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セブンナイト
未来を良くするためのアドバイス
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夢の中で女神と二人きりという特別な状況下。本来なら嬉しいはずなところなのだがその話題が出た事でリリアの顔は深刻さを増していく。
「疑問に思うのは聖女としての力が何かしらリリアちゃんに訴えかけているからでしょうか?」
「何となくですが……胸がざわつく時があるんです」
さらに沈んだ顔になるリリアへフルネールは過去の聖女達を思い出しながら言った。
「……リリアちゃん。リリアちゃんが持つ聖女としての力は歴代でも一番強いんです。胸がざわつくのもそのせいですね」
フルネールは自身の膝に乗せているリリアの頭を優しく撫でなる。それも愛しそうに。
「リリアちゃんは前に言ってましたね。死者がわかると……それは夢に出てくると言うことですよね」
「はい……やっぱりなんでもわかっちゃうんですね。あの!大地さんにその事は言わないでください」
懇願するように言うリリアに頷きたい気持ちがあったが、実はもうすでに口を滑らせて大地には推測であった『夢に出る』事について伝えてしまっている。
だからこそ頷くことが出来ずにフルネールは微妙な顔になりながら申し訳なさそうに言う。
「それがですね……その、つい口を滑らせてしまいまして大地さんには伝わっちゃってます」
「……そう……なのですね。その、ダイチさんは気味悪がっては……」
少し泣きそうになってしまっているリリアにフルネールは慌ててフォローするように言う。
「そんなことありませんでしたよ!大丈夫です!ありのままのリリアちゃんを大地さんは受け入れてます!」
もともとフルネールの言葉を疑っていないリリアだ。ただそれだけの言葉でもほっと安心感が生まれた。
「それで話を戻しますけど……死者の夢を見てしまうのも聖女としての所有する魔力が高いからです」
「それも実はよくわかりません。過去にいた聖女様のご本を読んだことありますけど町を破壊しつくすほどの魔力があるって書かれてました。でも私自身にそれほどの魔力はないと思うんです。たぶん人より多めにあるくらいじゃないかなって……」
「なるほどなるほど。う~ん、こう考えてみてください。リリアちゃんの中には赤色と青色の魔力があるのだと。リリアちゃん自身の魔力は青色で認識しているのも青色の魔力なんですよ」
「二つの魔力……?」
「はい。赤色を聖女の魔力とでも呼んでおきましょうか。その魔力量がとてつもなく多いんです」
「そうなんですね……あの!フルネールさんに……女神様にこの事を聞くのは良いのかわからないんですけど……」
「なんでも聞いちゃってください!」
なんでもウェルカムなフルネールとは裏腹にリリアはばつが悪そうに恐る恐るといった様子で質問する。
「その、人を生き返す魔法ってあるのでしょうか?もしあったとして聖女の魔力を使えれば私にも魔法が使えますか?」
リリアはそれを口にだして聞いてからもフルネールの反応があるまで少しだけ怖くなる。それはどんな本でも成功した例は無く、見方によればそれは禁忌の魔法かもしれないからだ。
しかし、フルネールはいずれリリアからそう言う質問が来るのではないかと思っていた。リリアはそれだけ人の生き死を感じ取っているのだと理解しているからだ。であればソレについて知りたがるのもごく自然なのである。
そしてもちろんその答えをフルネールは持っていて隠すことも出来るのだが……思いきって聞いてきたリリアに報いるために隠すことはしないと決めた。
「一つ目の質問ですが……存在しますよ」
「そうなの……ですね」
知りたい情報を得られたはずなのにリリアの顔は浮かないままである。
「私に聞いたことがズルだと思ってますか?」
「……はい。どんな本にも書かれていなかった事なので……」
「リリアちゃんは幼い頃からいっぱい本を読んできましたからね。そこも歴代の聖女一ですよ」
