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叶わぬ願いと望んだ未来
溶岩の作り方
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下を見れば熱気が顔を焼いてくる。その視界で見えるものは暗い穴だが奥底には赤い光が見える。その光こそが顔を焼いてくる元凶だ。
そして、今からその元凶の近くまで行かなければならない。
だが安心してほしい!大地の仲間には水や氷を操るのが得意のモンスターレヴィアやシャーリーがいる!こんな熱さは魔法でちょちょいのちょいだ!!……とはならない。
なぜなら今ここにいるのは大地、リリア、グラネス……以上!3人だからだ。
その理由は先ほどお城に呼ばれたのは大地達全員だ。しかし、ライズとシャーリーは渡される家についての呼び出しだ。色々と手続きをする必要があるらしく今も書面とにらめっこしているだろう。
レヴィアは別件で呼ばれている。その別件だが……まずスノーパールという果実は覚えているだろうか?クルスが掛かった病を治せる果実だ。レヴィアはその果実の栽培方法を知っている。そのため今はお偉いさんとお話し中である。
そのレヴィアの保護者?としてフルネールがついていっているのだが、先ほど「相当時間かかりそうです」とフルネールが教えてくれた。因みに彼女は大地が火山にいくと知ると大地へ餞別に魔道具を渡してくれた。
それは魔力を流すと音が鳴る……おもちゃだ。フラッシュバードの形をしていた。
「おもちゃじゃねえか!」
それも大地が魔力を込める魔道具の練習にしている玩具だ。
大地が突っ込みをいれるもフルネールはそれを無視して「これを私だと思って持っていって下さい」といい顔で言って無理矢理持たせてきたのだ……。
そんなわけで今は水や氷魔法に長けた人材は居ない。……まじかよ。
「大地さん。このマントを羽織ってください」
リリアが大地に青いマントを渡してきた。きっと今この場で使える魔道具だろう。……もし悪戯でただのマントを羽織らせてきたら泣くしかない。
大地がリリアからマントを受け取りそれを羽織ると今まで熱かったのが嘘のように和らいでいく。
「これはすごいな」
マントを羽織ってその効果を実感している大地に続いてリリアとグラネスもマントを羽織った。
「さあ!行きましょう!」
火口下にある溶岩を見据えながらリリアは意気込んでそう言った。
この溶岩山内部にハンター達がくることは珍しくもない。それは住み着いているモンスターの駆除や竜の谷では取れない魔石も数多く眠っている。
その出入りを便利にするために内部に入り込む用の階段が火口から少し離れた場所には作られている。
洞窟のような作りになっているその入り口は二人ならんで歩けるくらいの広さだ。
その階段を一つ一つ降りていく中で大地は壁に嵌められている木製の六角形で作られている何かを見つけた。その木製の何かには紋様が描かれている。
「これはなんだ?」
「それは簡易のモンスターよけですね」
「この木で出来た奴が?」
「正確には特殊な道具に魔道具で紋様を描いたものが該当します」
その言い方だとこの木以外にもモンスターよけになる道具がありそうだ。そう考えながら奥へと進む。
「雪山に行くときに行った港は覚えていますか?あそこにも使われているんですよ?素材も規模も大きいですが」
そう言えばあの場所ではモンスターが来ないんだよな……。
階段の終わりまでたどり着くと広い空間に出た。地面は高低さが多く入り組んでいて、所々穴が開いている。その穴の中を覗き込むと溶岩がボコボコと立てる音が聞こえてくる。
音と熱気が増して来たことで溶岩にだいぶ近い位置まで来ていることはわかった。
「そう言えば調べるってどうするんだ?」
大きな魔石があるということしか聞いていない。話の口振りから魔石と熱が関わってるのだろうか。だが、熱さの原因は溶岩だとも聞いている。
