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迷って腐って浄化して
睡眠はナルを添えて
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「さっきは助けてくれてありがとう」
最後まで見守っていたカイが横から割って入ってきた。向いている方向からして大地ではなくナルにお礼を言っているのはわかる。わかるが自分も動いただろう?というように大地は人差し指を自分に向けてアピールするのだがその全てをスルーされる。
「たすかってよかったです!」
大地と契約できたことで上機嫌のナルはそのテンションのまま答える。
「それにしても幽霊じゃなかったんだな」
カイがナルを見ながら自己完結するように頷いた。
「ゆうれい?」
「ああ。君……ナルちゃんが色んな人を助けてすぐ居なくなっていたから幽霊と思われていたみたいなんだ」
「うーん?わたしゆうれいじゃないよ!ナインテイルだよ!」
「ナインテイル!?」
カイが驚きの目で大地へを勢いよく振り向いた。
「あー。まだ子供だけどな。尻尾も確か3本しかないはずだ」
前の記憶を頼りに大地がそう答えるのだがナルがそれを訂正するように誇らしげに言った。
「いまは5本になりました!あと4本でおとなになります!!」
その言葉からは早く大人になりたいといったニュアンスもくみ取れた。それに和みつつカイがチラリとレヴィアへと目を向けて言った。
「子供……でもすごいけど、おっさんは子供のモンスターとしか契約しないのか?」
その話をしっかり聞いていたレヴィアの額には怒りマークが見えるような表情へと変わる。
「ちょっと失礼ね。子供なんて言っているけれどアタシはあんたより強いわよ!」
これまでカイは人型のモンスターを見たことがある。そいつらはしっかり成人しきっていて風貌もそれ相応だった。となれば幼女に近い容姿に加えて子供のような言動をしているレヴィアの言葉を聞けば子供の戯言だと思えてしまうのだ。
だから喚くレヴィアをカイは笑みを浮かべてスルーするのだけれど、その様子にレヴィアは更に怒りマークを増やした。
「あたた……今何がどうなってんだい?」
意識が回復したマリンとオーガスが起き上がってきた。カイは二人に今までの事を話すと二人は考え始めた。それも何か心なしか気を落としているようにも見える。そんな滅多に見ない二人の様相にカイが気に掛ける。
「生きてるんだし、そんなに気に病むことは……」
「あんた、よく生きてたね!」
「おまえ、よう生きてたな!」
まるで他人事のように言う二人はあっはっはと笑う。
「俺が死んでたらお前らもまとめて死んでるんだぞ!!」
あまりの能天気さぶりにカイは言い返すが二人は「そりゃそうだ」とまた笑う。
そうしてひとしきり笑った後、マリンとオーガスはナルへ近づき屈んだ。
「カイを護ってくれてありがとうね」
「こんなに幼いのに大したものだ」
そう言われたナルは少しだけ照れながら「えへへ!」と笑う。
「今回の礼に何かあったら何時でも頼ってくれ」
「そうだな。俺もカイも同じ気持ちだ。必ず力になるから」
「はい!」
物怖じもせずにそう返事をしたナルから目を離したマリンとオーガスはカイへ振り向く。
「さ!私たちは先に帰るよ!ギルドへの報告もするからね!」
「うわ!?いてて、引っ張らないでくれぇぇぇ!」
マリンがグイグイとカイの腕を掴んで引っ張りながら連れていき森の中へとカイ達は消えていった。
「ところでフルネール。ナルの服はいつごろ取りに行けるんだ?」
「明日には出来上がる見たいなので今日はこのままですね」
等とフルネールは笑顔で言うが、マントしか羽織っていないナルの姿はいつぞやのレヴィアと同じように危険がいっぱいなのだ。
後ろから見ればきっとナルの尻尾でめくれている部分も見えてしまうだろう。
「あれ?ナルは尻尾5本になったんだよな?」
前から見るナルの後方には尻尾が一本しかない。それに不思議がって大地が聞くとナルはうなすいた。
「はい!でもまほうでかわってると一本になっちゃう見たいです。さっきみたいにもう一回まほうでかわれば見えなくなるんです!」
「そうか。それにしても驚いたな。ナルがここまで話せるようになってるなんてな」
「大地。今までナルの事を隠しててごめんなさい」
徐にレヴィアがそう謝ってきた。内緒にしていたことに少しの後ろめたさがあったのかもしれない。それは少し落ち込んだ様子を見せるレヴィアの表情から察することができる。
