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叶わぬ願いと望んだ未来
猫猫亭は猫の店?
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屋敷を出た大地は次の目的を服屋にせず次の失踪者の話を聞きにい行くこと決めた。飯屋で働いているらしいアルテリナとヒュリーについて話を聞くことになるだろう。
その飯屋の場所を地図で教えてもらっていたのだが、どの辺だったかすっかり忘れてしまった。
「ダイチ。俺が覚えているからついてきてくれ」
大地はライズの後を歩いていくと見たことがある場所につく。いつも行く商店街だ。
この辺で働いていた子たちなのか?
そんな事を考えているとライズが一つの店の前で立ち止まる。その場所こそが『猫猫亭』である。
「居なくなった子はここの従業員なのか?」
だが、ふと思い出されるのはリリエッタが言っていた『急に来なくなった』だ。その時は貴族の嫌がらせの事があったからバックレたのかと思ったが……もし、そうではなく拉致られたのだとしたらその子たちも消えてから三日は経つだろう。
これはしっかりと話しを聞く必要があると思い大地は店の扉を開く。
「ダイチさん!」
扉の近くにあるテーブルで座っていたリリエッタが顔を上げて入ってきた客人の顔を見るとその名を嬉しそうに呼んだ。
「店はやってないのか?」
周りを見ても客を一人も入れていないのが分かる。それに心なしかリリエッタの顔も暗い様子だ。
「ううん。もうすぐお昼に向けて再開するところなの」
確かに時間的にはもうじき昼になる頃だ。
「それよりダイチさんに聞いてほしいことがあるの。私ね実は……来なくなった子の住んでる場所に行ったの……そしたら戻って無いみたいで……私、どうしたら良いのかな」
消えた二人の飲食店で働く女性はここで間違いなさそうだ。
「リリエッタ。今、人が姿を消している事件が起きてるんだ」
「え!?」
まさかの事態にリリエッタは言葉を失う。そんな風にショックを受けているリリエッタに気の利いた言葉の一つや二つ掛けてやれればモテるだろうが大地にはできるはずもない。
「俺はその件の調査をしているんだ。そして恐らくアルテリナとヒュリーはその被害者なんだ。だから話を聞かせてくれ」
大地がそう言うとリリエッタの顔つきが変わった。二人の名を口に出したことで信頼性があると感じたからだ。そして、それと同時に自分のせいで家まで捨てたのかと考えて落ち込んでいたことへの区切りでもあった。
リリエッタが「わかった」と頷いてから教えてくれた。自分が貴族の屋敷に連れ去られたあの日以降に会っていないこと。そして、住んでいるのは商店街から東に進んだ場所だと言うこと。ただ、それ以外はわからないらしい。
今までの情報だと北に被害者が集中しているのだが、この子達はその線から外れてしまう。
ただ、リリエッタと貴族の騒動のあとこのお店はお休みにしたらしい。もしかしたら居なくなったのはその日からの可能性もあると。
二人は仲が良いらしく休日も一緒に行動する事が多いらしいのだ。それならば行動を絞り混むことは難しいが『北の服屋が怪しい』という予測も消えないわけだ。
「ねぇ、大丈夫だよね。二人はきっと無事だよね!」
心配そうにするリリエッタは大地の胸に飛び込みながら言う。戻っていないと聞いたその日からずっと不安だったのかもしれない。だから大地はその頭をゆっくりと優しく撫でた……。
すると、いきなりリリエッタの頭からポンッと耳が生えてきたのだ。猫耳の。
その瞬間、大慌てで耳を隠そうとするリリエッタが大地から離れたことで今の素顔をさらした。先程とは違う顔は……猫の髭を生やしている。
「あ、あの。これは……!」
「リリエッタは亜人なのか」
何とか誤魔化そうとするリリエッタに大地は確認するようにそう言った。
気づけば猫の尻尾がウェイトレスのスカート下から生えているのだ。ほぼ確定でだろう。
「う、うん。私とお母さんは猫型の亜人なの」
なるほど。ギルド長やユーナさんと同じで魔法で隠してたのか。
「……やっぱり、嫌ですか?」
じっと見てくる大地の視線をマイナスに捉えたリリエッタが困り顔で聞く。
だが……猫耳+猫尻尾+ウェイトレス服に困り顔を少々。嫌な要素が見つからないな。
これで髪が長ければお持ち帰りですね♪
ああ。そう……じゃないが!?俺を罠に嵌めようとするなよ!
「その姿、とても可愛いじゃないか」
そう言って頭撫でるとほほを赤くして少し照れた様子を見せる。
「そ、そうかな。えへへ、ありがとう」
嬉しそうにするがリリエッタは大地から離れると直ぐに元の姿へと変身した。
「戻るのか?」
「うん。ダイチさんは褒めてくれるけど……やっぱり亜人が苦手の人もいっぱいいるから。でも嬉しかったです!」
そう健気にも笑顔で言うリリエッタに若干キュンとくるものがある。
これで髪が長ければこの子もつれ回すのに。
……フルネール。俺の口まねはよせ!俺が手当たり次第女の子に手を出しているように聞こえるだろ!!
いっそそう言う路線も……。
ねぇよ!!
「さて、俺達は話も聞けたから次に行くよ。きっと探し出して無事につれてくるから……その時は温かく迎えてやってくれ!」
そう言って店を出る大地の背中にリリエッタは元気よく「うん!」と答えた。
その飯屋の場所を地図で教えてもらっていたのだが、どの辺だったかすっかり忘れてしまった。
「ダイチ。俺が覚えているからついてきてくれ」
大地はライズの後を歩いていくと見たことがある場所につく。いつも行く商店街だ。
この辺で働いていた子たちなのか?
そんな事を考えているとライズが一つの店の前で立ち止まる。その場所こそが『猫猫亭』である。
「居なくなった子はここの従業員なのか?」
だが、ふと思い出されるのはリリエッタが言っていた『急に来なくなった』だ。その時は貴族の嫌がらせの事があったからバックレたのかと思ったが……もし、そうではなく拉致られたのだとしたらその子たちも消えてから三日は経つだろう。
これはしっかりと話しを聞く必要があると思い大地は店の扉を開く。
「ダイチさん!」
扉の近くにあるテーブルで座っていたリリエッタが顔を上げて入ってきた客人の顔を見るとその名を嬉しそうに呼んだ。
「店はやってないのか?」
周りを見ても客を一人も入れていないのが分かる。それに心なしかリリエッタの顔も暗い様子だ。
「ううん。もうすぐお昼に向けて再開するところなの」
確かに時間的にはもうじき昼になる頃だ。
「それよりダイチさんに聞いてほしいことがあるの。私ね実は……来なくなった子の住んでる場所に行ったの……そしたら戻って無いみたいで……私、どうしたら良いのかな」
消えた二人の飲食店で働く女性はここで間違いなさそうだ。
「リリエッタ。今、人が姿を消している事件が起きてるんだ」
「え!?」
まさかの事態にリリエッタは言葉を失う。そんな風にショックを受けているリリエッタに気の利いた言葉の一つや二つ掛けてやれればモテるだろうが大地にはできるはずもない。
「俺はその件の調査をしているんだ。そして恐らくアルテリナとヒュリーはその被害者なんだ。だから話を聞かせてくれ」
大地がそう言うとリリエッタの顔つきが変わった。二人の名を口に出したことで信頼性があると感じたからだ。そして、それと同時に自分のせいで家まで捨てたのかと考えて落ち込んでいたことへの区切りでもあった。
リリエッタが「わかった」と頷いてから教えてくれた。自分が貴族の屋敷に連れ去られたあの日以降に会っていないこと。そして、住んでいるのは商店街から東に進んだ場所だと言うこと。ただ、それ以外はわからないらしい。
今までの情報だと北に被害者が集中しているのだが、この子達はその線から外れてしまう。
ただ、リリエッタと貴族の騒動のあとこのお店はお休みにしたらしい。もしかしたら居なくなったのはその日からの可能性もあると。
二人は仲が良いらしく休日も一緒に行動する事が多いらしいのだ。それならば行動を絞り混むことは難しいが『北の服屋が怪しい』という予測も消えないわけだ。
「ねぇ、大丈夫だよね。二人はきっと無事だよね!」
心配そうにするリリエッタは大地の胸に飛び込みながら言う。戻っていないと聞いたその日からずっと不安だったのかもしれない。だから大地はその頭をゆっくりと優しく撫でた……。
すると、いきなりリリエッタの頭からポンッと耳が生えてきたのだ。猫耳の。
その瞬間、大慌てで耳を隠そうとするリリエッタが大地から離れたことで今の素顔をさらした。先程とは違う顔は……猫の髭を生やしている。
「あ、あの。これは……!」
「リリエッタは亜人なのか」
何とか誤魔化そうとするリリエッタに大地は確認するようにそう言った。
気づけば猫の尻尾がウェイトレスのスカート下から生えているのだ。ほぼ確定でだろう。
「う、うん。私とお母さんは猫型の亜人なの」
なるほど。ギルド長やユーナさんと同じで魔法で隠してたのか。
「……やっぱり、嫌ですか?」
じっと見てくる大地の視線をマイナスに捉えたリリエッタが困り顔で聞く。
だが……猫耳+猫尻尾+ウェイトレス服に困り顔を少々。嫌な要素が見つからないな。
これで髪が長ければお持ち帰りですね♪
ああ。そう……じゃないが!?俺を罠に嵌めようとするなよ!
「その姿、とても可愛いじゃないか」
そう言って頭撫でるとほほを赤くして少し照れた様子を見せる。
「そ、そうかな。えへへ、ありがとう」
嬉しそうにするがリリエッタは大地から離れると直ぐに元の姿へと変身した。
「戻るのか?」
「うん。ダイチさんは褒めてくれるけど……やっぱり亜人が苦手の人もいっぱいいるから。でも嬉しかったです!」
そう健気にも笑顔で言うリリエッタに若干キュンとくるものがある。
これで髪が長ければこの子もつれ回すのに。
……フルネール。俺の口まねはよせ!俺が手当たり次第女の子に手を出しているように聞こえるだろ!!
いっそそう言う路線も……。
ねぇよ!!
「さて、俺達は話も聞けたから次に行くよ。きっと探し出して無事につれてくるから……その時は温かく迎えてやってくれ!」
そう言って店を出る大地の背中にリリエッタは元気よく「うん!」と答えた。
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