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異世界無双!1000対俺
敵を知らないと絶望する事って出来ないよね
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ホワイトキングダムの東、山を越えて平原を越えて尚、遠い場所に一つの国がある。
その名はセインダール。ホワイトキングダムを狙う国の一つだ。
ホワイトキングダム内に潜伏している仲間から通信魔法で連絡があった。その内容が戦争が二つ同時に始まったらしい。という事だ。それを知ったセインダールは手練れを集め転送魔法で送りつけたのだ。
「手薄になった国なら上手くすればあっさりと落とせるはずた」
この軍勢の指揮をする一番偉いおっさん……ゲルゴスが声を張り上げながら言う。
「特にお前ら二人には期待しているぞ?」
この軍の中にはもちろん有志で集まる手練れもいるがそれらより遥かに強い二人がいる。人…ではあるが人間ではない。亜人だ。
その種族は魔法を得意としている。特に自然を利用したま魔法なら右に出るものはほぼいないだろう。耳が長くあるのも特徴だが、それ以上に美男美女しか居ないと言っても過言ではないのも特筆するべき点か。その種族の名はエルフ。
簡素な作りの衣服を来た二人のエルフだ。男の方は長ズボンを履いているからいいが、女の方は丈が少し長いシャツを紐で腰の当たりを縛るだけと言うものだ。そんな二人のエルフにゲルゴスが言う。
「王の命令だからな。死ぬために戦えよ?」
奴隷の呪い。二人の主人たる王からの命令は既に下されていた。奴隷は主人から受けるその呪いの言葉に背くことは決して出来ない。だからこそこの戦争でも戦わなければいけないのだ。ただ、目の前のおっさんにそれを言われたところで「はい」なんていう必要が無く、エルフはゲルゴスから顔を背けるのだ。
「ふん。まあいい。全員整列しろ!」
ゲルゴスの号令により侵攻の準備が開始される。兵を並ばせるのは攻め落とす為の準備だ。
「兄さん……どうにかして呪いを解く方法は無いかしら……」
エルフの妹であるシャーリー・エル・フォルンは自身の胸元を服の上から触って嘆くように言う。
「……ホワイトキングダムにいる聖女様なら或いは……と思ったが出会えなければそれも叶わない。シャーリーすまない」
あの日、セインダールに森を焼かれエルフの兄妹は捕らえられた。
王に奴隷の呪いを掛けられるが最初は抵抗していた。奴隷の呪いをかける条件は三つある。
相手より相当強くあれば強制的に掛けることができる。
相手の強さに関係なく心を折れば掛けることができる。
相手が条件を提示して受け入れれば掛けることができる。
二人の強さから王では強制的に掛けることはできない。だから、業を煮やした王がシャーリーの心を折るためにその体に癒えない傷をつけようとした。
それを止めるために兄であるライズ・エル・フォルンは奴隷の呪いを受ける代わりにシャーリーに手出しをしないよう条件を求めた。
奴隷の呪いを受けいれる時に加えられる条件。もし、奴隷の呪いを施した側が決めた条件を破ればそれ相応のペナルティは発生する。
エルフに手を出す事が出来ないのは王としてちと惜しくもあるが、それ以上にこのエルフ達を手駒に加えられるならそれで十分だった。
そしてライズは奴隷に身を堕とすのだ。そして、シャーリーも条件……『戦死以外で自分たちを殺すな』という条件により同じくして奴隷となった。
こうしてセインダールの王は二人のSランクと同等以上の戦力であるエルフ二人を支配下に置いたのだ。
奴隷になれば逃げることは不可能だ。唯一希望があるのは聖女なら解けるということ。だか、その聖女に会う前に戦場に連れてこられてしまった。
だから二人はこの戦争に勝って生き残り聖女に会わなければいけない。
「ゲルゴス様。相手の戦力が把握出来ました!」
若い兵士が遠距離索敵魔法により砦付近にいる大地達を確認したのだ。
「敵は4名であります」
「4名?やはり戦力はもう残っていないんだな。これなら楽勝だろう」
「それが内2名は鬼神のベルヴォルフと鮮血のユーナです」
二人の異名はリリアと同じく広い世界に知れ渡っている。だが、ホワイトキングダムにいる以上、基本的に彼らに手を出す事はまず不可能だが……逆に相手をするとなるとそれはそれで無理難題なのだ。Sランク換算で言えばベルヴォルフはSランク3人分、ユーナは4人分と言えよう。
