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月光の花嫁
決戦デルラト
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そのモンスターは目の前に現れた。毛むくじゃらな体だが二足歩行で立っている。ライオンのような顔には瞳が三つあり全てが大地へと向いている。そして、一番問題なのがその大きさだ。搭から上半身が出るほどの巨躯で人暴れしただけでもその辺の町なら壊滅してしまうだろう。
「搭自体がこいつを封印するための建物だったってことか……」
その大きさに流石に驚きはするが大地はすぐに意識を切り替える。
「リリア!モリスの手当てを!シーラとルーナは固まって離れていろ!モリスは治療を受け終わったらシーラたちを守れ!」
リリアがはっと我に返ったあと、モリスへ駆け寄り治療を開始した。そして、シーラとルーナも二人固まって搭の隅へ離れていく。
「くくく。さぁ俺らの役目はひとまず終わりだ。一旦ずらかるぜ!」
ジークとマルクスを抱えながら搭の端からそう言って飛び降りていった。恐らく着地する手段を持っているだろうから死んだわけではないのだろう。
「がああああああああ!!」
デルラトが巨大な雄叫びをあげた。そしてその大きくて分厚い人のような手を振り下ろしてくる。だが、その手が搭に当たる前に爆発した。大地がロケット弾を飛ばして当てたのだ。
「ここ最近は殺さないよう、壊しすぎないようにと色々配慮してきたが……今回はそこまで考慮しなくても良いみたいだな」
怒り狂ったデルラトが再び雄叫びをあげながら大地に向かって拳を突きだしてきた。
幸いなのは大地の後ろに誰もいないことだ。だからこそ大地は飛んで避けるとそのままデルラトの手に乗る。そして、アサルトライフルを召喚し銃口を下に向けた。
大地が走り出す。それもアサルトライフルでデルラトの手から腕、そして肩に登るまでフルオートで発射しながら。弾丸の軌跡を築きあげてから大地が肩で止まると銃口をデルラトの横顔へ向ける。
「このまま楽にくたばりな!」
アサルトライフルから再び火が吹いた。絶え間なく放たれる弾丸は全てデルラトの横っ面に当たるのだが、鬣のような物で威力が半減されているようでダメージは少なく見える。
デルラトが怒りのあまりに大地へ顔を向けるとすぐさま口を開き灼熱の炎を吐き出した。魔力を通していない攻撃だ。もし大地が受けていたら只では済まなかっただろうが、既に肩から離れている大地には関係がなかった。もちろん、置き土産も忘れていない。
大地が跳躍によって搭の頂上へ着地すると同時にデルラトの頭上から一つの手榴弾が落ちてくる。その手榴弾がデルラトの真正面にちょうど来たタイミングで弾けた。
爆音と業火を浴びせることに成功した。だが、それでもデルラトはこれで倒れるようなやわなモンスターではない。
「やはりSランクはあるモンスターだよな」
デルラトが大地に向けて手を振り下ろしてくる。もちろん大地は瞬時にロケットランチャーへ武器を切り替えるように召喚してロケット弾を放った。
しかし、その手は途中で起動を変えられロケット弾を回避されると同時に残った手が大地へと突きだされた。今度の攻撃は避ける暇がないと悟った大地はすぐさま受ける体制へと変えた。
衝撃が大地の腕を通して体に叩き込まれていく。フルネールに授かった力がなければ体はバラバラにされていたであろう。だが、抑えきることができた。
「今のは中々危なかったが……やはりダメージはかなり通っているみたいだな。こいつはお返しだ!!」
大地がアンチマテリアルライフルを召喚した。アサルトライフルよりも確かな貫通力と破壊力を併せ持つこの武器ならよりダメージを与えられるだろう。
大地が引き金を引くと轟音を立てながら弾丸が発射された。その確かな破壊力は突きだされているデルラトの手を貫通していき一直線に肩から突き出ていった。
アサルトライフルの弾丸とは比較になら無いほどの弾痕から大量の血液が吹き出した。それが痛みに直結していることを知らしめるようにデルラトが高く遠吠えを上げるように鳴いた。それがただの威嚇行為なら問題はない。だが、デルラトの体の回りに熱気のような真っ赤なオーラが見え始めた。
恐らくとんでもない攻撃を仕掛けてくる前ぶりだ。それが物理的な物かそうでないのかが現状分からない以上、自分と後方に下がっているシーラ達、そして、モリスの治療を終えてこちらに近づき始めているリリアをまとめて守る手段を取らねばならない。
広範囲を護る術。何時だったかレヴィア……いや、リヴァイアサンの姿で放たれた時の攻撃を防ぎきったとっておきの防御兵器。
「守り抜く!リンクシールド!!」
あの時と同じように空中に小さな傘を複数召喚した。その傘が塔の頂上部を全て覆う事が出来る位置へと配置すると、傘の先端から次の傘の先端へと光の線を繋げていく。その線での繋がりがやがて面となり光の壁を作り上げる。そうしてドーム状に築いた光の壁で頂上全てをすっぽりと包み込んだ。
そして機は熟したと言わんばかりにデルラトが大きな口を開いた。そこから放たれたのは先程よりも高い熱量の火炎砲だ。外側にはプロミネンスの様なものが生まれ頂上を丸呑みにする。まるでビーム状の太陽に飲み込まれるような感覚に陥りそうになるが、それでもリンクシールドは破れない。
