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迷って腐って浄化して
進撃の大地、森へ突入す
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大地は南の森の前で二の足を踏んでいた。それは別に『助ける』と嘘をついて飛び出したわけではないのだが、真っ暗な森を見て『出る』と言う言葉が脳裏をめぐったのだ。
「ほらほら。大地さん。南の森に入ってくださいな。後ろがつっかえています」
つっかえてるなんてフルネールは言うが、南の森の入り口には大地、フルネール、レヴィアの三人しかいないのだ。
「ま、まて。おす押すなー!わかったから!」
グイグイっと大地の肩を押しながら南の森の中へと押し込もうとするフルネールへ大地がそう叫ぶ。ここが住宅街のど真ん中だったら回りの民家から五月蝿いと怒号が飛んで来ていただろう。
「わかりました。それでは大地さんの勇気を信じましょう」
そう言うとフルネールはパッと離れてくれた。
大地は改めて暗い森の中を眺める。松明は無いけどフルネールが光の魔法で松明よりも明るい光を空中に出してくれている。そのおかげである程度の森の奥まで見通す事が出来るのだが、それはそれでうっかり幽霊まで見えてしまわないかと怖いのもある。因みに大地自身発光することが出来るがフルネールの魔法の明るさと比べると雲泥の差だ。
「大地はそんなにお化けが怖いのかしら?」
「い、いや!そんなことないぞ!」
情けない大人を見るような目付きで言ってくるレヴィアに否定するが、後ろから「レヴィアちゃんも大地さんが幽霊苦手なのを知ってますよ」と聞こえてきて「え”!?」と声が出てしまった。
またしても俺のシークレット情報が突き抜けなんだな……。
「そんなに怖いならアタシを抱っこしてもいいのよ?」
レヴィアがバンザイするように両手を大地に向かって広げて言った。とはいえ、実年齢はさておいて容姿は幼女よりの少女といってもおかしくないくらいの姿なのだ。そのレヴィアを頼りにするのは少し……抵抗がある。だから断ろうと。そう思った時に脳内でフルネールからお告げが届く。
大地さん。レヴィアちゃんの照れ隠しなんですから断っちゃダメですよ?レヴィアちゃんの用事とはいえ最近大地さんといる時間が少なかったので甘えたいんです。
そ、そうなのか……?
「あー。それならそうさせてもらおうか」
そう言ってヒョイっとレヴィアを抱き上げる。その様子をみてフルネールがクスクス笑い、レヴィアに至っては「どう?これで怖くないかしら?」と言ってくる。
「ああ。怖くないぞ。大丈夫だ。ありがとな」
と大地は返しながら頭を撫でるとレヴィアは目を細めて嬉しそうにした。
「ところで大地さん。本当に幽霊が出ると思いますか?」
「そりゃ出るんじゃないか?たくさん情報ある見たいだし、この世界は俺にとってファンタジーだしな……」
そう答えるとフルネールは少しだけ考えて質問を変えた。
「では、本当に幽霊だと思いますか?」
「でも薄く光っていて、ハンターでもない小さな女の子で、急に消えるんだろ?俺の世界の幽霊話と同じじゃないか」
出会ったら呪われるとか憑かれる事を考えると『どうか出ませんように』そう願うばかりだ。しかし、質問をしたフルネールは少しニヤニヤしている。
「何だ?フルネールは何か知っているのか?」
「私は神様ですよ?知らない事はあんまりありません」
あんまりね……。
「ふふ。大丈夫ですよ大地さん。私とレヴィアちゃんがついていますから」
「そうよ。アタシを頼ってくれてもいいのよ!例えば今みたいな状況でも」
「今みたいな状況?」
レヴィアが最後に言った言葉を聞いて不思議に思い回りを見てみる。まだ深部には到達していないが中間まで来ていた。だが、レヴィアが言いたい事は森の中の進み具合ではなく……。
「大量のモンスターか……」
フルネールの魔法でモンスターがしっかり見える。だが、大地達をぐるりと囲んだモンスターの数はかなりのものだ。
「……そうか、こいつらはカイが引き受けたモンスターか」
こいつらがここにいると言うことは恐らくカイは逃げ切ったのだろう。
「去りなさい」
レヴィアは怒号をあげるわけでもなく静かにそう言った。たったそれだけだがモンスターは恐怖を受けてビクッと震わせる。それを皮切りにモンスター達が一歩、また一歩と後退していく。
ある一定の距離まで下がるとモンスター達は慌てるようにその場から離れていった。
「ほー、言葉だけで追い払うなんてすごいもんだな」
「あ、あんな弱いモンスターなら当然よ!」
「ふふ、レヴィアちゃん照れなくていいんですよ?」
横に並んできたフルネールがレヴィアの頬を指でツンツンしながらからかい始めるのを見て呆れながら大地は言った。
「あんまりやるとレヴィアにも嫌われるぞ?」
「にも!?にもって何ですか!?」
わめき散らすようにフルネールが大地へ詰め寄ってくる。フルネールの顔がさらに近くなったことで顔を赤くした大地は言った。
「前にリリアが怒ったときの事を言っただけだよ!レヴィアだって嫌がれば怒るだろ」
そう言うとぐうの音もでなくなったのかフルネールは黙ってしまった。その直後、森の奥で火柱が上がった。