「くぅ。だが、我らの中にもSランクのハンターも混じっている!奴らを落とせないわけがない!」
だが、その声の大きさからエルフ兄妹はしっかりとわかってしまった。ホワイトキングダムはこちらを殲滅する気なのだと。過去に1度だけ見たことがある。例の二人が戦場に出た時の事を長命故に覚えている。二人はその戦争にかかわったわけではないがとある森に居た時に近くで戦争が起こった。二人は巻き込まれない様にその森の高い木の上から様子を見ていたのだ。
2人対大勢。2人に対して数えるのすら馬鹿らしくなる数である。結果は惨敗。大勢いた人間が一人も動いておらず息をしている者が居なかった。
恐ろしい程の戦いだった。
ベルヴォルフは魔力をそのまま物理に変え爪様なもので大きな傷跡を地面につけるほどだ。
ユーナについては魔力で流れた相手の血を操り相手を仕留める武器にする他、高等魔法で広範囲に人を焼いていった。
そんな怪物二名が今同じ戦場にいるのだ。生きて帰れるわけがない。結局『王』の命令通りに死ぬこととなるだろう。
「それで後の二名はなんだ?」
「情報がなくわかりません。一人は男で水ぼらしい恰好したおっさんです。もう一人はだいぶ幼い女の子の様ですが……」
「ふむ。まぁ、どちらにおいても鬼神と鮮血以上ではないだろう。ついでに殺すくらいで考えておこう」
ゲルゴスがそう言うと兵士は「はっ」と短い返事をしてから持ち場へと戻っていく。その直後、別の監視兵が駆け付けてきた。
「ゲルゴス様。男が一名こちらにゆっくりと歩いてきます!」
先ほどの水ぼらしい恰好をしたおっさんだろうと直ぐにあたりをつけると、ゲルゴスは不敵な笑みを浮かべる。
「くく、バカが。一人で我らに向かってくるとは。よかろう、こちらも全軍突撃するぞ!」
2度目の号令で軍全体が動き始める。
だがその前に二人のエルフは遠距離索敵魔法によって近寄ってくる男を確認した。
生きて勝つ為には誰であれ戦う相手の存在を知らなければならないからだ。
「シャーリー……」
「兄さん……」
その結果、二人は自分の死期をさとる。
二人の目にはその男が死神にしか見えなかったのだ。
その名はセインダール。ホワイトキングダムを狙う国の一つだ。
ホワイトキングダム内に潜伏している仲間から通信魔法で連絡があった。その内容が戦争が二つ同時に始まったらしい。という事だ。それを知ったセインダールは手練れを集め転送魔法で送りつけたのだ。
「手薄になった国なら上手くすればあっさりと落とせるはずた」
この軍勢の指揮をする一番偉いおっさん……ゲルゴスが声を張り上げながら言う。
「特にお前ら二人には期待しているぞ?」
この軍の中にはもちろん有志で集まる手練れもいるがそれらより遥かに強い二人がいる。人…ではあるが人間ではない。亜人だ。
その種族は魔法を得意としている。特に自然を利用したま魔法なら右に出るものはほぼいないだろう。耳が長くあるのも特徴だが、それ以上に美男美女しか居ないと言っても過言ではないのも特筆するべき点か。その種族の名はエルフ。
簡素な作りの衣服を来た二人のエルフだ。男の方は長ズボンを履いているからいいが、女の方は丈が少し長いシャツを紐で腰の当たりを縛るだけと言うものだ。そんな二人のエルフにゲルゴスが言う。
「王の命令だからな。死ぬために戦えよ?」
奴隷の呪い。二人の主人たる王からの命令は既に下されていた。奴隷は主人から受けるその呪いの言葉に背くことは決して出来ない。だからこそこの戦争でも戦わなければいけないのだ。ただ、目の前のおっさんにそれを言われたところで「はい」なんていう必要が無く、エルフはゲルゴスから顔を背けるのだ。
「ふん。まあいい。全員整列しろ!」
ゲルゴスの号令により侵攻の準備が開始される。兵を並ばせるのは攻め落とす為の準備だ。
「兄さん……どうにかして呪いを解く方法は無いかしら……」
エルフの妹であるシャーリー・エル・フォルンは自身の胸元を服の上から触って嘆くように言う。
「……ホワイトキングダムにいる聖女様なら或いは……と思ったが出会えなければそれも叶わない。シャーリーすまない」
あの日、セインダールに森を焼かれエルフの兄妹は捕らえられた。