「レヴィア。必ずしも何でも俺に言わなきゃいけないわけじゃないんだ。そりゃ危険なことを隠されれば困るけど、レヴィアはナルの為にしていたことなんだしいいんだよ」
そう言ってレヴィアの頭を撫でてやると隣のナルが騒ぎ始めた。
「レヴィアおねえちゃんばかりずるい!わたしも!わたしもー!」
そう言ってぴょんぴょんと跳ねるナルの頭に大地は手を置いた。そうすることで動きが止まったナルの頭もレヴィアと同じように優しく撫でる。
その二人の嬉しそうな顔を微笑ましく眺めていたら隣からすごい視線を感じてきた。
「な、何かな?フルネールさん」
「あら。さん付けなんて他人行儀ですよ。大地さん」
「おい!今ルビに何をいれた!?」
「いえいえ。そんな大層なものはいれていませんよ?大地さんの現状を一言で表せる言葉をひとつまみ入れただけですから」
「俺はロリコンじゃねぇぞ!」
「それはどうでしょう?目の前にこんな美人がいるのに、小さな女の子ばかり頭を撫でてるですから」
これはつまり自分の頭を撫でろと言うことなのか?しかし、それにしては遠回しな言い方だ……。
「ちょっと。さっきから聞いてれば貴方達も失礼ね……。アタシは大人にも成れるわよ」
カイに続きフルネールにも子供子供と言われたことでレヴィアは叫ぶように言うと、小さな吹雪を自身の回りに発生させた。
その吹雪が止むとフルネールと同じ背丈の女性が姿を表した。それがレヴィアだと言うのは今までの流れでわかる。長い瑠璃色の髪はお尻の辺りまで伸びているが、幼女の時と比べてよりサラサラしている。手足はスラリと伸び、体の殆どは線が細いように見えるけれど、フルネールよりも少し小さい胸をシャーリーが見たら嘆いてしまうかもしれない。因みに衣服や羽衣も大人の体に合わせられて大きくなっているが尻尾の大きさは変わっていない。そして顔。子供特有の丸みを帯びた輪郭とは違い、しゅっとした頬や、少し切れ目の目付きとなったレヴィアはまさにクール美女と言えるだろう。
「ま、こんな感じかしらね」
「ほー、こっちのレヴィアは綺麗だな」
姿が変わろうと大地からしたらレヴィアはレヴィアだ。だから背が伸びていようと構わず彼女の頭を撫でる。
「ちょっとアタシは大人の姿になってるのよ?」
そう抗議の目を向けてくるが大地の手をどかさないところをみるに嫌ではないのだろう。
「まったく……」
結局、抗議しても大地が止めない為、レヴィアは諦めて撫でられ続ける事を選択した。が、その目の端で気づいた。
「ナル?大地に隠れてどうしたの?」
そう何時ものように聞いたがナルはビクリと体を震わせた。
「う、うう……だってレヴィアおねえちゃんこわい……」
怯えて大地の後ろからナルはそう答えた。その言葉に少なからずショックを覚えたてレヴィアは続いて聞いた。
「怖い?って私怒ってないわよ?」
大地達に抗議する時も、大人の姿になった時も怒気をはらめた言葉は何一つ口にしていない。だが、それでもナルは大地の後ろから出ないで隠れてしまっている。
「レヴィアちゃん。たぶんナルちゃんはモンスターの本能で怖がっているのですよ」
フルネールが大地の後ろに隠れたナルを落ち着かせるように頭を撫でながらそう言った。
「え?」
「レヴィアちゃんがここの森に入ってからやったのと同じですよ。子供の姿より大人の姿のほうが力は出るのでしょう?」
そう言われてレヴィアはやっと気づいた。ナルにとって今の姿はずっと威圧されている様なものなのだと。
「あ……そうね。確かに子供の時は本来の10分の1くらいになるわね」
「その姿ならどのくらいなんだ?」
「んー。この姿に慣れてないから半分ってとこかしら?慣れたら本来の姿と同じになるわよ……たぶん」
そう言いながら吹雪を纏う。数秒程度で吹雪が止むと何時もの子供の容姿のレヴィアに戻っていた。
「ナル?ほら、もう怖くないわよね?」
そう言いながら大地の後ろにいるナルへと声を掛ける。聞こえてきた声と先ほどまであった重圧のような威圧感が無くなったことで、ナルは最初は耳だけを大地の後ろから出し、直ぐに顔がひょっこりと出てきた。
「レヴィアおねえちゃん?」
「そうよ」
何時もの姿に安堵したナルが次には笑顔になってレヴィアへ小走りで近づいていく。
やっぱり二人とも可愛いですね!
そうだな。微笑ましくていいもんだ。
……やっぱり大地さんはロリコンさんですね!リリアちゃんの事も好きですもんね!