「ふぅ防ぎ終わったな……とんでもない攻撃を見せてくれた礼だ。俺も今考えた必殺技を見てくれよ」
そう言って大地は空中のリンクシールドを消すと、代わりに魔法の絨毯を召喚した。
「搭自体がこいつを封印するための建物だったってことか……」
その大きさに流石に驚きはするが大地はすぐに意識を切り替える。
「リリア!モリスの手当てを!シーラとルーナは固まって離れていろ!モリスは治療を受け終わったらシーラたちを守れ!」
リリアがはっと我に返ったあと、モリスへ駆け寄り治療を開始した。そして、シーラとルーナも二人固まって搭の隅へ離れていく。
「くくく。さぁ俺らの役目はひとまず終わりだ。一旦ずらかるぜ!」
ジークとマルクスを抱えながら搭の端からそう言って飛び降りていった。恐らく着地する手段を持っているだろうから死んだわけではないのだろう。
「がああああああああ!!」
デルラトが巨大な雄叫びをあげた。そしてその大きくて分厚い人のような手を振り下ろしてくる。だが、その手が搭に当たる前に爆発した。大地がロケット弾を飛ばして当てたのだ。
「ここ最近は殺さないよう、壊しすぎないようにと色々配慮してきたが……今回はそこまで考慮しなくても良いみたいだな」
怒り狂ったデルラトが再び雄叫びをあげながら大地に向かって拳を突きだしてきた。
幸いなのは大地の後ろに誰もいないことだ。だからこそ大地は飛んで避けるとそのままデルラトの手に乗る。そして、アサルトライフルを召喚し銃口を下に向けた。
大地が走り出す。それもアサルトライフルでデルラトの手から腕、そして肩に登るまでフルオートで発射しながら。弾丸の軌跡を築きあげてから大地が肩で止まると銃口をデルラトの横顔へ向ける。
「このまま楽にくたばりな!」
アサルトライフルから再び火が吹いた。絶え間なく放たれる弾丸は全てデルラトの横っ面に当たるのだが、鬣のような物で威力が半減されているようでダメージは少なく見える。
デルラトが怒りのあまりに大地へ顔を向けるとすぐさま口を開き灼熱の炎を吐き出した。魔力を通していない攻撃だ。もし大地が受けていたら只では済まなかっただろうが、既に肩から離れている大地には関係がなかった。もちろん、置き土産も忘れていない。
大地が跳躍によって搭の頂上へ着地すると同時にデルラトの頭上から一つの手榴弾が落ちてくる。その手榴弾がデルラトの真正面にちょうど来たタイミングで弾けた。
爆音と業火を浴びせることに成功した。だが、それでもデルラトはこれで倒れるようなやわなモンスターではない。
「やはりSランクはあるモンスターだよな」
デルラトが大地に向けて手を振り下ろしてくる。もちろん大地は瞬時にロケットランチャーへ武器を切り替えるように召喚してロケット弾を放った。
しかし、その手は途中で起動を変えられロケット弾を回避されると同時に残った手が大地へと突きだされた。今度の攻撃は避ける暇がないと悟った大地はすぐさま受ける体制へと変えた。
衝撃が大地の腕を通して体に叩き込まれていく。フルネールに授かった力がなければ体はバラバラにされていたであろう。だが、抑えきることができた。
「今のは中々危なかったが……やはりダメージはかなり通っているみたいだな。こいつはお返しだ!!」
大地がアンチマテリアルライフルを召喚した。アサルトライフルよりも確かな貫通力と破壊力を併せ持つこの武器ならよりダメージを与えられるだろう。
大地が引き金を引くと轟音を立てながら弾丸が発射された。その確かな破壊力は突きだされているデルラトの手を貫通していき一直線に肩から突き出ていった。
アサルトライフルの弾丸とは比較になら無いほどの弾痕から大量の血液が吹き出した。それが痛みに直結していることを知らしめるようにデルラトが高く遠吠えを上げるように鳴いた。それがただの威嚇行為なら問題はない。だが、デルラトの体の回りに熱気のような真っ赤なオーラが見え始めた。
恐らくとんでもない攻撃を仕掛けてくる前ぶりだ。それが物理的な物かそうでないのかが現状分からない以上、自分と後方に下がっているシーラ達、そして、モリスの治療を終えてこちらに近づき始めているリリアをまとめて守る手段を取らねばならない。
広範囲を護る術。何時だったかレヴィア……いや、リヴァイアサンの姿で放たれた時の攻撃を防ぎきったとっておきの防御兵器。
「守り抜く!リンクシールド!!」
あの時と同じように空中に小さな傘を複数召喚した。その傘が塔の頂上部を全て覆う事が出来る位置へと配置すると、傘の先端から次の傘の先端へと光の線を繋げていく。その線での繋がりがやがて面となり光の壁を作り上げる。そうしてドーム状に築いた光の壁で頂上全てをすっぽりと包み込んだ。
そして機は熟したと言わんばかりにデルラトが大きな口を開いた。そこから放たれたのは先程よりも高い熱量の火炎砲だ。外側にはプロミネンスの様なものが生まれ頂上を丸呑みにする。まるでビーム状の太陽に飲み込まれるような感覚に陥りそうになるが、それでもリンクシールドは破れない。
「ふぅ防ぎ終わったな……とんでもない攻撃を見せてくれた礼だ。俺も今考えた必殺技を見てくれよ」
そう言って大地は空中のリンクシールドを消すと、代わりに魔法の絨毯を召喚した。
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