初めての異世界転生

藤井 サトル

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温泉の中の金と銀

牢屋という名の宿泊施設

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 牢屋。
 それは解放感のある小部屋である。
 部屋は一人部屋と相部屋があり、相部屋の場合は誰が来るか分からないギャンブルガチャだ。また、部屋はやや薄暗い傾向にあるのだがここにはトイレの他にベッドもある。柔らかいベッドと言うわけではないが、地面に寝るよりは十分休めるだろう。更には待っていれば自動で飯が出てくるあげく、この宿泊施設は無料ただなんだ。

 ……はぁ本当に牢屋に入る事になるとは思わなかったな。
 ここに入る経緯は怖さなしでは語れないのだ。

***

 あれは……熱い日が続いた時の話なんですがね、私達は王様に呼ばれてお城へ行ったんですよ。何度か来たことが有るんですけどやっぱり立派な大きいお城でね~。中に入って扉をキィィっと音を鳴らしながら開いてもらって謁見の間へ入ったんですよ。そこにね、王様と王妃様が待っていたんですよ。何の用かな~?何の用かな~って内心びくびくしながらその二人の前まで歩くんですよ。だってね依頼を受けたのはクルスからだから王様とは結び付かなかったわけ。でも王様はその依頼をこなした事について褒めてくれたんですよ。嬉しかったなぁ。そんなふうに話が終わって和気あいあいとするような雰囲気が出来てたんですよ。私もね『ふぅっ』と心の中で安堵のため息を吐いてこのまま何事も無く終わるんじゃないかって油断したの。ところが……

 ――キィィ。

 って、後ろの扉が開く音が聞こえてね。後ろの扉と言えば私達が入ってきた廊下に繋がる扉なんです。何だろうと思って振り返るとそこには男性が立っていたんですよ。よく見たら初老の男性なんですね……これが。その男性がスーッと私達を迂回して王様へと何やら私達にした話が終わったのか確かめていたんですよ。やだなー、嫌な予感するなーって額から汗をながしていたところにその初老の男性がこっちを見るんですよ。あー、これは嫌な予感当たるなぁ。そう思ってね、でも下手に動くわけにいかないから黙って様子を見守っていたんですよ。そしたらその初老の男性が近づいてきて私の名前を確かめてきましてね。

 ただね、そこまでは良いんですよそこまでは……。その後にね、その初老の男が近くにいる知り合いの少女をちらっと見て言ったんですよ。「リリア殿下への言葉遣いがなっていない」って。

 リリアって言うのは先ほど言った知り合いの少女でね、金色の綺麗な髪をしている16歳の少女なんですよ。何時もギルドに居たり、宿の食事処で飯を食ったりと――まぁ可愛らしい普通の女の子なんですよ。言葉遣いも丁寧ではあるけれど王族や貴族のようなものじゃなくてね……。だからずっと普通の女の子として接してきましたよ。よくていいとこのお嬢さんくらいだったんですよ。

 それが『殿下』って呼ばれたわけです。詰まるところ王女様だったんですねー。ね?怖いでしょう?
 私なんてね彼女に『ちんちくりん』何て呼んじゃってたわけですから。肝が冷えましたねぇ。

 とまぁ。その後も初老の男性の話は続いてたんですがね、それが呪いの言葉だったのか少女が泣き出してしまいましてね、これはイカン!と思ってその男を殴り飛ばしちゃったんですよ。初老の男性は……相当な権力者だってしてはいましたけど仕方ないでしょう?横暴な権力者を殴ったら犯罪者になる世の中なんですよ。怖いですねぇ。

 それで結局私はブタ箱行きと言うわけです。

***

 あちらは大丈夫だろうか。
 等と考えている大地の頭に女神の声が響いてきた。

 大地さ~ん。牢屋生活はどうですか?もうずいぶんと私と会っていませんが寂しくありませんか?

 ずいぶんと会ってないって、ここに入ってから10分も経ってねぇよ!

 10分も私に会えないなんて可哀想な大地さん。

 そんな事で哀れむなよ……。というかそっちはどんな調子なんだ?

 どんな……そうですねぇ。お話が激化してますね。

 まぁそうだよな。俺が殴ったのって偉いやつなんだよな?

 そうですね。今聞こえてきた言葉を口にすると『仕方ない』とか『処刑』とかですね。大地さんを中心に話が盛り上がってますよ!人気者ですね♪

 ま、まぁ俺くらいになるとこんなのはヨユウだな……。実際の話、処刑になったら逃げるけどフルネールはどうする?

