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セブンナイト
お尋ね者の集い
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「――で、なんでその怪しい二人を連れてきてるんですか?」
フルネールが半目の表情を大地へと向ける。その瞳には明らかな避難の色が含まれていた。
あの酒場で声をかけられた大地はどことなく聞いた事のある声に顔をほんの少し訝しめながら記憶をたどった。
だが、その中から答えを出すより先に声をかけた男が大地にだけ聞こえる声でその正体を名乗り出たのだ。その名前をきき、訳有りだと察した大地はルーナの宿へと連れてきた。ということになる。
「いきなり押し掛けてすまない。だけど我々も一緒に少しの間だけでいい。匿ってほしいんだ」
大地に声をかけた人物が図々しくもそう願い出た。それに対してフルネールは更に目を細目る。先ほどの大地に向けていたジト目何かではなく、睨み付けるような鋭さを増した感じだ。
「まず、物事を頼む前にフードを取るべきではありませんか?」
フルネールにしてはだいぶきつめな言い方である。この状況だからピリピリしているのかとも考えられるが、どちらかと言うと不安そうにしているルーナの為にそう言っているようにも見えた。
「フルネールこいつらは――」
大地がその正体を教える前にフルネールは言った。
「アルメルスさんでしょう?わかりますよ。そっちの方は恐らくヨシュアさんあたりですね?」
「え?アルメルスさんとヨシュアさんと言うと……あの三騎士の!?」
その名前を聞きルーナは驚きの声と共に不安げな表情を一変させた。表情には少しだけ信じられないと言った色を見せながらもフードの中身が知りたそうな期待している顔だ。
「申し遅れてすまない。フルネールさんの言うとおり俺はアルメルスだ」
アルメルスはそう言ってフードを持ち上げる。当然、鎧の姿ではなく、そこには黒髪の顔立ちが整った爽やかそうな青年が顔を出してきた。
「ヨシュア。君もフードを取ってくれ」
アルメルスに即されるままヨシュアは「わかった」といかにも軽そうな声を発しながらフードを脱ぐ。
そのヨシュアを見た大地の第一印象はチャラそうだ……であった。髪は茶色でツンツンと逆立っている。顔はイケメンなのだがツリ目からなる視線は女遊びが好きそうな感じだ。そして、ピアスやネックレスと言ったものが取り付けられているのもそう思う要因の一つだった。
「まったく……姿を隠している人がずかずかと。女の子が取ってる部屋へ理由を知らせずに入ってきたら怖くなるのは当然でしょう?」
今でさえルーナから不安の影は消えたけど、先ほどまでは確かに不安そうにしていたのは事実だしな……あ、ダメだ。今度は青くなり始めた。
「ふ、フルネールさん。私は大丈夫ですから」
三騎士相手に遠慮無く言うフルネールにルーナはさすがに心配になる。相手はこの国の王様直属の騎士である。実力も権力も高いのにそんな風に言って機嫌を損ねたら大変なことになるのでは?という事だ。
「そうですか?」
フルネールにとって三騎士が怒ろうがどうだろうが関係はない……のだが、当の本人が問題ないというのだからそれ以上は言うこともないのだ。
「怖がらせてしまってすまない。そして、図々しい願いなのだがここに匿わせてほしい」
「その、それは構わないんですが三騎士様に何があったんですか?」
実は三騎士だとわかった時から気になっていた事だ。三騎士が匿ってくれというのも妙な話で、彼らが隠れなければならない事態なんてそうそう思い付かない。
とはいえ国の機密に関わることであれば答えは帰ってこないかもしれない。そう思いながら聞いたのだが予想は外れたようだった。
「実は……俺達は今、国から追われてるんだ。恐らく俺達の捕獲命令が出てるんだと思う」
冷静に話すアルメルス。その傍らではへらへらしているヨシュア。その二人を見ながら大地は思う。何でそんなに落ち着いていられるんだ?と。
