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セブンナイト
ギルドは外も中も大忙し
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見物人に囲まれる中、ギルド前に立った大地と対面しているのは屈強な強面のハンターが三人だ。それはあちらが全員で相手するのは可愛そうだからとAランクハンターの選りすぐりを人選しての事らしい。(お優しいことで……)
そんな彼らを大地はクラリスからのお願いでお仕置きする事になったのだ。まぁ、あっちは三人だし少しやりすぎるくらいがちょうど良いと思う。
フルネール。やりすぎた時は何時ものを頼むな!
脳内会話でフルネールへ伝えることで保険も完了だ。これで万一の時でもなんとかなるのだから神様ってすごい。
それはいいですけど、クラリスちゃんのお願いは私が叶えてもらいますからね。
一瞬だけ顔に出そうになった。まさか、クラリスとのやり取りが聞こえていたとは思わなかったのだ。そんな風に脳内会話でさらに話しかけようとしたところ、フルネールはエスパーのごとく追い討ちをかけてくる。
あ!クラリスちゃんにエッチなお願いをしたいなら別に良いですけど?
大地が必ず拒否する事を見越した上での追撃だ。正直、これから戦う相手がフルネールじゃなくて本当に良かったと思う。
あ、あはは。そんなことお願いするわけないじゃないか。フルネールの好きにしてくれよ。
はい!あ、でも大丈夫ですよ?しっかり大地さんにも益があるような事をお願いしますからね!
どこも大丈夫じゃなさそうだがこれが平常運転だから諦めもつくってものだろう。そうして心の中でため息を吐き出した大地は改めて強面のハンター達を注視する。
こいつらはがたいは良いが獲物が全員片手で持てる剣だ。まるで個性がない。その上、イチャモンのつけ方もモブっぽかったのだから……こりゃ伸び代ないな。
「おら!とっとと獲物を構えやがれ!!」
強面ハンターAが怒鳴るように言ってくる。ちゃんと武器をだすまで待ってくれるらしい。ならば遠慮する必要はないだろう。
「もうだしてるぜ?」
言い方が少々キザっぽかったかもしれない。しかし、相手に武器をだしている場面を見せないことで威圧することも出来る。
「は?なんだそりゃ」
強面ハンターBが憤慨したように言う。何故なら大地が選択した武器は自身の右手の指に嵌め込むタイプの武器でその名前をメリケンサックと言う。殺傷能力としては低い為にこの世界にはなさそうな武器である。
「お前らにはこれでちょうどいいだろ?」
クラリスの手前、流石に殺すわけにはいかないのだ。いや彼女の前じゃなくてもリリアとの約束がある以上、出来る限りは人を殺したくないのだ。
「さあ、かかってこい」
武器を持っていない左手の掌を空に向けながら指を二、三度曲げて大地は挑発をした。たぶんこれが一番カッコいいと思います。
「なめやがって!いくぞおらぁっ!!」
激昂した三人のハンターは一斉に大地へと襲いかかってくる。
ハンターAはそのがたいの良さを生かした突進による斬りかかりだ。体躯の大きさ=動きのトロさ。その法則をぶち壊すような動きの早さで大地へと積めよった。
「なるほど。高ランクハンター(推測)なだけはあるな?」
確かに早いがこの速度ならナルの方が断然上だ。大地は余裕をもって相手の斬撃を掻い潜り懐に飛び込んだ。
そして左の拳を腹に叩き込む。武器を持たぬとしても大地の一撃は十分に威力があり悠々と腹に拳をめり込ませた。
「くそがぁっ!」
そんな状態なのに彼は再び剣を振るってくる。先ほどと違い鋭さも早さもない。
簡単に脇をすり抜けるように避けると視界には残りの二人が剣を振るってきているのが見えた。大地は強面ハンターBとCの振るう剣筋をしっかり捉えてスルリと通り抜けるように二人の攻撃を優雅に避けた。
「くそ!大丈夫か?」
「あのやろぉ……なめやがって……」
「三人同時なら反撃の空きはないはずだ」
強面ハンターA、B、Cが新たに構え直しているがAだけは辛そうにしている。先のダメージが抜けきらないのだろう。
それでも大地へと三人が飛び出した。一人の剣振りの後に続くように二人目、三人目と刃を振るってきている。確かに普通の人間なら一溜りもないかもしれない。
大地は一人目の剣を躱しながら再び腹に拳をめり込ませ、二人目が振るってきた刃を右手のメリケサックで受け止める。そして一秒も満たない時間で右側へと捨てさるように刃を受け流しバランスが崩れたハンターに左手の裏拳を叩き込んでその場に崩す。最後に三人目のハンターが刃を突き刺してくるのを躱しつつハンターの背後に移動すると回し蹴りを背中に叩き込む。