 あら?私を連れてってくれるんじゃなかったんですか?

 いやでもよ。リリアと離れたくないって言ってただろ。だからお前の意思を尊重したいところなんだが。

 何を言っているんですか大地さん。こんな事、口に出して言わないと分からないんですか?

 フルネール……。

 ついて行きますよ。だって私は大地さんのおよめさ――。

 何言っているんだお前は!? 

 あれ~。喜ぶかと思って言ったんですけど……まぁいいです。こちらの話はまだ続いているので何かわかったら教えますね。

 そう言って響いていたフルネールの声はパタリと止んだ。あれでも心配してくれていたのだろう。

「まったく波乱万丈な異世界生活だぜ……」

 そう呟いた大地は少しだけボロいベッドへと寝転んだ。する事もないしどうする事も出来ない……と言うわけじゃないが穏便に済ませるなら今は待つしかないだろう。『果報は寝て待て』というやつだ。

「よう。アンタは何してここに入れられたんだ?」

 向かいにいるおっさんが声をかけてきた。あちらの牢屋も変わらないようで鉄格子に埃臭い壁や床だ。同じようにボロいベッドもあるな。更に同じようにおっさんが入っているのだが……唯一違う点は汚れたおっさんかそうでないおっさんか、だ。

 まぁこんな場所じゃ風呂にすら入れないだろう。でも、少しは人間らしい生き方したいよな。……あれ?俺も毎日風呂は入れてない。ぐえー。

「ちょっと腹が立ったから殴っただけだ」

 セルフ自爆で受けた精神的苦痛を直視しない様に目の前にいる男へと言葉を返すことに大地は集中する事にした。

「おー。おっかねぇな。どうだここの部屋は?汚れた壁に埃まみれの天井。中が丸見えの鉄格子。悪くないだろ?」

「ああ。悪くないな。壁で風は防げるし、天井は雨を凌いでくれる。見られるのは兵士くらいで、おまけにベッドまでついてやがる」

「「最高だよな」」

 最後は同じ台詞なはずなのにお互いの表情が噛み合わない。それにたいして男は『あれ~?』と不思議そうに見てきた。

 変なことを聞かれる前にこちらから話題でも振っておくか。

「そういやアンタは一体何したんだよ」

「ふ。俺かい?俺は盗みさ」

 男は親指と人差し指を広げ、その間に顎を乗せる様なポーズを取りながらにやりと歯を見せて言うのだが……それが許されるのはイケメンだけなんだよ。

「はぁ?……まぁ暇つぶしに話を聞こうか」

 ベッドから起き上がるとそのまま腰を掛けて座った。その姿を見て目の前の男は大地がその気になったとわかり口を開いた。

「まず俺の名前はバージルってんだ。こう見えても大盗賊の頭なんだぜ?」

「大盗賊の頭がなんで捕まってるんだ?」

「数日前にとある貴族が遠出すると言う情報を情報屋から買ったんだ。今は何故か熱さが消えたが……あの熱さだ。遠出先がシープルと聞いて海水浴にでも行くのだと納得した俺達はその屋敷へ盗みに入ったんだ」