おま……それリリアが聞いたら怒ると思うぞ……。
脳内でフルネールからそれについて意義を申し立てる声が聞こえてきた。それを全力で無視する事に決めてレヴィア達の方へと振り向くとナルが今度はこちらに小走りで近づいて来るのが見える。
「ごしゅじんさま!」
世話しなく動きまくるナルを見ながら少し気になったことを口にする。
「って、そう言えばなんでナルはご主人様呼びなんだ?」
チラリとレヴィアへ向く。フルネールに聞いても良いのだが……いやよくない!今はあまりフルネールへと顔を向けたくないのだ。
「ナルに契約ってどういうものか聞かれたからそう答えたのよ」
「なんでまたご主人様呼びで教えるんだ……」
「契約を結ぶって事はその人のものになる感覚が強いのよ。前に言ったでしょ?大地のものになった見たいって。つまり契約は主従関係みたいなものなのよ」
「でもレヴィアはそんな呼び方してないだろ?」
「そうよ。そもそも契約とどう向き合っていくかを考えるのは私たち側の問題なのよ。私は大地の事を大地って呼びたいと思ったからそうしているだけ」
「その考えで行くとナルは『ごしゅじんさま』と呼びたいとと言うことなのか……」
ナルへ目をやるとえへへと笑顔で抱きついてきた。これはこれで可愛いのだが、その呼び方で呼ばれるのは少々恥ずかしくもある。
「もしかして大地は私にも『ご主人様』……って呼んでほしいのかしら?」
少しだけニヤニヤと笑みを浮かべながら聞いてくるレヴィアを見て、ここにもフルネールの悪影響が出てきているのだと感じざるを得ない。
「いや、何時ものように頼むよ」
「そう。わかったわ」
素直に頷くレヴィアの頭を再び撫でながらこのまま素直にいてほしいと大地は願う。
「大地さん。そろそろ帰りませんか?」
なんだかんだでカイと別れてから結構な時間が過ぎた。意図的に森の中で立ち止まっていたけれど、そろそろギルドの中も外も人が居なくなっている頃合いだ。
待っていた理由は単純にナルの姿がマント一枚だからだ。本人は気にしていないが、一目を避ける理由としては十分すぎるだろう。
「そうだな。それじゃあ帰るか。っとナルからしたら新しい場所だから離れないでくれ」
「はい!」
森から戻ると夜の闇と静寂が大地達を出迎える。フルネールの魔法は森から出ると同時に消しているため、暗い街中を歩くしかない。
とはいえ街中であるから危険こそ無いものの、大変だったのはナルの好奇心を抑える事が出来なかった事だ。ナルからしたら物珍しいものが山ほどあるから無理がないとは言え、暗い夜道だろうと夜目が十分に利くナルにはなんの問題も無かったせいであちらこちらにダッシュしてしまうという。
人型に変身していようと動く早さは相変わらずなようで、ナルに追い付いてはすぐに動かれ真夜中のミニおいかけっこが唐突に開始されてしまったのだ。
最終的には先読みして動いたレヴィアがナルを捕まえて終わりを迎える。もっとも捕まってしまったナルはレヴィアから大地の言う事はしっかり聞くようにと叱りつけられるのだった。
そうしてようやくギルド前にやってくる。ギルドは閉まり、辺りには人はおらず、静寂に支配されている何時もの寝床だ。石畳のベッドは何時ものように大地を迎え入れてくれる……。
「さて、それじゃあ寝るとするか」
大地がそう言って横になろうとした時だ。
「ごしゅじんさま?にんげんはおふとん?というものでねるとききましたけど、ちがうんですか?」
今のナルは出会った頃とは違い、フルネールやレヴィア、そして温泉の町ベルナーの住人達によって人間の知識はある程度蓄えている。故にそこからでた純粋な質問だ。
「まぁそのな……」
「ナル。お布団に入るのにはお金が必要なのよ。でも残念ながらそのお金が無いからいつもこの辺で寝るのよ」
何て答えようかと大地が考えあぐねていると隣でレヴィアが淡々と言う。それを聞いたのが普通の人なら『何してんだコイツ?』と奇異な目で見られること間違いないが、ナルからしたらそれが珍しい事なのか普通の事が分からない。
「そうなの?」
それ故にあっけらかんと言ったナルは何も気にしていないようだった。
しかし、フルネールやレヴィアもだがちゃんとしたところで寝られるようにしないとダメだよな。
そう考えても家を買えるビジョンが見えてこないのも事実だ。何故か様々な理由で金か消えていく事に強さを得ることは財産を捨てる事なのじゃないかと思えてくる。
「ま、とりあえず寝るか」
そうして今度こそ横になろうとした時だ。
「はい!ごしゅじんさまのよこでねたいです!」
ナルが高らかにそう言ったのだ。いや、ナルからしたらようやく大地と契約できて一緒にいたいと思うのは必然なのだ。
しかし、何時も大地の腕を枕にしていたフルネールとレヴィアからしたらそれは譲れず、ナルの言葉は宣戦布告となった。
だからこそ二人は待ったをかけた。
「ナルちゃん!大地さんの隣は二つしかありません」
「そうよ!アタシだっていつも大地の隣で寝ているんだから!」
その二人の猛攻を受けながら尚、ナルは正面切って言う。
「やだ!ごしゅじんさまとは私がねるの!!」
そう言って横になる前の大地の足へ抱きついてくる。
「おっと……」
いきなり抱きついてきた衝撃に耐えた大地がナルの頭を撫でる。それは何となく頭の中を過った嫌な予感からくる精神の動揺を落ち着ける意味も込める。
だが、むしろ逆効果だったかもしれない。そんな様子を様々と見せつけられたフルネールはヒートアップしてくる。
「昨日は大地さんがいなかったのですから今日は譲れませんよ!」
そう言ってフルネールは大地をナルと挟むようにその腕に抱きついた。ナルと違うところは多々あれど、特筆べき点は他の追随を許さない霊峰だ。それが思いっきりぎゅぅっと腕を挟むのだ。心のポーカーフェイススキルレベルが高いからこそ顔にでなかったが、フルネールの破壊力は相も変わらず……というか今回は勢いもあってプヨンではない。ポヨンなのだ。
「あー!フルネールずるいわ!」
そうしてナルに先手を打たれながらも自分よりより先に動いたフルネールをレヴィアは糾弾する。
「ふふふ。これで大地さんの隣もハートも私がゲットです」
全てにおいて勝ち誇るように言うフルネールにレヴィアは「うー」と唸るように見つめる。だが、今のレヴィアでは体も立ち位置も負けているのは確かなのだ。
「なぁ……そろそろ寝ないか?」
腕に伝わる感触は嬉しいが何時までもこうしているわけにもいか無い。何せ足に抱きついているナルの頭がコクリコクリと重力に負けそうになっているからだ。このまま睡眠欲に負けて意識を手放したら倒れてしまう。それを危惧して大地はそろそろ終わりにさせるために言ったのだ。
「あら、ナルちゃん眠そうですね」
大地の向いている視線を追ったフルネールはナルの眠気が限界にきているとわかるや否や、大地から離れて倒れそうになったナルを支えた。
「フルネール……ちゃん?」
眠そうな声だと一発で判断できる程にぼんやりとした声だ。そんな眠気に襲われている状況でもナルは手を離さない。
「もう今日は寝ましょうね。大地さんに腕枕してもらうといいですよ」
ついさっきまでの子供じみた行動をしていたフルネールの姿はなく、慈愛に満ちた笑顔をナルに向けていた。
フルネールがそうすることでナルは大地から手を離してフルネールに自分の体を預ける。しかし、フルネールの提案にナルは眠たそうに閉じかけた瞼のまま首を横にふった。
「ごしゅじんさまのとなりはフルネールちゃんとレヴィアおねえちゃんでいいよ……」
若干、言葉になっていない声も出ていたがフルネールとレヴィアは確りとナルが言いたいことを聞き取った。
「ナルは大地の隣で寝たいんでしょ?」
レヴィアも先ほどまでのわがままっぷりはどこかに消えていた。こう見るとフルネールもレヴィアもナルに甘いのだとよくわかる。
と、そうやって見ていたらフルネールが視線を向けてくる。
「とりあえず大地さんは私達の為に早く横になってください。大地さんと寝るんですから」
「そうよ。私達は大地と寝たいんだから」
フルネールの後に続いてレヴィアまで言ってくるが、今の言葉はかなり誤解が生まれそうなものだと気づいてないのだろうか?そう考えざるを得ないが、二人に捲し立てられた大地はやや困りながら仰向けで寝っ転がった。
先ほどの言葉のせいか、女性が来ることをわかっている状態で寝っ転がると不思議と落ち着かないものである。それが何時もの事であろうと、前置き……というかシチュエーションのようなものがあるだけで違ってくるのだ。
そんな風に悶々と頭の中を照れと恥ずかしさが路頭に迷っていると、ナルが再び言った。
「わたしはとなりじゃなくてもいいから……」
それに対してフルネールやレヴィアが何かを言おうと考えるが、今この状況で話を長引かせるのは良くないと思い頷くことにした。
そうなるとフルネールが「失礼しますね」と一言添えてから大地の腕を枕にしつつ横になり、レヴィアは「やっぱりこれよね」とこの状況が当たり前と言わんばかりに大地の腕に頭を下ろす。
フルネールでドキリとするのもそうだが現状の問題はレヴィアだ。レヴィアは子供の姿だったからこそ意識の対象外だったものの、先ほどの大人レヴィアを見ると視点が変わってきてしまった。