それぞれが苦痛の声を漏らすがダメージは倒れてしまうほどではない。だからこそハンター達は体勢をたて――直す前に大地がすぐ近くまで来ていた。
「ゆっくりしてんじゃねえよ!」
ハンターAにはサマーソルトキックをかまして少し浮いたところに両手のラッシュを叩きこむ。それが数秒で終わると回し蹴りをかまして意識を奪った。そして戦闘と言うことを忘れて呆気にとられているハンターBへ襲いかかる。
ハンターBは何とか剣を振るうところまで動いていたが大地からしたら遅すぎる。即座に背後に回ると左手の掌手で思いっきり叩くのだ。ビタンっ!と盛大な音と共に痛みを与える。
ハンターBが痛みで顔を歪めた直後に再び真正面に移動してから腹にも同じような一撃を叩き込む。そうしたことでハンターBは痛みで転げ回る。
二人のハンターが犠牲(死んではいない)になった事で立て直せたハンターCが「くそっ!」と怒りまかせに剣を縦に振るう。大振りな一撃だが早さと鋭さがあることから威力はあるだろう。ただ……大地が召喚した武器は材質が似ていても強度はまるで違う。だからこそ大地はその振り下ろされる刃に向かって右のメリケサックで迎え撃つ。
刃がメリケサックとぶつかると勝敗は火を見るより明らかだった。刃が音を立てて砕け散る。そして、まさかの事態だと言うハンターに比べて壊す気でいた大地の方が早く動くのは当然だ。ショートレンジまで距離を積めた大地は振りかぶりながら言う。
「殺す気で来たんならそれなりの覚悟はあるだろ?」
「ひっ!?」と情けない怯えた声をだすハンターCを見て大地は急に動いた。それも奴が目で追うことが出来ないほどの速度でだ。
ハンターCがようやく意識として視認できたのは真正面に拳があることと拳の早さで吹かれた風を浴びることだった。
「ひえ……」
まさに目にも留まらぬと言う奴でハンターCはその場で腰が抜けて後方へと尻餅をついた。
三人分合わせりゃイチ半殺しくらいにはなるかな。それにこの程度ならフルネールの回復は必要ないよね?
それはいいですけど、ダメージ分配にバラつきがありすぎませんか?一人気を失ってますよ?
いいのいいの。一番俺に何か言ってきた奴だから。見せしめ程度にな。
「ま、これに懲りたら新人にはもっと優しくするんだな。じゃないと新人君が育たないぞ?」
決め台詞を吐き捨てると見物人達から歓声が上がったのが聞こえてきた。それを無視するようにギルドの扉を開いて大地はクールに去るように入っていく。
「ダイチさん、お疲れさまでした」
クラリスがそう言って出迎えてくれる。
勝負の結果がわかりきっていたレヴィア、ナル、クラリス。それにユーナはギルドの中に居たままなのだ。
「あの、ダイチさん。フルネールさんから聞いたんだけど……」
「ん?フルネールさん?クラリスと何時話したんだ?」
「皆さんが外に出ていく直前にサラッと」
さいですか……。
クラリスがモジモジしながら頬を紅色に染めつつも言葉を口にしてくる。
「それで……いいの……?」
フルネールとどんな話があったのか全くわからない大地としては簡単にうなずくのは勇気がいる。しかし、クラリスから視線をはずしてフルネールを見ると肯定しろと言わんばかりに笑顔で頷いている。
「あ、ああ。それで構わない」
「そ、そっか……うん!ダイチさんのお願いなら私頑張るからね!」
本当に何を言ったのか問いただしたくなるほどだ。だけどここまで来た以上、問いただすことは出来ない。後は流れ行く時に身をまかせて成り行きを見守るしかないのかもしれない。
そんな風にもじもじしているクラリスを可愛いなと思った矢先の事だ。
突如、ギルドの扉が盛大な音を立てて開かれた。入ってきた人物は薄い桃色の髪にメイド服を纏っていた。大地も面識があるその女性はリリアが取っている宿のメイドさんのハンナだ。
「あ……ダイチさん!」
彼女の口からは失った肺の空気を整えると言わんばかりに激しく、そして浅く呼吸を繰り返していた。そして血相を変えた顔から走ってきたから息切れを起こしているのだとすぐに理解できた。
そんな彼女が助けを呼ぶように言うのだ。
「ダイチさん!リリア様が拐われてしまいました!!」
そんな彼らを大地はクラリスからのお願いでお仕置きする事になったのだ。まぁ、あっちは三人だし少しやりすぎるくらいがちょうど良いと思う。
フルネール。やりすぎた時は何時ものを頼むな!