「シープルって町か?」

「ん?知らないのか。北に海があるのは知っているよな?海沿いにそのまま東へ行くとシープルと言う砂浜がきれいな町があるんだ」

 ほー。そんなリゾート地みたいなところが有るのか。

「続けるぞ。盗みに入った屋敷は人がガラガラだった。これは楽勝だな。そう思って奴の部屋へ入ると目の前には居るはずのない奴がいやがった」

「なぁ、その奴って誰なんだよ?」

「そいつの名はなアルグニールってんだ」

 アルグニール……って。

「あいつかよおおおお!?」

「悪名高いから流石に知っているか」

 一瞬意外な顔をバージルはするがすぐに思い直した。

「因みに何を盗みに行ったんだ?」

「奴隷にする魔道具の一つで隷属れいぞく邪眼じゃがんと言うものでな。それ一つで複数人を奴隷に出来るらしい」

「奴隷……ねぇ。確かにあいつの屋敷に奴隷が数人いたけどそんな魔道具使っていたのか」

 どこの世界でもバカ見たいな物を作るんだな。

「何か知っている口振りだな。あんたはアルグニールのことを知っているのか?」

「知ってるもなにもアルグニールが奴隷を従えているのを見つけたからな。同じ貴族に捕まったはずだが……その後はどうなったか知らないな。もう死んでるかも知れないけど」

 この場所にいてもアルグニールが奴隷を所持していてそれが暴かれた話をバージルは聞いていた。もし目の前の新しい囚人が暴いた本人だとしたらなかなかのタマである。

「なるほどな。さて、話を戻すが侵入した時にアルグニールがいた理由はただ一つで俺達は情報屋に売られたんだ」

「子分も捕まっているのか?」

 バージルは首を横に振った。

「いや、人が少ないならと俺一人で盗みに入ったんだ。子分達は今、俺が脱走出来るように手筈を整えているはずさ」

 ふむ。その事を大きな声で言ってもいいのだろうか?或いは企てているのがバレようと関係ないのか……。

「ま、俺の話はこんなもんだな。んで、お前さんは誰を殴ったんだ?」

 バージルは少し楽しそうにしながら聞いてきた。この牢屋生活で話を聞くのが唯一の娯楽なのかもしれない。

「あー、俺は大臣をぶん殴ったんだよ」

「大臣!?」

 大地が素直に教えるとバージルは驚いたあと残念そうな人を見る目で哀れみ始めた。

「そりゃあ処刑だな……短い間だったけど世話になったな」

 清々しい顔でいいやがる……本当に短いし世話もしてねぇよ!

「処刑ねぇ。絶対なると思うか?」

「そりゃ……」

 バージルは本の少し間を溜めてから言った。

「なるだろ」

「なげーよ!……ったく。それじゃあ一つ賭けをしないか?俺の命がどっちに傾くか」

「賭け?お前と?これから死ぬ奴が何言ってんだ」

 大地が吹っ掛けた賭けに対してバージルは笑い飛ばす。だが、大地は真剣な表情で言った。

「だからだ。どうだ?お前が肯定した『絶対死ぬ』を覆せたらお前は脱獄なんてしない」

「おいおい。本気かよ……」

「おう。本気も本気だ」

「へぇ。それなら俺が勝ったら……つまりお前が死んだらどうするんだよ」

「そうだな。俺の有り金を全部くれてやるよ」

「マジかよ……」

 バージルはこの男の有り金がどれくらいかを見定めるような目付きで観察する。一見ボロそうな服を着ているが……大臣を殴ったと言うのが本当なら大臣に会えるほどの身分か功績をもっているはずなのだ。そして、大地を連れてきた兵士の態度は普通と違った。それらを加味すると……こいつはかなりの金を持ってそうだな。自分の慧眼が恐ろしいぜ、と言わんばかりである

「よし!乗った!」

 バージルは嬉しそうに声を張り上げるが……今度は逆に大地が哀れみの視線を送ることとなった。

 俺がいくら所持しているのか聞かないのか……。

「だが、お前が死んだか生きてるかはどうやって決めるんだ?」

「俺が死んだら風の噂でも聞くだろ。生きてたら暇潰しに会いに来るぜ。だからそれまで脱走するな」

 これでこいつは脱走しないだろう。だいたい処刑と宣告されたら全力でフルネール抱えて逃げるけどな。悪いなぁ絶対に負けない賭けを吹っ掛けちゃって……賭けだけに。

 あの……大地さん?途中から声が聞こえてきて来てるんですけど。

 え!?……ど、どの辺から?

 全力で私を抱えて逃げる……辺りから。

 あ、あー……。

 大地さん?あの。

 言うな。

 賭けだけに……。

 言うなよーー!

 それはそうと。大地さんを『えいっ!』する話が終わりましたよ。

 それはオブラートに包んでくれたってことで良いんだよな?

 ご想像にお任せです。

 それでどうなったんだ?

 それは……残念ですが…………。

 残念って、つまりどういう意味だ?

 そう意味ですよ……。

 そこまでオブラートに……いや、そうか。ありがとな。

 いえ!私は出来る女神なのでこんな連絡は問題ないですよ!

 それにしたって……元気すぎる。

 えー?だって何かあったから『全力』で抱えて逃げてくれるのでしょう?

 ま、まぁそうだけどよ……と、兵士が来たようだ。

 二人の兵士がやってきて大地に言った。

「出てもらえますか?」

「ここに連れてきた時も丁寧な言葉遣いだったけど……それでいいのか?」

「大地さんは殿下達から聞いていた通りのお方だったので……」

「いや、でも大臣を殴っているんだぞ?」

「リリア様の為に……ですよね。さぁこちらへ来てください」

 大地は牢屋を出ると来たとき同様に二人の兵士に挟まれて謁見の間へと連れられるのだった。
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