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王族よりめんどい貴族のご乱心
冗談のセンスが皆無だと大人になれない可能性
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クルスの話が終わり王様がパーティーの開催を宣言したところでようやく飯が食えるようになった。
大地はまずレヴィアが欲しがった料理を皿に乗せていく。レヴィアはモンスターだから肉ばっかりになるかと思ったらバランスよく要望してきた。一皿に乗せられそうな分をのせ終わりレヴィアに渡すと「ありがとう♪」と満面の笑みで感謝を伝えてきたのだ。
そして、自分も何か取ろうかと思った矢先、隣からグラスがにゅっと生えてきた。
「どうぞ」
そう言われ大地はグラスを受け取りながら接触してきた人物に顔を向ける。金髪、薄い青色の瞳、イケメン。
――王子だこれぇ。
「えーと、クロス王子?」
いかん、焦りすぎて混ざってしまった。
「フフ。改めて名乗ろうか。クルス・ロウ・ホワイトだ」
「何で王子様がグラスを持って来たのでするか?」
現在焦りは継続中でもう言葉はめちゃくちゃである。むしろバカにしていると捉えられそうものだがクルス王子は再び笑う。
「話しやすいように砕けてくれ」
その一言で救われる思いを受けながら仕切り直す。
「クロトがクルスとは思わなかったよ」
「すまないね。アーデルハイドもリリアもダイチの事を楽しそうに話すものだから直接あって見たかったんだ」
ここの王家はそんなんばっかりだな。アーデルハイドにしろ王様にしろ王子にしろ。
「しゃべり方変わってないか?」
クロトとして会ったときより物腰がが柔らかく丁寧だな。
「クロトと偽名を使っている時は口調は変えているんだ」
偽名か。お忍び……されたわけだ。
「そうかい。主役の王子がこんなところで油売ってていいのか?」
「大事なことは早めに済ませ用と思ってね」
用事?何かあるのか?
「ダイチ。僕の命を救ってくれてありがとう。この先、君が困っていることがあったら言ってくれ。必ず力になると約束する」
クルスは真剣な表情で確りと大地に伝える。助けられた事に対して真摯に向き合ってきたのだ。
「それはありがたいが、あれを見つけられたのはリリアが居てこそだ。お礼ならリリアに――」
「もちろん言っているさ。アーデルハイドにもな。だが、二人は口を揃えてダイチのおかげだと言うんだよ。まぁ会ってみて二人が慕う理由もわかったな」
少し照れた大地が何かを言おうとしたところでクルスの口が先に動く。
「さて、用件も言い終えた事だし僕は面倒だが他の貴族たちに顔を見せてくるよ」
そう行って去っていくクルスの後ろ姿を見ながらグラスに口をつける。
あ、この酒うめぇ。流石、王族で開かれるパーティーだけはあるな。……あれ?そういえばレヴィアは?
再びグラスに口をつけながら回りを見る。
レヴィアは何処かのお嬢さんと話してるようだ。見た感じ悪い雰囲気ではないな。褒められて照れてるみたいにも見える。
フルネールは……ああ、愛想笑い浮かべながら談笑してるな。チラチラ料理を見てるけど、目の前の貴族が話しかけてくるせいで食べれないって感じか。
シャーリーは……さすが、男からの人気が高い。いや、女性の貴族もいるから両方からの人気が高いのか。
ライズは逆に女性特化だな。なんと言うか学園ものでモテるイケメン先輩って感じだ。
アーデルハイドは流石の王女だな。貴族の話を一笑しながらマイペースに食ってやがる。それも優雅に……。
リリアは……リリアも愛想笑い……?とはちょっと違うのか。何か笑い方がぎこちないような遠慮してるような。
……いずれにしてもボッチは俺だけか。まぁでも真正面きってなにか言われるよりはましだな。何か回りの貴族がたまに俺を見てひそひそ言うし。
来るのが男で何か言ってくるなら適当に受け流せるが、貴族の女性が集まって『家畜が混ざってるんですけどー?』とか言ってきたらへこむ。異性の言葉は刺さるのだ。
まぁ一人でも酒と飯はうまい。
料理や酒を味わっているとグラスを片手に疲れた顔をしたリリアがやって来た。
「よ。おつかれさん」
「ダイチさん。お一人なんですか?」
「まぁな。リリアは貴族の相手か?」
「そうですね……興味本意で来ておいて遠慮しながら話されるのは気疲れしますね」
珍しくリリアからの愚痴だ。彼女も鬱憤がたまっているのだろう。
「それは大変だな。リリアは酒飲まないんじゃ無かったか?」
「あ、これはジュースですよ?」
リリアの事だし酒をジュースと言っているわけじゃないだろう。
「私がお酒飲まないの知っているので用意してくれました」
「なるほどな」
頷いてから飯を食おうかと思ったがふと気になる事を見つけてしまった。
「リリアは飯食ってるか?」
背の高さ的にきつそうだ。取るのに背伸びをしなけれ難しいかもしれないと思い大地が訪ねるが少し困った顔をされてしまった。
「あー、俺でよければ何か取ろうか?」
拒否か遠慮してくると思ったがリリアは少しこちらの反応を見るように「いいんですか?」と聞いてきた。
「もちろんだ。何が食べたい?」
その問いにリリアは少しだけ考えた。
「……実は私の視界じゃどんなお料理が見えにくいんです。なので……ダイチさんに選んで貰ってもいいですか?」
いろんな貴族が来るからには今のテーブルの高さが必要なのだろうけど、リリアとしては厄介なのだろう。
「わかった。それならいくつか選んで取るな」
とは言え今まで見てきた感じ何でも食うリリアだが、とりわけ魚が多い気がする。であれば魚を中心に皿へと盛るのが良さそうだ。
ある程の料理を皿に乗せたフォークと一緒に渡す。それと引き換えにリリアからグラスを受け取ってテーブルへ置いた。
「実はここに来てから何も食べれてなかったんです。背伸びしないと取るの難しいですし、あまりそういう姿を回りに見せたくなかったので」
誰も気を回さなかったのかよ……。
「それじゃあ腹減ったろ?」
そう聞くと少しだけ恥ずかしそうに「えへへ」と笑う。
「実はそうなんです」
そう言って大地が盛った料理をリリアは美味しそうに食べる。
「それにしても本当に人が多いな」
人がぎゅうぎゅうと言うわけではないが、色々グループに別れて話している塊がいくつも見える。
「実は隣のダンスホールにも結構な人が移動しているんですよ」
お城だしそういったものが有っても不思議じゃないが……まだ人がいるのか。
そうこうしている内にリリアが食べ終わったらしく他のも取るか?と聞いたところ首を横に振るわれた。
「大丈夫です。ダイチさんありがとうございます」
宿屋や食事処で食べてた量を考えると少ないはずなのだが、それでも断られれば無理にとるのも迷惑なだけだろう。リリアから空になった皿を受け取りテーブルへ置くと先ほど飲んでいたジュースを渡す。
「おい!」
そう考えていたらリリアがいる方向とは反対方向から声を掛けられた。
いきなりの無礼な呼び声で振り向くか振り向かず無視するか。どちらにしようかと考えた末、一先ず顔を拝んでやるかと大地はその相手に振り向いた。
茶髪で態度は横暴してますってオーラを放っている身なりの良い貴族だ。
もっともこのパーティーで身なりが良くない奴なんているんですかね?……ここにいるんだっけか。
セルフダメージを受けていると茶髪貴族が更に口を開いてきた。
「何でここに家畜のような平民が混ざってるんだ?」
いきなりの喧嘩越しだ。だが、子供の前で喧嘩を受けるなんて大人失格じゃないか。
「今、失礼なこと考えてませんでした?」
勘の良いリリアは置いといて大地はひとまず彼を宥める事にする。
「落ち着けよ。何でそんなにイライラしてるのかわからないが……そんなんだと落ちぶれちゃうぞ?」
どうよこの冗談のセンスは。短気は損気と言うことを遠回しに教えれる一石二鳥の――。
「落ちぶれてるのはお前の姿だろう!」
あ、はい。
「俺の名はレン・ベルカ・ヤングル!伯爵の俺にそんな舐めた態度をとったこと後悔させてやる!」
笑顔で言った大地に怒り心頭となったレンは何かを大地に向けて投げつけた。
大地はまずレヴィアが欲しがった料理を皿に乗せていく。レヴィアはモンスターだから肉ばっかりになるかと思ったらバランスよく要望してきた。一皿に乗せられそうな分をのせ終わりレヴィアに渡すと「ありがとう♪」と満面の笑みで感謝を伝えてきたのだ。
そして、自分も何か取ろうかと思った矢先、隣からグラスがにゅっと生えてきた。
「どうぞ」
そう言われ大地はグラスを受け取りながら接触してきた人物に顔を向ける。金髪、薄い青色の瞳、イケメン。
――王子だこれぇ。
「えーと、クロス王子?」
いかん、焦りすぎて混ざってしまった。
「フフ。改めて名乗ろうか。クルス・ロウ・ホワイトだ」
「何で王子様がグラスを持って来たのでするか?」
現在焦りは継続中でもう言葉はめちゃくちゃである。むしろバカにしていると捉えられそうものだがクルス王子は再び笑う。
「話しやすいように砕けてくれ」
その一言で救われる思いを受けながら仕切り直す。
「クロトがクルスとは思わなかったよ」
「すまないね。アーデルハイドもリリアもダイチの事を楽しそうに話すものだから直接あって見たかったんだ」
ここの王家はそんなんばっかりだな。アーデルハイドにしろ王様にしろ王子にしろ。
「しゃべり方変わってないか?」
クロトとして会ったときより物腰がが柔らかく丁寧だな。
「クロトと偽名を使っている時は口調は変えているんだ」
偽名か。お忍び……されたわけだ。
「そうかい。主役の王子がこんなところで油売ってていいのか?」
「大事なことは早めに済ませ用と思ってね」
用事?何かあるのか?
「ダイチ。僕の命を救ってくれてありがとう。この先、君が困っていることがあったら言ってくれ。必ず力になると約束する」
クルスは真剣な表情で確りと大地に伝える。助けられた事に対して真摯に向き合ってきたのだ。
「それはありがたいが、あれを見つけられたのはリリアが居てこそだ。お礼ならリリアに――」
「もちろん言っているさ。アーデルハイドにもな。だが、二人は口を揃えてダイチのおかげだと言うんだよ。まぁ会ってみて二人が慕う理由もわかったな」
少し照れた大地が何かを言おうとしたところでクルスの口が先に動く。
「さて、用件も言い終えた事だし僕は面倒だが他の貴族たちに顔を見せてくるよ」
そう行って去っていくクルスの後ろ姿を見ながらグラスに口をつける。
あ、この酒うめぇ。流石、王族で開かれるパーティーだけはあるな。……あれ?そういえばレヴィアは?
再びグラスに口をつけながら回りを見る。
レヴィアは何処かのお嬢さんと話してるようだ。見た感じ悪い雰囲気ではないな。褒められて照れてるみたいにも見える。
フルネールは……ああ、愛想笑い浮かべながら談笑してるな。チラチラ料理を見てるけど、目の前の貴族が話しかけてくるせいで食べれないって感じか。
シャーリーは……さすが、男からの人気が高い。いや、女性の貴族もいるから両方からの人気が高いのか。
ライズは逆に女性特化だな。なんと言うか学園ものでモテるイケメン先輩って感じだ。
アーデルハイドは流石の王女だな。貴族の話を一笑しながらマイペースに食ってやがる。それも優雅に……。
リリアは……リリアも愛想笑い……?とはちょっと違うのか。何か笑い方がぎこちないような遠慮してるような。
……いずれにしてもボッチは俺だけか。まぁでも真正面きってなにか言われるよりはましだな。何か回りの貴族がたまに俺を見てひそひそ言うし。
来るのが男で何か言ってくるなら適当に受け流せるが、貴族の女性が集まって『家畜が混ざってるんですけどー?』とか言ってきたらへこむ。異性の言葉は刺さるのだ。
まぁ一人でも酒と飯はうまい。
料理や酒を味わっているとグラスを片手に疲れた顔をしたリリアがやって来た。
「よ。おつかれさん」
「ダイチさん。お一人なんですか?」
「まぁな。リリアは貴族の相手か?」
「そうですね……興味本意で来ておいて遠慮しながら話されるのは気疲れしますね」
珍しくリリアからの愚痴だ。彼女も鬱憤がたまっているのだろう。
「それは大変だな。リリアは酒飲まないんじゃ無かったか?」
「あ、これはジュースですよ?」
リリアの事だし酒をジュースと言っているわけじゃないだろう。
「私がお酒飲まないの知っているので用意してくれました」
「なるほどな」
頷いてから飯を食おうかと思ったがふと気になる事を見つけてしまった。
「リリアは飯食ってるか?」
背の高さ的にきつそうだ。取るのに背伸びをしなけれ難しいかもしれないと思い大地が訪ねるが少し困った顔をされてしまった。
「あー、俺でよければ何か取ろうか?」
拒否か遠慮してくると思ったがリリアは少しこちらの反応を見るように「いいんですか?」と聞いてきた。
「もちろんだ。何が食べたい?」
その問いにリリアは少しだけ考えた。
「……実は私の視界じゃどんなお料理が見えにくいんです。なので……ダイチさんに選んで貰ってもいいですか?」
いろんな貴族が来るからには今のテーブルの高さが必要なのだろうけど、リリアとしては厄介なのだろう。
「わかった。それならいくつか選んで取るな」
とは言え今まで見てきた感じ何でも食うリリアだが、とりわけ魚が多い気がする。であれば魚を中心に皿へと盛るのが良さそうだ。
ある程の料理を皿に乗せたフォークと一緒に渡す。それと引き換えにリリアからグラスを受け取ってテーブルへ置いた。
「実はここに来てから何も食べれてなかったんです。背伸びしないと取るの難しいですし、あまりそういう姿を回りに見せたくなかったので」
誰も気を回さなかったのかよ……。
「それじゃあ腹減ったろ?」
そう聞くと少しだけ恥ずかしそうに「えへへ」と笑う。
「実はそうなんです」
そう言って大地が盛った料理をリリアは美味しそうに食べる。
「それにしても本当に人が多いな」
人がぎゅうぎゅうと言うわけではないが、色々グループに別れて話している塊がいくつも見える。
「実は隣のダンスホールにも結構な人が移動しているんですよ」
お城だしそういったものが有っても不思議じゃないが……まだ人がいるのか。
そうこうしている内にリリアが食べ終わったらしく他のも取るか?と聞いたところ首を横に振るわれた。
「大丈夫です。ダイチさんありがとうございます」
宿屋や食事処で食べてた量を考えると少ないはずなのだが、それでも断られれば無理にとるのも迷惑なだけだろう。リリアから空になった皿を受け取りテーブルへ置くと先ほど飲んでいたジュースを渡す。
「おい!」
そう考えていたらリリアがいる方向とは反対方向から声を掛けられた。
いきなりの無礼な呼び声で振り向くか振り向かず無視するか。どちらにしようかと考えた末、一先ず顔を拝んでやるかと大地はその相手に振り向いた。
茶髪で態度は横暴してますってオーラを放っている身なりの良い貴族だ。
もっともこのパーティーで身なりが良くない奴なんているんですかね?……ここにいるんだっけか。
セルフダメージを受けていると茶髪貴族が更に口を開いてきた。
「何でここに家畜のような平民が混ざってるんだ?」
いきなりの喧嘩越しだ。だが、子供の前で喧嘩を受けるなんて大人失格じゃないか。
「今、失礼なこと考えてませんでした?」
勘の良いリリアは置いといて大地はひとまず彼を宥める事にする。
「落ち着けよ。何でそんなにイライラしてるのかわからないが……そんなんだと落ちぶれちゃうぞ?」
どうよこの冗談のセンスは。短気は損気と言うことを遠回しに教えれる一石二鳥の――。
「落ちぶれてるのはお前の姿だろう!」
あ、はい。
「俺の名はレン・ベルカ・ヤングル!伯爵の俺にそんな舐めた態度をとったこと後悔させてやる!」
笑顔で言った大地に怒り心頭となったレンは何かを大地に向けて投げつけた。
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