前に父が起こした、大陸をも巻き込んだ大戦争であったという。
リーンビレニーという女性は、世にも珍しい、白い外骨格を持った女性だったという。タイタンロブスターの多くは体表が青く、どこか神聖さと清潔さを感じさせる彼女の外見は、部族中の男衆から注目を集めたのだという。
この当時、俺の師匠ムドラストは実年齢400歳程度。通常のタイタンロブスターならば、まだ本能のまま魚を追いかけているような年齢だが、彼女は違った。なんと、この時既に高い知能を獲得していたのだ。これは、タイタンロブスターの長い歴史の中でも、最年少と言うことができた。
その彼女から見て、リーンビレニーはあまりにも貧弱なタイタンロブスターだったそうだ。
知能を持ったタイタンロブスターは、俺を除き皆体格が大きく力強いものだが、彼女にはそれがなかった。
どこか、俺に似た人物だったらしい。彼女は生まれた当時から、知性を思わせる行動を取ったそうだ。しかし、念話などのコミュニケーション方法を手に入れたのは、彼女が524歳になったころだった。それでは、普通のタイタンロブスターと大差ない。
ムドラストは、最初彼女が気に入らなかった。無力で何もできないくせに、見てくれが良いという理由で男が言い寄ってくる。なまじムドラストに実力があったために、余計彼女のことが不快に思えたのだろう。
そんなある日、きっかけとなった事件が起きたのだ。
それは、今でも良くある単純なこと。ペアーの大群が部族を襲撃するというものだった。
しかし、当時のアストライア族にひっつき爆弾は存在しない。俺やムドラストが提案した罠の数々も、まだ登場していなかったのだ。
小規模の集落が壊滅し、広いアストライア族の一部は混乱に陥った。巨大イカペアーに対する有効な対策は、まだ誰も知らない。そんな時、真っ白な外骨格を持った美しい女性、リーンビレニーが現れた。
なんということか。彼女は100歳も年下のムドラストを庇い、ペアーの大群を引き受けたのだ。
当時であっても、ムドラストは強い。リーンビレニーが戦闘において勝っている部分など、100年差分の体格と、……その良く目立つ白い肉体だけであった。
そう、彼女は囮になったのだ。自身の持つ白い肉体を餌とし、ペアーから一人で逃げ回った。知能を獲得したばかりのムドラストは、戦闘に関する知識はあろうとも、彼女を助け身を挺して戦うという発想が存在しない。
ムドラストは駆けた。自分が何をするのが正解なのかも導き出せないまま、ただ部族の中をひたすらに駆けた。死に行く同胞の様を見て、その瞬間ふと気付いた。
彼女を、リーンビレニーを助けなければならないと。
それさえ気付いてしまえば、聡明なムドラストの行動は早かった。自分が戦うのではなく、部族で最も強いものを連れてくるという選択肢を、即座に決行したのだ。
大英雄アグロムニーの実力を、幼いながらにも理解していた証拠である。
ムドラストが連れてきた大英雄によってペアーの群れは壊滅。リーンビレニーは大きな傷を負ったが、そこはタイタンロブスターの生命力。数回脱皮を経るころには、もう全ての傷が癒えてしまっていた。
「そして、この一件でアグはリーンビレニーという女性に興味を持つようになった。彼は見た目ではなく実力を重んじる堅物だが、当時神童と言われていた私ではなく、彼女を選んだのだ。アグはあのとき、勇気の美しさを見たと言っていた」
大英雄アグロムニーにとって、人生とは戦いの中にこそ存在するものだった。
強くなるために技を磨き、強くなるために知恵を付ける。彼にとって数多の感情というもの全ては、ただ戦闘をするための要素に過ぎなかった。
しかし、リーンビレニーの自己犠牲を見て、彼の心は衝撃を受けた。
タイタンロブスターらしくはないが、より人間に近しい心の変動を感じたのだ。勇気、後悔、執念、そして愛情。彼は、感情というものを手に入れた。
「正直な話、アグの子を孕むのは私だと思っていた。私との子の方が、絶対に強い子が生まれる。やはりタイタンロブスターとしての考えを重んじていた私は、そう信じ込んでいたのだ」
ムドラストは最初、リーンビレニーに嫉妬したのだという。
