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月光の花嫁
召喚の儀式
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ジークがシーラの方へ目を向ける。
「ばかな!?聖女の力では壊せない様に作られていはずだ……」
しかし、確かにシーラからルーナへ力を流す魔法は解けていた。だが、それでもジークはニヤリと笑みを浮かべる。
「……だが、少し遅かったようだな。力の受け渡しは十分」
ジークが見上げた。その先には明るく輝く満月が真上に来ていた。そしてそれと同時に月光の搭が淡く光始める。
「見よ。搭も満月に呼応して光始めた」
「それがどうした!この場でお前を締めればそれで終わりだろう!」
大地が剣を握りしめてジークへ飛び出そうとした時だった。
「いやああああああ!!お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
ルーナが叫び始めたのだ。大地がそちらへ目をやるとルーナ自身が光を生み出しながらその光に包まれていた。
「言わなかったか?俺を倒しても召喚は止まらない……と」
ジークが肩の痛みを忘れたように両手を広げて言う。
「さぁ召喚の儀式の始まりだ!!」
ルーナの光が強まると同時に搭が揺れ始めた。それはその場にいる誰もが危機感を持つ。
「ルーナ!!頑張って抑えて!」
「やってる!……けど……ダメ!!」
もし、シーラが召喚を強制させられる立場であったなら押さえ込めることは出来たかもしれない。だが、ルーナではそこまでの精霊の力を扱うには練度不足なのだ。
「止まって……よう……」
それでも必死に泣きべそをかきながら止めようしているのも伝わってくる。だが、必死にやった程度で実力がすぐに上がるものではない。
「こんなモンスターを呼び出したらダメなのに……お願いだから……止まってよう……」
その祈りに近い言葉とは裏腹にルーナから豊州される能力による光が強くなっていく。
「止まらない……お姉ちゃん止まらないよ……」
「ルーナ……!」
リリアも外側から魔法の解除を試みているようだが表情からして絶望的だ。
「くくく。やはりうまく制御出来ないみたいだな!」
「お前……これも全部考えての行動か?」
凄む大地にジークは真正面から答えた。
「そりゃそうだ!国一つ滅ぼせるモンスターを呼び出す計画を渡されたのだ。失敗は許されん!」
「こいつ!今すぐあれを止めろ!」
「何度も言わすな。俺では止められん。止めたければあの女を殺すことだな」
それが出来るならなと言わんばかりに高笑いをし始めるジークに大地は再び銃口を向けた。
「おっと!俺にばかり構っていていいのかな?」
「くっ……」
ジークなら後でなんとでもなると判断した大地は振り返りシーラの近くへと走っていった。
大地が近づいた頃には、ルーナの回りにシーラ、モリス、リリアが打つ手なしで佇んでいた。
「お姉ちゃん。もう……いいよ?私を殺して」
「ルーナ!!」
何をばかなことを!!と言うようにシーラは声を張り上げるがその先の言葉は出てこない。何せ幼い頃からシーラとルーナは精霊の力を通じてこの搭に住まうモンスターの脅威を感じさせられてきたのだ。
だからこそ……阻止するにはルーナを殺す以外の道は無いとわかる。
「ごめんね、お姉ちゃん。私もっともっとお姉ちゃんの妹で居たかったのに」
「ルーナ……助けてあげられなくてごめんなさい……貴方はどんな時でも私の大切な……妹よ」
どちらも声が震えている。こぼれる涙も止まりはしない。それでも今動かなければとんでもないことになる。
シーラはモリスから小刀を借りると構えた。そして……。
「やっぱ考えたんだけどよ……妹さんを殺して解決ってのは好きになれないな」
シーラがルーナを突き刺そうとしたところで大地が止めた。
「何で止めるんですか!!私が死なないとデルラトが呼び出されちゃうんです!!」
ルーナの怒りのこもった必死な言葉に大地は「わかってる」と答える。
「デルラトはとんでもないモンスター何ですよ!国だって滅ぼす可能性があるモンスターです!」
シーラの抗議にも大地は同じように「それもわかってる」と答える。
「「なら止めないでください!」」
シーラとルーナがそう叫ぶ。だがそれに大地ははっきりと「いや、止めるよ」と答えた。
「さっきも言ったがこの方法で解決ってのは好きになれないからな」
「そんな!好き嫌いの問題じゃないでしょう!」
「そうだな。本来ならきっとそれで片付けちゃいけない問題なんだろう」
「なら!!」
「でも、俺にはそれで片付けられる力がある」
「何を……」
更に抗議をしようとシーラはそこまで口を出すがそこで止まってしまう。何せ本当にデルラトを何とか出来るのだとしたら、本当にルーナを殺さなくてすむのであれば。やっぱりそれが……。
「一番いい、だろ?」
大地の最後の言葉を聞けばもう何も言えずコクりとうなずくだけだった。
「名前はルーナちゃんだよな」
大地がそう訪ねるとルーナは「はい。……貴方は……」と訪ねてくる。
最初の抗議もあってからか警戒心よりも不思議な人物を見るような目で見てくる。
「俺は大地だ」
「ダイチさん……私を殺した方が安全じゃないですか」
「そうだな。でも、君は死にたいわけじゃないだろ?」
「それは……」
「なら任せておけ。絶対にモンスターは俺が倒すから何も心配はするな」
そう言って大地はルーナの頭をゆっくりと撫でると彼女は目を細めて「はい……」とだけ言った。