「いやそれ……この国の一大事じゃないのか?」
普通に考えれば現状は最悪と言ってもいいんじゃなかろうか。国のトップの次に偉いらしい三騎士を捕える命令が出てると言うことはどう考えても……。
「まぁ王様が動けないのを良いことに謀反を起こしたんだろうな。一応、主犯が誰かは大体の検討もついてる」
あくまで冷静に言ったアルメルスに向かってルーナは思った事をそのまま投げ掛ける。
「あの、それなら……その人を捕まえにいけば解決するのではないですか?」
悪者を取っ捕まえれば正義となる理論だ。あながち間違いでもないのだがアルメルスの表情は難色を示していた。
「そうしたいのだが……あちらには七騎士という奴らがいてな。個々の戦闘力としては俺達よりも下だろうが二対一、三対一に持ち込まれれば厳しいだろう」
それでも諦めてはいないと言った様子でアルメルスの瞳には強い意思が灯っていた。一つでも次の一手に繋がるものを探しているのだ。
「それでお前達はこれからどうするんだ?」
「ここに匿って貰えていれば今後の事を考える時間ができるからな……とはいえ、このまま時間だけが進めば――」
「王様と王妃様は呪い殺されるか?」
現問題の根幹に当たる部分。それを口にした事でアルメルスとヨシュアの表情は驚きに変わる。
「知っていたのか?」
「テッドと一緒にこの街へ来た。と言えばわかるか?」
驚いていた表情から得心を得たような表情へと変わる。
「なるほど……我々と違ってテッド殿下なら最初から王様と王妃様が呪われている事を知っていたか……」
「ん?その言い方だとお前達は知らなかったのか?」
「ああ。俺達が王様から受けた任務から戻って来た時に城の様子がおかしくてな。それを昨日調べて呪われている事を知ったのだが……同時に城の騎士達から追われることになったんだ」
アルメルス達が経緯を話し終わると顔をしかめる。この先の事をどうするか。それがなかなか決まらないのだ。
少し重苦しい空気が流れてきた時だった。ベッドに腰かけてレヴィアに寄り添いながら寝ていたナルが目を覚ましたのだ。
「う~ん。おはようございます……」
目を擦りながら二度三度まばたきをしたナルが部屋を見回す。人口密度が二人分増えている事に気づく……のは良いのだが、ナルはアルメルスを見た瞬間、ベッドの上に完全に登り寄りかかって来ているレヴィアの後ろへと素早く隠れた。
姿が違えど匂いでわかるのだ。以前に殺そうとしてきた人物と同じであることに。だから怯えるようにレヴィアの後ろへと隠れる。
「きゃっ」
しかし、眠っていたレヴィアは支えを無くしたせいでそのままカクンと真横に上半身を倒れさせた。その衝撃で短い悲鳴を上げる。
「な、何……どうしたのよ?」
それによって見目を覚ましたれが上半身を起こしながら自分の後ろに隠れたナルへ視線を向けて聞いた。
「あ、あの人。わたしをころそうとしてきた人だ……」
そのナルの視線の先は当然アルメルスへ向いていた。
「アルさん。まさかこんな幼い女の子を手にかけようとしたんすか?」
軽い口調でやや引きぎみにヨシュアが聞くと……本の少し考えたアルメルスがナルはナインテイルで有ることに気づく。
「まさかあの時のナインテイルの子供か?」
「ああ。俺と契約してるんだ」
大地がそういうとヨシュアが珍しそうに見ながら一、二歩レヴィアとナルへ近づいた。そして……。
「お嬢さん。うちのリーダーが申し訳ありません。許してほしいとは言いませんがどうかこれを受け取ってください」
そう言って何もない手から一輪の花を出現させる。キザったらしく見事な手品を披露させてその花を差し出した。
「え?……いりません」
が、そのヨシュアのよくわからない行動に目を点にさせながらナルはばっさりと切り捨てる。
「な……大抵の女の子はこれで落とせるのに……」
軽そうな見た目だがイケメン枠であるのは確かなヨシュアである。その手口は自信があったらしいのだが、それを切り捨てられ落ち込みながら近づいた歩数分、退散した。
いや……ていうか、小さい女の子にそんなことしても意味ないんじゃないか?