しかし、戦いを終え幸せそうな二人を見るうちに、彼女も感情というものを理解した。そして、自分の抱くそれが嫉妬だと悟った。
それ以降、ムドラストが二人の関係に何か言うことはなかったそうだ。
もちろん実力の都合上アグロムニーの隣で戦うのはムドラストだが、プライベートまで踏み込むことはなかったという。
アストライア族は、恋愛ブームが巻き起こっていた。部族一の実力者であるアグロムニーと、部族一の美女であるリーンビレニーに当てられ、皆が人間に近しい感情を手に入れるようになった。
時には大精霊ロンジェグイダや霊王ウチェリトが里を訪れることもあり、大英雄の春到来を多いに祝福した。滅多にお目にかかれない、地上の産物も多く持ち込まれたのだという。
「……そんな、穏やかで幸せな空気が部族中を包む中、その事件は突如として起こる」
リーンビレニーが、急死したのだ。原因はまったくの不明。一部の人間は脱皮不全だろうと言ったが、それも的を得ていると言えるものではなかった。
いや、問題はそんなことではない。何が原因かではなく、彼女が死んだという事実だ。それが、部族中を混乱の境地へと陥れることとなった。
リーンビレニー死亡は誰も予想できなかったが、その後起こる悲劇は、誰もが予想していた。
当然の帰結と言わんばかりに、アグロムニーは暴れまわった。ちょうど海龍クーイクを眷属にし勢いづいていた、最強伝説を数多く打ち出した時代のアグロムニーである。強大な力を持ちながら自制心は貧弱で、彼の暴走を止めることはできなかった。
彼への対処には当然、大魔導士ムドラストや大精霊ロンジェグイダ。霊王ウチェリトが現れた。まだ600歳後半といった当時のアグロムニーは、大陸の精霊王に屈し、渋々鉾を収めた。
「しかし、アグロムニーは諦めていなかったのだ。今回、ようやくそれがわかった。アストライア族では2000年も前に根絶した禁忌、復活の秘術、転生魔法に手を染めていたのだ」
そんな昔になくなった技術をわざわざ掘り起こしてまで、父はリーンビレニーという女性を蘇らせようとしていたのか。
「ニーズベステニーは知らないだろうが、転生魔法は異世界接続魔法に酷似している。そう、吾輩たちが蜉蝣様の力を使い、研究しているものだ」
「我らの調べによれば、転生魔法は異世界出身者にしか扱えないか、または異世界出身者から取り出した特別な魔力を使用する必要がある。こちらの世界で生まれた者は、異世界接続魔法の属性を持った魔力は生成できない」
大精霊ロンジェグイダ様と、霊王ウチェリト様が補足説明をしてくれる。
異世界接続魔法が絡んでいるというのならば、ムドラストよりも彼らの方がずっと詳しいだろう。
「実はな、ニーズベステニー。お前の母は、異世界召喚魔法という、とても強制力の強い魔法が扱えるのだ。ニーズベステニーはパラレルという男の働きによってこちらに来たようだが、彼女は違う。問答無用で、人間だろうが動物だろうが、タイタンロブスターの姿でこちらに呼び出すのだ。出産、という形でな」
「大方、それを何故か知っていたアグロムニーが大量に子を産ませ、己が子たちを自ら殺し、異世界接続属性の魔力を回収していたのだろう。やはり、あやつの愛情は狂気だ」
……知りたくなかった。俺にとって絶対の存在であった父。それが、自分の子すら殺して、既に死んだ女性を生き返らせようなどと考える頭のイカれた男であったとは。
「けど、逆にすっきりしましたね。俺は、絶対にあのクズ親父を超えなきゃいけなくなったッ!!」
超える。殺して見せる。俺がこの手で、兄弟姉妹の仇を打って見せよう。
父は、決して人の不利益になることはしない。もししたのなら、それを何十倍にも上回る利益でもって、その人への罪滅ぼしをする。そういう精神を持った人物だ。
それが、部族の禁忌を破るなど、あり得るはずがなかった。
確かに、俺が力を求めて旅をしていたのは、彼が変な気を起こしたときの抑止力になるためだ。しかし、それはあくまでも仮の話。部族の皆を安心させようということだ。何も、今後確実にそうなるだろうと信じていたわけではない。