脳内会話でフルネールへ伝えることで保険も完了だ。これで万一の時でもなんとかなるのだから神様ってすごい。
それはいいですけど、クラリスちゃんのお願いは私が叶えてもらいますからね。
一瞬だけ顔に出そうになった。まさか、クラリスとのやり取りが聞こえていたとは思わなかったのだ。そんな風に脳内会話でさらに話しかけようとしたところ、フルネールはエスパーのごとく追い討ちをかけてくる。
あ!クラリスちゃんにエッチなお願いをしたいなら別に良いですけど?
大地が必ず拒否する事を見越した上での追撃だ。正直、これから戦う相手がフルネールじゃなくて本当に良かったと思う。
あ、あはは。そんなことお願いするわけないじゃないか。フルネールの好きにしてくれよ。
はい!あ、でも大丈夫ですよ?しっかり大地さんにも益があるような事をお願いしますからね!
どこも大丈夫じゃなさそうだがこれが平常運転だから諦めもつくってものだろう。そうして心の中でため息を吐き出した大地は改めて強面のハンター達を注視する。
こいつらはがたいは良いが獲物が全員片手で持てる剣だ。まるで個性がない。その上、イチャモンのつけ方もモブっぽかったのだから……こりゃ伸び代ないな。
「おら!とっとと獲物を構えやがれ!!」
強面ハンターAが怒鳴るように言ってくる。ちゃんと武器をだすまで待ってくれるらしい。ならば遠慮する必要はないだろう。
「もうだしてるぜ?」
言い方が少々キザっぽかったかもしれない。しかし、相手に武器をだしている場面を見せないことで威圧することも出来る。
「は?なんだそりゃ」
強面ハンターBが憤慨したように言う。何故なら大地が選択した武器は自身の右手の指に嵌め込むタイプの武器でその名前をメリケンサックと言う。殺傷能力としては低い為にこの世界にはなさそうな武器である。
「お前らにはこれでちょうどいいだろ?」
クラリスの手前、流石に殺すわけにはいかないのだ。いや彼女の前じゃなくてもリリアとの約束がある以上、出来る限りは人を殺したくないのだ。
「さあ、かかってこい」
武器を持っていない左手の掌を空に向けながら指を二、三度曲げて大地は挑発をした。たぶんこれが一番カッコいいと思います。
「なめやがって!いくぞおらぁっ!!」
激昂した三人のハンターは一斉に大地へと襲いかかってくる。
ハンターAはそのがたいの良さを生かした突進による斬りかかりだ。体躯の大きさ=動きのトロさ。その法則をぶち壊すような動きの早さで大地へと積めよった。
「なるほど。高ランクハンター(推測)なだけはあるな?」
確かに早いがこの速度ならナルの方が断然上だ。大地は余裕をもって相手の斬撃を掻い潜り懐に飛び込んだ。
そして左の拳を腹に叩き込む。武器を持たぬとしても大地の一撃は十分に威力があり悠々と腹に拳をめり込ませた。
「くそがぁっ!」
そんな状態なのに彼は再び剣を振るってくる。先ほどと違い鋭さも早さもない。
簡単に脇をすり抜けるように避けると視界には残りの二人が剣を振るってきているのが見えた。大地は強面ハンターBとCの振るう剣筋をしっかり捉えてスルリと通り抜けるように二人の攻撃を優雅に避けた。
「くそ!大丈夫か?」
「あのやろぉ……なめやがって……」
「三人同時なら反撃の空きはないはずだ」
強面ハンターA、B、Cが新たに構え直しているがAだけは辛そうにしている。先のダメージが抜けきらないのだろう。
それでも大地へと三人が飛び出した。一人の剣振りの後に続くように二人目、三人目と刃を振るってきている。確かに普通の人間なら一溜りもないかもしれない。
大地は一人目の剣を躱しながら再び腹に拳をめり込ませ、二人目が振るってきた刃を右手のメリケサックで受け止める。そして一秒も満たない時間で右側へと捨てさるように刃を受け流しバランスが崩れたハンターに左手の裏拳を叩き込んでその場に崩す。最後に三人目のハンターが刃を突き刺してくるのを躱しつつハンターの背後に移動すると回し蹴りを背中に叩き込む。
それぞれが苦痛の声を漏らすがダメージは倒れてしまうほどではない。だからこそハンター達は体勢をたて――直す前に大地がすぐ近くまで来ていた。