それを何とか煩悩にならないように理性をコントロールに努めているといまだに立ったままのナルが言った。
「わたしはごしゅじんさまの上でねる~」
そう言うや否や、ナルが倒れるような形で大地の胸に飛び込んできた。その重量を全て胸で受けた大地は「ぐふっ」と声をがでるダメージをうけた。しかし、その痛みのお陰で煩悩も消え去り、抱きつくように寝てしまったナルを見て微笑ましくて思いながらゆっくり眠りにつくのだった。
最後まで見守っていたカイが横から割って入ってきた。向いている方向からして大地ではなくナルにお礼を言っているのはわかる。わかるが自分も動いただろう?というように大地は人差し指を自分に向けてアピールするのだがその全てをスルーされる。
「たすかってよかったです!」
大地と契約できたことで上機嫌のナルはそのテンションのまま答える。
「それにしても幽霊じゃなかったんだな」
カイがナルを見ながら自己完結するように頷いた。
「ゆうれい?」
「ああ。君……ナルちゃんが色んな人を助けてすぐ居なくなっていたから幽霊と思われていたみたいなんだ」
「うーん?わたしゆうれいじゃないよ!ナインテイルだよ!」
「ナインテイル!?」
カイが驚きの目で大地へを勢いよく振り向いた。
「あー。まだ子供だけどな。尻尾も確か3本しかないはずだ」
前の記憶を頼りに大地がそう答えるのだがナルがそれを訂正するように誇らしげに言った。
「いまは5本になりました!あと4本でおとなになります!!」
その言葉からは早く大人になりたいといったニュアンスもくみ取れた。それに和みつつカイがチラリとレヴィアへと目を向けて言った。
「子供……でもすごいけど、おっさんは子供のモンスターとしか契約しないのか?」
その話をしっかり聞いていたレヴィアの額には怒りマークが見えるような表情へと変わる。
「ちょっと失礼ね。子供なんて言っているけれどアタシはあんたより強いわよ!」
これまでカイは人型のモンスターを見たことがある。そいつらはしっかり成人しきっていて風貌もそれ相応だった。となれば幼女に近い容姿に加えて子供のような言動をしているレヴィアの言葉を聞けば子供の戯言だと思えてしまうのだ。
だから喚くレヴィアをカイは笑みを浮かべてスルーするのだけれど、その様子にレヴィアは更に怒りマークを増やした。
「あたた……今何がどうなってんだい?」
意識が回復したマリンとオーガスが起き上がってきた。カイは二人に今までの事を話すと二人は考え始めた。それも何か心なしか気を落としているようにも見える。そんな滅多に見ない二人の様相にカイが気に掛ける。
「生きてるんだし、そんなに気に病むことは……」
「あんた、よく生きてたね!」
「おまえ、よう生きてたな!」
まるで他人事のように言う二人はあっはっはと笑う。
「俺が死んでたらお前らもまとめて死んでるんだぞ!!」
あまりの能天気さぶりにカイは言い返すが二人は「そりゃそうだ」とまた笑う。
そうしてひとしきり笑った後、マリンとオーガスはナルへ近づき屈んだ。
「カイを護ってくれてありがとうね」
「こんなに幼いのに大したものだ」
そう言われたナルは少しだけ照れながら「えへへ!」と笑う。
「今回の礼に何かあったら何時でも頼ってくれ」
「そうだな。俺もカイも同じ気持ちだ。必ず力になるから」
「はい!」
物怖じもせずにそう返事をしたナルから目を離したマリンとオーガスはカイへ振り向く。
「さ!私たちは先に帰るよ!ギルドへの報告もするからね!」
「うわ!?いてて、引っ張らないでくれぇぇぇ!」
マリンがグイグイとカイの腕を掴んで引っ張りながら連れていき森の中へとカイ達は消えていった。
「ところでフルネール。ナルの服はいつごろ取りに行けるんだ?」
「明日には出来上がる見たいなので今日はこのままですね」
等とフルネールは笑顔で言うが、マントしか羽織っていないナルの姿はいつぞやのレヴィアと同じように危険がいっぱいなのだ。
後ろから見ればきっとナルの尻尾でめくれている部分も見えてしまうだろう。
「あれ?ナルは尻尾5本になったんだよな?」
前から見るナルの後方には尻尾が一本しかない。それに不思議がって大地が聞くとナルはうなすいた。
「はい!でもまほうでかわってると一本になっちゃう見たいです。さっきみたいにもう一回まほうでかわれば見えなくなるんです!」
「そうか。それにしても驚いたな。ナルがここまで話せるようになってるなんてな」
「大地。今までナルの事を隠しててごめんなさい」