その思考が顔に出ていたのか、フルネールは呆れたように大地へと脳内会話で伝える。
そんなんだから大地さんはダメなんですよ。女の子は幼くても女の子なんですから。
うぐぅ……。
「……事情が有ったとはいえ、すまなかった。どうか許してくれないだろうか?」
片膝を地面につき、目線を少しでも近くに合わせながらアルメルスはそう言うが、それに異を唱えたのはレヴィアだった。
「あら。勝手な話ね。殺そうとしていたのにそんなちゃちな言葉だけで許して貰えるものと思っているのかしら?」
普通の人間ならばその威圧感でだんまりになってしまうところだ。そんな姉の姿を見てナルは少しだけ勇気を出すことに決めた。
「お、お姉ちゃん。ありがとう……」
そう言いながら隠れていたナルがレヴィアの後ろから姿を表す。そして言うのだ。
「あのね……もうひどいことしない?」
まだ少しの怯えを伴っているのは声色から判断が出来た。それはアルメルスも同じのようだ。だから彼はできる限り優しく言う。
「もう絶対にしないことを剣に誓う。絶対に二度と君には剣を向けない。と……」
その言葉を聞いてから少し考えた……と言うよりは飲み込むまでに時間がかかったらしいナルは頷いた。
「……うん。その、それじゃあ……わたしはだいじょうぶです」
その言葉がひとまずの区切りになるだろう。まだ空気としては重い感じは否めないがそれも少しすればきっとよくなるだろう。そう考えていた矢先だ。
部屋の扉から一人の女の子……精霊のシルフがすり抜けて入ってきた。
『あ!ダイチ戻ってきていたのね!』
部屋に入るなりその女の子は大地を見かけた瞬間、元気そうに挨拶をしてきた。
「ああ。まぁな……ってシルフは確か城の中を探ってくれていたんだよな?」
『うん!それでねそれでね!大変なことがわかったよ!!』
「大変なこと?」
『うん!この国の王子様が捕まって牢屋に入れられてたの見たよ!!』
フルネールが半目の表情を大地へと向ける。その瞳には明らかな避難の色が含まれていた。
あの酒場で声をかけられた大地はどことなく聞いた事のある声に顔をほんの少し訝しめながら記憶をたどった。
だが、その中から答えを出すより先に声をかけた男が大地にだけ聞こえる声でその正体を名乗り出たのだ。その名前をきき、訳有りだと察した大地はルーナの宿へと連れてきた。ということになる。
「いきなり押し掛けてすまない。だけど我々も一緒に少しの間だけでいい。匿ってほしいんだ」
大地に声をかけた人物が図々しくもそう願い出た。それに対してフルネールは更に目を細目る。先ほどの大地に向けていたジト目何かではなく、睨み付けるような鋭さを増した感じだ。
「まず、物事を頼む前にフードを取るべきではありませんか?」
フルネールにしてはだいぶきつめな言い方である。この状況だからピリピリしているのかとも考えられるが、どちらかと言うと不安そうにしているルーナの為にそう言っているようにも見えた。
「フルネールこいつらは――」
大地がその正体を教える前にフルネールは言った。
「アルメルスさんでしょう?わかりますよ。そっちの方は恐らくヨシュアさんあたりですね?」
「え?アルメルスさんとヨシュアさんと言うと……あの三騎士の!?」
その名前を聞きルーナは驚きの声と共に不安げな表情を一変させた。表情には少しだけ信じられないと言った色を見せながらもフードの中身が知りたそうな期待している顔だ。
「申し遅れてすまない。フルネールさんの言うとおり俺はアルメルスだ」
アルメルスはそう言ってフードを持ち上げる。当然、鎧の姿ではなく、そこには黒髪の顔立ちが整った爽やかそうな青年が顔を出してきた。
「ヨシュア。君もフードを取ってくれ」
アルメルスに即されるままヨシュアは「わかった」といかにも軽そうな声を発しながらフードを脱ぐ。