王に奴隷の呪いを掛けられるが最初は抵抗していた。奴隷の呪いをかける条件は三つある。
相手より相当強くあれば強制的に掛けることができる。
相手の強さに関係なく心を折れば掛けることができる。
相手が条件を提示して受け入れれば掛けることができる。
二人の強さから王では強制的に掛けることはできない。だから、業を煮やした王がシャーリーの心を折るためにその体に癒えない傷をつけようとした。
それを止めるために兄であるライズ・エル・フォルンは奴隷の呪いを受ける代わりにシャーリーに手出しをしないよう条件を求めた。
奴隷の呪いを受けいれる時に加えられる条件。もし、奴隷の呪いを施した側が決めた条件を破ればそれ相応のペナルティは発生する。
エルフに手を出す事が出来ないのは王としてちと惜しくもあるが、それ以上にこのエルフ達を手駒に加えられるならそれで十分だった。
そしてライズは奴隷に身を堕とすのだ。そして、シャーリーも条件……『戦死以外で自分たちを殺すな』という条件により同じくして奴隷となった。
こうしてセインダールの王は二人のSランクと同等以上の戦力であるエルフ二人を支配下に置いたのだ。
奴隷になれば逃げることは不可能だ。唯一希望があるのは聖女なら解けるということ。だか、その聖女に会う前に戦場に連れてこられてしまった。
だから二人はこの戦争に勝って生き残り聖女に会わなければいけない。
「ゲルゴス様。相手の戦力が把握出来ました!」
若い兵士が遠距離索敵魔法により砦付近にいる大地達を確認したのだ。
「敵は4名であります」
「4名?やはり戦力はもう残っていないんだな。これなら楽勝だろう」
「それが内2名は鬼神のベルヴォルフと鮮血のユーナです」
二人の異名はリリアと同じく広い世界に知れ渡っている。だが、ホワイトキングダムにいる以上、基本的に彼らに手を出す事はまず不可能だが……逆に相手をするとなるとそれはそれで無理難題なのだ。Sランク換算で言えばベルヴォルフはSランク3人分、ユーナは4人分と言えよう。
「くぅ。だが、我らの中にもSランクのハンターも混じっている!奴らを落とせないわけがない!」
だが、その声の大きさからエルフ兄妹はしっかりとわかってしまった。ホワイトキングダムはこちらを殲滅する気なのだと。過去に1度だけ見たことがある。例の二人が戦場に出た時の事を長命故に覚えている。二人はその戦争にかかわったわけではないがとある森に居た時に近くで戦争が起こった。二人は巻き込まれない様にその森の高い木の上から様子を見ていたのだ。
2人対大勢。2人に対して数えるのすら馬鹿らしくなる数である。結果は惨敗。大勢いた人間が一人も動いておらず息をしている者が居なかった。
恐ろしい程の戦いだった。
ベルヴォルフは魔力をそのまま物理に変え爪様なもので大きな傷跡を地面につけるほどだ。
ユーナについては魔力で流れた相手の血を操り相手を仕留める武器にする他、高等魔法で広範囲に人を焼いていった。
そんな怪物二名が今同じ戦場にいるのだ。生きて帰れるわけがない。結局『王』の命令通りに死ぬこととなるだろう。
「それで後の二名はなんだ?」
「情報がなくわかりません。一人は男で水ぼらしい恰好したおっさんです。もう一人はだいぶ幼い女の子の様ですが……」
「ふむ。まぁ、どちらにおいても鬼神と鮮血以上ではないだろう。ついでに殺すくらいで考えておこう」
ゲルゴスがそう言うと兵士は「はっ」と短い返事をしてから持ち場へと戻っていく。その直後、別の監視兵が駆け付けてきた。
「ゲルゴス様。男が一名こちらにゆっくりと歩いてきます!」
先ほどの水ぼらしい恰好をしたおっさんだろうと直ぐにあたりをつけると、ゲルゴスは不敵な笑みを浮かべる。
「くく、バカが。一人で我らに向かってくるとは。よかろう、こちらも全軍突撃するぞ!」
2度目の号令で軍全体が動き始める。
だがその前に二人のエルフは遠距離索敵魔法によって近寄ってくる男を確認した。
生きて勝つ為には誰であれ戦う相手の存在を知らなければならないからだ。
「シャーリー……」
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その結果、二人は自分の死期をさとる。
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