「ゆっくりしてんじゃねえよ!」
ハンターAにはサマーソルトキックをかまして少し浮いたところに両手のラッシュを叩きこむ。それが数秒で終わると回し蹴りをかまして意識を奪った。そして戦闘と言うことを忘れて呆気にとられているハンターBへ襲いかかる。
ハンターBは何とか剣を振るうところまで動いていたが大地からしたら遅すぎる。即座に背後に回ると左手の掌手で思いっきり叩くのだ。ビタンっ!と盛大な音と共に痛みを与える。
ハンターBが痛みで顔を歪めた直後に再び真正面に移動してから腹にも同じような一撃を叩き込む。そうしたことでハンターBは痛みで転げ回る。
二人のハンターが犠牲(死んではいない)になった事で立て直せたハンターCが「くそっ!」と怒りまかせに剣を縦に振るう。大振りな一撃だが早さと鋭さがあることから威力はあるだろう。ただ……大地が召喚した武器は材質が似ていても強度はまるで違う。だからこそ大地はその振り下ろされる刃に向かって右のメリケサックで迎え撃つ。
刃がメリケサックとぶつかると勝敗は火を見るより明らかだった。刃が音を立てて砕け散る。そして、まさかの事態だと言うハンターに比べて壊す気でいた大地の方が早く動くのは当然だ。ショートレンジまで距離を積めた大地は振りかぶりながら言う。
「殺す気で来たんならそれなりの覚悟はあるだろ?」
「ひっ!?」と情けない怯えた声をだすハンターCを見て大地は急に動いた。それも奴が目で追うことが出来ないほどの速度でだ。
ハンターCがようやく意識として視認できたのは真正面に拳があることと拳の早さで吹かれた風を浴びることだった。
「ひえ……」
まさに目にも留まらぬと言う奴でハンターCはその場で腰が抜けて後方へと尻餅をついた。
三人分合わせりゃイチ半殺しくらいにはなるかな。それにこの程度ならフルネールの回復は必要ないよね?
それはいいですけど、ダメージ分配にバラつきがありすぎませんか?一人気を失ってますよ?
いいのいいの。一番俺に何か言ってきた奴だから。見せしめ程度にな。
「ま、これに懲りたら新人にはもっと優しくするんだな。じゃないと新人君が育たないぞ?」
決め台詞を吐き捨てると見物人達から歓声が上がったのが聞こえてきた。それを無視するようにギルドの扉を開いて大地はクールに去るように入っていく。
「ダイチさん、お疲れさまでした」
クラリスがそう言って出迎えてくれる。
勝負の結果がわかりきっていたレヴィア、ナル、クラリス。それにユーナはギルドの中に居たままなのだ。
「あの、ダイチさん。フルネールさんから聞いたんだけど……」
「ん?フルネールさん?クラリスと何時話したんだ?」
「皆さんが外に出ていく直前にサラッと」
さいですか……。
クラリスがモジモジしながら頬を紅色に染めつつも言葉を口にしてくる。
「それで……いいの……?」
フルネールとどんな話があったのか全くわからない大地としては簡単にうなずくのは勇気がいる。しかし、クラリスから視線をはずしてフルネールを見ると肯定しろと言わんばかりに笑顔で頷いている。
「あ、ああ。それで構わない」
「そ、そっか……うん!ダイチさんのお願いなら私頑張るからね!」
本当に何を言ったのか問いただしたくなるほどだ。だけどここまで来た以上、問いただすことは出来ない。後は流れ行く時に身をまかせて成り行きを見守るしかないのかもしれない。
そんな風にもじもじしているクラリスを可愛いなと思った矢先の事だ。
突如、ギルドの扉が盛大な音を立てて開かれた。入ってきた人物は薄い桃色の髪にメイド服を纏っていた。大地も面識があるその女性はリリアが取っている宿のメイドさんのハンナだ。
「あ……ダイチさん!」
彼女の口からは失った肺の空気を整えると言わんばかりに激しく、そして浅く呼吸を繰り返していた。そして血相を変えた顔から走ってきたから息切れを起こしているのだとすぐに理解できた。
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