そのヨシュアを見た大地の第一印象はチャラそうだ……であった。髪は茶色でツンツンと逆立っている。顔はイケメンなのだがツリ目からなる視線は女遊びが好きそうな感じだ。そして、ピアスやネックレスと言ったものが取り付けられているのもそう思う要因の一つだった。
「まったく……姿を隠している人がずかずかと。女の子が取ってる部屋へ理由を知らせずに入ってきたら怖くなるのは当然でしょう?」
今でさえルーナから不安の影は消えたけど、先ほどまでは確かに不安そうにしていたのは事実だしな……あ、ダメだ。今度は青くなり始めた。
「ふ、フルネールさん。私は大丈夫ですから」
三騎士相手に遠慮無く言うフルネールにルーナはさすがに心配になる。相手はこの国の王様直属の騎士である。実力も権力も高いのにそんな風に言って機嫌を損ねたら大変なことになるのでは?という事だ。
「そうですか?」
フルネールにとって三騎士が怒ろうがどうだろうが関係はない……のだが、当の本人が問題ないというのだからそれ以上は言うこともないのだ。
「怖がらせてしまってすまない。そして、図々しい願いなのだがここに匿わせてほしい」
「その、それは構わないんですが三騎士様に何があったんですか?」
実は三騎士だとわかった時から気になっていた事だ。三騎士が匿ってくれというのも妙な話で、彼らが隠れなければならない事態なんてそうそう思い付かない。
とはいえ国の機密に関わることであれば答えは帰ってこないかもしれない。そう思いながら聞いたのだが予想は外れたようだった。
「実は……俺達は今、国から追われてるんだ。恐らく俺達の捕獲命令が出てるんだと思う」
冷静に話すアルメルス。その傍らではへらへらしているヨシュア。その二人を見ながら大地は思う。何でそんなに落ち着いていられるんだ?と。
「いやそれ……この国の一大事じゃないのか?」
普通に考えれば現状は最悪と言ってもいいんじゃなかろうか。国のトップの次に偉いらしい三騎士を捕える命令が出てると言うことはどう考えても……。
「まぁ王様が動けないのを良いことに謀反を起こしたんだろうな。一応、主犯が誰かは大体の検討もついてる」
あくまで冷静に言ったアルメルスに向かってルーナは思った事をそのまま投げ掛ける。
「あの、それなら……その人を捕まえにいけば解決するのではないですか?」
悪者を取っ捕まえれば正義となる理論だ。あながち間違いでもないのだがアルメルスの表情は難色を示していた。
「そうしたいのだが……あちらには七騎士という奴らがいてな。個々の戦闘力としては俺達よりも下だろうが二対一、三対一に持ち込まれれば厳しいだろう」
それでも諦めてはいないと言った様子でアルメルスの瞳には強い意思が灯っていた。一つでも次の一手に繋がるものを探しているのだ。
「それでお前達はこれからどうするんだ?」
「ここに匿って貰えていれば今後の事を考える時間ができるからな……とはいえ、このまま時間だけが進めば――」
「王様と王妃様は呪い殺されるか?」
現問題の根幹に当たる部分。それを口にした事でアルメルスとヨシュアの表情は驚きに変わる。
「知っていたのか?」
「テッドと一緒にこの街へ来た。と言えばわかるか?」
驚いていた表情から得心を得たような表情へと変わる。
「なるほど……我々と違ってテッド殿下なら最初から王様と王妃様が呪われている事を知っていたか……」
「ん?その言い方だとお前達は知らなかったのか?」
「ああ。俺達が王様から受けた任務から戻って来た時に城の様子がおかしくてな。それを昨日調べて呪われている事を知ったのだが……同時に城の騎士達から追われることになったんだ」
アルメルス達が経緯を話し終わると顔をしかめる。この先の事をどうするか。それがなかなか決まらないのだ。
少し重苦しい空気が流れてきた時だった。ベッドに腰かけてレヴィアに寄り添いながら寝ていたナルが目を覚ましたのだ。
「う~ん。おはようございます……」
