126 / 281
叶わぬ願いと望んだ未来
戦闘が終わると重要キャラがいきなり出てくるよね
しおりを挟む
黒い瓦礫で道が少しだけ塞がってしまった。
瓦礫を上れば通れるし大丈夫だよな……。
そう考えながら、でも他の人が被害を被らなくて大地は安堵した。アーデルハイドの時のように自分の判断で血を見るのはまっぴらなのだ。
そうして北道を振り替えると……建物が半壊していいて、獣道ならぬゴーレム道となってしまっていた。元からボロボロの建物であり、人気が無いことから今は使われていない廃墟だとは思う……。ただ、それでも壊していい理由にはならない事は重々承知している。
これ、全部俺のせいで賠償金請求されたらどうしよう。……いや、元はあの悪党どもが悪いんだ。やつらに全部払わせるべきだ。
「あの悪党どもをギルド長に引き渡さなければな」
「逃げてないかしら?」
レヴィアが少し心配そうに言う。
彼女の心配はもっともだ。ヘヴィゴーレムに集中するしかない状況とは言え掴まえた悪党を放置してしまっていたのだから逃げている心配をするべきである。そしてもし逃げ切られてしまえばこの廃墟の修理費用は……。
大地は身震いを起こす。金が無いと言うのに廃墟の修理費用を負担させられてしまえば借金地獄に陥ってしまう可能性がでてきたのだと。それを隠す為に大地はつぶやいた。
「舐めたことしたんだ。逃げていたら草の根分けても代償を払わしてやる……」
怒りたっぷりに大地は言うのだが、それを聞いていたクラリスが少しほほを赤くした。
「あ、えっと、私は何もされてないから……そんなに怒らないでも……」
大地がクラリスの為に言ったのだと勘違いしてそう言うのだが、尻すぼみになってゴニョゴニョと発音するその言葉は大地に届いてはいなかった。
ようやく悪党がアジトにしていた建物前に戻ると、捕まっていた女の子4人とクルス王子が悪党達を見張っていた。
「ダイチはあんなモンスターも倒せるんだな」
会ったそばからそんな事をクルスが言ってくるがそれどころではないだろう。
「クルス、お前こんな場所で何してるんだよ……」
一応ここは廃墟が並ぶ危険な場所でもあるはずだ。今、寝転がらされている悪党どものような奴が隠れて根城にしている可能性もある。襲われる可能性がある事を少しは考えるべきなのだ。
「あんな大きなモンスターがいきなり現れたんだ。状況を確認しに来たに決まっているだろう?」
「王子自らくるなよ。普通誰か使いに出すとかするだろ?」
何かあったら本当にどうするつもりなんだ?
「まぁそう言うな。こう見えて俺も戦えるからな。それより無事に捕まっていた娘を助けてくれたんだな。礼を言う」
「依頼を終わらせただけさ。無事だったのは……」
そう言ってキョロキョロと一人の人物を探すように視線を動かすとクラリスと目が合った。そこでチョイチョイと手招きをしてクラリスを呼び出すと彼女をクルスの前へ出す。
「このクラリスが先行してくれたからだ」
突入前に雑魚の一人がクラリスのせいで遅くなったと言っていた。つまり彼女がいなければ捕まっていた娘は全員配達されていたのだろう。それなら、一番の功労者は彼女だ。……それに怖い思いもしたはずなのだ。そこを考えてもMVPだって言える。
そう思って前に出されたクラリスは何事かと驚きながら振り向こうとするのだが背中を押されてはなかなかうまく振り向けないでいる。
「そうか。君が……ありがとう!君にもお礼はさせてもらうよ」
「い、いえ、そんな。私はヒュリーとアルテリナが捕まったと思って突っ走っちゃっただけなので……」
そう謙虚な姿勢をとりつつも照れ顔は隠せておらず頬をほんのりと赤くしながら人差し指で頬を掻くのだ。
「「あの!」」
