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王族からは逃げられない
王女が依頼をしょってやってきた
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今日はユーナさんに放置された為、自力で目を覚ますと、当然腕にはフルネールが寝て……いなかった。いや、側にいて腕を枕にしているのだが目を開けてこちらを見ているのだ。
「おはようございます。大地さん」
そんな彼女が寝起きの俺に笑顔で挨拶してくれる。ここがふわふわなベッドの上であればご機嫌な朝の始まりだっただろうが、現実は冷たい石の上であり、回りからは好奇な目を向けられているためムードもへったくれもない。
「ああ。おはよう。とりあえず起きようか」
フルネールが上体だけ起こすと大地も同じように上体だけ起き上がり回りを見始めた。
すると物珍しそうに見ていた通行人は絡まれたくないのかそそくさと逃げていく。
「そんな珍しいかねぇ」
「それはそうですよ。強盗とかにあったなら道で倒れてても仕方ないのでしょうけど、何もなくて地面で寝る人は大地さん以外に知りませんよ?」
「そうか。まぁ、その中にお前も入ってるからな」
大地がそういうとフルネールは憤慨したように言う。
「まったく何が物珍しいんでしょうね!」
素晴らしいほどの手のひら返しだ。俺じゃなくても見逃さないね。
「まぁ、とりあえず行くか。滝へ」
「そうですね。滝に飛び込んできましょう」
物騒なこのやり取りも二回目?だが板についてきたのではないだろうか。
南の森でシュールな水浴びをしてウサギと山菜の朝食を頂いたあとギルドに戻るとすっかりギルドの中は人で溢れ帰っていた。
「さて、今日こそ依頼をやるか」
大地とフルネールは依頼が張り出される掲示板へと足を向ける。
ふむ、なんかこのパターンだと、嫌な予感するな。例えばこの後すぐにドアが勢いよく開いて――。
――バァン!!
そうそう、こんなふう……ん?……えーと、足音もこちらに向かってきてないか?
頑なに掲示板を見続ける大地だが、勢いよく扉を開けた人はまっすぐに大地へと歩みを進める。
ギルドの人たちはその入ってきた人に驚きざわざわと小さく言葉を飛び交わせる。
真横からくる熱い視線という圧に耐えきれなくなった大地は振り向いた。振り向きたくなくても振り向かざるを得なかったのだ。
「えーと、王女様……ですよね?」
大地に近寄ってきた人物はアーデルハイドその人だった。その王女は一言を面と向かって言う。
「ダイチだな?話がしたい」
凛とした声だ。さらに容姿も良いと来れば男だけじゃなく女性からのファンも多そうだ。
あー、言葉遣いで打ち首になったらごめんな。
「話し?」
「そうだ。場所を変えさせてもらってもいいか?」
どうやら断れる雰囲気でもない様子だ。
「わかった。だが、フルネールも仲間だから一緒に。と言うのが条件だ」
さすが大地さん。王族相手に条件を出すなんて。言葉遣いの前に不敬罪がさきですかね?
しれっと嫌なことを言うフルネールの脳内会話を無視していると、アーデルハイドは「構わない」と言って背中を見せてある気出す。
これは恐らくついてこい。と言っているのだろう。
大地とフルネールはその後に続いて歩いていくと馬車に乗せられた。やや広めで、座った配置としてはフルネール、大地、アーデルハイドとなった。美女に挟まれたおっさんである。美女と野獣と美女である。
両手に花ですね!すごいですね!
お前に美女に挟まれたおっさんの気持ちなんてわかるまい……。
「その、まずは先にお礼を言わせてくれ」
「お礼?なんのだ?」
「少し前に森で私を助けてくれただろう。今さら自分ではないと言うつもりはないだろう?」
まぁ、お金受け取っているわけですし……必要にかられてとはいえ迂闊だったかなぁ。
「あー。確かに助けたけどそのお礼はもう頂いていますし……」
「だがやはり、言葉にして伝えないと誠意が見せれないと思ってな。私とミリアを助けてくれてありがとう」
そう言ってアーデルハイドは大地の手を握り目を会わせてお礼を言ってきた。
この世界で会ったどのタイプの女性とも違う距離感で接してこられて、大地は顔を赤くする。
「い、いや。結局君たちの怪我を治療したのはリリアだから……」
「ああ、そのリリアからダイチ、貴方の話は聞いてるよ」
「リリアから?」
「そうだ。最初私を助けてくれた人について知らなかったようだが、後に君だと思う。と教えてくれたよ」
まぁ最初リリアに任せて逃げたし、その後についても黙っておいてと言ってないから……仕方ないか。
「なるほどな。……というかそろそろ手を放してくれるか?」
「ああ、これは失礼した」
アーデルハイドはあっさりと手を離して前のめりだった体を元の位置へと戻す。
ずいぶん鼻の下を伸ばしてたようですがよかったのですか?
