192 / 281
月光の花嫁
戦うロボット
しおりを挟む
目の前に現れた物は一目見て生物ではないとわかった。こちらの世界の機械だ。幾つもの魔道具を合わせて作られたくすんだ銅色のロボットは四足歩行していて、左右には腕と思われる物が延びていた。その左腕の先には先細りの銃口、右腕の先にはぽっかりと空いた大きな筒だ。
体躯は大きく色々部品がはみ出していて機械の部分がむき出しになっているところからだいぶ壊れているのが伺える。ただ、それは体の上半身が大きいロボットに合体しているようにも見え、その上半身の中央部、人間で言うところの心臓に当たる場所にはガラスのケースのような物が有りその中に石が組み込まれた魔道具がはめられていた。あれが恐らくこいつを動かす原動力だろう。
そして頭部だ。何か顔のような造りになっていて二つの光が目の役割をしているように見える。
「リリア。たぶんこれは……」
「はい。ほぼ確実に……攻撃してくると……」
魔道兵器が至るところの間接から蒸気をプシューと吐き出すと「ピピピ」と音が鳴った。
「侵入シャ……発見……闘技場モードデ……タダチニ……始末シマス」
その音声が鳴ると大地とリリアに大きな筒の穴を向けてきた。
確実に何かを出してくる。その予感が現実になった瞬間、筒の穴から何かを飛ばしてきた。先端は丸く、楕円を描くボディに後部はメガホンのように広がっていた。その後部を青白く光らせながら真っ直ぐ飛んでくるのだ。
二人は慌てて避けるとその飛翔物が地面へと激突した。すると飛翔物がボンと爆発を起こした。この世界で言うところのロケット弾だ。
「無事か?」
「はい!」
爆風に耐えながら短いやり取りで確認し合い問題ないようで安心する。
「あれを壊すぞ!」
大地は飛び出しながらハンドガンを召喚した。そして狙いはあのガラスケースだ。魔石さえ壊せばそれで終わる事を願いつつ引き金をひいた。しかし、命中しても弾丸が弾かれてしまう。予想以上に硬いそれに驚きつつも狙いを変える。
その狙う場所は部品がはみ出して機械が剥き出しになっている箇所だ。中身を直接撃てばダメージになるかもしれない。その一心で再び引き金をひいて銃口から弾丸を発射する。
弾は確実に命中した。バチっと音がしただけで破壊できている様子はない。しかも怯むことすらなかったロボットは大筒を大地へ向けて発射してきた。
「あぶねぇ!」
咄嗟の回避でよけれたがこの狭い場所で、リリアを巻き込まないように逃げ続けるのは不可能だ。
だからなにか反撃を……そう考えた直後に再びロケット弾が飛んできた。
「こいつ何発撃てんだよ!!」
悪態つきながらロケット弾を見つめる。逃げることは間に合わないと判断した大地は何とか耐えようと身構えた。
ロケット弾が衝突して爆発する。だが、大地は爆炎に飲み込まれていなかった。リリアがすんでのところで魔法の壁を作って大地を護ったのだ。
「ダイチさん。大丈夫ですか!?」
「リリアのおかげでな。助かったよ」
そう礼を言うと「えへへ」と照れた笑みを溢しながら嬉しそうにした。大地は笑みを一瞬だけ作るとロボットへと向き直る。
一発の弾丸じゃダメージにならなくても複数発当てれば壊せるかもしれない。三本の矢ならぬ三発の弾だ。大地は狙いを定めてダダダンと連続的に弾丸を発射した。全ての弾丸が吸い込まれる様にむき出しの機械へ命中すると先ほどよりも強くバチバチと放電し始めた。
「このまま続ければ壊せそうだな」
再び大地がハンドガンを向ける。だが、ロボットから再び音声が鳴った。
「ピピピ。驚異度ヲ更新シマス」
ロボットの間接からプシューと蒸気を吹き出した。そしてガシンガシンと騒がしい音を立てながら大地へ近づくと先細りの銃口がついてる腕を突きす。