徐にレヴィアがそう謝ってきた。内緒にしていたことに少しの後ろめたさがあったのかもしれない。それは少し落ち込んだ様子を見せるレヴィアの表情から察することができる。
「レヴィア。必ずしも何でも俺に言わなきゃいけないわけじゃないんだ。そりゃ危険なことを隠されれば困るけど、レヴィアはナルの為にしていたことなんだしいいんだよ」
そう言ってレヴィアの頭を撫でてやると隣のナルが騒ぎ始めた。
「レヴィアおねえちゃんばかりずるい!わたしも!わたしもー!」
そう言ってぴょんぴょんと跳ねるナルの頭に大地は手を置いた。そうすることで動きが止まったナルの頭もレヴィアと同じように優しく撫でる。
その二人の嬉しそうな顔を微笑ましく眺めていたら隣からすごい視線を感じてきた。
「な、何かな?フルネールさん」
「あら。さん付けなんて他人行儀ですよ。大地さん」
「おい!今ルビに何をいれた!?」
「いえいえ。そんな大層なものはいれていませんよ?大地さんの現状を一言で表せる言葉をひとつまみ入れただけですから」
「俺はロリコンじゃねぇぞ!」
「それはどうでしょう?目の前にこんな美人がいるのに、小さな女の子ばかり頭を撫でてるですから」
これはつまり自分の頭を撫でろと言うことなのか?しかし、それにしては遠回しな言い方だ……。
「ちょっと。さっきから聞いてれば貴方達も失礼ね……。アタシは大人にも成れるわよ」
カイに続きフルネールにも子供子供と言われたことでレヴィアは叫ぶように言うと、小さな吹雪を自身の回りに発生させた。
その吹雪が止むとフルネールと同じ背丈の女性が姿を表した。それがレヴィアだと言うのは今までの流れでわかる。長い瑠璃色の髪はお尻の辺りまで伸びているが、幼女の時と比べてよりサラサラしている。手足はスラリと伸び、体の殆どは線が細いように見えるけれど、フルネールよりも少し小さい胸をシャーリーが見たら嘆いてしまうかもしれない。因みに衣服や羽衣も大人の体に合わせられて大きくなっているが尻尾の大きさは変わっていない。そして顔。子供特有の丸みを帯びた輪郭とは違い、しゅっとした頬や、少し切れ目の目付きとなったレヴィアはまさにクール美女と言えるだろう。
「ま、こんな感じかしらね」
「ほー、こっちのレヴィアは綺麗だな」
姿が変わろうと大地からしたらレヴィアはレヴィアだ。だから背が伸びていようと構わず彼女の頭を撫でる。
「ちょっとアタシは大人の姿になってるのよ?」
そう抗議の目を向けてくるが大地の手をどかさないところをみるに嫌ではないのだろう。
「まったく……」
結局、抗議しても大地が止めない為、レヴィアは諦めて撫でられ続ける事を選択した。が、その目の端で気づいた。
「ナル?大地に隠れてどうしたの?」
そう何時ものように聞いたがナルはビクリと体を震わせた。
「う、うう……だってレヴィアおねえちゃんこわい……」
怯えて大地の後ろからナルはそう答えた。その言葉に少なからずショックを覚えたてレヴィアは続いて聞いた。
「怖い?って私怒ってないわよ?」
大地達に抗議する時も、大人の姿になった時も怒気をはらめた言葉は何一つ口にしていない。だが、それでもナルは大地の後ろから出ないで隠れてしまっている。
「レヴィアちゃん。たぶんナルちゃんはモンスターの本能で怖がっているのですよ」
フルネールが大地の後ろに隠れたナルを落ち着かせるように頭を撫でながらそう言った。
「え?」
「レヴィアちゃんがここの森に入ってからやったのと同じですよ。子供の姿より大人の姿のほうが力は出るのでしょう?」
そう言われてレヴィアはやっと気づいた。ナルにとって今の姿はずっと威圧されている様なものなのだと。
「あ……そうね。確かに子供の時は本来の10分の1くらいになるわね」
「その姿ならどのくらいなんだ?」
「んー。この姿に慣れてないから半分ってとこかしら?慣れたら本来の姿と同じになるわよ……たぶん」
そう言いながら吹雪を纏う。数秒程度で吹雪が止むと何時もの子供の容姿のレヴィアに戻っていた。
「ナル?ほら、もう怖くないわよね?」
そう言いながら大地の後ろにいるナルへと声を掛ける。聞こえてきた声と先ほどまであった重圧のような威圧感が無くなったことで、ナルは最初は耳だけを大地の後ろから出し、直ぐに顔がひょっこりと出てきた。
「レヴィアおねえちゃん?」
「そうよ」
何時もの姿に安堵したナルが次には笑顔になってレヴィアへ小走りで近づいていく。
やっぱり二人とも可愛いですね!
そうだな。微笑ましくていいもんだ。
……やっぱり大地さんはロリコンさんですね!リリアちゃんの事も好きですもんね!