「ダイチ。溶岩はどうやって出来ると思う?」
熱で岩とかが溶けているくらいは分かるが……それしかわからん。
「いや。知らないな。グラネスは知っているのか?」
問いかけてきた相手にそのまま質問するとグラネスは頷いた。
「ここの奥にある魔石は熱を出す性質がある。それも空気中に漂う微弱な魔力で反応し、放出する熱は地中深くへと伝達する。その熱により岩がとけたものが溶岩であり、溶岩の量が増えると上がってくるわけだ」
なるほど。俺の世界にも魔石が存在していたのか!……って冗談は置いといてこの世界の仕組みは分かった。
「なぁ。その流れだと時期関係なくずっと熱いままなんじゃないか?」
「ところがそうでもないんだ。確かに溶岩は常に作られているがこの時期だけ魔石の力が強まる。その効果によって溶岩は火口付近までせり上がってくるという事だ。だが、火口付近まで上がる頃には魔石の力も戻っていくから溶岩も下がっていくのが通常なんだ」
なるほど。そのせり上がってくる溶岩によって本来なら熱さも少しずつ増してくる。と言うわけなんだな。
「今回、俺達は溶岩のせり上がり方が速いんじゃないかと思っていたのだが……今見た感じでは溶岩は特に変化が無い。……それなのに例年より町の中は熱い事が今分かった」
今朝はレヴィアのおかげで寝起きはよかったものの魔法を止めてもらったら一気に汗が噴き出してきたな。毎年起きている事だとしても俺は初めてだから違和感は分からないが……。
「という事はますます魔石が怪しくなっているわけだ」
「そうだな。まずは調べてみない事には始まらないが……ただ、もしかしたらあまり時間がないかもしれん」
グラネスは自身の感じる熱量を思う。青いマントの魔道具によって緩和しているはずだがそれでも熱さを感じてしまう。溶岩の近くにいるのだから当たり前だと思うかもしれないが今羽織っているマントはかなり高額なものだ。溶岩真近を歩いたところで熱さを感じずに歩けるほどの代物だ。
熱の上がり具合が加速している可能性がある事を念頭に置いてグラネスは先を見据えた。
そして、今からその元凶の近くまで行かなければならない。
だが安心してほしい!大地の仲間には水や氷を操るのが得意のモンスターレヴィアやシャーリーがいる!こんな熱さは魔法でちょちょいのちょいだ!!……とはならない。
なぜなら今ここにいるのは大地、リリア、グラネス……以上!3人だからだ。
その理由は先ほどお城に呼ばれたのは大地達全員だ。しかし、ライズとシャーリーは渡される家についての呼び出しだ。色々と手続きをする必要があるらしく今も書面とにらめっこしているだろう。
レヴィアは別件で呼ばれている。その別件だが……まずスノーパールという果実は覚えているだろうか?クルスが掛かった病を治せる果実だ。レヴィアはその果実の栽培方法を知っている。そのため今はお偉いさんとお話し中である。
そのレヴィアの保護者?としてフルネールがついていっているのだが、先ほど「相当時間かかりそうです」とフルネールが教えてくれた。因みに彼女は大地が火山にいくと知ると大地へ餞別に魔道具を渡してくれた。
それは魔力を流すと音が鳴る……おもちゃだ。フラッシュバードの形をしていた。
「おもちゃじゃねえか!」
それも大地が魔力を込める魔道具の練習にしている玩具だ。
大地が突っ込みをいれるもフルネールはそれを無視して「これを私だと思って持っていって下さい」といい顔で言って無理矢理持たせてきたのだ……。
そんなわけで今は水や氷魔法に長けた人材は居ない。……まじかよ。
「大地さん。このマントを羽織ってください」
リリアが大地に青いマントを渡してきた。きっと今この場で使える魔道具だろう。……もし悪戯でただのマントを羽織らせてきたら泣くしかない。
大地がリリアからマントを受け取りそれを羽織ると今まで熱かったのが嘘のように和らいでいく。