何かヤバイと感じた大地が反射的にその銃口を蹴りあげた。そしてそれと同時に銃口からレーザーが放出されて天井や、その付近に吊るされている装飾を破壊していく。
瓦礫が落ちてきて闘技場が荒らされる中、ロボットがレーザーを乱射し始めた。落下物により視界の悪さと落ちた瓦礫の衝撃で若干の揺れが発生する。そんな状態で撃つものだからレーザーは狙いが定まる事なく起動の読めないレーザーが放たれ続ける。
「うわっ!」
「きゃぁっ」
避けるのも四苦八苦しているが大地もリリアも何とか無傷だ。
「リリア。あの胸にある魔道具に魔法を当てられるか?」
ロボットの胸の位置にあるガラスケースに入った魔道具。あれを壊せばロボットもきっと停止するに違いない。
「やってみます」
リリアが聖女用の杖に魔力を込める魔力の集中もそこそこに宝玉から白い光線が放たれた。そしてそれはガラスケースに当たったのだが予想外の出来事が起きた。リリアの魔法を魔力に戻して吸収したのだ。
「マジかよ……」
だが、それに驚いたのかロボットが暴走し始めた。レーザーはそのままにロケット弾を打ちまくり始めた。いよいよ今の場所が危険になってきていると察しているが逃げ場が……。
そう状況は厳しいと考えた矢先にロケット弾が扉に命中して破壊された。あの扉は大地達が入ってきていない方だ。先に何があるかわからないが今はあのの壊れた扉を抜けて逃げた方がいいだろう。
「リリア!走るぞ!!」
「はい!!」
轟音と爆破で荒れ狂う闘技場から逃げるために大地とリリアは穴の空いた扉を急いで潜っていった。
侵入者がいなくなってから少しして落ち着きを取り戻したロボットは標的が居ないことで音声が鳴った。
「ピピピ……損傷シタパーツヲ破棄シ……巡回モードヘ移行シマス……」
ロボットの本体部分となる頭と上半身以外の機械部分がガシャンと派手に音を立てながら外れる。そしてロボットの本体はそのまま飛翔してその場を離れると、残ったパーツが一気に爆発した。
体躯は大きく色々部品がはみ出していて機械の部分がむき出しになっているところからだいぶ壊れているのが伺える。ただ、それは体の上半身が大きいロボットに合体しているようにも見え、その上半身の中央部、人間で言うところの心臓に当たる場所にはガラスのケースのような物が有りその中に石が組み込まれた魔道具がはめられていた。あれが恐らくこいつを動かす原動力だろう。
そして頭部だ。何か顔のような造りになっていて二つの光が目の役割をしているように見える。
「リリア。たぶんこれは……」
「はい。ほぼ確実に……攻撃してくると……」
魔道兵器が至るところの間接から蒸気をプシューと吐き出すと「ピピピ」と音が鳴った。
「侵入シャ……発見……闘技場モードデ……タダチニ……始末シマス」
その音声が鳴ると大地とリリアに大きな筒の穴を向けてきた。
確実に何かを出してくる。その予感が現実になった瞬間、筒の穴から何かを飛ばしてきた。先端は丸く、楕円を描くボディに後部はメガホンのように広がっていた。その後部を青白く光らせながら真っ直ぐ飛んでくるのだ。
二人は慌てて避けるとその飛翔物が地面へと激突した。すると飛翔物がボンと爆発を起こした。この世界で言うところのロケット弾だ。
「無事か?」
「はい!」
爆風に耐えながら短いやり取りで確認し合い問題ないようで安心する。
「あれを壊すぞ!」
大地は飛び出しながらハンドガンを召喚した。そして狙いはあのガラスケースだ。魔石さえ壊せばそれで終わる事を願いつつ引き金をひいた。しかし、命中しても弾丸が弾かれてしまう。予想以上に硬いそれに驚きつつも狙いを変える。
その狙う場所は部品がはみ出して機械が剥き出しになっている箇所だ。中身を直接撃てばダメージになるかもしれない。その一心で再び引き金をひいて銃口から弾丸を発射する。