目を擦りながら二度三度まばたきをしたナルが部屋を見回す。人口密度が二人分増えている事に気づく……のは良いのだが、ナルはアルメルスを見た瞬間、ベッドの上に完全に登り寄りかかって来ているレヴィアの後ろへと素早く隠れた。
姿が違えど匂いでわかるのだ。以前に殺そうとしてきた人物と同じであることに。だから怯えるようにレヴィアの後ろへと隠れる。
「きゃっ」
しかし、眠っていたレヴィアは支えを無くしたせいでそのままカクンと真横に上半身を倒れさせた。その衝撃で短い悲鳴を上げる。
「な、何……どうしたのよ?」
それによって見目を覚ましたれが上半身を起こしながら自分の後ろに隠れたナルへ視線を向けて聞いた。
「あ、あの人。わたしをころそうとしてきた人だ……」
そのナルの視線の先は当然アルメルスへ向いていた。
「アルさん。まさかこんな幼い女の子を手にかけようとしたんすか?」
軽い口調でやや引きぎみにヨシュアが聞くと……本の少し考えたアルメルスがナルはナインテイルで有ることに気づく。
「まさかあの時のナインテイルの子供か?」
「ああ。俺と契約してるんだ」
大地がそういうとヨシュアが珍しそうに見ながら一、二歩レヴィアとナルへ近づいた。そして……。
「お嬢さん。うちのリーダーが申し訳ありません。許してほしいとは言いませんがどうかこれを受け取ってください」
そう言って何もない手から一輪の花を出現させる。キザったらしく見事な手品を披露させてその花を差し出した。
「え?……いりません」
が、そのヨシュアのよくわからない行動に目を点にさせながらナルはばっさりと切り捨てる。
「な……大抵の女の子はこれで落とせるのに……」
軽そうな見た目だがイケメン枠であるのは確かなヨシュアである。その手口は自信があったらしいのだが、それを切り捨てられ落ち込みながら近づいた歩数分、退散した。
いや……ていうか、小さい女の子にそんなことしても意味ないんじゃないか?
その思考が顔に出ていたのか、フルネールは呆れたように大地へと脳内会話で伝える。
そんなんだから大地さんはダメなんですよ。女の子は幼くても女の子なんですから。
うぐぅ……。
「……事情が有ったとはいえ、すまなかった。どうか許してくれないだろうか?」
片膝を地面につき、目線を少しでも近くに合わせながらアルメルスはそう言うが、それに異を唱えたのはレヴィアだった。
「あら。勝手な話ね。殺そうとしていたのにそんなちゃちな言葉だけで許して貰えるものと思っているのかしら?」
普通の人間ならばその威圧感でだんまりになってしまうところだ。そんな姉の姿を見てナルは少しだけ勇気を出すことに決めた。
「お、お姉ちゃん。ありがとう……」
そう言いながら隠れていたナルがレヴィアの後ろから姿を表す。そして言うのだ。
「あのね……もうひどいことしない?」
まだ少しの怯えを伴っているのは声色から判断が出来た。それはアルメルスも同じのようだ。だから彼はできる限り優しく言う。
「もう絶対にしないことを剣に誓う。絶対に二度と君には剣を向けない。と……」
その言葉を聞いてから少し考えた……と言うよりは飲み込むまでに時間がかかったらしいナルは頷いた。
「……うん。その、それじゃあ……わたしはだいじょうぶです」
その言葉がひとまずの区切りになるだろう。まだ空気としては重い感じは否めないがそれも少しすればきっとよくなるだろう。そう考えていた矢先だ。
部屋の扉から一人の女の子……精霊のシルフがすり抜けて入ってきた。
『あ!ダイチ戻ってきていたのね!』
部屋に入るなりその女の子は大地を見かけた瞬間、元気そうに挨拶をしてきた。
「ああ。まぁな……ってシルフは確か城の中を探ってくれていたんだよな?」
『うん!それでねそれでね!大変なことがわかったよ!!』
「大変なこと?」
『うん!この国の王子様が捕まって牢屋に入れられてたの見たよ!!』
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