おま……それリリアが聞いたら怒ると思うぞ……。
脳内でフルネールからそれについて意義を申し立てる声が聞こえてきた。それを全力で無視する事に決めてレヴィア達の方へと振り向くとナルが今度はこちらに小走りで近づいて来るのが見える。
「ごしゅじんさま!」
世話しなく動きまくるナルを見ながら少し気になったことを口にする。
「って、そう言えばなんでナルはご主人様呼びなんだ?」
チラリとレヴィアへ向く。フルネールに聞いても良いのだが……いやよくない!今はあまりフルネールへと顔を向けたくないのだ。
「ナルに契約ってどういうものか聞かれたからそう答えたのよ」
「なんでまたご主人様呼びで教えるんだ……」
「契約を結ぶって事はその人のものになる感覚が強いのよ。前に言ったでしょ?大地のものになった見たいって。つまり契約は主従関係みたいなものなのよ」
「でもレヴィアはそんな呼び方してないだろ?」
「そうよ。そもそも契約とどう向き合っていくかを考えるのは私たち側の問題なのよ。私は大地の事を大地って呼びたいと思ったからそうしているだけ」
「その考えで行くとナルは『ごしゅじんさま』と呼びたいとと言うことなのか……」
ナルへ目をやるとえへへと笑顔で抱きついてきた。これはこれで可愛いのだが、その呼び方で呼ばれるのは少々恥ずかしくもある。
「もしかして大地は私にも『ご主人様』……って呼んでほしいのかしら?」
少しだけニヤニヤと笑みを浮かべながら聞いてくるレヴィアを見て、ここにもフルネールの悪影響が出てきているのだと感じざるを得ない。
「いや、何時ものように頼むよ」
「そう。わかったわ」
素直に頷くレヴィアの頭を再び撫でながらこのまま素直にいてほしいと大地は願う。
「大地さん。そろそろ帰りませんか?」
なんだかんだでカイと別れてから結構な時間が過ぎた。意図的に森の中で立ち止まっていたけれど、そろそろギルドの中も外も人が居なくなっている頃合いだ。
待っていた理由は単純にナルの姿がマント一枚だからだ。本人は気にしていないが、一目を避ける理由としては十分すぎるだろう。
「そうだな。それじゃあ帰るか。っとナルからしたら新しい場所だから離れないでくれ」
「はい!」
森から戻ると夜の闇と静寂が大地達を出迎える。フルネールの魔法は森から出ると同時に消しているため、暗い街中を歩くしかない。
とはいえ街中であるから危険こそ無いものの、大変だったのはナルの好奇心を抑える事が出来なかった事だ。ナルからしたら物珍しいものが山ほどあるから無理がないとは言え、暗い夜道だろうと夜目が十分に利くナルにはなんの問題も無かったせいであちらこちらにダッシュしてしまうという。
人型に変身していようと動く早さは相変わらずなようで、ナルに追い付いてはすぐに動かれ真夜中のミニおいかけっこが唐突に開始されてしまったのだ。
最終的には先読みして動いたレヴィアがナルを捕まえて終わりを迎える。もっとも捕まってしまったナルはレヴィアから大地の言う事はしっかり聞くようにと叱りつけられるのだった。
そうしてようやくギルド前にやってくる。ギルドは閉まり、辺りには人はおらず、静寂に支配されている何時もの寝床だ。石畳のベッドは何時ものように大地を迎え入れてくれる……。
「さて、それじゃあ寝るとするか」
大地がそう言って横になろうとした時だ。
「ごしゅじんさま?にんげんはおふとん?というものでねるとききましたけど、ちがうんですか?」
今のナルは出会った頃とは違い、フルネールやレヴィア、そして温泉の町ベルナーの住人達によって人間の知識はある程度蓄えている。故にそこからでた純粋な質問だ。
「まぁそのな……」
「ナル。お布団に入るのにはお金が必要なのよ。でも残念ながらそのお金が無いからいつもこの辺で寝るのよ」
何て答えようかと大地が考えあぐねていると隣でレヴィアが淡々と言う。それを聞いたのが普通の人なら『何してんだコイツ?』と奇異な目で見られること間違いないが、ナルからしたらそれが珍しい事なのか普通の事が分からない。
「そうなの?」
それ故にあっけらかんと言ったナルは何も気にしていないようだった。
しかし、フルネールやレヴィアもだがちゃんとしたところで寝られるようにしないとダメだよな。
そう考えても家を買えるビジョンが見えてこないのも事実だ。何故か様々な理由で金か消えていく事に強さを得ることは財産を捨てる事なのじゃないかと思えてくる。
「ま、とりあえず寝るか」
そうして今度こそ横になろうとした時だ。
「はい!ごしゅじんさまのよこでねたいです!」
ナルが高らかにそう言ったのだ。いや、ナルからしたらようやく大地と契約できて一緒にいたいと思うのは必然なのだ。
しかし、何時も大地の腕を枕にしていたフルネールとレヴィアからしたらそれは譲れず、ナルの言葉は宣戦布告となった。
だからこそ二人は待ったをかけた。
「ナルちゃん!大地さんの隣は二つしかありません」