その直後、ルーナの光がよりいっそう強まってモンスターの封印が解かれた。
「ばかな!?聖女の力では壊せない様に作られていはずだ……」
しかし、確かにシーラからルーナへ力を流す魔法は解けていた。だが、それでもジークはニヤリと笑みを浮かべる。
「……だが、少し遅かったようだな。力の受け渡しは十分」
ジークが見上げた。その先には明るく輝く満月が真上に来ていた。そしてそれと同時に月光の搭が淡く光始める。
「見よ。搭も満月に呼応して光始めた」
「それがどうした!この場でお前を締めればそれで終わりだろう!」
大地が剣を握りしめてジークへ飛び出そうとした時だった。
「いやああああああ!!お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
ルーナが叫び始めたのだ。大地がそちらへ目をやるとルーナ自身が光を生み出しながらその光に包まれていた。
「言わなかったか?俺を倒しても召喚は止まらない……と」
ジークが肩の痛みを忘れたように両手を広げて言う。
「さぁ召喚の儀式の始まりだ!!」
ルーナの光が強まると同時に搭が揺れ始めた。それはその場にいる誰もが危機感を持つ。
「ルーナ!!頑張って抑えて!」
「やってる!……けど……ダメ!!」
もし、シーラが召喚を強制させられる立場であったなら押さえ込めることは出来たかもしれない。だが、ルーナではそこまでの精霊の力を扱うには練度不足なのだ。
「止まって……よう……」
それでも必死に泣きべそをかきながら止めようしているのも伝わってくる。だが、必死にやった程度で実力がすぐに上がるものではない。
「こんなモンスターを呼び出したらダメなのに……お願いだから……止まってよう……」
その祈りに近い言葉とは裏腹にルーナから豊州される能力による光が強くなっていく。
「止まらない……お姉ちゃん止まらないよ……」
「ルーナ……!」
リリアも外側から魔法の解除を試みているようだが表情からして絶望的だ。
「くくく。やはりうまく制御出来ないみたいだな!」
「お前……これも全部考えての行動か?」
凄む大地にジークは真正面から答えた。
「そりゃそうだ!国一つ滅ぼせるモンスターを呼び出す計画を渡されたのだ。失敗は許されん!」
「こいつ!今すぐあれを止めろ!」
「何度も言わすな。俺では止められん。止めたければあの女を殺すことだな」
それが出来るならなと言わんばかりに高笑いをし始めるジークに大地は再び銃口を向けた。
「おっと!俺にばかり構っていていいのかな?」
「くっ……」
ジークなら後でなんとでもなると判断した大地は振り返りシーラの近くへと走っていった。
大地が近づいた頃には、ルーナの回りにシーラ、モリス、リリアが打つ手なしで佇んでいた。
「お姉ちゃん。もう……いいよ?私を殺して」
「ルーナ!!」
何をばかなことを!!と言うようにシーラは声を張り上げるがその先の言葉は出てこない。何せ幼い頃からシーラとルーナは精霊の力を通じてこの搭に住まうモンスターの脅威を感じさせられてきたのだ。
だからこそ……阻止するにはルーナを殺す以外の道は無いとわかる。
「ごめんね、お姉ちゃん。私もっともっとお姉ちゃんの妹で居たかったのに」
「ルーナ……助けてあげられなくてごめんなさい……貴方はどんな時でも私の大切な……妹よ」
どちらも声が震えている。こぼれる涙も止まりはしない。それでも今動かなければとんでもないことになる。
シーラはモリスから小刀を借りると構えた。そして……。
「やっぱ考えたんだけどよ……妹さんを殺して解決ってのは好きになれないな」
シーラがルーナを突き刺そうとしたところで大地が止めた。
「何で止めるんですか!!私が死なないとデルラトが呼び出されちゃうんです!!」
ルーナの怒りのこもった必死な言葉に大地は「わかってる」と答える。
「デルラトはとんでもないモンスター何ですよ!国だって滅ぼす可能性があるモンスターです!」
シーラの抗議にも大地は同じように「それもわかってる」と答える。
「「なら止めないでください!」」
シーラとルーナがそう叫ぶ。だがそれに大地ははっきりと「いや、止めるよ」と答えた。
「さっきも言ったがこの方法で解決ってのは好きになれないからな」
「そんな!好き嫌いの問題じゃないでしょう!」
「そうだな。本来ならきっとそれで片付けちゃいけない問題なんだろう」
「なら!!」
「でも、俺にはそれで片付けられる力がある」
「何を……」
更に抗議をしようとシーラはそこまで口を出すがそこで止まってしまう。何せ本当にデルラトを何とか出来るのだとしたら、本当にルーナを殺さなくてすむのであれば。やっぱりそれが……。
「一番いい、だろ?」
大地の最後の言葉を聞けばもう何も言えずコクりとうなずくだけだった。
「名前はルーナちゃんだよな」
大地がそう訪ねるとルーナは「はい。……貴方は……」と訪ねてくる。
最初の抗議もあってからか警戒心よりも不思議な人物を見るような目で見てくる。
「俺は大地だ」
「ダイチさん……私を殺した方が安全じゃないですか」
「そうだな。でも、君は死にたいわけじゃないだろ?」
「それは……」
「なら任せておけ。絶対にモンスターは俺が倒すから何も心配はするな」
そう言って大地はルーナの頭をゆっくりと撫でると彼女は目を細めて「はい……」とだけ言った。
その直後、ルーナの光がよりいっそう強まってモンスターの封印が解かれた。
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