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迷って腐って浄化して
あとは寝るだけって時に何かあるよね
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大地はシャーリーの家から出て、小蜘蛛の居場所を調整し終えたところだった。何体かは民家に入ってしまっていた為、居場所を変えて家の外を監視するようにしたのだ。
そうしている間に夕飯の時間帯だ。どうしようかと考えながらギルドへと向かう途中、フルネールとレヴィアに偶然会った。
「大地さん。ちょうど良いところに!」
フルネールが会えたことを嬉しそうにし、レヴィアは大地の真横へトコトコ歩いてぴったりとくっつく。
「どうかしたのか?」
二人の反応には少し嬉しくなり大地がそう訪ねるが内心では少しの贅沢が出来たことによるお礼を言ってくるかな?と浮き足立つ。なにせ彼女たちには9万5千ゴールドも渡しているのだ。
「お金を全部使っちゃっいました」
「……なんだって?」
もう一度言おう。彼女たちには9万5千ゴールドという『大金』を渡しているのだ。
「でですね、そのせいで……」
大地が聞き返すもそれを無視して話を続けようとするフルネールへ大地は手で制す。
「まてまてまてまて。9万5千預けたよな!?え?全部なくなったの?」
「はい!」
大地の質問にフルネールは悪びれるようすもなく笑顔で答える。元気があって大変よろしい……。
「まじかよ……何に使ったんだ?」
「服に使っちゃいました!」
服かぁ……服ねぇ……。
「そうか。それなら仕方がないか……」
服は高い物。そして、何れ買った服で目の保養が出来る事を考えると大地は不思議と許せてしまう。……まぁ本音はいつも野宿ばかりだから多少の贅沢は許してあげたい。
「この世界にきて金に執着しなくなったのは良いことなのか、悪いことなのか……」
「……大地さんは買った服見せろとか言わないんですね?」
「ん?ああ、興味があるのはその服を着たフルネールやレヴィアだからな。服だけ見てもしょうがないだろ」
「そうですか。でもそう言っていただけるなら私としても服屋さんで服の調整をしてもらっている最中なので助かります」
フルネールは「楽しみにしていてくださいね」と笑顔を振り撒いてくる。そんな美人の笑顔に釘付けになっていると隣のレヴィアが服を引っ張ってきた。
「大地。あたしお腹すいたわ……」
もうそろそろ良い時間なのだ。……が、一つだけ気になった。
「なぁ金を全部使ったと言ったな。もしかして昼飯は食ってない……とか?」
「え?えーっと、ほんの少し食べましたよ?」
そう目を泳がせながら言うフルネールだ。嘘だろうと疑っていると横からレヴィアが口を開いた。
「嘘よ。私達は食べたけど、フルネールは食べてないわ」
「あー!レヴィアちゃん言っちゃダメですよ」
珍しくフルネールが慌てる。
自分が食べていないことを隠したかったのだろうか?しかし、大地としてはフルネールもしっかり食べてほしいと思う。
「はぁ……ここに5千ゴールドある。これで宿とって少なくなった金で飯を食うか。それとも、全部飯代に使ってギルド前で寝るか。どちらが良い?」
そう聞くと、フルネールもレヴィアも後者を選択するのだ。外で寝ることに違和感も危機感も嫌悪感もないのだろうか?
そう思いながらも、自分もその内の一人であることに飯を食い終わってから気づき若干のセルフダメージを大地は受けるのだった。
その後、寝床までやって来るともう遅い時間だというのにギルド内が少し騒がしい。
何とも嫌な予感がする。こういう時の予感が当たるって俺は知ってるんだ(実体験からの本能で……)。
「よし、フルネール。寝ようか」
大地はロールプレイングゲームで強制イベントを回避して進もうとするRTA張りの柔軟さを見せつける。ゲームではないが明日の朝を拝むタイムアタックだ。
※RTAとはリアルタイムアタックの略である。ゲームでの遊び方の一つで、ゲームのクリア時間を競うときによく使われる言葉。
「え?こんなお外で誘われるなんて……流石の私でも恥ずかしいです……」
強制イベントを回避したら、別の強制イベントがやって来る件について……。
等と奥ゆかしさを全面に表して言ってきたフルネールを見て、少し想像してしまった大地は声を張り上げることでやましい気持ちを振り払う。
「何言ってんだよ!ただここで夜を過ごすだけだろ!?」
「大地さん。大地さん。言っていること同じですよ」
やや混乱しているのでは?と思ったフルネールが心配そうにする。そして、大地の声に誘われるようにユーナがギルドから出てきた。
「あ、ダイチさん。ちょうど良いところに」
ここで寝ているのだからちょうど良いも何もないのだが、一先ずユーナの話を聞く為に彼女へ振り向いた。
「何かあったんですか?」
「実は……カイさんが南の森へ依頼をこなしに行ったんですけど、トラブルが発生したようなんです」
……幽霊が出ると噂されてるのに南の森に行くのかよ……。
「カイさんはBランクへ昇格する為の依頼だったんですが、南の森で旅人がモンスターに教われていたらしく……」