「……ふむ、ニーズベステニーは400年前のことを知らなかったか。アグには、息子に話しておけと再三釘を刺していたが、とうとう話さなかったようだな。良いだろう、話しておく。ここには、400年前の事件を知らない者もいるしな」
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アーキダハラも、断片的に知っているが、詳しいことは分からない様子だった。
「400年前、リーンビレニーという、美しいタイタンロブスターの女性がいた。彼女は、当時にしてみても全タイタンロブスター中最強と謳われた、大英雄アグロムニーの妻だった。私も、知能を獲得したのはギリギリだったよ……」
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この当時、俺の師匠ムドラストは実年齢400歳程度。通常のタイタンロブスターならば、まだ本能のまま魚を追いかけているような年齢だが、彼女は違った。なんと、この時既に高い知能を獲得していたのだ。これは、タイタンロブスターの長い歴史の中でも、最年少と言うことができた。
その彼女から見て、リーンビレニーはあまりにも貧弱なタイタンロブスターだったそうだ。
知能を持ったタイタンロブスターは、俺を除き皆体格が大きく力強いものだが、彼女にはそれがなかった。
どこか、俺に似た人物だったらしい。彼女は生まれた当時から、知性を思わせる行動を取ったそうだ。しかし、念話などのコミュニケーション方法を手に入れたのは、彼女が524歳になったころだった。それでは、普通のタイタンロブスターと大差ない。
ムドラストは、最初彼女が気に入らなかった。無力で何もできないくせに、見てくれが良いという理由で男が言い寄ってくる。なまじムドラストに実力があったために、余計彼女のことが不快に思えたのだろう。
そんなある日、きっかけとなった事件が起きたのだ。
それは、今でも良くある単純なこと。ペアーの大群が部族を襲撃するというものだった。
しかし、当時のアストライア族にひっつき爆弾は存在しない。俺やムドラストが提案した罠の数々も、まだ登場していなかったのだ。
小規模の集落が壊滅し、広いアストライア族の一部は混乱に陥った。巨大イカペアーに対する有効な対策は、まだ誰も知らない。そんな時、真っ白な外骨格を持った美しい女性、リーンビレニーが現れた。
なんということか。彼女は100歳も年下のムドラストを庇い、ペアーの大群を引き受けたのだ。
当時であっても、ムドラストは強い。リーンビレニーが戦闘において勝っている部分など、100年差分の体格と、……その良く目立つ白い肉体だけであった。
そう、彼女は囮になったのだ。自身の持つ白い肉体を餌とし、ペアーから一人で逃げ回った。知能を獲得したばかりのムドラストは、戦闘に関する知識はあろうとも、彼女を助け身を挺して戦うという発想が存在しない。
ムドラストは駆けた。自分が何をするのが正解なのかも導き出せないまま、ただ部族の中をひたすらに駆けた。死に行く同胞の様を見て、その瞬間ふと気付いた。
彼女を、リーンビレニーを助けなければならないと。
それさえ気付いてしまえば、聡明なムドラストの行動は早かった。自分が戦うのではなく、部族で最も強いものを連れてくるという選択肢を、即座に決行したのだ。
大英雄アグロムニーの実力を、幼いながらにも理解していた証拠である。
ムドラストが連れてきた大英雄によってペアーの群れは壊滅。リーンビレニーは大きな傷を負ったが、そこはタイタンロブスターの生命力。数回脱皮を経るころには、もう全ての傷が癒えてしまっていた。
「そして、この一件でアグはリーンビレニーという女性に興味を持つようになった。彼は見た目ではなく実力を重んじる堅物だが、当時神童と言われていた私ではなく、彼女を選んだのだ。アグはあのとき、勇気の美しさを見たと言っていた」
大英雄アグロムニーにとって、人生とは戦いの中にこそ存在するものだった。
強くなるために技を磨き、強くなるために知恵を付ける。彼にとって数多の感情というもの全ては、ただ戦闘をするための要素に過ぎなかった。