貴族の二人。シーラとリンが一斉に大地へと声を掛けてきた。
「「助けてくださりありがとうございます」」
「私はリンと申します」
「私はシーラです」
「お強いんですね」
「あんな怖そうなのに立ち向かえるなんてすごいです」
「クルス殿下とお知り合いなのですか?」
「ハンター様でいらっしゃるのでしょうか?」
言葉の弾幕だ。それに圧倒されて一歩後ろへ下がったところでクルス王子が割って入ってくれた。
「シーラさん。リンさん。話したい気持ちはわかりますが、先ずは屋敷に戻って無事をお伝えしましょう。送りますからついてきてもらえますか?」
手慣れた様に腕を動かしながら言うクルスの甘い顔に貴族の二人は釣れるように「はい……」と返事しながらクルスに近寄っていった。見事な物だ。もし大地が同じような事をしようとすればロボットダンスの様な動きになるだろう。
「ヒュリーさんとアルテリナさんも送りますから乗って頂けますか?」
まさかのクルス王子にそんな丁寧な扱いを受けるとは思わなかった二人は少し戸惑いながらも頷いて返事をした。
さすがイケメンだな。あっという間に4人ハーレムを作り上げるとは……。
「あ、ダイチ。もうすぐベルヴォルフがくるからそいつらを引き渡してくれ」
言うだけいって返事を聞かずにクルスは別の道から大通りへと向かっていくのを大地は見送った。
瓦礫を上れば通れるし大丈夫だよな……。
そう考えながら、でも他の人が被害を被らなくて大地は安堵した。アーデルハイドの時のように自分の判断で血を見るのはまっぴらなのだ。
そうして北道を振り替えると……建物が半壊していいて、獣道ならぬゴーレム道となってしまっていた。元からボロボロの建物であり、人気が無いことから今は使われていない廃墟だとは思う……。ただ、それでも壊していい理由にはならない事は重々承知している。
これ、全部俺のせいで賠償金請求されたらどうしよう。……いや、元はあの悪党どもが悪いんだ。やつらに全部払わせるべきだ。
「あの悪党どもをギルド長に引き渡さなければな」
「逃げてないかしら?」
レヴィアが少し心配そうに言う。
彼女の心配はもっともだ。ヘヴィゴーレムに集中するしかない状況とは言え掴まえた悪党を放置してしまっていたのだから逃げている心配をするべきである。そしてもし逃げ切られてしまえばこの廃墟の修理費用は……。
大地は身震いを起こす。金が無いと言うのに廃墟の修理費用を負担させられてしまえば借金地獄に陥ってしまう可能性がでてきたのだと。それを隠す為に大地はつぶやいた。
「舐めたことしたんだ。逃げていたら草の根分けても代償を払わしてやる……」
怒りたっぷりに大地は言うのだが、それを聞いていたクラリスが少しほほを赤くした。
「あ、えっと、私は何もされてないから……そんなに怒らないでも……」
大地がクラリスの為に言ったのだと勘違いしてそう言うのだが、尻すぼみになってゴニョゴニョと発音するその言葉は大地に届いてはいなかった。
ようやく悪党がアジトにしていた建物前に戻ると、捕まっていた女の子4人とクルス王子が悪党達を見張っていた。
「ダイチはあんなモンスターも倒せるんだな」
会ったそばからそんな事をクルスが言ってくるがそれどころではないだろう。
「クルス、お前こんな場所で何してるんだよ……」
一応ここは廃墟が並ぶ危険な場所でもあるはずだ。今、寝転がらされている悪党どものような奴が隠れて根城にしている可能性もある。襲われる可能性がある事を少しは考えるべきなのだ。
「あんな大きなモンスターがいきなり現れたんだ。状況を確認しに来たに決まっているだろう?」
「王子自らくるなよ。普通誰か使いに出すとかするだろ?」
何かあったら本当にどうするつもりなんだ?