伸ばしてねぇよ!おまえ、あの状態から王女が叫ぶだけで俺はお縄になるからな?嬉しいとかそれどころじゃねぇよ……。
「それで王女様はその言葉だけを伝えに来たのか?」
「いや、ここからは単刀直入にいこうか。私はダイチ。貴方の力をこの目で見てみたい」
「えーっと、俺の力?」
「そうだ。クラスターモンキーの時は私の意識は失っていたし、あとはリリアから聞いた情報しかないからな」
それでしっかりと自分の目で見たいという事か。
情報だけを鵜呑みにしない辺りはしっかり物事を見定めようとする心がけなのかもしれないが、大地としては一つだけ気になる事がある。
「俺の力を見てどうするつもりなんだ?」
「今ははっきりしたことをいう事は出来ない。だが、言える範囲としては厄介な依頼を一つ頼みたいと思っている。もちろん、貴方にその力が無いと判断した時はこの話は忘れてもらうつもりだ」
厄介な依頼を受ける基準にする為の力試し。めんどくさいことこの上ないな。
「私からも聞いていいですか?アーデさん」
「アーデ……?」
一瞬だけ首を傾げたアーデルハイドだが直ぐに自分の事かと気づく。そして誰に気づかれることなく一瞬だけ笑みをこぼしたのだ。
おま!本当に首が飛ぶかもしれない事を口にするなよ……。
えー。でも言っちゃいましたし?あ、でもこれで私を打ち首にするって言われたらどうします?
なんで楽しそうに聞くんだよ。まぁ当たり前だけどお前を連れて別の国に飛ぶとかだな。
……はい。
はいじゃないが?マジで頼むよ……。
「ふむ、確かフルネールさんと言ったね」
「ええ。そうですね」
「ではネールと呼ばせてもらおうかな。私の方も『さん』は要らんぞ。それで質問とは?」
まさかのアーデルハイドの言葉に大地は驚いているが、フルネールとの談話は続く。
「その依頼の方ってちゃんと報酬は出るんですか?」
「ああ、もちろん出す。そうだな最低でも100万ゴールドは用意するつもりだ」
「「100万!?」」
アーデルハイドが用意する金額に未だかつて聞いたことが無い大地とフルネールは二人そろってその金額を口にした。
「おはようございます。大地さん」
そんな彼女が寝起きの俺に笑顔で挨拶してくれる。ここがふわふわなベッドの上であればご機嫌な朝の始まりだっただろうが、現実は冷たい石の上であり、回りからは好奇な目を向けられているためムードもへったくれもない。
「ああ。おはよう。とりあえず起きようか」
フルネールが上体だけ起こすと大地も同じように上体だけ起き上がり回りを見始めた。
すると物珍しそうに見ていた通行人は絡まれたくないのかそそくさと逃げていく。
「そんな珍しいかねぇ」
「それはそうですよ。強盗とかにあったなら道で倒れてても仕方ないのでしょうけど、何もなくて地面で寝る人は大地さん以外に知りませんよ?」
「そうか。まぁ、その中にお前も入ってるからな」
大地がそういうとフルネールは憤慨したように言う。
「まったく何が物珍しいんでしょうね!」
素晴らしいほどの手のひら返しだ。俺じゃなくても見逃さないね。
「まぁ、とりあえず行くか。滝へ」
「そうですね。滝に飛び込んできましょう」
物騒なこのやり取りも二回目?だが板についてきたのではないだろうか。
南の森でシュールな水浴びをしてウサギと山菜の朝食を頂いたあとギルドに戻るとすっかりギルドの中は人で溢れ帰っていた。
「さて、今日こそ依頼をやるか」
大地とフルネールは依頼が張り出される掲示板へと足を向ける。
ふむ、なんかこのパターンだと、嫌な予感するな。例えばこの後すぐにドアが勢いよく開いて――。
――バァン!!
そうそう、こんなふう……ん?……えーと、足音もこちらに向かってきてないか?
頑なに掲示板を見続ける大地だが、勢いよく扉を開けた人はまっすぐに大地へと歩みを進める。
ギルドの人たちはその入ってきた人に驚きざわざわと小さく言葉を飛び交わせる。
真横からくる熱い視線という圧に耐えきれなくなった大地は振り向いた。振り向きたくなくても振り向かざるを得なかったのだ。
「えーと、王女様……ですよね?」
大地に近寄ってきた人物はアーデルハイドその人だった。その王女は一言を面と向かって言う。
「ダイチだな?話がしたい」
凛とした声だ。さらに容姿も良いと来れば男だけじゃなく女性からのファンも多そうだ。
あー、言葉遣いで打ち首になったらごめんな。
「話し?」
「そうだ。場所を変えさせてもらってもいいか?」
どうやら断れる雰囲気でもない様子だ。
「わかった。だが、フルネールも仲間だから一緒に。と言うのが条件だ」
さすが大地さん。王族相手に条件を出すなんて。言葉遣いの前に不敬罪がさきですかね?
しれっと嫌なことを言うフルネールの脳内会話を無視していると、アーデルハイドは「構わない」と言って背中を見せてある気出す。
これは恐らくついてこい。と言っているのだろう。
大地とフルネールはその後に続いて歩いていくと馬車に乗せられた。やや広めで、座った配置としてはフルネール、大地、アーデルハイドとなった。美女に挟まれたおっさんである。美女と野獣と美女である。
両手に花ですね!すごいですね!
お前に美女に挟まれたおっさんの気持ちなんてわかるまい……。
「その、まずは先にお礼を言わせてくれ」
「お礼?なんのだ?」
「少し前に森で私を助けてくれただろう。今さら自分ではないと言うつもりはないだろう?」
まぁ、お金受け取っているわけですし……必要にかられてとはいえ迂闊だったかなぁ。
「あー。確かに助けたけどそのお礼はもう頂いていますし……」
「だがやはり、言葉にして伝えないと誠意が見せれないと思ってな。私とミリアを助けてくれてありがとう」
そう言ってアーデルハイドは大地の手を握り目を会わせてお礼を言ってきた。
この世界で会ったどのタイプの女性とも違う距離感で接してこられて、大地は顔を赤くする。
「い、いや。結局君たちの怪我を治療したのはリリアだから……」
「ああ、そのリリアからダイチ、貴方の話は聞いてるよ」
「リリアから?」
「そうだ。最初私を助けてくれた人について知らなかったようだが、後に君だと思う。と教えてくれたよ」
まぁ最初リリアに任せて逃げたし、その後についても黙っておいてと言ってないから……仕方ないか。
「なるほどな。……というかそろそろ手を放してくれるか?」
「ああ、これは失礼した」
アーデルハイドはあっさりと手を離して前のめりだった体を元の位置へと戻す。
ずいぶん鼻の下を伸ばしてたようですがよかったのですか?
伸ばしてねぇよ!おまえ、あの状態から王女が叫ぶだけで俺はお縄になるからな?嬉しいとかそれどころじゃねぇよ……。
「それで王女様はその言葉だけを伝えに来たのか?」
「いや、ここからは単刀直入にいこうか。私はダイチ。貴方の力をこの目で見てみたい」
「えーっと、俺の力?」
「そうだ。クラスターモンキーの時は私の意識は失っていたし、あとはリリアから聞いた情報しかないからな」
それでしっかりと自分の目で見たいという事か。
情報だけを鵜呑みにしない辺りはしっかり物事を見定めようとする心がけなのかもしれないが、大地としては一つだけ気になる事がある。
「俺の力を見てどうするつもりなんだ?」
「今ははっきりしたことをいう事は出来ない。だが、言える範囲としては厄介な依頼を一つ頼みたいと思っている。もちろん、貴方にその力が無いと判断した時はこの話は忘れてもらうつもりだ」
厄介な依頼を受ける基準にする為の力試し。めんどくさいことこの上ないな。
「私からも聞いていいですか?アーデさん」
「アーデ……?」
一瞬だけ首を傾げたアーデルハイドだが直ぐに自分の事かと気づく。そして誰に気づかれることなく一瞬だけ笑みをこぼしたのだ。
おま!本当に首が飛ぶかもしれない事を口にするなよ……。
えー。でも言っちゃいましたし?あ、でもこれで私を打ち首にするって言われたらどうします?
なんで楽しそうに聞くんだよ。まぁ当たり前だけどお前を連れて別の国に飛ぶとかだな。
……はい。
はいじゃないが?マジで頼むよ……。
「ふむ、確かフルネールさんと言ったね」
「ええ。そうですね」
「ではネールと呼ばせてもらおうかな。私の方も『さん』は要らんぞ。それで質問とは?」
まさかのアーデルハイドの言葉に大地は驚いているが、フルネールとの談話は続く。
「その依頼の方ってちゃんと報酬は出るんですか?」
「ああ、もちろん出す。そうだな最低でも100万ゴールドは用意するつもりだ」
「「100万!?」」
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