クスリと笑いながらフルネールは再びリリアの頭を優しい手付きで撫でる。
「でも、ここでこうしてるのもリリアちゃんが頑張って来たからなのですからズル何て思わなくて良いんです」
「はい……」
少しだけ溜飲が下がったのかリリアの声色も落ち着いていた。だがもう一つのことも伝えなければ行けない。
「ただし、二つ目の質問ですがこれは出来ないでしょう。技術は私が教えれば良いのですが魔力量がまず足りません」
「でも私には聖女の魔力があるんですよね?」
「それを加味しても足らないんです。それほど魔力を要する為に成功例がないんですよ」
「そう……なん……ですね……」
「でも、可能性はゼロじゃありませんから、聖女の魔力を操れるように頑張ってみてくださいね。コツは自分の中にある魔力を二つ感じる事ですよ!」
「はい!」
女神様が応援してくれるのだと思うと沈んだ気持ちも切り替わりリリアは元気良く返事をする。
「それはそうと……話を戻しますがリリアちゃんが自分の胸の大きさを気にするなんて思っても見ませんでした。なので一つ良い事を教えてあげます」
正直な話、フルネールとしてはこちらのほうがよっぽど大事なのだ。ここまで大地を意識しているのだから。
「なんですか?」
「それはですね。リリアちゃんのお胸で大地さんの顔を包んであげることです!大地さんも男ですからね何だかんだ言うかもしれませんがとても喜びますよ!」
「えっ!」
考えても見なかった提案である。そもそもそんなはしたない事をして大地に嫌われてしまわないか?という疑問が一番始めに思い付いた。
「それは恥ずかしいです……よ……」
「でもリリアちゃんは大地さんからプレゼントして貰ったネックレスをずっとつけてるほど好意を持っていますよね」
「それは……でも……大切なもの……ですから……」
恥ずかしそうに答えるリリアにフルネールがクスクスと笑う。
「実はそれ大地さんが悩みながら町を歩いて買った物なんですよ」
あの時の大地は町をあちこち歩いても気に入ったものが見つからず、最後に地面に布を敷いてそこに並べて小物売りをしている二人組から買ったのだ。
そこまで話そうかと思いきやリリアがごそごそと動いているのを感じた為にフルネールは一旦話を止める。リリアがネックレスを握りしめているのだと察したのだ。
「ね?きっとリリアちゃんが抱き締めれば大地さんもリリアちゃんの香りに包まれてメロメロになりますよ!」
「ふ、フルネールさん。もしかして私をからかってますか?」
フルネールは悪気もなく答えた。
「はい!半分だけからかってます!」
「も、もー!」
やっぱりそうなのだ。戸惑う自分を見てフルネールは楽しんでるのだと思い、リリアは少しだけほほを膨らませた。
「でも、後の半分は本気で言ってますよ。リリアちゃんが大地さんにしてあげたいと思ったのならしてみてくださいね」
その言葉は先ほどのような冗談を言っているような声の高さはなく、いたって真面目なフルネールがリリアを想っての言葉だとわかる。
わかるのだがリリアは「うぅ……」と悩ましそうに唸りをあげるしかなかった。何せすぐに頷けるようなものではく羞恥心が上回っているからだ。
そんなリリアの雰囲気を感じてこれ以上は困らせるだけだと感じたフルネールは冗談を言うように言った。
「あ!リリアちゃん。大地さんに会いたいのでしたら迎えに行きますよ?大地さんが本気を出せば朝にはナイトガーデンの城を吹っ飛ばすこともできるんですから」
大地の力を見たことがあるリリアからしたらそれは冗談でもなく出来てしまうことを知っている。ただ……。
「いえ、それをしてしまうとダイチさんがお尋ね者になってしまいますので……でも、その、ゆっくりで良いので迎えに来てくださると……えへへ」
最後まで口に出せずに照れ隠しで笑うリリアに愛おしさを感じながらフルネールはその望みを快く承諾する。
「わかりました。普通に行くと時間が掛かっちゃいますが必ず大地さんと一緒にナイトガーデンへ迎えに行きますね。約束です」