「そうよ!アタシだっていつも大地の隣で寝ているんだから!」
その二人の猛攻を受けながら尚、ナルは正面切って言う。
「やだ!ごしゅじんさまとは私がねるの!!」
そう言って横になる前の大地の足へ抱きついてくる。
「おっと……」
いきなり抱きついてきた衝撃に耐えた大地がナルの頭を撫でる。それは何となく頭の中を過った嫌な予感からくる精神の動揺を落ち着ける意味も込める。
だが、むしろ逆効果だったかもしれない。そんな様子を様々と見せつけられたフルネールはヒートアップしてくる。
「昨日は大地さんがいなかったのですから今日は譲れませんよ!」
そう言ってフルネールは大地をナルと挟むようにその腕に抱きついた。ナルと違うところは多々あれど、特筆べき点は他の追随を許さない霊峰だ。それが思いっきりぎゅぅっと腕を挟むのだ。心のポーカーフェイススキルレベルが高いからこそ顔にでなかったが、フルネールの破壊力は相も変わらず……というか今回は勢いもあってプヨンではない。ポヨンなのだ。
「あー!フルネールずるいわ!」
そうしてナルに先手を打たれながらも自分よりより先に動いたフルネールをレヴィアは糾弾する。
「ふふふ。これで大地さんの隣もハートも私がゲットです」
全てにおいて勝ち誇るように言うフルネールにレヴィアは「うー」と唸るように見つめる。だが、今のレヴィアでは体も立ち位置も負けているのは確かなのだ。
「なぁ……そろそろ寝ないか?」
腕に伝わる感触は嬉しいが何時までもこうしているわけにもいか無い。何せ足に抱きついているナルの頭がコクリコクリと重力に負けそうになっているからだ。このまま睡眠欲に負けて意識を手放したら倒れてしまう。それを危惧して大地はそろそろ終わりにさせるために言ったのだ。
「あら、ナルちゃん眠そうですね」
大地の向いている視線を追ったフルネールはナルの眠気が限界にきているとわかるや否や、大地から離れて倒れそうになったナルを支えた。
「フルネール……ちゃん?」
眠そうな声だと一発で判断できる程にぼんやりとした声だ。そんな眠気に襲われている状況でもナルは手を離さない。
「もう今日は寝ましょうね。大地さんに腕枕してもらうといいですよ」
ついさっきまでの子供じみた行動をしていたフルネールの姿はなく、慈愛に満ちた笑顔をナルに向けていた。
フルネールがそうすることでナルは大地から手を離してフルネールに自分の体を預ける。しかし、フルネールの提案にナルは眠たそうに閉じかけた瞼のまま首を横にふった。
「ごしゅじんさまのとなりはフルネールちゃんとレヴィアおねえちゃんでいいよ……」
若干、言葉になっていない声も出ていたがフルネールとレヴィアは確りとナルが言いたいことを聞き取った。
「ナルは大地の隣で寝たいんでしょ?」
レヴィアも先ほどまでのわがままっぷりはどこかに消えていた。こう見るとフルネールもレヴィアもナルに甘いのだとよくわかる。
と、そうやって見ていたらフルネールが視線を向けてくる。
「とりあえず大地さんは私達の為に早く横になってください。大地さんと寝るんですから」
「そうよ。私達は大地と寝たいんだから」
フルネールの後に続いてレヴィアまで言ってくるが、今の言葉はかなり誤解が生まれそうなものだと気づいてないのだろうか?そう考えざるを得ないが、二人に捲し立てられた大地はやや困りながら仰向けで寝っ転がった。
先ほどの言葉のせいか、女性が来ることをわかっている状態で寝っ転がると不思議と落ち着かないものである。それが何時もの事であろうと、前置き……というかシチュエーションのようなものがあるだけで違ってくるのだ。
そんな風に悶々と頭の中を照れと恥ずかしさが路頭に迷っていると、ナルが再び言った。
「わたしはとなりじゃなくてもいいから……」
それに対してフルネールやレヴィアが何かを言おうと考えるが、今この状況で話を長引かせるのは良くないと思い頷くことにした。
そうなるとフルネールが「失礼しますね」と一言添えてから大地の腕を枕にしつつ横になり、レヴィアは「やっぱりこれよね」とこの状況が当たり前と言わんばかりに大地の腕に頭を下ろす。
フルネールでドキリとするのもそうだが現状の問題はレヴィアだ。レヴィアは子供の姿だったからこそ意識の対象外だったものの、先ほどの大人レヴィアを見ると視点が変わってきてしまった。
それを何とか煩悩にならないように理性をコントロールに努めているといまだに立ったままのナルが言った。
「わたしはごしゅじんさまの上でねる~」
そう言うや否や、ナルが倒れるような形で大地の胸に飛び込んできた。その重量を全て胸で受けた大地は「ぐふっ」と声をがでるダメージをうけた。しかし、その痛みのお陰で煩悩も消え去り、抱きつくように寝てしまったナルを見て微笑ましくて思いながらゆっくり眠りにつくのだった。
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