「何だあれ!?」
「大地さん。行ってみましょう!」
大地は頷き、レヴィアを抱えたままフルネールと共に走り出した。
「ほらほら。大地さん。南の森に入ってくださいな。後ろがつっかえています」
つっかえてるなんてフルネールは言うが、南の森の入り口には大地、フルネール、レヴィアの三人しかいないのだ。
「ま、まて。おす押すなー!わかったから!」
グイグイっと大地の肩を押しながら南の森の中へと押し込もうとするフルネールへ大地がそう叫ぶ。ここが住宅街のど真ん中だったら回りの民家から五月蝿いと怒号が飛んで来ていただろう。
「わかりました。それでは大地さんの勇気を信じましょう」
そう言うとフルネールはパッと離れてくれた。
大地は改めて暗い森の中を眺める。松明は無いけどフルネールが光の魔法で松明よりも明るい光を空中に出してくれている。そのおかげである程度の森の奥まで見通す事が出来るのだが、それはそれでうっかり幽霊まで見えてしまわないかと怖いのもある。因みに大地自身発光することが出来るがフルネールの魔法の明るさと比べると雲泥の差だ。
「大地はそんなにお化けが怖いのかしら?」
「い、いや!そんなことないぞ!」
情けない大人を見るような目付きで言ってくるレヴィアに否定するが、後ろから「レヴィアちゃんも大地さんが幽霊苦手なのを知ってますよ」と聞こえてきて「え”!?」と声が出てしまった。
またしても俺のシークレット情報が突き抜けなんだな……。
「そんなに怖いならアタシを抱っこしてもいいのよ?」
レヴィアがバンザイするように両手を大地に向かって広げて言った。とはいえ、実年齢はさておいて容姿は幼女よりの少女といってもおかしくないくらいの姿なのだ。そのレヴィアを頼りにするのは少し……抵抗がある。だから断ろうと。そう思った時に脳内でフルネールからお告げが届く。
大地さん。レヴィアちゃんの照れ隠しなんですから断っちゃダメですよ?レヴィアちゃんの用事とはいえ最近大地さんといる時間が少なかったので甘えたいんです。
そ、そうなのか……?
「あー。それならそうさせてもらおうか」
そう言ってヒョイっとレヴィアを抱き上げる。その様子をみてフルネールがクスクス笑い、レヴィアに至っては「どう?これで怖くないかしら?」と言ってくる。
「ああ。怖くないぞ。大丈夫だ。ありがとな」
と大地は返しながら頭を撫でるとレヴィアは目を細めて嬉しそうにした。
「ところで大地さん。本当に幽霊が出ると思いますか?」
「そりゃ出るんじゃないか?たくさん情報ある見たいだし、この世界は俺にとってファンタジーだしな……」
そう答えるとフルネールは少しだけ考えて質問を変えた。
「では、本当に幽霊だと思いますか?」
「でも薄く光っていて、ハンターでもない小さな女の子で、急に消えるんだろ?俺の世界の幽霊話と同じじゃないか」
出会ったら呪われるとか憑かれる事を考えると『どうか出ませんように』そう願うばかりだ。しかし、質問をしたフルネールは少しニヤニヤしている。
「何だ?フルネールは何か知っているのか?」
「私は神様ですよ?知らない事はあんまりありません」
あんまりね……。
「ふふ。大丈夫ですよ大地さん。私とレヴィアちゃんがついていますから」
「そうよ。アタシを頼ってくれてもいいのよ!例えば今みたいな状況でも」
「今みたいな状況?」
レヴィアが最後に言った言葉を聞いて不思議に思い回りを見てみる。まだ深部には到達していないが中間まで来ていた。だが、レヴィアが言いたい事は森の中の進み具合ではなく……。
「大量のモンスターか……」
フルネールの魔法でモンスターがしっかり見える。だが、大地達をぐるりと囲んだモンスターの数はかなりのものだ。
「……そうか、こいつらはカイが引き受けたモンスターか」
こいつらがここにいると言うことは恐らくカイは逃げ切ったのだろう。
「去りなさい」
レヴィアは怒号をあげるわけでもなく静かにそう言った。たったそれだけだがモンスターは恐怖を受けてビクッと震わせる。それを皮切りにモンスター達が一歩、また一歩と後退していく。
ある一定の距離まで下がるとモンスター達は慌てるようにその場から離れていった。
「ほー、言葉だけで追い払うなんてすごいもんだな」
「あ、あんな弱いモンスターなら当然よ!」
「ふふ、レヴィアちゃん照れなくていいんですよ?」
横に並んできたフルネールがレヴィアの頬を指でツンツンしながらからかい始めるのを見て呆れながら大地は言った。
「あんまりやるとレヴィアにも嫌われるぞ?」
「にも!?にもって何ですか!?」
わめき散らすようにフルネールが大地へ詰め寄ってくる。フルネールの顔がさらに近くなったことで顔を赤くした大地は言った。
「前にリリアが怒ったときの事を言っただけだよ!レヴィアだって嫌がれば怒るだろ」
そう言うとぐうの音もでなくなったのかフルネールは黙ってしまった。その直後、森の奥で火柱が上がった。
「何だあれ!?」
「大地さん。行ってみましょう!」
大地は頷き、レヴィアを抱えたままフルネールと共に走り出した。
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