「そこからは私が話すよ」
ギルドの扉が開くとそこからマリンが出てくる。その後ろからは見慣れない男女と子供だ。
「私達が南の森で調査をしている時だったんだ――」
そうしている間に夕飯の時間帯だ。どうしようかと考えながらギルドへと向かう途中、フルネールとレヴィアに偶然会った。
「大地さん。ちょうど良いところに!」
フルネールが会えたことを嬉しそうにし、レヴィアは大地の真横へトコトコ歩いてぴったりとくっつく。
「どうかしたのか?」
二人の反応には少し嬉しくなり大地がそう訪ねるが内心では少しの贅沢が出来たことによるお礼を言ってくるかな?と浮き足立つ。なにせ彼女たちには9万5千ゴールドも渡しているのだ。
「お金を全部使っちゃっいました」
「……なんだって?」
もう一度言おう。彼女たちには9万5千ゴールドという『大金』を渡しているのだ。
「でですね、そのせいで……」
大地が聞き返すもそれを無視して話を続けようとするフルネールへ大地は手で制す。
「まてまてまてまて。9万5千預けたよな!?え?全部なくなったの?」
「はい!」
大地の質問にフルネールは悪びれるようすもなく笑顔で答える。元気があって大変よろしい……。
「まじかよ……何に使ったんだ?」
「服に使っちゃいました!」
服かぁ……服ねぇ……。
「そうか。それなら仕方がないか……」
服は高い物。そして、何れ買った服で目の保養が出来る事を考えると大地は不思議と許せてしまう。……まぁ本音はいつも野宿ばかりだから多少の贅沢は許してあげたい。
「この世界にきて金に執着しなくなったのは良いことなのか、悪いことなのか……」
「……大地さんは買った服見せろとか言わないんですね?」
「ん?ああ、興味があるのはその服を着たフルネールやレヴィアだからな。服だけ見てもしょうがないだろ」
「そうですか。でもそう言っていただけるなら私としても服屋さんで服の調整をしてもらっている最中なので助かります」
フルネールは「楽しみにしていてくださいね」と笑顔を振り撒いてくる。そんな美人の笑顔に釘付けになっていると隣のレヴィアが服を引っ張ってきた。
「大地。あたしお腹すいたわ……」
もうそろそろ良い時間なのだ。……が、一つだけ気になった。
「なぁ金を全部使ったと言ったな。もしかして昼飯は食ってない……とか?」
「え?えーっと、ほんの少し食べましたよ?」
そう目を泳がせながら言うフルネールだ。嘘だろうと疑っていると横からレヴィアが口を開いた。
「嘘よ。私達は食べたけど、フルネールは食べてないわ」
「あー!レヴィアちゃん言っちゃダメですよ」
珍しくフルネールが慌てる。
自分が食べていないことを隠したかったのだろうか?しかし、大地としてはフルネールもしっかり食べてほしいと思う。
「はぁ……ここに5千ゴールドある。これで宿とって少なくなった金で飯を食うか。それとも、全部飯代に使ってギルド前で寝るか。どちらが良い?」
そう聞くと、フルネールもレヴィアも後者を選択するのだ。外で寝ることに違和感も危機感も嫌悪感もないのだろうか?
そう思いながらも、自分もその内の一人であることに飯を食い終わってから気づき若干のセルフダメージを大地は受けるのだった。
その後、寝床までやって来るともう遅い時間だというのにギルド内が少し騒がしい。
何とも嫌な予感がする。こういう時の予感が当たるって俺は知ってるんだ(実体験からの本能で……)。
「よし、フルネール。寝ようか」
大地はロールプレイングゲームで強制イベントを回避して進もうとするRTA張りの柔軟さを見せつける。ゲームではないが明日の朝を拝むタイムアタックだ。
※RTAとはリアルタイムアタックの略である。ゲームでの遊び方の一つで、ゲームのクリア時間を競うときによく使われる言葉。
「え?こんなお外で誘われるなんて……流石の私でも恥ずかしいです……」
強制イベントを回避したら、別の強制イベントがやって来る件について……。
等と奥ゆかしさを全面に表して言ってきたフルネールを見て、少し想像してしまった大地は声を張り上げることでやましい気持ちを振り払う。
「何言ってんだよ!ただここで夜を過ごすだけだろ!?」
「大地さん。大地さん。言っていること同じですよ」
やや混乱しているのでは?と思ったフルネールが心配そうにする。そして、大地の声に誘われるようにユーナがギルドから出てきた。
「あ、ダイチさん。ちょうど良いところに」
ここで寝ているのだからちょうど良いも何もないのだが、一先ずユーナの話を聞く為に彼女へ振り向いた。
「何かあったんですか?」
「実は……カイさんが南の森へ依頼をこなしに行ったんですけど、トラブルが発生したようなんです」
……幽霊が出ると噂されてるのに南の森に行くのかよ……。
「カイさんはBランクへ昇格する為の依頼だったんですが、南の森で旅人がモンスターに教われていたらしく……」
「そこからは私が話すよ」
ギルドの扉が開くとそこからマリンが出てくる。その後ろからは見慣れない男女と子供だ。
「私達が南の森で調査をしている時だったんだ――」
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