「これはすごいな」
マントを羽織ってその効果を実感している大地に続いてリリアとグラネスもマントを羽織った。
「さあ!行きましょう!」
火口下にある溶岩を見据えながらリリアは意気込んでそう言った。
この溶岩山内部にハンター達がくることは珍しくもない。それは住み着いているモンスターの駆除や竜の谷では取れない魔石も数多く眠っている。
その出入りを便利にするために内部に入り込む用の階段が火口から少し離れた場所には作られている。
洞窟のような作りになっているその入り口は二人ならんで歩けるくらいの広さだ。
その階段を一つ一つ降りていく中で大地は壁に嵌められている木製の六角形で作られている何かを見つけた。その木製の何かには紋様が描かれている。
「これはなんだ?」
「それは簡易のモンスターよけですね」
「この木で出来た奴が?」
「正確には特殊な道具に魔道具で紋様を描いたものが該当します」
その言い方だとこの木以外にもモンスターよけになる道具がありそうだ。そう考えながら奥へと進む。
「雪山に行くときに行った港は覚えていますか?あそこにも使われているんですよ?素材も規模も大きいですが」
そう言えばあの場所ではモンスターが来ないんだよな……。
階段の終わりまでたどり着くと広い空間に出た。地面は高低さが多く入り組んでいて、所々穴が開いている。その穴の中を覗き込むと溶岩がボコボコと立てる音が聞こえてくる。
音と熱気が増して来たことで溶岩にだいぶ近い位置まで来ていることはわかった。
「そう言えば調べるってどうするんだ?」
大きな魔石があるということしか聞いていない。話の口振りから魔石と熱が関わってるのだろうか。だが、熱さの原因は溶岩だとも聞いている。
「ダイチ。溶岩はどうやって出来ると思う?」
熱で岩とかが溶けているくらいは分かるが……それしかわからん。
「いや。知らないな。グラネスは知っているのか?」
問いかけてきた相手にそのまま質問するとグラネスは頷いた。
「ここの奥にある魔石は熱を出す性質がある。それも空気中に漂う微弱な魔力で反応し、放出する熱は地中深くへと伝達する。その熱により岩がとけたものが溶岩であり、溶岩の量が増えると上がってくるわけだ」
なるほど。俺の世界にも魔石が存在していたのか!……って冗談は置いといてこの世界の仕組みは分かった。
「なぁ。その流れだと時期関係なくずっと熱いままなんじゃないか?」
「ところがそうでもないんだ。確かに溶岩は常に作られているがこの時期だけ魔石の力が強まる。その効果によって溶岩は火口付近までせり上がってくるという事だ。だが、火口付近まで上がる頃には魔石の力も戻っていくから溶岩も下がっていくのが通常なんだ」
なるほど。そのせり上がってくる溶岩によって本来なら熱さも少しずつ増してくる。と言うわけなんだな。
「今回、俺達は溶岩のせり上がり方が速いんじゃないかと思っていたのだが……今見た感じでは溶岩は特に変化が無い。……それなのに例年より町の中は熱い事が今分かった」
今朝はレヴィアのおかげで寝起きはよかったものの魔法を止めてもらったら一気に汗が噴き出してきたな。毎年起きている事だとしても俺は初めてだから違和感は分からないが……。
「という事はますます魔石が怪しくなっているわけだ」
「そうだな。まずは調べてみない事には始まらないが……ただ、もしかしたらあまり時間がないかもしれん」
グラネスは自身の感じる熱量を思う。青いマントの魔道具によって緩和しているはずだがそれでも熱さを感じてしまう。溶岩の近くにいるのだから当たり前だと思うかもしれないが今羽織っているマントはかなり高額なものだ。溶岩真近を歩いたところで熱さを感じずに歩けるほどの代物だ。
熱の上がり具合が加速している可能性がある事を念頭に置いてグラネスは先を見据えた。
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