しかし、リーンビレニーの自己犠牲を見て、彼の心は衝撃を受けた。
タイタンロブスターらしくはないが、より人間に近しい心の変動を感じたのだ。勇気、後悔、執念、そして愛情。彼は、感情というものを手に入れた。
「正直な話、アグの子を孕むのは私だと思っていた。私との子の方が、絶対に強い子が生まれる。やはりタイタンロブスターとしての考えを重んじていた私は、そう信じ込んでいたのだ」
ムドラストは最初、リーンビレニーに嫉妬したのだという。
しかし、戦いを終え幸せそうな二人を見るうちに、彼女も感情というものを理解した。そして、自分の抱くそれが嫉妬だと悟った。
それ以降、ムドラストが二人の関係に何か言うことはなかったそうだ。
もちろん実力の都合上アグロムニーの隣で戦うのはムドラストだが、プライベートまで踏み込むことはなかったという。
アストライア族は、恋愛ブームが巻き起こっていた。部族一の実力者であるアグロムニーと、部族一の美女であるリーンビレニーに当てられ、皆が人間に近しい感情を手に入れるようになった。
時には大精霊ロンジェグイダや霊王ウチェリトが里を訪れることもあり、大英雄の春到来を多いに祝福した。滅多にお目にかかれない、地上の産物も多く持ち込まれたのだという。
「……そんな、穏やかで幸せな空気が部族中を包む中、その事件は突如として起こる」
リーンビレニーが、急死したのだ。原因はまったくの不明。一部の人間は脱皮不全だろうと言ったが、それも的を得ていると言えるものではなかった。
いや、問題はそんなことではない。何が原因かではなく、彼女が死んだという事実だ。それが、部族中を混乱の境地へと陥れることとなった。
リーンビレニー死亡は誰も予想できなかったが、その後起こる悲劇は、誰もが予想していた。
当然の帰結と言わんばかりに、アグロムニーは暴れまわった。ちょうど海龍クーイクを眷属にし勢いづいていた、最強伝説を数多く打ち出した時代のアグロムニーである。強大な力を持ちながら自制心は貧弱で、彼の暴走を止めることはできなかった。
彼への対処には当然、大魔導士ムドラストや大精霊ロンジェグイダ。霊王ウチェリトが現れた。まだ600歳後半といった当時のアグロムニーは、大陸の精霊王に屈し、渋々鉾を収めた。
「しかし、アグロムニーは諦めていなかったのだ。今回、ようやくそれがわかった。アストライア族では2000年も前に根絶した禁忌、復活の秘術、転生魔法に手を染めていたのだ」
そんな昔になくなった技術をわざわざ掘り起こしてまで、父はリーンビレニーという女性を蘇らせようとしていたのか。
「ニーズベステニーは知らないだろうが、転生魔法は異世界接続魔法に酷似している。そう、吾輩たちが蜉蝣様の力を使い、研究しているものだ」
「我らの調べによれば、転生魔法は異世界出身者にしか扱えないか、または異世界出身者から取り出した特別な魔力を使用する必要がある。こちらの世界で生まれた者は、異世界接続魔法の属性を持った魔力は生成できない」
大精霊ロンジェグイダ様と、霊王ウチェリト様が補足説明をしてくれる。
異世界接続魔法が絡んでいるというのならば、ムドラストよりも彼らの方がずっと詳しいだろう。
「実はな、ニーズベステニー。お前の母は、異世界召喚魔法という、とても強制力の強い魔法が扱えるのだ。ニーズベステニーはパラレルという男の働きによってこちらに来たようだが、彼女は違う。問答無用で、人間だろうが動物だろうが、タイタンロブスターの姿でこちらに呼び出すのだ。出産、という形でな」
「大方、それを何故か知っていたアグロムニーが大量に子を産ませ、己が子たちを自ら殺し、異世界接続属性の魔力を回収していたのだろう。やはり、あやつの愛情は狂気だ」
……知りたくなかった。俺にとって絶対の存在であった父。それが、自分の子すら殺して、既に死んだ女性を生き返らせようなどと考える頭のイカれた男であったとは。
「けど、逆にすっきりしましたね。俺は、絶対にあのクズ親父を超えなきゃいけなくなったッ!!」
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