女神との約束なんてこれ以上に信頼出来るものはなく、これはこれで嬉しくなるリリアは「ありがとうございます」と笑顔で答えて夢から覚めるのだった。
「疑問に思うのは聖女としての力が何かしらリリアちゃんに訴えかけているからでしょうか?」
「何となくですが……胸がざわつく時があるんです」
さらに沈んだ顔になるリリアへフルネールは過去の聖女達を思い出しながら言った。
「……リリアちゃん。リリアちゃんが持つ聖女としての力は歴代でも一番強いんです。胸がざわつくのもそのせいですね」
フルネールは自身の膝に乗せているリリアの頭を優しく撫でなる。それも愛しそうに。
「リリアちゃんは前に言ってましたね。死者がわかると……それは夢に出てくると言うことですよね」
「はい……やっぱりなんでもわかっちゃうんですね。あの!大地さんにその事は言わないでください」
懇願するように言うリリアに頷きたい気持ちがあったが、実はもうすでに口を滑らせて大地には推測であった『夢に出る』事について伝えてしまっている。
だからこそ頷くことが出来ずにフルネールは微妙な顔になりながら申し訳なさそうに言う。
「それがですね……その、つい口を滑らせてしまいまして大地さんには伝わっちゃってます」
「……そう……なのですね。その、ダイチさんは気味悪がっては……」
少し泣きそうになってしまっているリリアにフルネールは慌ててフォローするように言う。
「そんなことありませんでしたよ!大丈夫です!ありのままのリリアちゃんを大地さんは受け入れてます!」
もともとフルネールの言葉を疑っていないリリアだ。ただそれだけの言葉でもほっと安心感が生まれた。
「それで話を戻しますけど……死者の夢を見てしまうのも聖女としての所有する魔力が高いからです」
「それも実はよくわかりません。過去にいた聖女様のご本を読んだことありますけど町を破壊しつくすほどの魔力があるって書かれてました。でも私自身にそれほどの魔力はないと思うんです。たぶん人より多めにあるくらいじゃないかなって……」
「なるほどなるほど。う~ん、こう考えてみてください。リリアちゃんの中には赤色と青色の魔力があるのだと。リリアちゃん自身の魔力は青色で認識しているのも青色の魔力なんですよ」
「二つの魔力……?」
「はい。赤色を聖女の魔力とでも呼んでおきましょうか。その魔力量がとてつもなく多いんです」
「そうなんですね……あの!フルネールさんに……女神様にこの事を聞くのは良いのかわからないんですけど……」
「なんでも聞いちゃってください!」
なんでもウェルカムなフルネールとは裏腹にリリアはばつが悪そうに恐る恐るといった様子で質問する。
「その、人を生き返す魔法ってあるのでしょうか?もしあったとして聖女の魔力を使えれば私にも魔法が使えますか?」
リリアはそれを口にだして聞いてからもフルネールの反応があるまで少しだけ怖くなる。それはどんな本でも成功した例は無く、見方によればそれは禁忌の魔法かもしれないからだ。
しかし、フルネールはいずれリリアからそう言う質問が来るのではないかと思っていた。リリアはそれだけ人の生き死を感じ取っているのだと理解しているからだ。であればソレについて知りたがるのもごく自然なのである。
そしてもちろんその答えをフルネールは持っていて隠すことも出来るのだが……思いきって聞いてきたリリアに報いるために隠すことはしないと決めた。
「一つ目の質問ですが……存在しますよ」
「そうなの……ですね」
知りたい情報を得られたはずなのにリリアの顔は浮かないままである。
「私に聞いたことがズルだと思ってますか?」
「……はい。どんな本にも書かれていなかった事なので……」
「リリアちゃんは幼い頃からいっぱい本を読んできましたからね。そこも歴代の聖女一ですよ」
クスリと笑いながらフルネールは再びリリアの頭を優しい手付きで撫でる。
「でも、ここでこうしてるのもリリアちゃんが頑張って来たからなのですからズル何て思わなくて良いんです」
「はい……」