「まぁそう言うな。こう見えて俺も戦えるからな。それより無事に捕まっていた娘を助けてくれたんだな。礼を言う」
「依頼を終わらせただけさ。無事だったのは……」
そう言ってキョロキョロと一人の人物を探すように視線を動かすとクラリスと目が合った。そこでチョイチョイと手招きをしてクラリスを呼び出すと彼女をクルスの前へ出す。
「このクラリスが先行してくれたからだ」
突入前に雑魚の一人がクラリスのせいで遅くなったと言っていた。つまり彼女がいなければ捕まっていた娘は全員配達されていたのだろう。それなら、一番の功労者は彼女だ。……それに怖い思いもしたはずなのだ。そこを考えてもMVPだって言える。
そう思って前に出されたクラリスは何事かと驚きながら振り向こうとするのだが背中を押されてはなかなかうまく振り向けないでいる。
「そうか。君が……ありがとう!君にもお礼はさせてもらうよ」
「い、いえ、そんな。私はヒュリーとアルテリナが捕まったと思って突っ走っちゃっただけなので……」
そう謙虚な姿勢をとりつつも照れ顔は隠せておらず頬をほんのりと赤くしながら人差し指で頬を掻くのだ。
「「あの!」」
貴族の二人。シーラとリンが一斉に大地へと声を掛けてきた。
「「助けてくださりありがとうございます」」
「私はリンと申します」
「私はシーラです」
「お強いんですね」
「あんな怖そうなのに立ち向かえるなんてすごいです」
「クルス殿下とお知り合いなのですか?」
「ハンター様でいらっしゃるのでしょうか?」
言葉の弾幕だ。それに圧倒されて一歩後ろへ下がったところでクルス王子が割って入ってくれた。
「シーラさん。リンさん。話したい気持ちはわかりますが、先ずは屋敷に戻って無事をお伝えしましょう。送りますからついてきてもらえますか?」
手慣れた様に腕を動かしながら言うクルスの甘い顔に貴族の二人は釣れるように「はい……」と返事しながらクルスに近寄っていった。見事な物だ。もし大地が同じような事をしようとすればロボットダンスの様な動きになるだろう。
「ヒュリーさんとアルテリナさんも送りますから乗って頂けますか?」
まさかのクルス王子にそんな丁寧な扱いを受けるとは思わなかった二人は少し戸惑いながらも頷いて返事をした。
さすがイケメンだな。あっという間に4人ハーレムを作り上げるとは……。
「あ、ダイチ。もうすぐベルヴォルフがくるからそいつらを引き渡してくれ」
言うだけいって返事を聞かずにクルスは別の道から大通りへと向かっていくのを大地は見送った。
0
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
アブソリュート・ババア
筧千里
ファンタジー
大陸の地下に根を張る、誰も踏破したことのない最大のロストワルド大迷宮。迷宮に入り、貴重な魔物の素材や宝物を持ち帰る者たちが集まってできたのが、ハンターギルドと言われている。
そんなハンターギルドの中でも一握りの者しかなることができない最高ランク、S級ハンターを歴代で初めて与えられたのは、『無敵の女王《アブソリュート・クイーン》』と呼ばれた女ハンターだった。
あれから40年。迷宮は誰にも踏破されることなく、彼女は未だに現役を続けている。ゆえに、彼女は畏れと敬いをもって、こう呼ばれていた。
アブソリュート・ババ「誰がババアだって?」
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
世界樹を巡る旅
ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった
そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった
カクヨムでも投稿してます
クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。
烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。
その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。
「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。
あなたの思うように過ごしていいのよ」
真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。
その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。
死んでないのに異世界に転生させられた
三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。
なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない)
*冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。
*カクヨム、アルファポリスでも投降しております
異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜
スクールH
ファンタジー
家柄こそ全て!
名家生まれの主人公は、絶望しながら死んだ。
そんな彼が生まれ変わったのがとある成り上がりラノベ小説の世界。しかも悪役貴族。
名家生まれの彼の心を占めていたのは『家柄こそ全て!』という考え。
新しい人生では絶望せず、ついでにウザい成り上がり共(元々身分が低い奴)を蹴落とそうと決心する。
別作品の執筆の箸休めに書いた作品ですので一話一話の文章量は少ないです。
軽い感じで呼んでください!
※不快な表現が多いです。
なろうとカクヨムに先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる