初めての異世界転生

藤井 サトル

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王族よりめんどい貴族のご乱心

INギルド長、ユーナ宅

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 前回は……何者か女神陰謀売名行為によってその家の全貌を明らかにする事は出来なかった。
 だが、今回は違う!邪魔するものはいないのだ。

「やはりでかいよな……」

 ギルド長とユーナの家を改めて見る……家というより屋敷に近い大きさだ。
 その大きさに圧倒されているとガチャリとドアが開いた。

「みんな来たのね。入ってください」

 ユーナに招かれて家の廊下をあるく。その広さからレヴィアは呟いた。

「ユーナのおうちは大きいのね」

「ふふ、お風呂も大きいんですよ?」

 楽しそうに言うユーナだが、レヴィアはどちらかと言うと今の台詞で少し困った顔を見せる。

「どうしたの?」

 レヴィアはリヴァイアサンだ。水魔法が得意で雪山付近の海域に居た。と言うことは熱いお湯に浸かる事になるお風呂は嫌なのかもしれない。

「うん。さっきから皆が言ってるお風呂ってなに?」

 好き嫌い以前の話でレヴィアには『お風呂』と言う物の存在がわからないのだ。

「あ!お風呂がわからないのね。えっと熱いお湯に入るんだけど……熱い水浴び……みたいなものかしらね」

「ふーん。人間ってやっぱ変ね」

 興味なさそうにそう言ったレヴィアだが、すぐに思考を切り替えた。

「あ、でも水浴びなら何時ものように大地も一緒に入るのよね?」

 その一言でユーナもライズもシャーリーも凍りつく。ここにリリアが居ないことが救いだった。

「ダイチさんも一緒にはいるの!?」

 一番早く反応したのはシャーリーだった。そして、赤くなる顔を両手で覆って隠しながら自身を納得させるように言う。

「で、でも、ダイチさんに助けてもらうから……せせせ、背中を流すのは……あ、あた、当たり前だよね……」

「まてまて、俺は最後で入ればいいから。レヴィア?せっかくだから風呂の入り方をフルネールに教えてもらってこい」

 シャーリーにそう言って止めるが、隣のライズはライズで微妙にダメージを受けていた。

「シャーリーが気を許せるのは良いことのはずなんだけど、兄としては複雑……だ」

 若干カオスになりつつも何とか場を納めると女性陣が先に風呂へはいるのだった。


 銭湯並みの広さがある風呂へ最初に足を踏み入れたのはフルネールだ。そのきめ細やかな肌からなる透き通るように白い足を浴室の床へとつけた。
 その振動は細い太ももからタオルで隠されている細いウェストを通ってその大きい胸をふよんと揺らす。

 次に入ってきたのはシャーリーだ。人とも神とも違う髪質は持ち上げればシルクのようにするりと滑り落ちる。色も綺麗な金色で背中まで伸びるそれは振り替えればフワリと揺れ動く。胸はリリアより少し劣るくらいだが、反ってそれが線の細さを魅せる。

 最後にレヴィアが恐る恐るといった様子で風呂場の床へ足先をちょんと試すようにつけてからゆっくりと入ってくる。先の二人ほどよりも白くはない肌だがその色からは健康そうで、且つ、ツヤツヤしているのが目に見える。しかも、水を弾いてるのか彼女の肌に吸い寄せられた湯気が水滴となってすぐに滑り落ちていく。

「レヴィアちゃん。こちらに来てください」

 そう言ってフルネールは入ってきたばかりの彼女を呼ぶと風呂の入り方をレクチャーしていった。


 別室で待機している大地とライズは彼女たちが出るのを待っているのだが、ライズは真剣そうな表情で顔を向けてきた。

「ダイチは……」

 そう切り出してきたライズの顔に大地が目をやると、彼は続ける。

「シャーリーの事をどう思っている?」

「シャーリー?どうって……まぁ良い子だよな」

 水魔法が使えるはずのフルネールもレヴィアも、朝目覚めたときに涼しくしてくれるどころか何故か引っ付いてくるのに対して、シャーリーは大地の事を気遣って水魔法で過ごしやすい温度にしてくれる。それだけでも良い子だと言ってもいいだろう。

「いや……そうだな。少し聞き方を変えようか。俺は無償で人を助ける奴はいないと思っている。だからもしかしたらダイチはシャーリーを好きなように弄ぶ為に尽力しているんじゃないかと。実際の話、どうなんだ?」

 今彼女たちがいないからこそライズは思いきって聞いてきたのだろう。ただ、どうにも回りのやつらは大地を外道かなんかと勘違いしているように思える。

「そんなことするつもりはねえよ」

 大地がそう言うと少しだけ考えたライズがなにかに気づいた。

「それは、やはり女に事欠かないからか?回りにいろんな人いるし、聖女様とも仲良いんだろ?」

 戦場の時にリリアの名前を呼びそうになったことや、しれっと解呪を頼もうとしたことからの発言だろう。

「まぁそうだな。仲は悪くないかな」

「やはり……女を取っ替え引っ替えできるならシャーリーに興味はないか」

「何が『やはり』なんだよ!!俺はそんなことしてねぇ!」

「なんだと!女を自由にしているわけでもないのにシャーリーに興味ないというのか!!」

 やべえ。なにか地雷ふんだ?

「ダイチはシャーリーが可愛くないとでもいうのか?」

「い、いや。そんなことはない。俺から見ても可愛いぞ」

「そうだろう!あの整いながらもコロコロと変わる表情から見せる幼さは一段と良いものだ。特に困った時に見せる上目遣いの顔で『兄さん』なんて呼ばれれば何でもしてあげたくなるぞ!」

 こいつは助けない方がシャーリーの為になる気がしてきた……。

「もしかして裸のシャーリーに迫られても興奮しないというのか!?」

「興奮しないわけ無いだろ!」

 売り言葉に買い言葉。とはちょっと違うが反射的にそう言い返しながら大地は彼がこちらに迫ってるのを引き離すのだ。
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