少しだけ溜飲が下がったのかリリアの声色も落ち着いていた。だがもう一つのことも伝えなければ行けない。
「ただし、二つ目の質問ですがこれは出来ないでしょう。技術は私が教えれば良いのですが魔力量がまず足りません」
「でも私には聖女の魔力があるんですよね?」
「それを加味しても足らないんです。それほど魔力を要する為に成功例がないんですよ」
「そう……なん……ですね……」
「でも、可能性はゼロじゃありませんから、聖女の魔力を操れるように頑張ってみてくださいね。コツは自分の中にある魔力を二つ感じる事ですよ!」
「はい!」
女神様が応援してくれるのだと思うと沈んだ気持ちも切り替わりリリアは元気良く返事をする。
「それはそうと……話を戻しますがリリアちゃんが自分の胸の大きさを気にするなんて思っても見ませんでした。なので一つ良い事を教えてあげます」
正直な話、フルネールとしてはこちらのほうがよっぽど大事なのだ。ここまで大地を意識しているのだから。
「なんですか?」
「それはですね。リリアちゃんのお胸で大地さんの顔を包んであげることです!大地さんも男ですからね何だかんだ言うかもしれませんがとても喜びますよ!」
「えっ!」
考えても見なかった提案である。そもそもそんなはしたない事をして大地に嫌われてしまわないか?という疑問が一番始めに思い付いた。
「それは恥ずかしいです……よ……」
「でもリリアちゃんは大地さんからプレゼントして貰ったネックレスをずっとつけてるほど好意を持っていますよね」
「それは……でも……大切なもの……ですから……」
恥ずかしそうに答えるリリアにフルネールがクスクスと笑う。
「実はそれ大地さんが悩みながら町を歩いて買った物なんですよ」
あの時の大地は町をあちこち歩いても気に入ったものが見つからず、最後に地面に布を敷いてそこに並べて小物売りをしている二人組から買ったのだ。
そこまで話そうかと思いきやリリアがごそごそと動いているのを感じた為にフルネールは一旦話を止める。リリアがネックレスを握りしめているのだと察したのだ。
「ね?きっとリリアちゃんが抱き締めれば大地さんもリリアちゃんの香りに包まれてメロメロになりますよ!」
「ふ、フルネールさん。もしかして私をからかってますか?」
フルネールは悪気もなく答えた。
「はい!半分だけからかってます!」
「も、もー!」
やっぱりそうなのだ。戸惑う自分を見てフルネールは楽しんでるのだと思い、リリアは少しだけほほを膨らませた。
「でも、後の半分は本気で言ってますよ。リリアちゃんが大地さんにしてあげたいと思ったのならしてみてくださいね」
その言葉は先ほどのような冗談を言っているような声の高さはなく、いたって真面目なフルネールがリリアを想っての言葉だとわかる。
わかるのだがリリアは「うぅ……」と悩ましそうに唸りをあげるしかなかった。何せすぐに頷けるようなものではく羞恥心が上回っているからだ。
そんなリリアの雰囲気を感じてこれ以上は困らせるだけだと感じたフルネールは冗談を言うように言った。
「あ!リリアちゃん。大地さんに会いたいのでしたら迎えに行きますよ?大地さんが本気を出せば朝にはナイトガーデンの城を吹っ飛ばすこともできるんですから」
大地の力を見たことがあるリリアからしたらそれは冗談でもなく出来てしまうことを知っている。ただ……。
「いえ、それをしてしまうとダイチさんがお尋ね者になってしまいますので……でも、その、ゆっくりで良いので迎えに来てくださると……えへへ」
最後まで口に出せずに照れ隠しで笑うリリアに愛おしさを感じながらフルネールはその望みを快く承諾する。
「わかりました。普通に行くと時間が掛かっちゃいますが必ず大地さんと一緒にナイトガーデンへ迎えに行きますね。約束です」
女神との約束なんてこれ以上に信頼出来るものはなく、これはこれで嬉しくなるリリアは「ありがとうございます」と笑顔で答えて夢から覚めるのだった。
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