弾は確実に命中した。バチっと音がしただけで破壊できている様子はない。しかも怯むことすらなかったロボットは大筒を大地へ向けて発射してきた。
「あぶねぇ!」
咄嗟の回避でよけれたがこの狭い場所で、リリアを巻き込まないように逃げ続けるのは不可能だ。
だからなにか反撃を……そう考えた直後に再びロケット弾が飛んできた。
「こいつ何発撃てんだよ!!」
悪態つきながらロケット弾を見つめる。逃げることは間に合わないと判断した大地は何とか耐えようと身構えた。
ロケット弾が衝突して爆発する。だが、大地は爆炎に飲み込まれていなかった。リリアがすんでのところで魔法の壁を作って大地を護ったのだ。
「ダイチさん。大丈夫ですか!?」
「リリアのおかげでな。助かったよ」
そう礼を言うと「えへへ」と照れた笑みを溢しながら嬉しそうにした。大地は笑みを一瞬だけ作るとロボットへと向き直る。
一発の弾丸じゃダメージにならなくても複数発当てれば壊せるかもしれない。三本の矢ならぬ三発の弾だ。大地は狙いを定めてダダダンと連続的に弾丸を発射した。全ての弾丸が吸い込まれる様にむき出しの機械へ命中すると先ほどよりも強くバチバチと放電し始めた。
「このまま続ければ壊せそうだな」
再び大地がハンドガンを向ける。だが、ロボットから再び音声が鳴った。
「ピピピ。驚異度ヲ更新シマス」
ロボットの間接からプシューと蒸気を吹き出した。そしてガシンガシンと騒がしい音を立てながら大地へ近づくと先細りの銃口がついてる腕を突きす。
何かヤバイと感じた大地が反射的にその銃口を蹴りあげた。そしてそれと同時に銃口からレーザーが放出されて天井や、その付近に吊るされている装飾を破壊していく。
瓦礫が落ちてきて闘技場が荒らされる中、ロボットがレーザーを乱射し始めた。落下物により視界の悪さと落ちた瓦礫の衝撃で若干の揺れが発生する。そんな状態で撃つものだからレーザーは狙いが定まる事なく起動の読めないレーザーが放たれ続ける。
「うわっ!」
「きゃぁっ」
避けるのも四苦八苦しているが大地もリリアも何とか無傷だ。
「リリア。あの胸にある魔道具に魔法を当てられるか?」
ロボットの胸の位置にあるガラスケースに入った魔道具。あれを壊せばロボットもきっと停止するに違いない。
「やってみます」
リリアが聖女用の杖に魔力を込める魔力の集中もそこそこに宝玉から白い光線が放たれた。そしてそれはガラスケースに当たったのだが予想外の出来事が起きた。リリアの魔法を魔力に戻して吸収したのだ。
「マジかよ……」
だが、それに驚いたのかロボットが暴走し始めた。レーザーはそのままにロケット弾を打ちまくり始めた。いよいよ今の場所が危険になってきていると察しているが逃げ場が……。
そう状況は厳しいと考えた矢先にロケット弾が扉に命中して破壊された。あの扉は大地達が入ってきていない方だ。先に何があるかわからないが今はあのの壊れた扉を抜けて逃げた方がいいだろう。
「リリア!走るぞ!!」
「はい!!」
轟音と爆破で荒れ狂う闘技場から逃げるために大地とリリアは穴の空いた扉を急いで潜っていった。
侵入者がいなくなってから少しして落ち着きを取り戻したロボットは標的が居ないことで音声が鳴った。
「ピピピ……損傷シタパーツヲ破棄シ……巡回モードヘ移行シマス……」
ロボットの本体部分となる頭と上半身以外の機械部分がガシャンと派手に音を立てながら外れる。そしてロボットの本体はそのまま飛翔してその場を離れると、残ったパーツが一気に爆発した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
154
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる